剣魂    作:トライアル

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 去年から続く次元遺跡篇の続きです。今回はあのヒーロー達が間接的に登場します!
 それとふと思ったのですが、模造品とはいえダークライダーの必殺技耐えるキリト達って地味に凄くないですか?
 ……それはさておきどうぞ!



第七十二訓 認められる少女

「……ん? ここは?」

 気が付くとユイは、たった一人荒れ果てた平野に佇んでいた。結晶に触れてから間もなくの出来事で、彼女はただ戸惑いを浮かべている。

「さっきまで遺跡にいたはずじゃ……まさか幻覚?」

 何が起きたのか分からず、辺りをあちこちと見渡してしまう、すると彼女は、ある気配を感じていた。

「えっ……これって!?」

 反射的に後ろを振り返るとそこには――金色の鎧をまとった謎の怪人集団がこちらへと近づいている。どの個体も三つ槍を持ち、それをユイに向かって差し向けていた。

「この怪人達は確か……高杉さんを追っかけた時の!」

 ユイにとっては目の前の怪人達に見覚えがあるようである。それはキリトと共にアキバにて、とある事情から高杉を追いかけていた時だった。彼が怪しげな二人組と対峙した時に現れたのがこの怪人達である。

 彼らの正体は機械兵士であるカッシーン。仮面ライダージオウにて登場した量産型の怪人だった。

 いずれにしても、ユイにとって危機的な状況に間違いはない。

「逃げないと……ってうわぁ!?」

 思わず逃げ出そうとするも、前方からもカッシーンに囲まれてしまう。前門の虎後門の狼のように、彼女は絶体絶命の窮地に陥ってしまった。

「だ、誰か……助けて!!」

 ぎゅっと声を振り絞りながら、藁にもすがる気持ちで助けを求める。そしてカッシーンが一斉に攻めてきた――その時であった。

〈ジオウ! ギリギリスラッシュ!!〉

「ハァァァ!!」

 謎の音声と共に、周りを強力な斬撃が襲い掛かる。カッシーンにも影響が出ており、一部の個体は戦闘不能にまで陥っていた。

「えっ……今のって?」

 一変した状況が気になり、ユイは覚悟して前を向いている。するとそこには、全身が黒い謎の戦士が立っていた。

「大丈夫だったかい、君?」

「は、はい! 大丈夫です」

「良かった。ここは俺達に任せるから、君は逃げてて」

「俺達?」

 謎の戦士はユイに話しかけて、彼女の無事を確認する。一方の本人は、その正体を知って内心驚きを隠せなかった。そう彼は――銅像にあった仮面ライダージオウなのである。仮面に付けられた「ライダー」と言う文字が、妙な存在感を放っていた。

「よし、行くぞみんな!!」

 しかも彼だけではない。ジオウの呼びかけと共に、次々と平成仮面ライダー達が戦場へと乱入。各々が得意な戦闘スタイルでカッシーンの軍団に挑んでいた。

「はぁ! うぉりゃゃ!!」

 徒手空拳の戦いを披露するクウガ。

「ハァァ!!」

 音撃棒を用いて次々に打撃を加える響鬼。

「さぁ、ショータイムだ!」

〈チョーイイネ! スペシャル! サイコー!!〉

 奇想天外な魔法でトリッキーに戦うウィザード。

「ここからは俺のステージだ!!」

〈オレンジスカッシュ!!〉

 フルーツの力で相手を切り裂く鎧武。

 どの戦士も個性豊かに戦い、次々とカッシーンを蹴散らしていた。

「凄い……アレがライダーの戦い方!」

 目の前の光景を信じられず、目を丸くしているユイ。多様な戦い方に、次々と驚きを感じているようだ。

 そんな彼女の元に、またも別のカッシーンが襲い掛かろうとした時である。

「「ハァァ!!」」

 今度はジオウとは別の戦士が、ユイを囲うように守ってきた。戦士の正体は、メカニカルな外見が特徴のファイズと、パーカーを羽織った姿が特徴のゴーストである。

「あ、ありがとうございます!」

「何ィ、気にすんな」

「絶対に君を守って見せるからね!」

 ユイはすぐにお礼を言うと、二人からはたわいのない言葉が返ってきた。すると彼らは、休む間もなくフォームチェンジを始めていく。

「さーて、一気に片づけるか!」

〈スタートアップ!〉

「命、燃やすぜ!!」

〈グレイトフル! 剣豪! 発見! 巨匠に王様! 侍! 坊主にスナイパー! ダーイ変化―!!〉

 ファイズは腕にベルトのギアを装填して、一時的な高速状態になれるアクセルフォームに。ゴーストはベルトを変えて、十五人の偉人の力が使えるグレイトフル魂に。各々が状況に応じた姿へと変化していた。

 そのまま彼らは戦いへと赴き、次々にカッシーンの大軍を薙ぎ払っていく。

「姿まで変えられるなんて……しかも強い!」

 戦いを見守るユイも、彼らのかっこいい姿に注目を寄せている。しばらく戦いに見とれていると、再びジオウが彼女に話しかけてきた。

「これがライダーの力さ。誰かを守るために命を懸けて戦える、どんな困難にだって立ち向かえる戦士なんだよ」

「困難に立ち向かう戦士……」

「そう! 君にもその素質があるはずだ。だからこそ俺達は、この遺跡へ君を通したんだ」

「えっ? 素質ですか? それって……?」

 彼の意味深な一言を聞き、ユイがそれを追求した時である。ふと意識が途絶えて、彼女はようやく現実へと戻ってきていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハッ!? 今のは……?」

「どうしたの、ユイちゃん?」

「何かヒントになるようなものが見えたの!?」

 意識がふと戻ったユイは、遺跡にいたことを思い出している。周りには新八とフィリアがおり、彼らは心配そうに話しかけてきた。

「えっと……実はあるものが見えたんです。あの銅像達……いや仮面ライダー達が戦っていて、私のことを守ってくれたんです」

「ライダー達が?」

「そうです。それで私達をここに通してくれたのは、素質があるからだと……」

「素質? もしかしてユイちゃんが扉を開けられたのも、そのライダー達に認められたからなの?」

 ユイは感じたままのことを、仲間達へ打ち明かしている。曖昧だがユイと平成仮面ライダーとの関連性が、薄っすらと見えていた。やはり結晶には彼らの力がこもっているのか?

 より考察を深めようとしたが、そう余裕な時間は残されていない。

「ほぉー、面白いものを見つけているじゃないか」

「えっ!?」

「お前は……リュウガ!」

「いつの間に!?」

 不穏な気配に気が付き、皆が後ろを振り返るとそこには――戦闘を終えたリュウガが立ちはだかっていた。不覚にも結晶の存在を知られてしまい、彼は徐々に戦闘態勢を整える。

「ちょいと暇を持て余してんだよ。戦うついでにそいつを渡してもらおうか!!」

〈sword bent!〉

 カードを召喚機に装填して、彼は片手剣を右手に装着した。それを新八らに向けて差し出すと、ゆっくり距離を縮めていく。

「新八さん……」

「大丈夫だよ。ここは僕が相手するから、その隙に……」

 不安がるユイに対して、新八は安心させるように説得する。そのまま彼も木刀を差し出して、戦闘態勢を見せていた。彼女と結晶を守るために、真剣な表情を浮かべると……予想外な展開に発展している。

「ハァァ!!」

「何!?」

「えっ!? フィリアさん!?」

 なんと不意打ちを突くように、フィリアが片手剣を持ち、リュウガへと襲い掛かってきた。彼女も真剣な表情を崩さず、強気な態度で歯向かっていく。

「私だって一応戦えるんだから! 守ってばかりじゃいられないよ!!」

「フィリアさん……」

「ねぇ、二人共! 私が時間を稼いでいるうちに、結晶を持ってこの場から逃げて!!」

「わ、分かりました!!」

 自らが囮役として果たし、ユイらを逃がすように手伝っていた。フィリアの想いを汲み取り、新八はユイを連れてその場を逃げ出している。ユイも託された結晶を持ち出して、大切に守っていた。

「待て!」

「させないよ!!」

 後を追いかけようとするリュウガだが、フィリアはがむしゃらにも抵抗を続ける。互いの剣がチャンバラのようにぶつかり、拮抗とした状況を作り上げていた。

 一方の新八とユイは、ひとまず出口へめがけて必死に足を走らせる。戦う仲間達もその様子に気が付くが、アナザーエターナルもまた彼らの不審な動きに気が付いていた。

「何故逃げる? いや待てよ……そういうことか! ならば!!」

 訳アリだと察すると、咄嗟にあるガイアメモリを武器に装填していく。

〈キャリバー! マキシマムドライブ!!〉

「まさか必殺技か!?」

「そうはさせるか――!」

 先ほどとは違う彼の動きに、より警戒心を強める銀時とキリト。アナザーエターナルの持つ聖剣には、電撃のようなエネルギーがまとわり、強力な力を蓄えていると思われている。

 だがその狙いが銀時側へ向いていないことは、当の本人達も薄っすらと悟っていた。

「いや、待って銀さん! アイツが狙っているのって」

「……ハッ。そういうことかよ!」

 彼の目線を追っていると、そこには逃げる新八とユイの姿が見えている。即座に仲間の危機へ気付くと、二人は真っ先に走り出していく。

 その異変は他の仲間達にも影響している。

「ハァァ!」

「「フッ!!」」

 ポセイドンの猛攻を耐えた神楽とアスナが、周りを見渡すと銀時らやユイらの動きを目にしていた。

「えっ、アッスー! アレを見るネ!」

「キリト君に銀さん? それとユイちゃんと新八君……って、待って!! これって……」

「やっぱりアル。すぐに向かうネ!!」

 彼女達もアナザーエターナルの動きに気付くと、ポセイドンの戦いを放棄してユイらの方に足を速めていく。仲間達を守るためにも、四人は無我夢中で駆け寄っていた。

「このままくたばれ!! 僕の邪魔者共よ!!」

 そしてアナザーエターナルは渾身の必殺技を解き放つ。眩いオーラをまとった斬撃の技、「キャリバースラッシュ」でユイらに致命的なダメージを負わせようとしていた。

「あっ、ユイちゃん!!」

「えっ!?」

 こちらへと向かう斬撃を察した新八は、ユイを守るようにして彼女を全身で庇っていく。背を向けて傷つくことも覚悟で、守りの態勢に入っている。思わずユイも目を閉じるが……何も異変は起きていなかった。

「ん?」

「一体何が……?」

 訳が分からずに彼らは目を開けて、現状を把握する。そこには、

「銀さん!? キリトさん!?」

「ママ!? 神楽さん!?」

銀時、キリト、アスナ、神楽の四人が武器を用いて斬撃を受け止めていた。銀時、キリト、アスナは剣や木刀を使い力づくで。神楽は傘を開いて、盾のように使用している。

「「「「ハァァァ!!」」」」

 全身全霊で張り合った結果。見事に斬撃は軌道から逸れて、小さく分散して周りに落下。そのまま何事もなく消滅して、ユイらを守り切っている。

「クッ……」

 だがしかし、その代償も大きかった。斬撃を逸らすと同時に、持てる力を全て出し切ってしまう。もはや立つことすらままならず、苦悶の表情を浮かべたまま、彼らはその場に倒れ込んでいる。

「えっ、みんな!?」

「しっかりしてください!! 大丈夫ですよね!? ねぇ!!」

 ユイや新八が咄嗟に呼びかけるものの、彼らからの反応は返ってこない。次第に不安な気持ちが募り、二人には焦燥感が生まれていた。

 一方のアナザーエターナルは、悪びれることなくユイらの元に近づいてくる。

「愚かな真似を。素直に力を渡しておけばよいのに」

 ゆっくりと足を進めていた時、彼の進行を何者かが妨げてきた。

「ん? こやつは?」

 ふと足元に目線を向けると、そこには銀時とキリトが残った力を振り絞り、彼の足を強く掴んでいる。しぶとくも最後までユイらを守ろうと試みていた。

「悪いがこちとらしぶとくてな……」

「絶対に行かせるかよ……」

 苦しそうな小言を呟き、最後まで抵抗の姿勢を見せる。しかしそれは、ほんの気休め程度でしかなかった。

「邪魔だ。とっとと失せろ!」

 アナザーエターナルはすぐに彼らを振り払い、仕舞いには足で全身を蹴り転がしている。良心の呵責など到底なく、もはや人としても見ていない。

「パパ!! 銀時さん!!」

「どんなに呼んでも無駄さ。お前のお仲間はもう戦うことすらできないからな。命があるだけありがたく思うんだな!!」

「お前……!!」

 あまりの外道ぶりを見せる姿に、新八の怒りも限界に近づく。睨みつけるように抵抗心を露わにするが、それでも彼の態度は変わらない。

「さぁ、邪魔者は消えた! さっさと遺跡の力をこの僕に渡せ!! あのお仲間と同じになりたくなければな……」

 手にしたガイアキャリバーの先端を差し向けて、嫌味な脅迫を仕掛けていく。徐々に距離を縮めながら、ユイらに恐怖を与えて冷静な判断を失わせようとしていた。

 肝心の二人は精神を正常に保ちながら、今なお抵抗の意思を見せている。

「何を言おうが、お前の言う通りにはしないぞ!!」

「そうですよ……絶対に諦めませんから!!」

 新八へ続くようにして、ユイも強く声を上げた――その時だった。

「ん? これは?」

 アナザーエターナルはふと、突発的な予感を察している。それが気になり足を止めると、その予感は現実のものになっていた。

「遺跡の力は、私達が守り切って見せます!!」

 力強く抵抗したユイに目線を向けると、なんと彼女の持っていた結晶が光りだしていく。彼女と共鳴するように変化した結晶は、この戦場にも大きな影響を与えている。

「何!? グワァ!?」

「何これ!? うわぁ!?」

 瞬く間にダークライダー達の真横では、銀色のオーロラが出現。このオーロラによって、この場から強制的に退場させられてしまった。

「これは、まさか……うっ!?」

 もちろんアナザーエターナルも、他のダークライダーと同じく強制退場させられる。

「はぁ!? これは……」

「消えただと」

「あのオーロラにか?」

「一体何が起こって……」

 周りの敵が一斉に消え去り、戦っていた仲間達も困惑を示していた。一応きっかけを作ったとされるユイも、何が起きたのかさっぱり分かっていない。

「これは、結晶の力でしょうか?」

 首を軽く傾げながら、彼女は手にした結晶を見つめていく。数分前に見た幻影と重なり合わせても分からず、より謎が深まったとも言える。

 だがしかし、今の彼らにはもっと大事なことがあった。

「って、それよりも! 銀さん! 神楽ちゃん! しっかりして!!」

「パパやママも! 大丈夫ですよね!?」

 気絶した仲間達を元に戻すことである。どれもダークライダー達の猛攻にやられており、傷ついた様子から必死な戦いだったと分かるだろう。

「近藤さん! それにお前らも!!」

「平気か? おい、返事しろ!!」

 諦めずに戦いを続けていた土方や沖田も、近藤やリーファら女子達四人を起こそうとしている。

 いずれにしても、彼らにとって悔いの残った戦いだった。突然起きた奇跡により最悪の事態は回避できたが……。

 

 

 

 

 

 

 

 一方でオーロラにより退場させられたマッドネバーらは、いつの間にかALO星にある隠れアジトまで戻ってきている。

「おっと……って、一体何だったんだ。今のは?」

「いつの間にかアジトへ戻ってきているし。あの遺跡の力がアタシ達を退けたのかな?」

 リュウガやソーサラーは戸惑いつつも、すぐに状況を把握していた。

「折角の戦いが台無しだな。どちらにしても、俺の有利に変わりは無かったが」

「あの男の絶望した顔も見て見たかったけどね。ところで総帥。次はどうすんだい? あのガキの始末もしてないし、遺跡の力も手にしてないんだから、次元遺跡に戻った方が良いんじゃないかい?」

 ポセイドンやダークキバも同じようなことを呟く。すると後者はオベイロンに向かい、次なる指示を聞いていた。本来の目的も達成出来ず、引き返そうと彼女は提案している。

 しかしオベイロンは、たった今別の目的が浮かんでいた。彼は変身を解き、表情を一変させて高笑いを発していく。

「フッ、ハハハハ!! これは実に面白いことになってきたな!!」

「って、どうしたのさ? 何かいいことでもあったのかい?」

 ダークキバが再び聞くと、彼はにんまりとした表情で想いを発していく。

「あったさ! 恐らくだがあの結晶は、戦えないあのガキと共鳴を得ている! それだけでも充分な収穫さ!」

「ふっ、なるほどな。それにあいつらが遺跡の奥部に行けたのも、あのガキのおかげらしいからな」

「ってことは、あの女の子に秘密が隠されているのね」

 オベイロンなりの解釈だが、結晶に秘められた力とユイとの繋がりに疑いをかけていた。この考え方はダークライダー達も納得して、大方は共感している。すると彼は真っ先に次の作戦に打って出ていた。

「そうと決まれば、新しい計画段階へと進むぞ!!」

「えっ? じゃもう遺跡に行かなくていいのかよ?」

「あの泥棒妖精はどうすんだい?」

「アヤツなどもうどうでもいい! それよりもあのガキだ! 遺跡の力と共鳴している分、僕が根こそぎ奪ってやるからな!!」

 フィリアの抹消や遺跡への介入を中止して、本格的にユイを今後の組織の標的として定めている。もちろん結晶にも執着して、自身の計画性を強めていた。彼の表情はより不気味な笑みを浮かべていく。

「……まぁ、いいや。どうせ力が手に入るならどっちだっていい」

「そうね。じゃ念入りに計画を組み直さなきゃね」

「だな」

 突然の路線変更に、ダークライダー達も特に異論は無い。あくまでも利害の一致で協力しており、力さえ手に入れば問題は無い。彼らも変身を解いて、独自に作戦を組み直していく。

 銀時らとの邂逅で、最終目的へと近づいたマッドネバーの一味。ALO星の国家転覆及び、平成仮面ライダー達の力を手に入れるために躍起となっている。人々が知らない間に、常軌を逸した計画が物静かに進められていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そしてこちらは、必殺技を堪えた途端に気絶した銀時、キリト、アスナ、神楽の四人の一幕である。

「うぅ……ここは?」

「銀さん? 一体どうなったんだ、俺達は……」

「分からないネ。ここはどこアルか?」

「どこって言われても……」

 彼らはふと目を覚ますと、辺りを隈なく確認していた。不穏そうな表情で様子を伺うも、近くには仲間はおらず、代わりに何の変哲もない工場がポツンと建っていた。

「ここって工場なの?」

「はぁ? 遺跡じゃねぇのか?」

「何でいきなり工場前にいるアルか!?」

「もしかして、俺達が見ているのは幻覚なのか……?」

 ここに至るまでの経緯が分からず、つい戸惑いを浮かべている一行。さらなる困惑を深めていたが、キリトは早くも幻覚だと察している

 慎重に場を見定めていた一行だが、咄嗟に工場前ではある異変が起き始めていた。

「おい、アレ見ろよ」

「アレ? えっ!?」

「あの戦士って……!?」

 銀時の呼びかけと共に、次々と異変に気付く仲間達。彼らが偶然にも目にしたものは――数多の怪人達に挑み戦う、平成仮面ライダー達の姿である。

「ハァ! トウァ!」

 慎重に武術を用いて戦うアギト。

「ウェェイ!!」

 醒剣ブレイラウザーで相手に斬撃を与えるブレイド。

「ハッ、フッ!」

 自慢の速さで格闘戦を展開するカブト。

「キバっていくぜ!!」

 蹴り技を中心に攻めを続けるキバ。

「これで決めるよ!」

「あぁ、任せろ!」

〈サイクロン! マキシマムドライブ!〉

 風の力を身にまとい、強力な蹴り技を与えるW

「タイマンはらしてもらうぜ!!」

〈ロケット! オン!!〉

 頭突きや拳で型のはまらない戦いを展開するフォーゼ。

「行くぞ、ベルトさん!」

「OK! これで決めよう!」

〈ヒッサーツ! フルスロットル!!〉

 超高速を展開して、連続して攻撃を与えるドライブ。

「勝利の法則は決まった!!」

〈ボルティックアタック! イェーイ!〉

 兎と戦車の力を合わせて有利に戦うビルド。

 その他にも平成仮面ライダー達は独自の戦闘スタイルで、戦いを展開していた。怪人達を圧倒する光景は、まさに圧巻と言えよう。

「す、凄い……」

「アレが平成ライダーの戦い方か」

「どれも奇抜アル」

「どっからあんな力が湧き出ているんだよ……」

 キリトや神楽らも、次々と現れるライダーの戦いを目で追っている。銀時も口を開いたまま驚きの表情を浮かべていた。

 数分前のことなど忘れて、皆がこの戦いに見とれていると、ある意外なライダーが彼らに話しかけてくる。

「決まってんだろ! 大切なもんを守るその気持ちだよ!」

「ん? アンタは……?」

「赤い戦士?」

 威勢の良い声を聞き入れて、アスナらはその戦士に目線を向かせた。彼の正体は……平成仮面ライダーが一人、電王である。フォームはモモタロスが憑依したソードフォームだ。

「何!? 俺様を知らねぇのか、お前ら!!」

「知らないネ、誰アルか。おっさん」

「おっさんじゃねぇ! 電王だ! もしくはモモタロス様と呼べや!!」

 出会い頭で彼は激しくも自己主張を始めている。神楽が適当に返すも、より反発しながら応対していた。

「って、随分と激しいライダーだな……」

 キリトも引き気味に呟いている。

「威勢の良さはヅラに似ているがな」

「ヅラだと!? こちとら髪の毛なんて元から無ぇんだよ! 喧嘩売ってんのか!?」

「だから! そういうこと言ってんじゃないのよ!!」

 さらには銀時からの例えには、電王も真に受けていた。攻め立てる彼の姿に、アスナもタジタジになって宥めている。

 と会話が続く中で、電王は突然ある意味深な一言を発してきた。

「まぁ、それはいい。一応この際だ。お前等には一つ大切なことを教えてやろう」

「おい、なんだよ急に?」

「大切なこと?」

「そうだよ。まだ完璧とは言えないが、お前らやその仲間にも意思を貫く強さがあることは承知したぜ。今後次第だが、俺達の力を託しても悪くはなさそうだな」

 どうやら銀時やキリトらの強さを認めているようで、最後には力の譲渡もちらつかせている。仮面で表情は分からないが、その様子は先ほどとは違って落ち着いていた。

「えっ!? それってどういうこと?」

「俺達に力を貸してくれるのか?」

「おい、もっと簡潔に説明しろよ!」

 徐々に電王の伝えたいことが分かってくると、彼らは一斉に動揺してしまう。

 さらなる説明を求めたその時である。

「おっと! 時機に分かるんだよ、それが! とにかくお前らは、自分がやるべきことに全力で取り組め!」

「おい、お前! うわぁ!?」

「これは……?」

 そう言い残した電王が再び戦いへと戻った途端、場は眩い光に包まれてキリトらに襲い掛かってきた。彷徨う意識の中で垣間見えた、平成仮面ライダーとの邂逅。彼とのメッセージを汲み取り、彼らは再び現実の世界へと強制的に戻されてしまう。

 果たして電王が伝えていた力の譲渡とは一体……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんな平成仮面ライダーとの邂逅は、彼らだけではなかった。

「うぅーん……ここは?」

「シリカ? アタシ達どうなって……」

「ナー……?」

 同じく意識を彷徨っていたシリカやリズベットも、気が付くと工場付近にて目を覚ましている。辺りを見渡しつつも状況を確認するものの、まったく分かっていない。戸惑っているうちに、ふと仲間達の声が聞こえてきた。

「私達もいるわよ」

「シノンさん? リーファさん?」

「って、一体何があったの?」

 近くには同じく目を覚ました、リーファとシノンが声をかけてくる。彼女達も自分らに何が起きたのかさっぱり分かっていなかった。

 共に様子を伺いながら動きを止めていた時である。

「うわぁ!?」

「キャ!?」

「ナ!?」

 突如爆発音が鳴り響き、四人は一斉に防御の姿勢を構えていた。警戒心を高めていると、彼女達の元にとある戦士が流れ込んでくる。

「えっ!? 龍騎さん?」

「エグゼイド!?」

 その正体はシリカが銅像のイメージから見た龍騎と、リズベットがイメージで見たエグゼイド。

「オ、オーズ!?」

「ディケイドよね……?」

「なんでライダー達が……?」

 さらにはリーファがイメージの中で目にしたオーズと、シノンがイメージで触れたディケイドの計四人の戦士が現れていた。彼らは各々の武器を用いて、怪人軍団へ果敢に挑み続けている。女子達の存在には気が付かず、四人間で会話が続いていく。

「絶対にこのまま負けるかよ!!」

「あぁ、俺達のゲームはまだ終わっていない!!」

 しぶとさを意気込む龍騎やエグゼイドに、

「手が届く限り、俺達がその手を掴む!!」

「何度倒れようとも、立ち上がり戦う。それこそが俺達、仮面ライダーの使命だ!!」

 それに同調するオーズとディケイド。誰一人として弱音を吐くことなく、何度追い込まれても諦めずに戦う意思を示していた。

 この根気強さはシリカらにも少なからず影響を受けている。

「絶対に諦めない心……」

「ナー……」

「それこそがあのライダー達の強さなの?」

「今の私達にも言えることよね」

「そうだね……諦めないことが強さの証なのかもね」

 自分が不覚にもダークライダーに負けてしまったこと。ギリギリの戦いを強いられていたこと。悔しさを交えつつも彼女達は、あの平成仮面ライダー達の諦めない姿に心を動かされていた。自分の戦いや失敗を見つめ直しつつ、間接的に背中を押されている。

 そう無意識に勇気づけられた時であった。

「「ウッ!?」」

「「うわぁ!?」」

 彼女達にも眩い光が襲い掛かり、意識が現実世界へと戻されている。僅かな時間の中で四人も、銀時やキリトらと同じく平成仮面ライダーの影響を受けていた。

 

 

 

 

 

 

「うぅ……」

「しっかりしてください、銀さん!」

「大丈夫ですよね、パパ!」

 一方で現実世界の次元遺跡では、新八やユイらが倒れ込んだ仲間達へ必死に呼びかけを続けている。心配でたまらずに、無我夢中で声掛けに注ぎ込んでいた。

 そんな最中で、土方と沖田の二人は冷静に状況を分析している。

「どうやらただ意識を失っているようだな」

「命に別条がないだけ不幸中の幸いですねぇ……」

 神妙な表情で気を失っているだけと予見していた。ユイらと比べると落ち着きを取り戻しているようにも見える。

「後は目覚めてくれるだけだが……」

「きっと大丈夫ですよね。それに近藤さんは起きることが確定してやすから」

「なんでそんなことが分かるんだよ?」

「アレを見てくだせぇ」

 すると彼らは、同じく気絶している近藤の姿にも注目を寄せていた。

「お妙さん……待ってくれ! 俺のハニー!!」

 なんと彼は呑気にも、妙との交流を続ける幸せそうな夢に浸っている。明らかに他のメンバーと比べると、浮きまくっていた。

「……なんでこの状況で、一番場違いな夢見てんだよ」

「近藤さんだからですよ。あの人にとっちゃ、恋の方が一大事ですからね」

「せめて真面目な夢にしてくれ」

 普段通りの様子には、土方や沖田も若干だが呆れている。酸っぱげな表情を共に浮かべていた。

 それはさておき、いよいよ仲間達も現実へと戻りだしていく……。




 圧倒的な力の前に、皆さんやられてしまいました。突然発生したオーロラによって、最悪の事態は回避できましたが、それでも悔いが残る戦いだったと思います。戦力差を埋めるには、まだ努力が足りないのでしょうか……。
 しかし、彼らは絶対に諦めません! 必ずやマッドネバー達にリベンジを果たします!是非とも彼らのリベンジにも注目をしてください!


 ちなみにですけど、今回ピックアップされたファイズとゴースト。この両作品の共通点が、後の展開のヒントになっているかもしれません。察しの良い方はお気づきでしょう。

 次元遺跡篇も予定では後二訓。このまま次回の長篇である妖国動乱篇に持ち越します!

 それと明日銀魂の映画に行ってきます!! 思いっきり楽しみです!!







次回予告

リズベット「なんでアタシ達、勝てなかったの……!」

フィリア「落ち込まないでよ! みんなは出来ることをしていたよ!」

ユイ「この結晶が皆さんを守ってくれたんですよ」

銀時「あのライダーの言う通りかもな」

沖田「急にどうしたんだよ」

リーファ「えっと、沖田さんにお礼を言おうと思って……」

????「あなた方にこの一件をお願いしてもよいでしょうか?」

次元遺跡篇九 新たなる道

天の道を行き、全てを司れ!
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