そして遺跡にある仕掛けとは……どうぞ最後までご覧ください。
次元の狭間にあるとされる次元遺跡。未知なる力が宿るこの地には、現在二つの勢力が侵入していた。
一つはフィリアの案内の元で動く万事屋や真選組一行。そしてもう一つは、マッドネバーに属する辰羅の二人である。夜兎達とは異なり、時間差で次元遺跡へと来ていた。
現在は遺跡の奥部にある扉の前で、侵入を密かに試みている。
〈ビリィ!〉
「痛!? ……また電流か」
「ありゃゃ。全然上手くいかないねぇ~。中に入るなら、仕掛けとか解かないといけないんじゃないの?」
「……いいや。まだだ! もう一回」
「また痺れるだけだから、止めておきなって」
電流が流れ続けてもなお、力づくでねじ伏せようとする辰羅の男性。不器用な姿に、辰羅の女性も皮肉を言うように呆れている。
しばらく侵入を試みていると、二人は徐々に人の気配を察していく。
「ん? これはまさか」
「アタシ達以外の侵入者かな? だったら……」
「徹底して相手になろうじゃないか……」
そう判断した二人は、場を離れて別々の道を駆け抜けていく。男性はメダルを、女性は指輪を手にして、戦闘態勢を整えていた。
新たなるダークライダーが、刻一刻とフィリア達に迫っている……。
一方でこちらは、遺跡内をゆっくりと歩くフィリアや銀時、キリトら一行。夜兎やダークライダーの脅威が去っても、内部に敵がいないか、皆警戒心を高めている。周りをキョロキョロと見渡しながら、着実に奥部へ突き進んでいた。
「なんだか暗くて静かな場所ね……」
「海底遺跡と同じで、何が出てくるか分からないわね」
遺跡内部を確認しつつ、より注意を払うリズベットとアスナ。彼女達の言う通り、遺跡の中は薄暗く、陰湿な雰囲気を漂わせている。キリト達が以前に訪れた海底遺跡とも、様子は酷似していた。いずれにしろ、万が一に備えることに越したことはない。
現在は先頭にフィリアやキリトらSAOキャラ、後方に万事屋と真選組と言った銀魂キャラに分かれている。慣れ親しんだ仲間と共に、情報交換しながら歩いていた。
「なるほど! 要するにあのフィリアちゃんって子が、夜兎達に狙われているから、みんなで守っていたのか!」
「そういうことですね。それに奴等の狙いは、この次元遺跡に眠る力とも言っていましたし……」
「どっちにしろ、人が多くて損はないだろ。折角だから、俺達も加わってやるよ」
引っかかっていた謎が解けて、近藤は大きく頷いている。フィリアと出会った経緯、彼女を狙う謎の組織、そして次元遺跡の存在。多くの事情を抱えている銀時らに、真選組の三人も協力する姿勢を見せていた。
「まぁ、俺達に任せりゃ間違いねぇですよ。ゲロインはしばらく休んでいてくだせぇ」
「うるせぇアル。オメェに言われなくても、とっくに治り始めているネ。近寄んじゃねぇ!」
それでもなお、神楽と沖田の対立は相変わらずであったが。ダークキバとの戦闘で体調を崩していた彼女も、今では軽口を叩けるほど立ち直っている。もちろん銀時も、同じように気持ちを立て替えていた。
「おいおい、静かにしろお前等。一応敵がいるかもしれないからな。警戒心は絶対に怠るなよな」
と注意を加えると、それを聞いていたシリカとシノンが即座に小言を告げている。
「そういう銀時さんだって、敵だけじゃなくてお化けにも注意した方が良いんじゃないですか?」
「そうそう。だって銀さんは……」
「おい、止めろお前等! こういうところで言うんじゃねぇよ! 無駄に意識するだろうが!!」
「って、銀さん。自白していますよ」
核心を突くような一言に、銀時も本音をあっさりと発してしまう。潜在的に怖がる様子には、新八も冷静にツッコミを入れていた。彼の弱点をよく知っている二人の、何気無いからかいの一幕である。
万事屋や真選組がいつもの応酬を繰り広げている中、キリト達はフィリアと積極的な交流を続けていた。
「みんなって、この世界に来てからどんなことしているの?」
「そうだな。万事屋とか百華とか信頼できる人達と一緒に暮らしているかな」
「その中で、私達をこの世界に送ったサイコギルドって組織を追っていますが……中々有力な情報が掴めないのが現状なんです」
「結構苦労してるんだね……」
キリトやユイから聞かされた並々ならぬ事情に、フィリアも同情を見せている。別の世界から来た人間だと知り、驚きを感じていた。彼女達の真剣そうな表情からは、重要な事案であると理解している。
そう思った途端に、フィリアにはある疑問が浮かんでいた。
「ねぇ、思ったんだけど……みんなは元の世界に帰りたいって思ったことは無いの?」
「そうね……もちろん思うことも多いけど、考えていても戻れるわけじゃないし」
「そういうのは割り切って生活しているかな。今の生活もそんなに悪くないし」
元の世界へ戻りたい気持ちが強いのかと思いきや、必ずしもそうではない。リズベットやリーファの返答通り、気持ちは割り切って暮らしていると言う。すると仲間達も、同感するように声を上げてきた。
「そうね。手がかりもいずれは見つかると思うから、いつかは帰れると信じているのよ」
「何事も慎重にですよ!」
「ナー!」
「なるほどね。まぁ焦っても良い事は無いし、ゆっくりと探した方が的確じゃないかな?」
冷静に徹している彼女達の考え方を知って、フィリアも強く納得している。彼らの前向きに生きる姿には、思わず彼女も感心していた。
その話題が一旦区切られると、今度はお返しにフィリアへ注目が向けられている。
「ところでフィリアは、ALO星でどんなことをしているんだ?」
「えっとね……まぁ勉学と宝探しくらいかな。趣味でよく色んな場所を探索しているんだよね」
「いわゆるトレジャーハンターってわけね」
「そうだね。でもこんな大勢で行くのは、初めてかも」
「えっ? そうなの?」
「うん。普段は一人でやっているからさ……本当は仲間も欲しいけど、全然集まらなくて」
彼女は自身の事情について、素直にリーファらへ打ち明かしていく。どうやらフィリアの本職は学生らしいが、趣味としてはトレジャーハンターも行っているという。ところが……仲間が出来にくいことに大きな悩みを抱えていた。次第に表情も浮かなくなり、しんみりとした雰囲気で話は続いていく。
「私の星にはね、姫様を守る六人組の騎士団がいるんだよ。私も彼らと同じように同志を集めたいんだけど……上手くいかなくて、結局一人なんだよね。いつかは仲間と一緒に、色んな場所を巡りたいんだけど……」
本音を言い切った後に、彼女は「ハァー」と重たいため息を吐きだしている。仲間を持つことに憧れを持ち、行動へと移したのはいいが、望み通りに進まずモヤモヤが募っていた。理想と現実の狭間に葛藤を抱き、フィリアは自分を変えようと試行錯誤を続けている。
初めて明かされた彼女の秘めた気持ちに、周りにいたキリトらは一貫して、次々と後押しするような一言をかけていく。
「そう内気にならない方が良いんじゃないかしら? 今は上手く行かなくても、続けていればきっと集まって来るわよ」
「そんなものなのかな……」
「もっと自信を持ってください! 例えば仲間の集め方を変えたりとか、手段はきっと多くあるはずですから! 諦めずにやれば、フィリアさんの夢も絶対に叶いますよ!」
アスナやユイの言葉を皮切りにして、女子達も大いに励ましている。「大丈夫」や「応援している」と言った、温かみのある言葉を各々が伝えていた。
「フィリアが言ってくれた通り、焦らない方が近道だと俺も思うよ。自分のペースで無理はせずに、続けていくべきだよ」
「キリト……みんなも」
次々とその言葉を受け取っていき、フィリアの表情は一変。失いかけていた自信を少しずつ取り戻していく。
「ありがとうね。励ましてくれて」
「いやいや。これくらい、大したことないって!」
「俺達もフィリアのこと、応援しているからさ」
「その言葉だけで、私は嬉しいよ」
優しくそっと微笑みを浮かべて、彼女はキリト達へお礼を返していた。本音を伝えきったその心境は、見違えるほど変わっている。自身の夢を応援してくれる人達と出会い、心の底から感謝していた。
「他にも聞かしてくださいよ! フィリアさんやALO星のことも!」
「うん、いいよ!」
こうして悩みが一旦解決されると、さらなる情報をフィリアから聞き出している。ALO星に関連する話題で、キリト側はしばらく持ちきりとなっていた。
一方の万事屋と真選組は、会話に入らずとも話の内容はしっかりと聞いている。
「フィリアさんもだいぶ、キリトさん達と打ち解けてきましたね」
「あいつは元々ゲーム版限定のキャラだろ? 仲良くなるのは必然的だろ」
「何だか運命のように感じるアルナ。こうなったら私達も、ゲーム版のキャラを導入するアルよ!」
「よし来た! ……って、誰かいたっけ?」
「いや、覚えてないんかい! 色々いましたよ! DS版とかすごろくとかに!」
話題に一安心したかと思いきや、ノリのままに小ボケを交わす銀時と神楽。謎の対抗心を目の前にして、新八のツッコミもすかさず決まっていた。
その後ろにいる真選組だが、近藤を除く二人は常に警戒心を払っている。
「ハハハ。万事屋もキリト君達もいつも通りじゃないか!」
「そう呑気にしていて良いのかよ。敵はどこにいるのか分からねぇんだぞ」
「その通りですよ。ほらこんな風に、横側から攻める可能性もありやすし」
そう言い切って沖田は、無作為に壁の一部へと手を当てて力を入れていく。本人も冗談交じりに押しかけていた――その時である。
〈カチ!〉
「アレ? おっと!?」
「そ、総悟!?」
何かが起動する音が聞こえた途端、壁が急回転してそこに出来た隙間へ彼が吸い寄せられてしまった。一瞬にして場から姿を消している。
「えっ!? 総悟が消えた!?」
「お、沖田さんが!?」
「おいおい、マジかよ?」
何が起きたのか分からず、戸惑ってしまう近藤らや万事屋一行。先を歩いていたキリト達もこの異常に気が付き、一旦合流して場の状況を読み解いていた。
「一体何が起こったの?」
「壁を触った途端に動き出してだな……そのまますっぽりと消えたんだよ」
「壁が移動したの?」
「まさか遺跡独自の仕掛けってこと!?」
近藤の説明を聞いても、さっぱりと理解が追い付かないリズベットやシノン。彼女たちのみならず、場にいた全員が次第に遺跡内の仕掛けだと予見していた。
するとフィリアが、そっと声を上げていく。
「恐らくそうだと思う」
「えっ? フィリアは何か知ってるアルか?」
「うん。だって私も、この仕掛けに引っかかって外に放り出されたもの。他の場所にあっても、おかしくないと思うけど……」
彼女曰く壁の仕掛けは経験済みであり、はっきりと断言している。つまりそれは、沖田も彼女と同じ末路を辿ることを示唆していた。
「えっ? じゃ沖田さんは、遺跡の外へ放りだされたってこと?」
「そ、そんな……」
徐々に不穏な空気が漂っていき、仲間内には不安が募り始める。沖田の安否を気遣って、壁越しに呼びかけようとした――その時であった。
「いやいや、俺は平気ですよ」
不意にも聞こえてきたのは、余裕を感じさせる沖田の一言。この声と共に、
〈カチ!〉
またも起動するような音が聞こえてくる。すると瞬く間に壁が表裏へ動き出していく。
「えっ? ギャャャ!?」
「うわぁぁ!?」
「ちょっとみんな!?」
その壁の移動に巻き込まれたのは、近くにいた万事屋と真選組の計五人。沖田と同じく偶然にも出来た壁の隙間に落とされてしまった。
立て続けに起きる急展開には、シリカやリズベットら残された仲間達も何が何だか分かっていない。
「えっ? 一体何が起きたんですか!?」
「ナー!?」
「ていうか、神楽達は大丈夫なの!?」
思わず彼らへ無事を呼び掛けてみると、何事もなく沖田が言葉を返してくる。
「こっちは平気ですって。いやー偶然にも、同じ道に迷い込んだだけですさぁ。そっちと同じように通路が続いているんですよぉ」
「同じ道? 隠し通路ってことかしら?」
「そういう認識で合っていやすよ」
どうやら彼によると、一枚壁を挟んで同じような道が広がっているそうだ。フィリアの時とは違い、遺跡の外にも放りだされていない。全員の無事が確認できたことに、アスナらも一安心していた。
「はぁー、良かったわ」
「何事もなくて、安心しました!」
「壁がスイッチになって、隠し通路を発見するなんて。本物のダンジョンみたいだな。ってことは、こっちの道にも自由に戻れるってことか?」
ほっと一息をつくと、キリトはさらなる質問を投げかけてくる。すぐに返答が来ると思いきや、聞こえてきたのはまったく関係のないやり取りであった。
「おい、てめぇ!! 何を私達まで巻き込んだアルか!!」
「ちょっと神楽ちゃん、落ち着いて!! 今は喧嘩している場合じゃないから!!」
「おい、ニコチンとゴリラ! あの二人を止めろよ! オメェの部下だろ!」
「ふざけんな! 誰がニコチンだ!! つーか、勝手にチャイナを押し付けるなや!!」
「みんな落ち着いてくれ!! 挑発もやめろ! 総悟にトシも!」
「なんで俺まで括ってんだよ!!」
次々と聞こえてきたのは、万事屋と真選組による阿鼻叫喚の一幕。沖田に怒りをぶつける神楽。責任を擦り付けあう土方と銀時。場を必死に収めようとする近藤と新八。すぐには収まらないであろう争いが、一枚の壁を通して始まってしまった。声しか状況を読み取れないキリトらだが、普段の彼らのやり取りから大体察しが付く。
「って、喧嘩が始まっちゃったけど……」
「何をやっているのよ。銀さん達は……」
「またいつもの流れなのかな……?」
見慣れた喧嘩の様子に、つい呆れを覚えてしまうシノンとリーファ。二人だけではなく、場にいた全員が喧嘩の行く末を不安視していた。
「やっぱり始まったか……」
「銀さんも土方さんも、喧嘩なんかしている場合じゃないのに……」
「早く落ち着いてくださいって!!」
キリト、アスナ、ユイも落ち着かせるよう声かけしていく。全員が苦笑いをして、この状況に気まずさを感じていた。遺跡の仕掛けをきっかけに、事態は変わっている。
二組の対立が収まるまで皆が静観しようとした――その時であった。
「ディーペストハープーン!!」
「うわぁ!?」
「ギャァ!?」
「えっ!? ちょっと、みんな!?」
「何が起こったのよ!?」
事態は突如として、急転直下を迎えている。油断していた隙に聞こえてきたのは、銀時や神楽達の大きな叫び声。何らかのトラブルが起きたものだと思われるが……。
不穏な事態に気が付き、キリト達の表情もまた一変している。
「今の攻撃は……」
「見るネ! あいつは辰羅アルよ!」
すると真っ先に聞こえてきたのは、新八や神楽の反応だった。二人によれば、何者かを揶揄するような一言を発している。
「しんら? って、誰だっけ?」
「確か三大傭兵部族の一つだったはず……」
「それじゃ、夜兎と同じ強者ってこと?」
聞きなれない単語にリーファらが疑問を浮かべていると、フィリアは咄嗟に情報を補足していく。彼女によれば辰羅は、夜兎とはまったく違う戦闘民族のようだ。
いまいち状況を把握できず、今は銀時らの声のみで判断する他は無い。
「一体銀さん達に何が起こったんだ……?」
一方で別通路へ来た銀時らは、新たなる危機に直面していた。どこからともなくやってきた衝撃波を受けて、思わず怯みを与えられてしまう。幸いにも大きな傷がなかったが。六人がしぶとくも体勢を立て直していると、ふてぶてしい足音がコツコツと鳴り、目の前には一人の男性が姿を現していた。
「フッ。侵入者と言うのは、お前たちだな?」
野太い声のまま、威圧的な態度で話している。
「お、お前は……?」
「俺の名は唖海(あかい)。マッドネバーに属する一人だ」
「マッドネバー……ここにもいたんですかい」
彼は自分の名前や身分を、簡潔に銀時らへ打ち明かしていく。その正体は大方の予想通り、マッドネバーの仲間である。
辰羅こと唖海の風貌は、大柄な体格の中年男性だ。服装は辰羅特有の白装束で、全身の服装を白色に統一している。髪色は青く、耳もキリト達と同様とんがっていた。また手には、赤色と青色をあしらった長槍を所持している。それを強く叩きつけながら、じわじわとこちらへ近づいていく。その目つきは一点を見るように、鋭利に尖っていた。
一方の銀時ら六人は、体勢を立て直すと真っ先に戦闘準備を進めていく。
「おい、テメェら分かっているか? この場は何としても、潜り抜けるぞ……!」
「当然だ。夜兎だろうが辰羅だろうが、どっからでもかかってこい」
「今度こそ負けないネ……!」
先ほどまでのバチバチな喧嘩から切り替えて、皆が戦闘態勢を整えていた。銀時、新八は木刀を。神楽は自慢の日傘、真選組の三人は刀を相手に向けていく。表情も真剣さを戻しており、臨戦態勢は完璧と言ってもいいだろう。
だがしかし、唖海は動じずに堂々とした態度を続けていく。
「どういう経緯で来たのか知らんが、邪魔者は排除するまでだ。これだけは言っておこう。命乞いはするな、時間の無駄だ」
そう言い残すと彼は、懐から金色のバックルを取り出して、ベルトとして腰に巻いている。さらに手元では、三枚のメダルを銀時らへと見せていた。
「……まさか!」
「そのベルトって!?」
既視感のある行動に、六人は嫌な予感を悟っていく。先ほど戦った夜兎と同様に、ダークライダーへの変身を有していると邪推していた。その予感は、次期に現実のものとなる。
「そうさ。俺は変身する力を手に入れた。この大海の力で、お前たちをねじ伏せてやる! 変身!!」
力強く変身と発声した後、彼はメダルをベルトに装填した。
〈サメ! クジラ! オオカミウオ!〉
するとベルトからメダルの紋章が露わとなり、周囲を回転していく。唖海と一体化すると、激しく水が噴出して、次第に姿が変貌していた。上半身を青、下半身を赤と言った色が別れた海洋系の戦士……仮面ライダーポセイドンに変身している。
槍を手にしながら近づく彼の姿に、銀時らも一瞬だけ驚きを感じてしまう。
「やっぱり変身しやがったか……」
「新たなるダークライダー……」
リュウガやダークキバの時と同様、その強さは未知数に等しい。土方や近藤を初めとして、万事屋や真選組は皆、険しい表情で警戒心を強めていく。
するとポセイドンは、さらに言葉を続けていた。
「俺の名は仮面ライダーポセイドン。能書きはいい。俺達の相手をしてもらおうか!」
そう言い切ると彼は、四枚のメダルを手元に出現させる。今度は銀色のメダルで、それを二つにちぎって、破片から八体の伏兵を生成していた。
「ウゥ~!」
その正体は、下級の怪人屑ヤミー。ポセイドンの使役する、言わば戦闘員の一種である。辰羅らしい集団の戦法を、彼はメダルの特性を用いて再現していた。
さらなる敵の登場には、銀時達にも若干の戸惑いが生まれている。
「こ、こいつらは……」
「俗に言う戦闘員アルよ! 弱っちぃ癖に、四体も出てきやがって!」
「さて……そいつはどうかな。やれ」
「ウゥ~」
ハッタリの如く躍起に返す神楽にも動じることなく、ポセイドンは自身の策略通り、屑ヤミーを使役して万事屋や真選組に戦いを仕掛けていく。有無を言わさずに押し切り、彼らの進行を阻むことが作戦であった。
仕向けられた戦いにも、銀時らは怯むことなく向き合っている。
「おい、お前ら! 絶対にくたばるんじゃねぇぞ!!」
「そんなの分かっていますよ!」
「覚悟して行くぞ! あのダークライダーを捻じ伏せろ!!」
六人は決して相手に背中を見せず、堂々とポセイドンや少数の屑ヤミーと対峙していく。チームワークを意識せずに、各々が自由に戦う、乱戦状態が出来上がっていた。根気よく相手を攻撃しつつ、付け入る隙を彼らは狙っている……。
一方のキリト達は、壁越しで銀時らの話の内容を聞き取っていた。マッドネバーの新たなる刺客や、万事屋や真選組が戦い始めたところまでは理解している。
「どうやら戦闘が始まったみたいだね……」
「こうしちゃいられませんよ!! アタシ達も銀時さん達に加勢しないと!」
「ナー!」
「そうね! 壁を使って、向こう側の通路に行きましょう!」
当然このまま動かないわけにもいかず、アスナらは加勢しようと判断していた。沖田が用いた手法のように、壁に手を当てて向こう側の道へ入り込もうとしている。早速そのスイッチを探し始めた――時であった。
「そうはさせないよ。妖精ちゃん達」
「ん!? 誰だ!?」
突如として聞こえてきたのは、若くて高めな女性の声。皆が声の聞こえた方角へ目を向けると、そこには一人の女性がおり、こちらへゆっくりと近づいてきた。
その風貌は平均的な背丈で、体格は細身。服装は白装束をまとい、口元はマフラーらしき布を覆っている。青い髪色ととんがった耳から、ALOにおけるウンディーネにも見えなくないが、殺伐とした雰囲気がその疑惑を打ち消していた。
そう彼女は、現在銀時達と対峙している唖海と同じ辰羅族の一人である。
キリトやユイ達も、彼女の正体に気付き始めていく。
「女性のウンディーネか?」
「いや、違います! まさかとは思いますが、辰羅族の一人なのでは?」
「えっ、そうなの!? てことは、マッドネバー!?」
憶測が錯綜して多少なり困惑をしていると、女性は親切にも自己紹介を始めてきた。
「あら、勘が良いじゃん。その通り。アタシは辰羅でマッドネバーの一人宇堵(うと)だよ。アタシがここに来た意味……アンタ達にはもちろん分かるでしょう?」
独特な口調のまま、自身の肩書や種族を明かしていく。宇堵はマッドネバーと話した後に、含みを持たせた問いをキリト達に投げかけてきた。
皆がその返しに戸惑っていると、キリトは落ち着いた態度で積極的に声を上げてくる。
「……俺達の排除か?」
「正解―! 正直作業の邪魔だから、出て行ってほしいのよね~。今だったら、特別に見逃してもいいよ。命が惜しくないならね」
そういい終えると、彼女は嘲笑うような笑顔を見せつけてきた。脅しとも言える言い分に、もちろんフィリアらも素直には従わない。考える暇もなく、宇堵の意見に反発していく。
「ふざけないでちょうだい! 出ていくのは貴方の方よ!」
「これ以上遺跡で好き勝手にはさせないんだから!」
「私達は絶対に逃げないわよ。正々堂々と戦うわ!」
シノン、リーファ、アスナと次々に強気な姿勢を見せて、相手側をけん制している。彼女達に続き、仲間達も皆しかめっ面な表情で否定していた。
一斉従うことない態度を見て、宇堵の怒りはあっさりと沸点に達してしまう。
「はぁ!? 折角のチャンスを無駄にするなんて……ひょっとして馬鹿!? アンタ達、マジで倒されたいわけ!?」
「き、急に変わりました!?」
「ナー!?」
「どんだけ短気なのよ、あの人!」
余裕そうな態度を一変させて、感情の赴くままに怒りを露わにしていく。その突発的な姿には、シリカやリズベットら仲間達にも衝撃を与えていた。
いずれにしても、油断ならない相手に変わることはない。相手方に警戒しながら密かに戦闘準備を進めていると、宇堵も温めておいた切り札を切り始めている。
「アタシはねぇ……アンタ達みたいな妖精が大っ嫌いなのよ!! 生意気な口言えるのも、今のうちだぞ!」
〈ドライバーオン! ナウ!〉
かんしゃくを立てながら、彼女は右手の指輪を腰元にかざしていく。すると起動音が鳴り響き、腰回りには人の手形を模したベルトが巻かれていた。
「べ、ベルト!?」
「やっぱりアナタも……?」
「ダークライダー……!?」
こちらも銀時達と同様、既視感を覚えており瞬く間に困惑している。そう大方の予想通り、彼女もまたダークライダーの一人なのだ。
「お楽しみはこれからよ!」
そして彼女は左手に新たな指輪をはめて、ベルトを右向きに回している。
〈シャバドゥビタッチヘンシーン! シャバドゥビタッチヘンシーン!〉
意味深で陽気そうなBGMと共に、はめた指輪を掲げていく。
「変身!!」
〈チェンジ! ナウ!!〉
力強く変身と発声した後に、指輪をベルトにかざしてきた。すると頭上には金色の魔法陣が出現して、彼女の全身に重なり合わさる。姿は次第に変化していき、金色と黒色をあしらった体色、黒い短めのマントと足を覆うローブ、肩には魔石のような装飾が付けられている。変身したその姿は、魔法使いと差し支えてもおかしくはない。そう彼女は、金色の魔法使いである仮面ライダーソーサラーへと変貌を遂げたのだ。
「ま、魔法使い……!?」
「随分とユニークなダークライダーね……!」
そのモチーフは仲間達も気が付いており、思わず反応に困ってしまう。それでも相手方が敵であることに変わりはない。見た目に惑わされず、さらなる警戒心を払う。
すると宇堵ことソーサラーは、早速声を上げてきた。
「改めて言うわ。アタシの名は仮面ライダーソーサラー。アタシの指輪の魔法で、アンタ達を絶望させてあげる!!」
そう名指しで断言した後に、彼女も伏兵として戦闘員を呼び出してくる。魔石をばらまき現れたのは、灰色の体色をした下級ファントムのグールであった。
「グ~ル!」
「さぁ、やりなさい!」
合計四体ほど現れたグールを使役しつつ、キリト達に戦闘を仕掛けていく。全ては相手を次元遺跡から追い払う為。抜かりの無い戦力で、ねじ伏せようとしていた。
「伏兵まで召喚するなんて……」
「みんな! この場は焦らず、一体ずつ倒そう! フィリアはユイを頼めるか!?」
「わ、分かった。任せて!」
一方のキリトサイドは、彼の支持の元で冷静に場を進めている。戦闘に乗り気ではないフィリアにユイの保護を任して、残りの六人でソーサラーとグールを相手にする算段だった。
「さぁ、行くぞ!」
「「OK!」」
「「もちろん!」」
「はい!」
彼の掛け声と共に、仲間達も自身良く返している。長剣、細剣、ダガー、メイス、片手剣、弓矢と各々が得意な武器でこの戦いに応戦していく。こちらも激しい戦いが幕を開けた。
「皆さん……頑張ってください」
「きっと大丈夫だよ。キリトや銀さん達なら、きっとこの戦いも乗り越えられるから」
つい心配を浮かべているユイに、フィリアはそっと優しく励ましている。彼女もキリトや銀時らの強さを信じ始めており、心の底から彼らのことを応援していた。戦いを見守りつつ、ユイの保護にも取り組んでいる。
遺跡内で始まった新たなるダークライダーとの戦い。戦闘員も使役している彼らに、果たして銀時やキリト達に勝算はあるのか?
夜兎の次は辰羅! また新たな傭兵部族の登場で、銀時達はさらなる苦戦を強いられてしまいます。ちなみにですが、辰羅は集団戦に長けている特性があるので、今回は戦闘員を召喚してそれを再現致しました。気付いた方はいるでしょうか?
ダークライダー及びオリジナルの敵は、また設定集を出すときに詳しく描くので、しばしお待ちください。
ちなみに本篇では描けなかったのですが、次元遺跡を介してキリト達が元いた世界へ帰る方法は否定されています。何よりもフィリアのようにどこへ行くのか分からないので、有効的とも言えないからです。やはりサイコギルドを見つけ出すしか、方法は無いと括っています。
さてちょうどいいタイミングで持ち越しとなりましたが、次回は遺跡での乱闘シーンをお送りいたします。いよいよ遺跡の奥部にたどり着くかもしれません……是非ともお楽しみにしていてください!
おまけ
辰馬「アハハハハ! 今日11月15日はワシの誕生日ぜよ! 次元遺跡篇でも活躍しちょうから、みんな応援を頼むぜよ!」
陸奥「おい、坂本。おまんの出番は今回ないぜよ。ついでにその次の長編もな」
辰馬「なんじゃと!? 折角坂本龍馬関係が出るのにか!? これじゃワシの、ゴーストアイコンが売れないぜよ! どうするんじゃ、陸奥!!」
陸奥「なんちゅうもん作っとるんじゃ。つーかそのガラクタ、どこに需要があるんじゃ?」
辰馬「プレミアム〇ンダイならワンチャン……」
陸奥「ねぇぜよ」
――ひとまず、坂本辰馬さん。お誕生日おめでとうございます!
次回予告!
銀時・土方「「うるせぇ! 邪魔するんじゃねぇ!」」
ポセイドン「はぁ?」
シリカ「そんな……効かないなんて!」
ソーサラー「アタシには全てお見通しよ」
フィリア「この扉を抜けないと、向こう側には行けないみたい」
近藤「よし! なら俺が……ギャャャャ!!」
神楽「プププ。アイツ痛いの我慢しているアルよ」
リーファ「案外可愛いところもあるんだね~」
次元遺跡篇五 邪悪な使者
今、その力は全開する!!