次元遺跡にてダークライダー達をまいた銀時とキリト達。奥部へと進んだ彼らに待っていた扉も、ユイをきっかけにして開かれている。そこで目にしたのは何と――
「銅像ですか?」
二十体の銅像だった。薄くて明るい奥部にて、悠然と構えている銅像達。その大きさは人の二倍もあり、遠くから見ても姿はくっきりと見えていた。
「この銅像は一体……」
「なんだかヒーローっぽい見た目ね」
初めて目にする特徴的な銅像に、シリカやリズベットらも圧倒されている。興味深く目を凝らして、銅像を一つ一つ観察していた。
角を持つ赤い戦士、同じく角を持つ金色の戦士、額に龍のマークを持つ赤き騎士、メカニカルな外見の黒と銀色の戦士、スペードが刻まれた青の剣士、全身が紫の鬼のような戦士、カブトムシを思わせる赤の戦士、電車を彷彿とさせる赤き剣士、鎖が至る所に巻かれた赤の戦士、バーコードっぽい外見のマゼンダの戦士。
左が緑で右が黒の綺麗に色が分かれた戦士、頭や胴体に足とそれぞれに色が異なる戦士、宇宙服を彷彿とさせる白い戦士、宝石のような輝きを持つ赤い魔法使い、戦国武将とフルーツを合わせた青とオレンジの鎧武者、タイヤを体に巻きかけた真紅の戦士、黒いパーカーを羽織ったオレンジの戦士、ゲームキャラを思わせるピンクの戦士、左右の複眼に兎と戦車を模した赤と青の戦士、仮面の部分にライダーと文字が描かれた黒の戦士。どの戦士も異なった外観で、見る者にかっこよさと衝撃を与えている。
「二十人とも違う風貌ね……」
「中には個性的な銅像もあるわね」
「どれもモチーフがありそうだけど……」
「一体何者なんだ、この戦士達は……」
リーファ、アスナ、シノン、キリトと次々に戦士達への謎を深めていく。
だがしかし、銀時ら万事屋の面々は早くも戦士の正体に気付いていた。
「おい、新八……もしかして、こいつらはアレか? あの有名な……」
「間違いないですよ……。だって彼ら、平成ライダーですよね?」
共に苦い表情を浮かべて、嫌な予感を察している。彼らが言った通り、これらの銅像は他作品である平成仮面ライダーシリーズの、主人公ライダーと姿が酷似していた。いや、ほぼ本家と似ていると言ってもいいだろう。
パクリやネタでもない本家との邂逅に、彼らも予想外だったようで、あらぬ不安から体を震えさせていた。
そして――瞬く間に本音を発していく。
「おい、新八。どういうことか説明しろよぉ、ゴラァ!!」
「って、なんで僕に当たるんですか!! 僕だって知りませんよ! こうやって本家が構えているなんて、投稿者からも聞いてませんからね!!」
「あぁー、もうなんでこういうことするかな!! 大体俺達、本家の会社から何度も怒られてんだよ!! それなのに突然のコラボとか意味分かんねぇよ!!」
抑え込んでいたメタ発言を交えて、銀時は新八へ真相をねだっていく。当然彼も詳しくは知らず、高いテンションで反論している。二人のみがこの展開に、皆と異なった衝撃を受けていた。
神楽や真選組の面々は至って気にしていないが。
「何をいまさらギャーギャー言ってんだよ。ショッカーやらダークライダーやらと、お前らは戦ってたんだろ? 本家のライダーが出ようが、別に驚かねぇよ」
「そういう問題じゃねぇんだよ! 俺達としてのプライドが絡んでんだよ! 分かってんのか!?」
「そもそもそんなプライド、私達にあったアルか?」
「神楽ちゃん!? 元も子もないこと言わないでって!!」
「何をやってんだ、あいつ等は……」
彼らなりの混乱は続きそうである。特に土方と沖田は、冷静な態度で割り切っていたが。一方でキリトらは、フィリアからとある情報を聞かされていた。
「そういえば、聞いたことがあるかも……」
「フィリアさん? 何か知っているんですか?」
「うん。昔読んだことのある本で、こう書かれていたんだよ。人々の自由を守るため戦った、別世界のヒーローがいるって……」
「別世界のヒーロー?」
「それがこの銅像の正体なの?」
抽象的な情報だが、別世界の存在だと知り、キリト達はより興味深く考察を広げている。戦士の銅像をじっと観察していく中、ユイはふと思い切った行動へと出ていた。
「ん? やっぱりさっきの波動って……」
「ユイ? どこへ行くんだ?」
「ちょっと銅像に近づいてみます! このライダーと書かれている方の!」
彼女だけが感じた波動が気になり、銅像の一体に近づいている。足元付近で見つめたのは、特徴的な紋章であった。
「カメンですか……?」
その紋章はカタカナで「カメン」と刻まれている。彼女は興味本位で、かざしてみることにした。
「――えっ? この光景は……」
するとユイの頭には、銅像の戦士が敵と戦う描写が流れ込む。戦士の名は仮面ライダージオウ。数多のライダーの力を有する、最高最善の魔王だという。
ほんの一瞬の間に、ジオウが辿った戦いを網羅した。
「ジオウ……タイムブレーク?」
「って、ユイ? 何か感じたのか?」
「はい……。この紋章に触れて、仮面ライダージオウさんが戦う光景が見えたんです」
「仮面ライダー……ジオウ?」
「この戦士の名前なの……?」
仲間達から聞かれて、ユイは神妙な表情で自分の身に起きた出来事を伝えた。紋章の仕掛けを知り、皆不思議そうな表情を浮かべている。
彼女からの情報は、銀時らも注目を寄せていく。
「おいおい、本当にライダーの記憶が見えるのか?」
「この遺跡ならではの仕掛けでしょうか?」
「いずれにしても、謎を解く鍵はありそうだな。一旦はみんなで触れてみるか!」
「って、なんでゴリラが仕切っているアルか?」
神楽の辛辣な指摘はさておき、近藤は威勢よく呼びかけを図っている。彼に言われなくても、キリトら一行は独自に動いていたのだが。
「とりあえず俺達も紋章にかざしてみるか」
「遺跡の謎が見つかるかもしれませんからね!」
「ナー!」
興味本位で彼らも、戦士の銅像にあった紋章へと手をかざしていく。すると微かに、戦士達のビジョンが見え始めていた。
「龍騎さん? ん? リュウガとそっくりで……戦っている!?」
シリカが見たのは仮面ライダー龍騎の戦い。リュウガとの決着が付く一場面だった。何よりも、龍騎とリュウガの酷似した姿に驚きを隠せていない。
「エグゼイド……? 会心の一発って……」
リズベットが見たのは仮面ライダーエグゼイドの戦い。決め技で敵怪人にとどめをさす一幕である。トリッキーな彼の攻撃に衝撃を受けている。
「オーズ? って、今の歌は何!?」
リーファが見たのは仮面ライダーオーズの戦い。メダルを使って姿を変えた途端、スキャナーから流れた奇妙な音楽に戸惑っていた。
「ディケイドね……えっ!? 他の戦士を武器に変えるの!?」
シノンが見たのは仮面ライダーディケイドの戦い。他のライダーを武器に変えるカード、「ファイナルアタックライド」を使用する場面である。
「アギト……? 姿も変えられるのね」
アスナが見たのは仮面ライダーアギトの戦い。闇夜の中で姿を自在に変える、フォームチェンジを印象に残している。
「ドライブか……。ん!? タイヤが変わった!?」
キリトが見たのは仮面ライダードライブの戦い。上半身に巻かれたタイヤを変える戦法に、諸々と衝撃を受けていた。
「wね……やっぱりあの時に見た本と同じかも」
そしてフィリアが見たのは仮面ライダーWの戦い。彼女の見た本の通りに、怪物から人々を守る光景を目にしていた。
戦士達……いや平成仮面ライダー達の記憶を知って、増々興味を惹かれていく。
「やはりこの銅像は、平成ライダーと何か関係があるのでしょうか?」
「そうかもな。マッドネバーが遺跡を狙うのも、これが目当てかもしれないな」
その様子を見ていた銀時や新八は、独自に考察を広げている。マッドネバーも絡めた遺跡の正体について、考えを練っていた。
そんな二人とは異なり、神楽や真選組一行も銅像へ行こうとしたが――誰にするか正直悩み続けている。
「ところで誰なんだ……一番モテモテになった平成ライダーは! 恋のコツを是非見てみたいのに……!」
「マヨネーズライダーがいたはずだが……ここにはいないのか?」
「暗殺するライダーを見てみたいですがぁ、ここにはいなさそうですねぇ」
「どこにいるアルか! 噂のドンドコドーンは!!」
どれもその動機は私利私欲が絡み、ツッコミどころも大ありであった。
「いや、どういう基準で選んでいるんだ!? お前らは!?」
「ていうか、まだ行ってなかったのかよ」
「そりゃ、誰なのか分からないアルよ! どれアルか! ドンドコライダー!」
「って、神楽ちゃんはそれが言いたいだけでしょうが!!」
状況に耐えきれなくなった新八が、反射的に激しいツッコミを繰り出す。それでもなお行こうとはしていないが。
銀時らとキリトらで行動に差がある中で、フィリアにも動きがあった。
「ん? これは……?」
彼女は偶然にも、仮面ライダーWの銅像の隅っこにあった輝く物体を発見している。
「綺麗な結晶?」
実際手にするとそれは、煌びやかな七色の光を放つ結晶だった。触れると温かさを感じて、彼女の心も思わず安らいでいく。
「もしかしてこの遺跡の宝なのかな……?」
確証はないものの、次元遺跡に眠る宝の一種だと括っていた。
仲間達にも、発見した結晶のことを伝えようとした――その時である。
「追い付いたぞ、お前達!!」
「ここにいたのね!」
「えっ!? まさか……!?」
奥部の扉付近から、怒りに満ちた大声が響き渡ってきた。仲間達も異変に気付き、思わず目線を変えている。フィリアは反射的に、手にした結晶がバレないように隠していたが。
「やっぱり、ダークライダー……」
「ったく、もう追い付きやがったか」
そう新八や土方らの元に現れたのは、これまでに対峙したダークライダー達である。遺跡内部にいたポセイドンやソーサラーに加えて、空川町で戦ったダークキバやリュウガも合流していた。マッドネバーの刺客が勢ぞろいである。
「って、なんであの二人もいるのよ!?」
「いつの間に遺跡へ来たのよ……」
「いちいちしつこいネ! どこまで私達を追ってくるアルか!!」
しつこく追い回す姿に、リズベット、シノン、神楽の三人もうんざりとした表情で文句をぶつけていく。仲間達も同じく、マッドネバーには鬱陶しさを感じている。
だがしかし、何を言われようとも彼らは引き下がらない。
「うっさいわね! 途中からしゃしゃり出たアンタらには言われたくないわよ!!」
「一応僕らにも使命があるからな……そう簡単には引き下がれないんだよ」
激高して逆ギレしたソーサラーと、淡々と冷静に話すリュウガ。より敵対心を剥き出しにするダークライダー達だが、ダークキバとポセイドンだけは別件にて怒りを燃やしている。
「そうだ! それにな……よくも俺を爆発の餌食に仕立てたな!」
「私にもゲロを浴びせやがって……絶対に許さないわよ!」
「いや、アンタらだけただの八つ当たりじゃないですか!! どこに敵意を向けているんですか!!」
巻き込み被害を受けたポセイドンと、嘔吐物をかけられて恨みを持つダークキバ。両者は別の敵意から、存分に感情を高ぶらせていく。偶然が生んだ事故とも言えなくないが……。
とは言っても、逃げ場のない遺跡奥部で追いつめられた銀時達。一行は少しずつ警戒心を高めて、武器に手を添えていく。戦う準備を整え始めていた。
「マッドネバーが揃いも揃って来やがって……」
「よっぽどこの遺跡に執着しているようだな」
「戦闘態勢だけは整えておきましょう」
銀時、キリト、アスナと神妙な表情となって、今後の立ち回りを見定める。ダークライダーとの衝突は目に見えており、圧倒的な力の対抗策を考えていく。もちろん仲間達も同じだ。
場の雰囲気が切迫していく中、ソーサラーは突拍子もなく疑問を投げかけていく。
「しっかし、アンタ達さぁ。どうして遺跡の奥部へ行けたわけ? アタシ達でさえ、開くことはできなかったのに」
「って、お前らも挑戦していたのか?」
「当然だ。一応侵入も総帥の指示でな。奥部にあるとされる、真の力をこの手で奪うために……! 改めて聞こう、何故お前達は扉を開けたのだ?」
奥部への侵入方法に興味を持ち、詳しく問いかけられると、萎縮気味にユイが答えていた。
「えっと、私が手をかざしたら扉が開いたんです。でも何故開いたのかは分からなくて……」
「何? お前のような子供が……?」
この情報には、流石のダークライダー達も耳を疑っている。予想外だったようで、堪らずにソーサラーとポセイドンが小声であることを交わしていた。
「これは摩訶不思議ね」
「あの小僧に秘密があるとでもいうのか……」
ユイの存在自体を特別視しており、何か秘密があると疑い始めている。
すると今度は、アスナから力に関する質問が掘り起こされていた。
「ねぇ、さっきから言っている力って何のことなの?」
彼女の疑問に、リュウガが威勢よく返答していく。
「フッ、どうやら知らないみたいだな。なら教えてやろう――この次元遺跡には、かつて別の世界で戦った英雄の記憶が宿っているとされる。お前らの後ろにある二十体の銅像こそがその英雄――いや、平成仮面ライダーだ!」
「平成仮面ライダー……」
「読み解いた記憶通りになったわね……」
そう彼が言った通り、遺跡にある銅像は他世界で戦う戦士の記憶が関係していた。キリトやフィリアが読み解いた記憶も、全て別世界の出来事である。
徐々にマッドネバーの目的が浮き彫りになる中、ダークライダーの説明はまだ続く。
「彼らの戦いは次元を通して語り継がれ、いつしか記憶の塊がこの遺跡を作り出した」
「ライダー達の軌跡を残しておくためにね……」
「その存在を知った総帥は、自身の研究を完成させるために、この遺跡に目を付けたのさ」
「アタシ達が使用しているダークライダーシステムも、いわばただの模造品。この遺跡に眠る力を利用できれば、ようやく本物へと成り代われるのよ!」
ポセイドン、ダークキバ、リュウガ、ソーサラーと、惜しげもなく秘密や目的を普及している。次元遺跡が他世界の戦士の記憶から出来た産物で、それを知ったマッドネバーは戦士の記憶を根こそぎ奪い、自身のモノにしようと企んでいた。ダークライダーこと夜兎や辰羅達も、強さを求めるあまりに常軌を逸した行動に出ている。
この数分の間にも、数多の真実が伝えられていた。
「本物の成り代わり……?」
「それがアンタらの目的ってことですかい」
ひたすらに力を求める意志に、フィリアや沖田も内心気を引かしている。どこか危険な思想を垣間見せており、仲間達もより用心深くなっていた。
もちろん遺跡の真相にも驚きを示している。
「でもこの遺跡が、記憶で出来ていたなんて……」
「予想が付かないアルよ……」
リーファや神楽らも、引き気味に事を呟いていた。紋章を通した記憶の干渉が、妙な説得力を彼らに与えている。いずれにしろ、これらの真相には驚かされるばかりだ。
そんな最中で、フィリアにはとある直感が浮かんでいる。
(もしかして、この結晶が力の一端なの……?)
偶然にも手にした七色の結晶こそが、遺跡に眠る力だと察していた。彼女は未だにそれを隠し続けているが。
その事実を知らないダークライダー達は、いよいよ最後の仕上げへと入っていた。
「さて、余興は終わりだ。今すぐその場をどいてもらおうか」
「さっさと私達も力を回収したいからね……今なら手を出さずに、見逃してあげるわよ」
「命が惜しくないならね」
脅迫のような振る舞いで、速やかな撤退を要求している。意地でも遺跡の力を奪おうと企んでいた。
無論この要求には、銀時達も受け入れるつもりはない。
「何が見逃すだよ。どうせ倒すのが、お前らの本音だろ?」
「こんな脅しには一切乗らないよ!」
「そうアル!」
「私もですよ!」
銀時やキリトが真っ先に声を上げると、神楽やユイ達も追尾していく。場にいた誰もが、ダークライダー達に反発心を見せていた。
「そ、そうだよ……絶対に屈したりなんかしないから!」
不安を覚えていたフィリアも、仲間達につられて声を発する。覚悟を決めた表情で、頑な意志を見せていた。
だがこの展開は、ダークライダーにとっては想定の範囲内ではある。
「やはり素直には受け入れないか……」
「だったら力づくでも……」
と即座に襲い掛かろうとした時だった。
「フッ、その辺にしておけ」
突如として聞こえてきたのは、大人な男性の声。すると扉付近から足音が聞こえてきて、こちらへゆっくりと近づいてきていた。
「おや、この声は……」
「とうとう来たわね。私達の総帥が」
ダークライダー達はすぐに状況を飲み込み、自分達の総帥だと把握している。敵側の中心人物まで現れて、銀時らもその正体を密かに気にしていた。
「総帥? マッドネバーの……?」
「いよいよ親玉のお出ましかよ……」
より強い警戒心が彼らの辺り一面へ広がる。同時に扉付近にも注目を寄せていると、総帥の姿がひっそりと明らかとなっていた。
「この僕の計画を邪魔するとは、とんだ度胸の持ち主だ。その心、跡形もなくへし折ってやろうぞ……!」
物騒な言葉と同時に、表舞台へと姿を見せた総帥。その正体に、何故かキリトとアスナだけが予想外の衝撃を受けている。
「な、何!?」
「ア、 アナタは……!?」
共に目を大きく見開いており、開いた口もまったく塞がらない。それもそのはず。目の前にいる総帥は――オベイロンと瓜二つだったからだ。
「紹介しよう。僕こそがマッドネバーの総帥……オベイロンだ!!」
二人の反応など気にすることなく、息まいて自己紹介を交わしていく。顔を一直線に向けながら、その表情は相手を見下している。
装飾品や服装、鋭い目つき。何もかが須郷信之ことオベイロンに酷似しており、キリト、アスナ、ユイにとっては思い出したくもない相手だろう。
無論冷静でいられるはずがなく、落ち着いている仲間達に反して、二人は怒りの感情を高ぶらせていく。
「オベイロン……!!」
「なんでお前がここにいるんだ!!」
「って、キリにアッスー!? どうしたネ!?」
「急に怒り出して、アイツのことを知っているのか?」
敵意や憎しみを向けた途端、近くにいた銀時や神楽も思わず驚いてしまう。彼らへ詳しく聞いてみると、即座に訳を話してくれた。
「あぁ、もちろん。前にも銀さん達に言った、因縁の相手だよ……」
「あの姿を見るだけで思い出したくないのよ……今すぐ叩き潰して上げたいわ!」
「そんなに恨みがあるんですか……?」
あまりの態度の違いに、新八ら万事屋もよっぽどのことだと括っている。
彼らの言う通り、キリトらが知るオベイロンは外道極まりない男だ。心理的な仕打ちや妨害を受け続けたからこそ、永久に許されざる相手だと認識している。
仲間達もその気持ちには同情をしていた。
「まぁ、あんなことされたらね」
「絶対に許しがたい相手だと思うし」
「えっ、そうなのか? 一体二人に何があったんだよ!?」
「おい、近藤さん。少しは空気を読め。問いかける方が邪推だろうが」
「詳しくはSAOの本編を見てくだせぇよ」
シノンやリーファらが想うことを呟くと、実は気にしていた近藤が無粋にも問い直していく。流石にデリケートなためか、土方や沖田からは注意が加えられていたが。
そんな一幕はさておき、怒りを滲ませるキリトら二人に、ここでシリカやユイが説得を加えてきた。
「でも待ってください! もしかしたら姿が似ているだけで、別人かもしれませんよ!」
「そうですよ! チサさんの時と同じかもしれません! だから落ち着いてください!」
この世界ではよくある別人説を促すと、本人からは早くも答え合わせが返ってくる。
「何を騒いでいる? 僕とも会ってないくせに、個人的な恨みがあるのか? 少しばかり勘違いしていないか?」
趣旨を理解していない反応から、別人であると証明された。どうやら二人の早とちりで済んだようである。
「ほら、やっぱり勘違いですよ!」
「きっと私達が知っているオベイロンじゃないんですよ!」
「そ、そう言われると……」
「確かにそうね。あの人はまだ捕まっているはずだし……」
仲間達の説得と重なり、ようやく二人は冷静さを取り戻した。須郷の現状も思い出して、別人説を素直に受け入れていく。
一方のオベイロンには、ポセイドンらが小声で補足を加えていた。
「総帥。奴らはもしや、サイコギルドの言っていた別世界の実験体ではないのか?」
「アナタに似た人物と勘違いしているかもよ。一応ALO星の住人と同じ姿をしているし」
「なるほどな。大体理解は出来た」
サイコギルドとの邂逅で得た情報を頼りに、キリト達の存在を再認識している。別世界のALO関連人物と知り、興味を沸かしていた。
ちなみにマッドネバーとサイコギルドとの繋がりは、銀時達には知らされていない。この会話も小声のせいか、彼らには聞き取られていなかった。
と互いに一息ついたところで、ようやく質問が飛び交っていく。
「とにかく! 要するにアンタがマッドネバーの黒幕なの?」
「この遺跡の力を狙ってるんですか!?」
「ナー!?」
リズベットやシリカらが根気よく問うと、彼が鼻の付いた雰囲気で返答している。
「フッ、貴様らの言った通りだ。僕は研究のため……いやALO星を正すために力を求めているんだよ」
「正すって、一体何をするんだよ……」
「簡単さ。クーデターを起こして、僕の思う通りに星を変えるのさ!」
さも当然のように発せられたマッドネバーおよびオベイロンの真の目的。それは単純にも過激的な思想であった。
当人の悪びれない姿勢からも、言いしれない恐怖を引き立たせている。銀時やキリト達も、これには耳を疑って驚嘆としていた。
「それって……ただの反逆行為じゃない!?」
「あの噂は本当のことだったのか……」
リーファのように驚きを隠せない者や、沖田のように険しい表情を浮かべるなど、反応も多様に異なっていく。特に後者はクーデターの噂を聞いており、それが事実として一層に驚かされていた。
衝撃のカミングアウトに場が騒然とする中、フィリアはこの計画に一段と怒りを覚えている。
「なんで……なんでそんなことするのよ!! どういう理由か分からないけど、ALO星はとっても良いところだよ! 治安も良くて人も優しいのに……どうしてそんな過激なこと考えるのさ!!」
堪らずに感情的となり、強い想いをぶつけていく。純粋にALO星へ思い入れがあるからこそ、オベイロンの過激的な思想が理解できない。
訴えかけながら問いかけ直すと、彼は即座に言い返してくる。
「フッ、お子様や凡人には分からないのだよ。この僕の崇高な考えが」
「はぁ? テロリストもどきが一体何を言ってんだよ?」
「黙っていろ。僕はこれまでに数多の実績を上げてきたのだ!」
途中で土方から文句が飛ぼうとも、叱責して話を無理やり続けていく。
「周りからはエリートと評され、王国の研究員として何度も採用に挑戦した。だが何度もやっても、僕の研究は認められなかった……そこで確信したのだ。間違っているのは僕じゃなくて、認めない国なのだと! だからこそ僕は、自らの手で見返すのだ。認めない国とその王女にな!!」
これまでの背景を手短に話しつつ、強烈なる怒りを交えたクーデターまでの経緯。その動機だが、意外にもあっさりしていた。身勝手とも言える彼の言い分には、当然だが仲間達も納得していない。
「って、要するに逆恨みじゃないの!!」
「自分のことを棚に上げて、責任転嫁するなんて何様のつもり!?」
「どこまで傲慢なんですか!!」
「おい、ゴミクズ野郎! いい加減にしろアル!!」
リズベット、シノン、シリカ、神楽と次々に責め立てている。あまりの自分勝手さに呆れており、好き放題文句を言いまくっていた。
女子達に続いて、真選組も同じである。
「やーい、ひねくれバカ妖精―。ってそこのV字ヘアーとゴリラが言ってやしたよ」
「いや、何お前俺達のせいにしてんだよ!!」
「お前こそ責任転嫁しているじゃないか!!」
ところがただ挑発を交わすだけだった。沖田は早速近藤や土方に責任を擦り付けており、彼らからツッコミを入れられている。相変わらずの場違いなやり取りであった。
とそれはさておき、もちろん万事屋もオベイロンには反発心を抱いている。
「あの野郎……いちいちムカつくヤツだな」
「そうだな……俺達の知っているオベイロンとは違うが、危険人物なのは明らかだな」
銀時、キリト共に気に食わない表情を浮かべていた。特に後者は自分が知るオベイロンの姿と重なり合い、複雑そうな心境へ陥っている。
「あんな人に力を渡すわけにはいかないわ! そうだよね、フィリアちゃん!」
「う、うん。そうだね」
アスナも近くにいたフィリアへ共感を持ち掛けていく。彼女も内心では、心強い仲間達に安心感を持っていた。
またオベイロン本人は、文句を言われても何一つ自分の考えを疑ったりはしない。
「所詮何を言おうが、負け犬の遠吠えにすぎん。僕には既に疑似的なダークライダーシステムもあるんだからな」
「そうだな。別に俺達は力さえ手に入れば、国や星がどうなろうがどうでもいいが……」
「面白いから手を貸してるだけだからね。今度はこいつらを、もっと痛ぶっちゃおうか!」
ダークライダー達も、彼に追随して計画に加担している。一貫して彼らはクーデターに興味がなく、力さえ手に入ればどうでもいいそうだ。
もはや衝突は免れず、両者は慎重に戦闘準備を整えていく。銀時やキリトらはマッドネバーを遺跡へ退けるため、オベイロンらは平成仮面ライダーの力を手に入れるため。真っ向からその目的がぶつかり合っている。
いつ戦闘が始まってもおかしくはない中で、オベイロンはある秘策を披露してきた。
「ならば僕も参戦しよう。先ほど作り出した、この力でな!」
そう言うと彼は、懐から黒くて円状のアイテムを取り出してくる。
「な、何!?」
「あのアイテムって……」
「まさかアナタもあのダークライダーに!?」
これには一瞬にして、仲間内にも動揺が広がっていた。他のダークライダーと同じくして、変身すると予測していたが……どうやら少しばかり趣旨が違うらしい。
「いいや、違う。僕はダークライダーすらも越える、アナザーライダーとなるのだ!!」
〈エターナル!!〉
強く言い返した後に、彼はアイテムに付属されたボタンを押していた。おぞましい声が鳴り響くと、
「さぁ、滾れ!! 永遠の力を持つ戦士よ……!! ハハハ……アハハハハハ!!」
奇声と共にアイテム――アナザーエターナルウォッチを肩へとかざしていく。するとウォッチからは黒いオーラが何重にも溢れだして、彼の全身を包み込んでしまった。
「アイツは……」
「オベイロンの姿が変わった!?」
キリトらが戸惑いを続けている中で、ようやく黒いオーラが振り切られて、その全貌が明らかとなる。
オベイロンが変貌した姿は、元よりも禍々しく変わっていた。濁った白色の体色に、背中には黒くてボロボロのマントが羽織られている。表面はゴツゴツと突起物に覆われて、顔も怪物のような恐ろしい仮面と化していた。腕や足には緑色の炎のような模様があしらわれている。左足には「2009」、右足にが「2025」と羅列した数字が刻まれていた。
彼が変身したのは……元の歴史より存在しないアナザーエターナルである。
「ダークライダーじゃないの……?」
「なんだ、あの姿は……?」
「まるで怪物じゃない……」
改めて感じたその歪な姿には、リーファ、近藤、シノンと仲間達もただならぬ警戒心を抱いていく。皆に共通しているのは、言いようもない恐ろしさである。
さらなる衝撃が場を駆け巡る一方で、変身したオベイロンは意気揚々と名乗りを上げていた。
「紹介しよう。僕が開発した最高傑作を……その名もアナザーエターナル!!」
「アナザーエターナル……?」
「フッ。かつて別世界で永遠を懸けて戦ったとあるライダーの力を模したものだ。まずはその一端をお見せしよう!!」
自信あり気に紹介した後、彼は真っ先に一部の力を開放してくる。
「ハァァァ!!」
覇気に満ちた叫び声を放って、全身を金色のオーラで溢れさせていく。両腕を力強く振るうと、そのオーラを遺跡全体に広げさせている。
「おいおい、なんだよこれは」
「一体何が起きて……」
オーラは次第に消滅したものの、これと言って銀時達や真選組、ユイには影響が無かった。
ところが問題が起きていたのは、キリトやフィリアらと言った妖精と関係のある仲間達である。
「うわぁぁ!!?」
「キ、キリト!?」
「くっ……な、なんで!?」
「アッスー!?」
「ど、どうしたんですかパパ、ママ!? それに皆さんも!?」
なんと彼らのみが、突然苦しみだしてその場に崩れ落ちてしまった。七人は悶えた表情となり、自分の身に起きた苦しみを訴えかけている。
「く、苦しい……」
「急に痛みが……」
「ど、どうしたんだ!?」
「なんでこいつらだけ……」
訳が分からないまま戸惑いを続けている彼らに、アナザーエターナルは自慢げに種明かしを口にしていく。
「フッ、流石はエターナルの力だな。こいつには、能力を封じ込める効果があるんだ。僕はそれを改良して、同族の特殊能力を封じたのだよ。飛行能力と魔法能力をな!」
「何だと……」
そうこの力は、元となった仮面ライダーエターナルが関係している。彼が使用するエターナルメモリは、同じアイテムの効果を無力化してしまう。オベイロンはこの特性を改良して、同族の能力を無効にする技を生み出したのだ。別世界から来たキリト達も影響を受けてしまい、苦しみながら飛行能力を封じられている。
早くも彼らの罠にまんまとはめられてしまった。
「は、羽が開かなくなっている……!?」
「私達もよ!」
「苦しんでた理由がこれかよ……」
リーファやシノンら仲間達もこの事実に気が付き、驚きを隠せずにはいられない。特にフィリアは本来使用できるはずの魔法さえも封じられて、大幅な弱体化を受けてしまった。
「魔法まで……なんて力なの!」
エターナルの能力で苦しみ続ける彼らの姿に、アナザーエターナルは余計にも調子に乗って、愉悦感に浸っている。
「まさか別世界の同族にまで効くとは思ってなかったがな……まぁ、いい。これ以上抵抗するなら容赦はしないぞ」
改めて脅迫じみた一言を呟くと、彼らへけん制を図っていく。
だがしかし、能力を無力化されてもなおキリト達の意思は変わらない。しぶとくも立ち上がって、即座に戦闘態勢を整え直していく。
「それはこっちの台詞よ……」
「お前の好きにはさせるかよ……」
「お、おい? 平気なのか?」
「だ、大丈夫だ。羽が使えなくなったところで、特に支障はないよ!」
「このまま戦うわよ、みんな!」
キリトやアスナが威勢よく声掛けをすると、仲間達も次々に頷いて同調している。このまま負けるわけにもいかず、全身全霊を懸けてマッドネバーに立ち向かうことを誓っていた。
これには万事屋や真選組も空気を読んで、同じく気持ちを一つにしている。
「仕方ねぇな。ここはいっちょやってやるか。テメェらもあいつらのこと、守ってやれよ」
「言われなくてもな。ガキだけが参加していい戦いじゃねぇだろ。だから心配しねぇで戦いやがれ」
「あたぼーよ!」
銀時や土方の何気ない会話から、その意思を確かめ合う。一人の大人として、真選組としても守り抜くことに変わりはなかった。
もちろんフィリアも同じ想いである。
(絶対に守るんだから……!)
未だにバレていない結晶を握りしめて、守り切ると心に決めていた。
数多の想いが遺跡奥部に渦巻いていき、手狭なエリアを戦場へと染め上げていく。互いの敵意が剥き出しになったところで――いよいよ戦いの火蓋が切って落とされた。
「さぁ、行け!!」
アナザーエターナルの指示の元、突進していくダークライダー達。
「新八! ユイとフィリアを頼むぞ!」
「は、はい!」
「みんな! こっちも全力で行くぞ!」
「うん!」
「OK!」
ユイとフィリアを新八が安全地帯まで誘導して、心置きなく覚悟を決めた銀時やキリト達一行。
「はぁぁぁぁ!!」
勇猛果敢にも彼らは、未知なる強敵に再び立ち向かっていく。
独善的な正義を押し付ける悪しき使者と、大切な記憶を守るために抗い続ける侍と妖精。それぞれの想いがぶつかり、この戦いに待つものとは果たして……
遂に一行の前へ姿を現した銀魂世界のオベイロン! 姿が同じとはいえ、キリトやアスナにとっては許しがたい相手でしょう。
彼はALO星そのものを支配するために、次元遺跡に眠る平成仮面ライダー達の力を狙っているそうです。底知れぬ野心だけは、本家と同等かもしれませんね……。
本当は色々と彼の身に起きた背景とかを考えていたのですが、結局は自己中で傲慢な性格が性に合っていたので、犯行動機はシンプルにしました。強いて言うなら、挫折したことがない人生を送り、初めて壁にぶつかったことで意固地になり、狂気的な思想に行き着いた感じです。
そんな彼もダークライダー――ではなく、アナザーライダーへと変身してしまいました。その名はアナザーエターナル。ジオウ本編にも出てきていないオリジナルのアナザーライダーです。
ここだけの話ですが、実は本作の黒幕に仮面ライダーエターナルである大道克己を他世界からの刺客として構想を練っていました。しかし実際の彼が、外道極まりないオベイロンと共闘するはずが無いと括って、結果オベイロンをアナザーライダー化することで、本来の計画とは違う方向性になりました。
とは言っても、オベイロンと大道克己だと悪役キャラとして器そのものが違うので、彼がエターナルのアナザーになることはある種皮肉が込められていると思います。
そしていまさらですが、遺跡の正体はやっぱり平成仮面ライダー達でした! 今後どのような役割を果たすのか……是非注目してください! とは言ってもあくまで主役は銀さんやキリト達なので、そこはご安心ください。
ちなみにゼロワンとセイバーは、令和ライダーとしてカウントされるので、今回の登場予定はありません。
さらに今日は銀魂が連載を開始した日です! 劇場版の情報も出てきて、ラストまでに増々盛り上がってきました! 絶対初日に見に行きたい……!
さてあとがきが長くなってしまいましたが、次元遺跡篇も後わずかです! ダークライダーとの勝負は如何に……
次回予告
アナザーエターナル「僕の開発したガイアメモリを見ろ!!」
リュウガ「龍使いとしては最悪だな!」
ダークキバ「アナタ、戦いを遊びと勘違いしているんじゃないの?」
ソーサラー「アナタ達じゃ勝てないわよ!」
ポセイドン「これで終わりだ!」
圧倒的な力を持つマッドネバー……彼らは果たして勝てるのか?
次元遺跡篇七 敗れる努力