剣魂    作:トライアル

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 ようやく完成……色々と忙しくて今年最後まで伸びてしまいました。しかも内容的にはバットタイミングのような気も……まぁいいか。とりあえずご覧ください。




第七十一訓 敗れる努力

 次元遺跡内部にて、いよいよマッドネバーと激突する銀時やキリト達。その総帥であるオベイロンは、独自に作り上げたアイテムでアナザーエターナルへと変身してしまう。

 理不尽なハンデに惑わされながら、彼らは懸命に戦いへ赴いていた……。

 

 

 

 

 

 

 

「「ハァァ!!」」

〈guard bent!〉

「フッ!!」

 大きく飛躍して攻撃するシリカとリズベットに、リュウガは黒き盾を召喚して応戦する。彼女達は近藤やピナと共に、この漆黒の龍使いへ戦いを挑んでいた。女子共々真剣な表情で彼を抑え込む一方、シリカにはとある想いが生まれている。

「アナタのような乱暴なドラゴン使いに、アタシ達は負けませんから!!」

「ほぉー。ガキのくせに威勢がいいな。その根性だけは評価してやるよ!」

 同じ龍使いとして納得がいかず、並々ならぬ対抗心を燃やしていた。彼女の強い想いを察しても、リュウガの心には何も動じていないが。

 盾やダガー、メイスがぶつかり合い、膠着状態が続いていた時である。

「そこだぁぁ!!」

「ナー!!」

 四方から隙を伺っていた近藤とピナが、リュウガの背後に這い寄り、奇襲を仕掛けてきた。このまま追い打ちを加えようとしたが、

「かかったな」

彼にはお見通しである。こっそりとカードを引き抜き、腕の召喚機に装填した。

〈adbent!〉

「ナ!? ナァァァ!?」

「ウワァ!?」

「えっ、ピナ!? 近藤さん!?」

 すると近藤らの真横から、召喚獣であるドラグブラッカーが出現。避ける間もなくピナに衝突して、体を口で咥えられてしまう。当然近藤も巻き込まれて尻尾で体当たりされると、そのまま地面に叩きつけられていた。

「くっ……なんてヤツだ」

 手痛いダメージを負い、体を怯ませている。

 場の情勢は一変して、一気にリュウガ側へと傾いてしまった。

「アイツ……なんて卑劣なことを!」

「羽さえ動かせれば……こうなったら!!」

「って、シリカ!? ちょっと待ちなさいって!!」

 一方的に攻撃されているピナを救うべく、シリカは思い付きで場から駆け出してしまう。飛行能力を封じられても、相棒を助けたい気持ちで一杯になっている。リズベットの静止を振り切り、自身の想いを優先していた。

「グラァァ!!」

「ナ……」

(絶対に助けるから、ピナ!!)

 彼の苦しむ姿を見るたび、走る足も速くなっていく。タイミングを見計らった後、シリカは大きく飛び上がって手を伸ばしてきた。必死にピナを掴もうとした時である。

「そういう優しさが甘いんだよ!!」

〈strike bent!〉

 リュウガは待っていましたと言わんばかりに、急遽攻撃姿勢に舵を切った。右腕に龍の顔を模したグローブをはめて、飛び上がったシリカの方角に狙いを定めている。

「シリカ!! 避けて!! 今すぐ!!」

 彼の目的に気付いたリズベットは、シリカに向かい警告を促すも――時すでに遅い。

「くらえ! ドラグクローファイヤー!!」

「バッシュ! ドラァァァ!!」

 技名を言い放ち、グローブからは濁った青い炎を発射していく。すかさずドラグブラッカーも、咥えていたピナを吐き出して青い炎を放出してきた。

「ナァァァ!!」

「嘘!? ……ウワァァァ!!」

「シリカ!!」

「何……!?」

 彼らの連携技にシリカやピナも予測出来ず、彼女はピナを受け止めて、両方向から放たれた青い炎に巻き込まれてしまう。悲痛な叫び声が響き渡り、リズベットや近藤も心配そうに行方を追っている。

 その顛末は最悪の展開を迎えていた。

「ケホ……」

「ナ……」

 炎が消滅したと共に、大きなダメージを負ったシリカとピナが垂直に落下していく。仲間達が急いで彼女の元に駆け寄り、そっと全身を保護した。

「って、しっかりして!! 大丈夫なの!?」

「ウゥゥ……」

「とりあえず気を失っているだけだな……」

 近場で様子を見定めて、シリカらの無事を確認している。丸焦げにはされなかったが、それでも計り知れないくらいダメージは大きい。不安な気持ちが高まり、微妙な心境に苛まれていた。

 一方で奇襲が成功したリュウガは、何食わぬ態度で声を上げてくる。

「結局はハッタリだったな。この女の覚悟も生半可で緩すぎる。このまま消し炭となれば都合が良かったが」

 無情にも手酷い一言を発して、あっさりとシリカやピナをけなしてきた。挑発とも捉えられる彼の言葉に、リズベットはつい真に受けてしまう。

「何ですって……」

「ん? 文句でもあるのか?」

「大ありよ……アンタみたいな卑怯者に、言う資格は無いのよ!!」

「リ、リズ君!?」

 密かに溜まっていた我慢や怒りが爆発して、彼女は怒りの感情のままリュウガへと襲い掛かる。手にしたメイスを強く握りしめて、ひたすらに接近攻撃を繰り出していく。

 対するリュウガはグローブをはめたまま、リズベットの猛攻に対処している。戦闘の最中でも二人の会話は続く。

「僕は正しいことを言っただけだ。所詮はこの程度の力。当然お前も同じだ!」

「黙りなさい!! アタシ達だって、強くなっているはずなのに……!!」

 依然として続く挑発に、彼女は無意識に乗せられてしまう。リュウガにとっては増々都合が良い戦況に変わっていた。

「落ち着け、リズ君! 闇雲に戦っても勝ち目はないぞ! ここは一旦落ち着き――」

「うっさい! あんだけ馬鹿にされて、黙っているわけにもいかないのよ! あのベルトさえ破壊すれば、こっちにだって勝機が……!」

 近藤が駆け寄って説得するも、リズベットの怒りは収まらない。彼の言う通り闇雲に戦い、リュウガのベルトへ狙いを定めている。少しでも戦況を傾かせたいが……そう簡単には上手くいかない。

「仕方ない……さっさと仕留めろ!」

「グワァァ―ン!」

 鬱陶しく感じ始めたリュウガは、手っ取り早く決着を付けようとした。ドラグブラッカーに指示を加えて、彼は先ほどとは違う炎をリズベットへ向かい吐き出していく。

「キャ!?」

「リズ君!?」

 炎は何事もなく彼女の足元に被弾して、瞬く間に異変を生じさせた。

「……ん!? 嘘でしょ……動かない!?」

 なんと炎は粘土のように分厚く固まり、リズベットの足元を固定させてしまう。思うように動かなくなり、次第に焦りが生まれている。

 勢いがなくなると、リュウガは予定通りとどめの構えに入った。

「これでとどめだ。今度は命ごと葬り去る!」

〈final bent!〉

 力強くカードを召喚機に装填すると、両足を大きく開いて、左腕を腹部にかざし、右腕を天高く上げている。そう彼は、最強の必殺技で彼女を葬り去ろうとしていた。

「グラァァ!!」

 リュウガの後ろ側にドラグブラッカーが周り込み、次第に彼も体を浮遊させていく。そのまま蹴りの姿勢に変わり、ドラグブラッカーから放たれた火炎を体にまとう。

「くらえ!! ドラゴンライダーキック!!」

 技名を叫ぶと、速度を上げて降下していく。動きを封じられている隙に繰り出す必殺技、ドラゴンライダーキックをリズベットにお見舞いしようとしていた。

 当の本人は、この光景を目の前にして言い知れぬ恐怖に心が支配されてしまう。

(まずい……このままだとやられる! どうにかして抜け出さないと!!)

 僅かな希望を懸けて体を必死に動かすが、一向に炎はびくともしない。絶体絶命の状況に、彼女はどうすることも出来なくなり、思わず盾を手前に出していた。

(もう駄目なの……)

 もはや耐えることを祈るしかなく、表情もより険しく変わっている。仕舞いには目の前の現実から背けようと絶望した時であった。

「させるかぁぁ!!」

「……えっ? 近藤さん!?」

 咄嗟に近藤が間に割り込み、刀を用いてリュウガの必殺技を力づくで受け止める。

「はぁぁぁ!!」

「たぁぁあ!!」

 リズベットを守るために、彼は身を挺して無茶をしていた。勢いに押されながら、必殺技の威力を軽減しようとしている。数秒の間力一杯に堪えていたが――

「はぁぁ!!」

「ぐはぁぁぁ!!」

「ギャャ!!」

残念ながらリュウガに押し切られてしまう。威力は抑え込んだが、強力な必殺技を共に食らってしまった。その衝撃波から遠くに吹き飛ばされた二人は、体力や気力が尽きてしまい、そのまま場に倒れ込んでいる。

 ボロボロになりながらも、リズベットは近藤にあることを聞いてきた。

「こ、近藤さん……なんで無茶をしてまで庇って……」

「決まってんだろ……俺は市民の味方だからな……絶対に守るんだよ」

「何かっこつけてんのよ――」

 命懸けで守ってくれた理由を知ると、彼女は力尽きて気絶してしまう。同じくして近藤も、意識が無くなり動かなくなっていた。

 シリカやピナも含めて、肉体的かつ精神的なダメージを彼らは負っている。それを全て一人で成し遂げたリュウガは、愉悦感に浸っていた。

「……言いざまだな。何をやっても、僕には適わないってことさ」

 捨て台詞を吐きつつ、彼は次なる対戦相手を探していく。

 

 

 

 

 

 

 

「フッ! ハッ!」

「セイ!」

「そこだ!!」

 一方でこちらは、ダークキバに戦いを挑む沖田とリーファ。共に刀や剣を使いこなして、接近戦を中心に戦闘を展開している。対するダークキバは、終始素手のまま二人の剣士と張り合っていた。

「あぁ、もう! どっちもすばしっこい奴らね!」

 一時後ろへと引き下がり、彼女はマントをなびかせていく。思うように攻撃が当たらず、ついもどかしさを感じていた。

 一方の沖田とリーファも、一歩後ろに下がって態勢を整え直している。

「……アンタに手を貸すのは尺だけど、今はアイツを倒すことに集中しましょう!」

「こっちもでさぁ。あのコウモリをどうにかすれば、こっちにも追い風が吹くはずでい!」

 あくまでも一時的な協力を誓うと、二人は勢いよく走り出し、ダークキバのベルトにぶら下がるキバットバットⅡ世を狙っていた。あわゆくばこのまま打ち倒そうとした時である。

「……させないわ! セイ!」

 一足先に歯向かってきた沖田に、ダークキバは回し蹴りで応戦していく。

「何!? クッ……!」

「沖田さん!?」

 その威力に吹き飛ばされてしまい、彼は強制的に怯まされてしまう。場から沖田がいなくなると、ダークキバはリーファに対して核心を突く一言を投げかけていく。

「フフ、そういえばアンタさ。戦いを遊びと勘違いしているんじゃないの?」

「遊び……? そんなことないわよ! 私だってみんなを守るために――!」

「見た感じ、命を懸けて戦っていなさそうなのよね。隙が多くて、まるで素人みたいね!」

 ほんの数秒の間に彼女の戦い方を見透かしており、思わず揺さぶりをかけている。

この一言に本人は真に受けて、心に迷いを宿してしまう。

(素人なんかじゃない……少しずつだけど、強くなってるはずなのに!)

 これまでの経験を振り返りつつ、自信を保とうとしたが、妙な胸騒ぎが冷静な判断を失わせている。思った通りの反応に、ダークキバも内心では嘲笑っていた。

「あらあら、悩んじゃって。でも私にとっては、好都合だけどね!!」

 即座に彼女は全身を覆うほどの紋章を作り出し、またも相手を拘束する結界を用いて戦いを有利に進めようとしている。

「さぁ、食らいなさい!!」

「えっ――キャ!?」

 一瞬の隙を狙い、結界へと閉じ込めようとしたが――

「ファ!!」

間一髪のところで沖田が割り込み、両者共に上手く避けていた。結界も対象を見失い、そのまま消滅してしまう。

「チッ、失敗ね」

 思う通りにいかず、ダークキバは舌打ち交じりに小言を口にする。

 一方の沖田はリーファを助けた後、彼女の様子をさり気なく伺っていた。

「おい、大丈夫かよ。ブラコン」

「お、沖田さん……?」

「お前、無茶だけはするなよ」

 そうぶっきらぼうに言うと、沖田は刀を握り直して、再びダークキバに立ち向かっていく。

「ハァァ!!」

「しぶとい男だねぇ! どこまで渡り合えるかしら!!」

 攻撃を真っ先に受け止めながら、彼女も戦闘態勢を整えていた。次々と沖田が斬りかかるものの、ダークキバは受け止めて奇襲する隙を伺う。状況を鑑みて、彼もまた相手からの攻撃を予測していた。

 一騎打ちとも言えるこの二人の戦いに、リーファはあることを念頭に起き、またもよどんだ気持ちを整理している。

(アレが命懸けの戦い……やっぱり私の戦い方とは違う。沖田さんと私で、一体何が足りないのよ)

 改めて彼女は、命懸けの戦いについて思い知らされていた。普段は見ることがない沖田の真剣な表情と鍛え上げた剣筋が、妙な説得力を与えている。先ほどの身を挺して守ってくれた姿からも、普段の彼とは違う何かを悟っていたのだ。

 次第に言葉には出来ない悔しさを痛感していく。数か月とはいえ、自分自身でも実力は高めてきたはずだ。それなのに、いざという時には発揮できない。そんな内なる自分の弱さに、打ちひしがれてしまう。表情も徐々に薄暗く変わっていた。

(足りないもの――ひょっとして!?)

 そう考え込んでいるうちに、ふとある考えが浮かんでいる。恐れから得た自分の足りないものに、リーファは内心納得していた。新たなる道を開き、心も冷静さを取り戻していく。

 一方でダークキバと相対している沖田は、徐々に息が荒くなり、相手と張り合うのも限界を感じていた。

「……やっぱり一人だと物足りねぇか」

 苦しそうな表情で似合わない弱音を呟く。そんな彼の様子を目の当たりにして、ダークキバは余裕そうに付け上がっている。

「フフ、闇の力を思い知ったかしら。それじゃ、アナタに地獄を見せてあげるわね!」

「ウェイクアップ! ワン!!」

 好機と捉えた彼女は、ベルトにぶら下がるキバットバットⅡ世へ、ウェイクアップフェッスルを吹かせていく。一度対峙した時とは異なる必殺技で、決定的なダメージを与えようとしている。

 全身の魔皇力を腕に集中させて繰り出すパンチ技、ダークネスヘルクラッシュを発動させた。

「って、させるか!!」

 一早く必殺技に気が付くと、沖田は一心不乱に走り出して、妨害を加えようとしている。だがしかし、

「ハァ!」

「何!?」

彼女は大きく飛び上がって上空に逃げ出してしまう。このまま降下して技を繰り出すのかと思いきや……沖田はある違いに勘付いていた。

「……まさか!? おい、リーファ!! 今すぐ逃げろ!! それか防御を固めろ!!」

「えっ……?」

 そうダークキバの狙いは――リーファである。彼を狙うような素振りを見せて、本心では自分より格下の相手に技を放とうとしていた。

 彼からの注意でリーファも気が付くと、咄嗟に防御姿勢を構えるが……

「ダークネスヘルクラッシュ!!」 

「……ウワァァァァ!!」

当然耐えきることは出来ず、強大な威力の拳を受けてしまう。彼女の悲痛なる叫び声と共に、拳の衝撃波から大きく吹き飛ばされて、そのまま近くの壁に叩きつけられた。

「リーファ!!」

 心配そうに沖田が声をかけるも、彼女の返事は聞こえない。ふらふらとした足取りのまま、ゆっくりと前方から現れた。

「沖田……さん」

 微かに彼を呼ぶ声を呟いた後、リーファは目を閉じて気絶してしまう。またもダークライダーの強大な力の前に、仲間が一人敗れていた。

「てめぇ……! ハァァ!!」

「フッ、敵討ちかい。面白くなってきたじゃないかい!!」

「黙れ!!」

 卑劣にも隙を突いたダークキバの戦い方に、沖田は怒りを覚えて、次々と刀を振りかざしていく。激しく攻める中でも軸は見失わず、常に相手の出方を予見して戦いを進めている。

 必死に彼女を守ろうとする沖田だが、肝心の本人にはその姿が見えていない……。

 

 

 

 

 

 

 

「ハァァァ!!」

「ホワチャー!!」

 自慢のコンビネーションで、連携攻撃を次々と決めるアスナと神楽。繊細なレイピア裁きと、剛力を込めた格闘術で相手にダメージを与えていく。

 彼女達と相対するのは、海洋生物の力を操るダークライダー、ポセイドンである。

「ハァ!?」

 彼も素早い身のこなしで対抗するも、二人の連携を前にして悪戦苦闘していた。両者の戦闘スタイルを掴めずに、戦いの主導権を奪うことすらままならない。

「今よ、神楽ちゃん!」

「オッケーネ、アッスー!」

 その間にも二人の猛追は止まらなかった。相手の怯んだ隙に、二人はポセイドンのベルトに焦点を当てている。こちらも変身を解除させて、相手の戦力を削ぐことを考えていた。

 今度こそダークライダーには一矢報いたいところであるが……

「「ハァァ!!」」

「させるか!」

「何!?」

「えっ!?」

 やはりそう簡単にはいかない。彼は隠し持っていたメダルの能力、瞬間移動を使用して危機を脱していた。何が起きたのか分からず、二人が戸惑いを浮かべる時である。

「これでもくらえ!!」

 ポセイドンは二人の後ろ側に回り、水の波動を蓄えたエネルギー波を解き放ってきた。

「な、グファ!!」

「神楽ちゃん!? うわぁ!?」

 不意打ちとも言える戦法に、神楽らはまんまと攻撃を受けてしまう。エネルギー波の衝撃で体を吹き飛ばされてしまった。

「フッ、まぁまぁの強さだな。だがそれだけだ。お前らに俺を倒すことは出来ないだろうな」

 自身の優勢を勝ち得ると、ポセイドンは余裕をこいた一言を投げかけている。彼はひたすらに強さを追い求めており、強い相手であれば特にこだわりは無かった。

 一方で攻撃を受けた神楽とアスナは、ゆっくりと立ち上がり態勢を整え直していく。

「大丈夫、神楽ちゃん……?」

「平気アルよ。そういうアッスーの方は」

「ちょっと肩がかすったけど、問題なく戦えるわよ」

「やっぱりしぶといアルナ、アッスーは!」

「神楽ちゃんもでしょ!」

 互いに軽口を叩きつつ、まんざらでもない表情を浮かべている。これまでにも共闘した経験を思い起こして、共にレイピアや傘と言った武器を握り直していく。

 相手が男性及びダークライダーだろうと関係ない。これまで通りに戦って勝利する。一点の曇りもなく、彼女達は再び気持ちを一つに合わせていた。

「まだ諦めぬか。しぶとい奴らめ」

「あいにく万事屋はそれが売りアルよ。今度は私達の番ネ!」

「絶対に諦めたりなんかしないわ! さぁ、行くわよ!」

 恐れなどとっくに振り切り、アスナらは真剣な表情でポセイドンと戦いを交える。

「愚かな。これでもくらえ!」

「二度同じ手は!」

「受けないわよ!」

 けん制として発射されたエネルギー波にも、二人は武器を振り下ろして薙ぎ払っていく。遺跡を守るため。フィリアや仲間を守るために、想いを途切れさせずに挑み続けている。

 

 

 

 

 

 

 

 

「くらえ!!」

「フッ、そうはさせるかよ!」

 そして魔法を操るソーサラーと対峙するのは、接近戦で攻める土方と遠距離から相手を狙うシノンの二人。上手く互いの長所を生かして、慎重に戦いを進めていた。だがしかし、戦況は摩訶不思議な魔法を使うソーサラーが上手である。

〈フラッシュ! ナウ!〉

「何!? ……目くらましか」

「その通りよ。ハァ!」

「グワァ!?」

「土方さん!?」

 一瞬の隙を突いて、ソーサラーはすかさず魔法を発動。一時的な強い光を放ち、目くらましから手にした斧で彼を跳ね返していく。不意打ちを受けた彼の元に、シノンも心配して駆け寄ってくる。

「大丈夫!?」

「あぁ、なんとかな。けれども厄介な相手すぎるだろ……」

「一応あのライダーは魔法が使えるからね」

 特に問題もなく土方は、立ち上がって態勢を整え直していく。得意の接近戦だけではなく、相手の特性を封じる戦法も考え始めていた。

「どうにか封じ込めねぇとな……」

 そう詰まるように呟いた時、シノンは真っ先にある提案を促していく。

「だったら私に任せて。弓矢で援護を続けるから、その隙に指輪やベルトを破壊しましょう」

「……なるほどな。それも一理あるな」

 遠距離戦を得意とする彼女と共に、ソーサラーのベルトや指輪の破壊へと重きを置いている。相手の大本の能力を破壊して、戦いの主導権が渡るように考えていた。

 そんな中でシノンには、ある重大な責任を内心にて感じている。

(アイツは攻撃を跳ね返したり、空間も操ることも出来たはず。バレないようにしないと、こっちが返り討ちに合うわね……)

 今までにも戦ったことが無いタイプに、より強い緊張感を覚えていく。何を仕掛けてくるか分からない相手だからこそ、臨機応変な戦いが求められると括っていた。

「何をこそこそ喋っているのかしら!」

〈ボルケーノ! ナウ!!〉

「ハァァ!!」

 二人が作戦を話し込んでいるうちに、ソーサラーの追撃も続く。今度は手から火炎を放ち、土方らをけん制してきた。

「フッ」

「ハッ!」

 二人は火炎を難なく避けると、瞬く間に作戦を実行していく。

「時間がねぇ。とっとと始めるぞ!」

「もちろんよ! 頼んだわよ、土方さん!」

「おう!」

 共に互いの表情を確認して、それぞれの配置に付いている。シノンは大胆にもソーサラーの周りから隙を伺い、土方は魔法攻撃も承知でひたすらに接近戦を展開していた。

「ハァァ!!」

「何を躍起になってんの? こんな戦い方じゃ、アタシには勝てないわよ!」

 彼らの変わらない戦い方を見下しながら、ソーサラーは土方からの刀を全て斧で受け止めていく。自分を優勢だと思い、またも魔法を発動しようとした時である。

「そいつはどうかな?」

 土方の意味深な一言と共に、シノンもようやく動き始めていた。

「そこよ、ハァァ!!」

「何!?」

 周りを移動するうちに彼女は、いつの間にか土方の背後へと潜めている。そこから彼がしゃがんだところ、タイミングよく弓矢が解き放ってきた。

「カキ―ン!」

 弓矢は見事に指輪へと命中しており、真っ二つに壊れて床に転がり落ちてしまう。戦いの掛け合いが作用して、土方らの方へ軍配が上がっている。

「やったわね、土方さん!」

「おうよ、お前も手伝ってくれてあんがとよ」

 作戦が綺麗にはまり、土方とシノンは思わず成功を称えあっていた。なんだかんだで嬉しいことに変わりはない。

 一方で戦力を削がれたソーサラーだが……彼女もどこか様子が可笑しかった。

「まさか指輪を狙うなんてね……あーあこれじゃ魔法が使えないわ」

 と残念がる一言を発したその時である。

「なんて言うと思った!!」

〈ライトニング! ナウ!!〉

 強気な態度に豹変した後、なんと別の指輪を用いて魔法を発動させていた。

「雷だと!? うわぁ!?」

「嘘!? なんで!?」

 シノンらの頭上からは雷が放出され、容赦なく襲い掛かってくる。何が起きたのか分からず戸惑ううちに、ソーサラーは丁寧にも理由を説明していた。

「指輪は一つじゃないわよ。予備用にもう一つ持っているのよ」

「そ、そんな……」

「あの野郎……」

 常備してあった指輪を見せびらかし、余裕綽々に挑発までしてくる。彼らの残念がる表情を見て、クスクスと彼女は仮面の中で笑みを浮かべていた。

 調子に乗ったままいよいよ締めに入っていく。

「それじゃとどめと行きましょうか!」

〈チョーイイネ! ファイナルストライク!! サイコー!!〉

 またも別の指輪にはめ直した後、ベルトにかざして今度は自慢の必殺技を発動している。ただならぬ威圧感を察して、土方やシノンがより強い警戒心を高めていると……

「ハァ!!」

ソーサラーは瞬く間に姿を消してしまった。

「また消えた?」

「どこに行きやがった?」

 周りを用心深く注意しつつ、二人が警戒していると……数秒も経たないうちにソーサラーは魔法陣から出現している。

「さぁ、これで最後よ!! 猫耳ちゃん!」

「えっ!?」

 シノンのちょうど目の前にて。

「キャァァァ!!」

「何!?」

 もちろん避けることなどできず、彼女は素直に必殺技を受け止めてしまった。ソーサラーの必殺技であるファイナルストライクは、全身の力を足に集約して放つ蹴りのことである。魔法陣を用いた変則型もある為、流石は魔法使いと言ったところか。

 この必殺技の餌食となってしまったシノンは、痛々しい悲鳴を上げて、力が抜けるとその場に倒れ込んでしまった。

「おい、しっかりしろ!! 大丈夫か!?」

「……今は無理」

 心配した土方が様子を見るも、彼女は苦しそうに声を返して、とうとう気絶してしまう。現状が信じられずに驚嘆としている彼の元に、ソーサラーは煽るように声をかけてきた。

「この猫耳ちゃんは見どころがあるから手加減しちゃった。でも次こそは……命すら危うくなっちゃうかもね~!」

「てめぇ……よくも!!」

「懲りずにまた歯向かうの? いいよ、付き合ってあげる!!」

 軽々しくも見下した態度が気に入らず、土方は躍起となって見境なく猛撃している。彼女もその反応を楽しむように、拮抗とした戦いを続けていた。

 次々とダークライダー達の前にひれ伏す仲間達。果たして本当に勝算はあるか……?

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァァ!!」

「セイヤ!!」

「トウァ!」

 各ダークライダーとの激戦が繰り広げられる中、アナザーエターナルと戦うのはチームのリーダー格でもある銀時とキリト。慣れ親しんだ武器を巧みに扱い、怯むことなく攻撃を続けている。

 だがしかし、肝心の相手にはあまり通用してはいなかった。

「おいおい、全然通用してねぇじゃねぇかよ……」

「あのアナザーライダーって力で、能力が強化されているのか?」

 共に場から引き下がると、一時戦況を見直している。未知数の力を持つアナザーライダーに対して、彼らは段々と脅威を感じていく。

 するとアナザーエターナルは、威張り散らすように大声で返してきた。

「その通りさ! お前達の攻撃に意味はない!! 僕の強さに絶望するがいいさ!!」

 傲慢な態度のまま、彼は手から専用の剣を作り出している。手にしたその正体は、ガイアメモリを入れるメモリスロットが付属された金色の聖剣、ガイアキャリバーであった。優勢さにより拍車をかけるアナザーエターナルだが、銀時やキリトはまったく動じずにしぶとい根性を発揮している。

「どんな能力だろうと関係ねぇよ! テメェの陳腐なバグ技に、正規の俺らが負けるはずがねぇだろ!」

「お前の好きには絶対させないからな!」

 強気な一言を飛ばした後に、両者は一斉に走り出して真っ向から衝突していく。

「ヤァァ!!」

「グラァァ!!」

 まずは銀時とアナザーエターナルがぶつかり、木刀とガイアキャリバーに力を一極集中。相手を押し返そうと試みていた。その後も攻めては守りを繰り返し、拮抗とした現状が続く。

「中々の剣裁きだ! そこだけは評価してやろう!」

「黙れ。上から目線で言うんじゃねぇよ! そういう奴はな、いずれ天罰が落ちてくっぞ」

「何とも面白い冗談だなぁ!」

「冗談? 果たしてそうかな?」

 たわいない言葉を交わした後、銀時は指を用いて合図を出してくる。するとキリトが飛び上がり、上空からアナザーエターナルに狙いを付けていた。もちろん羽を使わず。

「くらえぇぇ!!」

 抜群のコンビネーションで追撃しようとしたが……

「そういうことか」

彼は何一つ驚いていなかった。すかさずあるアイテムを取り出すと、ガイアキャリバーのメモリスロットにそれを装填していく。

〈バズーカ! マキシマムドライブ!!〉

「ハァ!!」

「何――ブハァ!!」

「キリト!?」

 力強い声……いや、マダオっぽい声が響くと、ガイアキャリバーの先端から突如眩い砲撃が飛ばされていた。至近距離で飛ばされたことで、キリトも回避できずそのまま落下してしまう。

 この特殊なガイアメモリが、オベイロンことアナザーエターナルの持つ秘策である。

「貴様にはこいつをプレゼントだぁ!」

〈カラクリ! マキシマムドライブ!!〉

 調子に乗った彼は、さらなるメモリを装填していた。今度は聖剣から歯車に酷似したエネルギー波が二つ出現。それを銀時に向かって飛ばしていく。

「いけぇー!」

「くっ……ハァ!!」

 歯車は銀時を囲うように左右に動き、そこから回りだして彼に断続的なダメージを与えている。トリッキーな攻撃を受けて、銀時も吹き飛ばされていた。

「銀さん! 大丈夫か?」

「何ぃ、どうってことねぇよ。そういうお前は?」

「平気だよ。しかしまた、厄介な技を持っているな……」

 予想外の彼の戦法に驚きを隠しきれない二人。共に険しい表情で睨みつけると、アナザーエターナルは高らかに声を上げる。

「どうだ? 僕の開発した聖剣ガイアキャリバーと、T3ガイアメモリは? 中々の強さだっただろ?」

 どうやらこれも自身の開発品だったらしく、よっぽど自信があったそうだ。キリトらの苦戦する姿に、内心では喜んでいる。

 一方の銀時とキリトは、未知数の能力に怯むことなく、三度戦闘態勢を整えていた。

「関係あるかよ! すぐに攻略してやる……!」

「そう簡単に打ち倒せると思うなよ!!」

「まだ抗うか。いい加減諦めろ!!」

 もちろんアナザーエターナルも引き下がることは無い。またも別のガイアメモリを装填していく。

〈ドラゴン! マキシマムドライブ!!〉

「くらえぇ!!」

 今度は聖剣から、龍の全身を模した青きエネルギー波を生成。そのまま銀時とキリト側に向けて攻撃している。

「「ヤァァァ!!」」

 しかし彼らは、難なくそれを木刀や長剣で跳ね飛ばしてこのまま突進してきた。戦闘はさらに激化しそうである。

 

 

 

 

 

 

 

 一進一退の攻防が続くダークライダーことマッドネバーの戦い。その様子を銅像の影から見守るのは、ユイ、フィリア、新八の三人。特に後者は武器を構えており、いつでも戦闘準備は可能である。いざという時の伏兵役を兼ねていた。

 彼らは劣勢気味の仲間達に、逆転を祈って応援を続けている。

「皆さん……頑張ってください!」

「ここまで追い込まれるなんて……」

「だ、大丈夫ですよ! 銀さん達なら。それにいざという時は、僕が二人を守りますから!」

 一途にも応援を止めないユイ、ダークライダーの戦闘力に恐れおののくフィリア、状況判断を慎重に見る新八と、反応は異なっていた。

 そんな時である。フィリアはあることを新八ら二人に向けて打ち明かしていた。

「あっ、そうだ。ねぇ、二人共。ずっと黙っていたけど、これを見てもらえる?」

「えっ? これって……」

「フィリアさんが見つけたんですか?」

「そう、さっきね」

 彼女が見せてきたのは、煌びやかに輝く小さな結晶である。ダークライダー達にも存在を知られなかった謎の物質。仲間達にも知らせておこうと思い明かしていた。

「そう。銅像の奥に紛れていたんだよ。ひょっとしたらこれが、アイツらの狙う力の一端じゃないのかなって?」

「この結晶に力が……?」

 結晶の正体を遺跡に眠る力と仮定して、フィリアは話を進めている。段々と仲間達もその存在に怪しさを感じていると、ユイはある違和感と一致させていた。

「さっきの波動って、まさか……これ?」

 扉付近や内部にて感じた波動との調和性を感じて、結晶との関連性を疑っている。不思議そうな表情で、興味本位から結晶に触れた時だった。

「ん? うわぁ!?」

「ユイちゃん!?」

 彼女はふと眩い光に襲われて、目をくらませている。新八らは彼女の動向に気付くも、状況は分かっていない。

 ユイの身に何が起きたのか? マッドネバーとの勝負の行方は? この先に待つものとは……?




 今回は苦戦する描写を多く入れて、より強敵らしさを演出してみました。圧倒的な力に銀時達は押されてしまいます。さらには仲間達も敗れてしまい……タイトル通りの結果となりました。叫び声に差別化入れるのがきつかったです。もしかしたら、細かい変更が後であるかも。
 一方でユイにも動きがあって……そこは次回にて明かします。
 ちなみにアナザーエターナルが使用するガイアメモリは、オベイロン自らが開発したメモリです。この他にも色々とオリジナルメモリはあるので、そこにも注目してください!


 とりあえず早足気味でしたが、これにて剣魂は来年に持ち越します! 自分のペースですが、今後もより多く投稿出来るように頑張ります! 今年もコメント等で応援していただいた方々、本当にありがとうございました!! 来年もよろしくお願い致します!


次回予告!

ユイ「やっぱり都市伝説は、本当だったのでしょうか?」

アナザーエターナル「なるほどそういうことか」

フィリア「ここは私が時間を稼ぐから!」

銀時「絶対に行かせるかよ……」

次元遺跡篇八 認められる少女

※銀魂の劇場版も近いので、それまでには特別篇を上げるかも?
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