「ん……? うぅ……」
「アレ? ここは?」
「パパ! 銀時さん!」
気を失った仲間達に呼びかけを続けて早数分。ユイらの声に気付いた銀時やキリトらは、徐々に目を覚まして体を起こしていく。多少の傷を負っているとはいえ、普段通りの様子にみな安心感を覚えている。
「良かったぁー。とりあえず一安心ですよ」
「えっ……って、私達ずっと倒れていたの?」
「あの赤いライダーはどこネ!? いやそれより、マッドネバーは!?」
その一方で気を取り戻したアスナや神楽らは、何が起きたのかさっぱり分かっていない。幻想の中で見た光景と、現実で起きた出来事が微妙に混ざっているそうだ。
やや混乱している彼女達に、ユイが優しく事の顛末を教える。
「えっと、実はあの後に透明なオーロラが現れて、マッドネバーを全員追い払ったんですよ」
「オーロラ? そんなことがあったのか?」
「なんとまぁ、絶妙な奇跡に助けられたこった」
信じがたい展開に思わず耳を疑うキリトと銀時。微妙な表情を浮かべるも、さっきまでいたはずのオベイロンやダークライダーが周りにいない分、素直に話を括るしかない。
ユイに続いて新八も声を上げる。
「もしかしたら、あの銅像のライダー達が助けてくれたのかもしれませんね。僕達の危機を察知して」
「確かに……そうかもしれないわね」
さりげの無い彼の一言にアスナも思わず頷いていた。と優しく呟いた時、ふと神楽は新八へ強烈な視線を向けていく。
「ふーん、そうアルか」
「ん? どうしたの、神楽ちゃん?」
態度を一変させた様子が気になり、彼が不思議そうに伺うと――
「ホワチャー!」
「グハァ!?」
なんと何の前触れもなく、神楽は新八の腹部にストレートな拳をぶつける。不意打ちをモロに受けた彼は、驚いた表情でようやく事態を把握していた。
「って、急に何するの!? 意味もなく腹パンってどういうこと!?」
反射的に怒りをぶつけるも、神楽からは不機嫌そうな表情で別の怒りが飛ばされる。
「うるせぇアル! お前私達が命懸けで戦っていたのに、ほぼ無傷って舐めてんのか!? コンニャロー!」
「それは仕方ないでしょ! 僕だってユイちゃんとフィリアさんを守る使命があったんですから!」
どうやら彼女は、戦いに不参加の新八に文句があるそうだ。本人も反論するも、神楽はメタな視点からも責め立てていく。
「今更言っても後の祭りネ! 読者にも感想欄でツッコまれていたアルよ! 「あの眼鏡はなんで戦わない?」って!」
「そこは言わないお約束でしょ! 僕だって、ちょっと気にしているんですからね!」
「はいはい、二人共落ち着いてって!」
感想欄も巻き込み口喧嘩が激しくなりそうになった時、近くにいたアスナが二人の間に割り込み落ち着かせていく。理由は分からずとも、この争いを鎮めようと徹している。
戦いが終わった途端のグダグダな光景は、遠くで見ていた銀時やキリトも口々に呟く。
「寝起き早々、よく元気戻せるな。アイツは」
「まぁ、いつも通りで俺は安心するけどな」
同じように彼らも、普段と変わらぬ様子に安心感を覚えていた。とそれはさておき、二人は数分前に見た幻想についても話を交わしている。
「ところで、銀さん。気絶している時に、奇妙な幻を見なかった?」
「幻? もしかして、あのライダーのことか?」
「そうだね……やっぱり何か意味があると思わないか?」
「そりゃ、あんなくっきりと見えて、何も無い方が可笑しいだろ」
僅かな時間の中で目にした平成仮面ライダー達との邂逅。一瞬とは言え、その光景は今でもはっきりと覚えていた。
「幻って……?」
この話を耳にしたユイも、薄らと興味を持っている。様々な謎が重なり、より気になることも増えてきていた。
一方のシリカら女子達も、時を同じく気を取り戻している。
「今のって……」
「アレ? 戻ってきた?」
「ナ……」
ほぼ同じタイミングで四人とピナは、眠りから目を覚ましていた。すると近くにいたフィリアが、心配そうに駆け寄ってくる。
「みんな! 大丈夫だった!?」
「フィリア? ……特に大丈夫だよ」
「多少の怪我をしたくらいかしら……」
浮かない表情のまま、四人はまばらに自身の状態を確認していた。体のあちこちには黒ずんだ痕やかすり傷が残され、酷い場合には赤い傷跡まで付けられている。仮想世界とは異なり肉体と一体化しているため、現実的な負傷が至る所に見受けられた。
肉体的な痛みを感じる彼女達だが、それよりも精神的な痛みがよっぽど大きいらしい。
「そうなんだ……ごめんね。私も早々に覚悟が出来ていれば、みんなを助けられたかもしれないのに」
「いいや、フィリアのせいじゃないわよ」
「そうですよ。アタシ達がもっと上手く立ち回れていれば……」
「みんな?」
突如として四人は悔しそうな表情を浮かべて、抱えていた想いを吐き出していく。
「変身しているとはいえ、私達よりも何倍も強かった……」
「今まで努力したことが、まるで嘘みたいに通用しなかったなんて……」
「ナ……」
シノンやリーファに続き、シリカやリズベットもさらに表情を曇らせている。ピナも同調するように重いため息を吐いてしまう。彼女達にとっては敗北が屈辱的で、どうしても納得がいかなかった。何よりもこれまでの努力を発揮できず、太刀打ち出来なかったことが悔しいのである。
各々の精神的な痛みは、フィリアが想像するよりも計り知れない。
「みんな、落ち込まないでよ! あのオベイロンってヤツのせいで、能力も封じられたんだから、不利だったのは仕方ないことだよ! それでも勇敢に立ち向かっているみんなの方が凄いと思うよ!」
あまりにも重い空気に耐えきれず、フィリアは咄嗟に励ましをかけてきた。これで少しでも風向きが変われば良いが、
「ありがとうね、フィリア。当然よ……ここで諦めるわけにはいかないのよ!」
「えっ!?」
彼女が思ったよりも雰囲気はあっさりと変わっている。女子達は次々に気持ちを振り切らせて、今度は前向きに想いを発してきた。
「次こそは絶対に勝ってみせます! アタシ達の力で!」
「ナー!」
「悔しいままでは終わらせないわ。絶対に攻略するわ!」
「そ、そうだよ!」
皆が揃って対峙したダークライダーへのリベンジを誓っている。悔しさや迷いを引きずらず、スムーズに気持ちを切り替えていた。これも幻の中で出会った平成仮面ライダーが関係しており、内心でもその覚悟の深さが垣間見えている。
(諦めない限り、勝機はあるのよ!)
(あのライダーさん達が教えてくれました……!)
(その為にも私達が進む道は決まっているわ!)
意思は強く結ばれて、頑なに示されていく。ただしリーファだけは、三人とは異なり迷いがあるようだが?
(これで合ってるのかな?)
薄らと生じているが、偶然にも仲間達には気付かれていない。
「みんな……うん! 私も応援するから!」
「よし! 早速帰ったら、武器を鍛え直さないと!」
「アタシのもお願いします、リズさん!」
フィリアも元気を取り戻した彼女達に一安心している。彼女の後押しで意気込むリズベットやシリカは、武器の強化に一層のやる気を高めていく。
「あのソーサラーの魔法にどう立ち向かおうかしら……」
シノンも次なる戦闘に向けて、ソーサラーへの魔法対策を練っていた。ふと考え込んでいると、彼女は未だに迷うリーファの様子に気が付いている。
「ん? どうしたのリーファ?」
「あっ、いやなんでもないわ! 気にしないで、ハハ」
「あぁ……そう」
気になり声をかけたが、本人の返答からつい一歩引いていた。あまり追求せずに、この場は様子見する。
そんな再起を図る女子達に、なんだかんだ見守っていた土方や沖田も一安心していた。
「すんなり立ち直ったな。まだメンタルがやられると思ったが」
「案外心は強い方かもしれやせんよ。土方さんと違って」
「って、誰が豆腐メンタルだよ!?」
「ほら、そういうところ」
「うっせぇ!」
会話の最中では相変わらずのやり取りが交わされる。それでも二人の想いは同じだった。その一方で沖田は、一際様子が違うリーファが気がかりである。
(あのブラコン、まだ何か抱えてんのか?)
内心にて気に掛けていた時だった。
「待ってくれ、お妙さん! 最終回だから、俺と結ばせてくれぇ!」
タイミングが悪く、近藤が眠りから目を覚ましている。しかも緊張感など無い幸せな夢からの帰還だ。明らかに他の仲間達とは温度差が違う。
「アレ? ここは……」
「おぉ、近藤さん。ようやく起きたか」
「お前ら!? って今まで俺は?」
「今までも何も、ずっと寝てやしたよ」
「何だと!? じゃあのプロポーズは全部夢だったのか!?」
先ほど命がけで戦った人間とは思えない振る舞いである。あまりのマイペースさに、仲間の土方や沖田からも気を引かされていた。
「近藤さん……よくもそんな呑気な夢を見ている暇があったな」
「少しは空気を読んでくだせぇよ」
「えっ……!?」
彼が全ての事態に気付くのもまだまだ先だろう。
全員の調子が戻ってから数分後。万事屋、真選組、女子達、フィリアと計十四人と二匹は、これまで起きたことを整理しつつ、今後の目標や行動について考え始めている。
「とりあえず。一旦戦いは終わったが、事態はまだ続いているってことか」
「そうだね。マッドネバーはまだ諦めないし、この結晶も狙ってくるだろうね」
銀時の問いにフィリアがそっと答えていく。無論マッドネバーは偶然退けただけで、その脅威が収まらないのは確かである。結晶も知らされており、狙いへ来ることは明確だろう。特に万事屋は結晶と平成仮面ライダーとの関係に注目を寄せている。
「あいつらが執着するなら、このライダー達とも関係がありそうだけどな」
「絶対に渡すわけにはいかないわね」
キリトやアスナもこれを守り抜くことを堅く決めていた。
そして女子達の方は、ダークライダーへのリベンジが誇示される。
「どっちにしろ、このまま負けたままじゃ納得いかないわよ!」
「そうね。次こそは絶対に勝つわよ!」
諦めない強さを糧にして、さらなる強さを目指そうとしていた。当分の目標が決まった瞬間でもある。
そんな意気込む彼女達に、沖田ら真選組は緩やかに宥めていた。
「まぁまぁ、落ち着いてくだせぇ。また戦うにしても、まずは休息が前提でさぁ」
「だな。奴等もここに戻るかもしれねぇからな。その前には遺跡を出るか」
「そうですね。元の世界へ戻ってから、対策を立て直しましょう」
彼らの提案に新八もそっと頷く。再び戦闘が起きる前に、この場を脱することで考えが一致していた。
「よし。ならば扉まで戻るか!」
「了解ネ! あーあ、戻ったら夕食にしたいネ」
「って、神楽さんは食い意地貼りすぎですよ」
「これが私流アル!」
会話が一旦終わると共に、神楽は早速食べ物のことで頭が一杯になってしまう。シリカからツッコミを入れられるも、素直に割り切っていた。
「そんじゃずらかるか」
「みんな。途中ではぐれるなよ」
「パパと銀時さんについてきてください!」
そして銀時とキリトを先頭に、一行は遺跡奥部を後にしていく。悠然と佇む平成仮面ライダーの銅像に見守られながら、長い冒険に幕を下ろそうとしていた。
そこから更に縦長な道を歩むこと数分。とある異変に神楽は気が付いている。
「アレ? リッフーはどこに行ったアルか?」
「リーファさんですか?」
そう、彼女の後ろをついてきていたリーファが、目を離した隙に姿を消していた。神楽の一言をきっかけに、仲間達も次々にリーファの行方を気にしていく。
「えっ? いないの?」
「てっきり、ついてきているものだと……」
フィリアやシリカらが辺りを見渡すも、近くにいる気配は無い。皆が立ち止まって改めて仲間の有無を確認すると、姿を消した者がもう一人いた。
「おい、トシ。総悟もいなくなっているぞ」
「はぁ? なんでアイツまでいなくなっているんだよ」
なんと今度は、近藤らの後ろにいた沖田もいなくなっていた。二人だけがいなくなり、一行は徐々に疑いを強めていく。
「おいおい。最後だってのに、何やってんだよあの二人は。兄貴もちゃんと見張っていなきゃ駄目だろ?」
「いやいや、それは俺の責任なのか? 確かに不十分だったかもしれないけど」
軽口を叩くように、銀時はキリトに対して理不尽な小言をぶつけていたが。不意の一言により、彼は返答に困ってしまう。
いずれにしても、仲間が離れたことに一段と困惑する一行。捜索しようかと考えていた時、一足先に神楽が声を上げてくる。
「キリのせいじゃないネ! きっとあのドSが、またリッフーをいじめているに違いないアル! ちょっと見てくるヨロシ! 待っててネ、みんな!」
「か、神楽さん!?」
いても経ってもいられずに、彼女はそう言い残して走り出した。万が一のことを考えて、沖田が何かやらかした時に制裁を加えようとしている。
颯爽と走り去る彼女に、ユイら仲間達はただ見ているだけであった。
「えっと、とりあえずここは神楽に任せる?」
「そうしましょうか。沖田さんを止められるのも、神楽くらいだし」
「そうですね!」
そして場の雰囲気を読みながら、結局は神楽にこの件を一任している。リズベット、シノン、シリカと、次々に賛成していく。誰よりも沖田に慣れている神楽に頼るそうだ。
「しばらくはここで待機か」
「あいつらが喧嘩にでもなったら、何時間かかるのやら」
「なるべく穏便に済むといいけど」
「大丈夫だと思いますけど……」
それでも不安が拭えない仲間達もいる。特に銀時やアスナは喧嘩の泥沼化を危惧していたが。いずれにしても、もう後の祭りである。
一方で神楽は、近辺を捜索中に早速二人の姿を発見していた。
「あっ、いたネ!」
遠目で見えたのは、リーファと沖田が向かい合う光景。さながら会話しているようにも見えるが。とりあえず声をかけることにした。
「おい、ドS! リッフーに何を吹き込んで……」
と自ら話に割り込もうとした時である。
「ありがとうね。沖田さん……!」
「えっ!?」
神楽はふと立ち止まり、咄嗟に彼らの死角である壁際に身を潜めた。幸いにも神楽の存在は気付かれていないようである。
「何か込み入った話をしているネ?」
彼女は密かに感じていた。今までの二人とは何かが違うと。真剣そうな雰囲気に気を引かせている。このままそっと耳を傾けて、二人の会話に聞き入っていた。
「なんだよ、急に。こっそり連れ出してまで、礼を言いたかったのかよ?」
「そうでもないんだけど、今の内に言っておこうと思って」
一方で二人の雰囲気はこれまた異様である。沖田は変わらず素っ気の無い態度を続けているが、リーファは慎重な面持ちで自信の想いを伝えていた。その想いとは、助けてくれた時のお礼である。
「ダークキバと戦っている時に、手助けしてくれてありがとうね。沖田さんの助けが無かったら、それこそもっと危ない目にあっていたかもしれないし……」
「そうかい。まぁ、大したことじゃないでさぁ」
「それで、沖田さんにどうしても聞きたいことがあったの」
「聞きたいこと?」
「うん。どうしたら、そんなに強くなれるの?」
会話が進むにつれて、彼女は疑問を沖田にぶつけてきた。彼自身が持つ強さの秘訣。強大な力を持った夜兎にも張り合えた底力。これがどうしても知りたくて、リーファは内緒で沖田を連れ出したのだ。
彼女は質問に後付けするように、もどかしくも理由を付け足していく。
「悔しいんだけど、沖田さんの方が私よりも上手だし……何倍も実力は上だと思う。だから知りたいの! どうやったら沖田さんみたいに強くなれるの……!」
そう言った通り、悔しげな表情で沖田に返答を差し迫る。リーファの強い想いを汲み取ったのか、彼はそっと笑ってから自分なりの答えを返していく。
「そうですねぇ。まずは土方を夢の中に出して、何度もそのクローンを切り刻んで……」
「そうじゃなくて! ボケはいいから、真面目に答えてよ!!」
「分かってやすよ。何ぃ、簡単なことでさぁ。自分の守りたいものや譲れないもののために戦えばいいんですよ」
「守りたいもの……」
途中にボケを挟んだが、すぐに修正してその本音を伝えている。沖田が告げたのは実にシンプルなものだった。だがそれは、個の強さだけではなく自分の気持ちも大切だと間接的に教えている。
この返答でリーファが再び考え込むと、沖田は適当な言葉で事を切り上げようとした。
「そこはお前にお任せしやすよ。仲間とか兄貴とか黒髪V字とかゲーム廃人とかが当てはまるじゃないですかい?」
「って、後半ほぼお兄ちゃんじゃん! どこまでネタにするわけ!?」
それでも小さなボケは欠かさず入れていたが。すぐにツッコミで返すリーファを見ると、沖田も少なからず安心感を覚えていた。
「まぁまぁ。とりあえずはそこからですよ。人ってのは大切なもんを持つと、思いがけない力を発揮するらしいんでねぇ」
そう言って場を跡にする沖田の後ろ姿を見て、リーファも反射的に声を掛けようとした時。彼はふと立ち止まり、後ろを向いたまま最後に一言だけ声をかけていた。
「あっ。言い忘れてやした。一応言っておくと、お前の剣筋は悪くは無かったですよ」
「えっ!? それって……」
「後は自分次第だ。頑張りな」
何とも沖田には似合わない一言である。突然の褒め言葉には、リーファも思わず驚きを隠せていなかった。より真意を深掘りしようとするも、話す言葉が見つからずに会話は終わってしまう。場に一人残された彼女は、彼の言葉を真に受けてふと考え込んでいく。
(いちいち言葉はむかつくけど、そんなに悪い人じゃないのかも……。私の剣術も見てくれていたし)
悩み込む表情を浮かべて、沖田に抱いていた印象をだいぶ変えていた。もちろん今まで受けた仕打ちから嫌悪感は変わらないが、それでも新たな一面を知れたのは事実である。嫌みを叩きつつも、しっかり努力は見てくれる人だと理解していた。
(守りたいものや譲れないもの。やっぱり沖田さんの強さはそこなんだ。私にもあるんだから! 絶対に守りたいものが!)
僅かに感じた彼の優しさを汲み取り、リーファはようやく気持ちを前向きに変えていく。表情もいつの間にか晴れ晴れしくなり、雰囲気も明るさを取り戻していた。この戦いを通して彼女は、本当に守りたいものを理解していく。
そんな彼女の変化に気付かず、沖田は仲間の元へ戻ろうとしている。すると彼は、壁際に隠れていた神楽を発見していた。
「ん? チャイナ、そこにいたのか?」
「いやー。良いもの聞かせてもらったネ。まさかリッフーを励ますなんて、予想外アル!」
「別に大したことはしてねぇよ。俺はただ本音を言っただけでさぁ」
「またまた~! 本当は心配してたんじゃないアルか!? 素直じゃねぇんだから!」
鉢合わせするや否や、神楽は面白がるようにからかいを加えている。もちろん挑発も交えており、沖田はその冗談をすんなりと真に受けていた。
「おい、おちょくるのもいい加減にしろよ……何ならこの場で、決着でも付けようか?」
「おぉ、上等ネ! こちとらお前と違って、平成ライダーから激励を貰ってんだよ! 今の私じゃ、全然負ける気がしないアル!」
「関係ないだろ、そこは」
ほんのちょっとしたきっかけで、彼らのライバル心は再燃していく。共に相手を睨み付けつつ、場違いにも喧嘩の準備を始めていた。あまりにも突飛的だが、二人にとっては当たり前の出来事である。
この騒ぎを察して、ようやくリーファは神楽の存在に気が付いていた。
「神楽ちゃん!? って、二人共!? 喧嘩は止めなって!」
咄嗟に声をかけて、対立する二人の間に割り込んでいく。共に沈静化するまで数分ほど時間がかかったそうだ。
その後は無事に仲間達の元へ戻ったのだが、帰りが長かったせいであらぬ疑いをかけられたのは言うまでもないだろう。
「もしかして、リーファ。沖田さんに告白したとか!?」
「んなわけないでしょ! あり得ないに決まっているじゃん!!」
あまりの荒唐無稽さにリーファ本人も思わず顔を赤くしてしまう。
「えっ、告白!? マジアルか!?」
「おい。てめぇは最初から見てただろうが。今更おちょくんな」
当の本人達にも思わぬ被害が続いていた……。
こうして再び一段落すると、一行は出口付近まであっという間に到着している。
元の世界へ戻る前に、フィリアと万事屋は改めて遺跡から持ち出した結晶について話し合っていた。
「この結晶のことだけど、俺達が持っていても大丈夫か?」
「えっ? でもそれじゃ、マッドネバーに狙われるかもしれないよ!」
「それで良いんだよ。お前だけに荷を負わせるわけにはいかねぇだろ。もし襲ってきたとしても、返り討ちにしてやんよ」
「その頃には、万事屋の調子も戻っているからナ。今度は返り討ちするネ!」
マッドネバーの狙いを踏まえて、万事屋が代わりに結晶を所持すると提案している。最初こそ乗り気では無かったフィリアだが、キリト、銀時、神楽と次々に説得されると次第に考えを変えていく。
「分かった。それじゃ結晶はアナタ達に託すよ」
「ありがとうございます、フィリアさん!」
彼らの意思を尊重して、手にした結晶をユイに手渡していた。すると結晶はさらに光り出して、まるで共鳴するように輝きを増していく。
「見れば見るほど、不思議な結晶だな」
「そうね。あのライダー達とも繋がりがあるかも知れないし」
キリトやアスナも結晶の変化をまじまじと見張っている。より平成仮面ライダーとの関連性を疑っていると、銀時は調子の良い一言を発していた。
「あわよくば、ライダーの力も借りれるかもしれねぇからな。いや絶対に借りたいな」
「ちょっと、銀さん。そう簡単にやましいことは言わないでくださいよ」
それはただの願望論であり、思わず新八からはツッコミを入れられている。それでも夢のある妄想は捨てきれないそうだ。
一方でアスナら女子達は、フィリアの今後についても聞いている。
「ところで、フィリアちゃんはこれからどうするの?」
「そうだね……まずはALO星に帰って、一連のことを伝えたいけど、この扉からだと地球に行っちゃうから。どうしようか?」
ひとまずは元の星へ帰りたいが、扉の特性故に少々手間が生じるらしい。帰還方法に困っていた時、リズベットらはすかさず真選組に手助けを薦めてきた。
「こういう時こそ、真選組の出番なんじゃないの?」
「俺達か?」
「そうですよ! 幕府の力で、フィリアさんを送ることは出来ないんですか!?」
「ナー!?」
幕府の融通を利かせて、フィリアの帰還を手伝えないか提案している。実際には可能だが、それでも気乗りしないのが現状であった。
「まぁ、出来なくはねぇな」
「だがしかし、とっつあんの許しが貰えるかどうか……」
はっきりしない返答を聞くと、今度はリーファとシノンが念押ししてくる。
「もし許しが貰えたら、きっとお妙さんは見直してくれるわよ」
「そうだよ! 近藤さん、ここは腕の見せ所よ!」
「何!? 本当か……?」
「本当に決まっているでしょ!」
彼が思い焦がれる妙も話題に入れて、おだてるように説得させる。この執拗な言葉責めが効いたのか、近藤は徐々に自信を高めていった。
「そ、そうか! ならば頑張るしかないな!」
「さらっとやる気になるなよ」
「どんだけ単細胞なんですかい」
「別にこれで姉上は変わりませんよ」
「言いように弄ばれているネ、ゴリラ」
あまりの変わり様に、仲間達からも呆れの声が飛び交う。特に新八は目を細めつつ、非情な現実へ叩きつけていた。それでも近藤のやる気がそがれることはなかったが。
「「「「よし!」」」」
一方で後押しした女子達は、皆ガッツポーズを見せていく。してやったりで、作戦成功を節に喜んでいた。
「やりましたね、フィリアさん! 真選組の皆さんが送ってくれるって!」
「えっとこれは、素直に喜んでいいのかな?」
「良いのよ! おこぼれには預からないと!」
フィリアは苦笑いで遠慮するが、すかさず女子達がフォローを入れてくる。真選組の思い入れの違いから、その反応に異なりが生まれていた。
とほぼ全員が今後の道筋を決めたところで、ようやく戻る準備が完了している。
「それじゃ、皆さん! 戻りましょうよ!」
「あぁ、そうだな。俺達が今いる世界に!」
扉に付けられたドアノブに手をかけて、彼らは元いた世界へと戻っていた。結晶を守り切る為に。ダークライダーにリベンジするため。元の星へ帰還して、事の経緯を警告するため。皆が出来る精一杯の為に、それぞれが新たなる道へ進もうとしていた。
皆が扉をくぐり抜けて、銀魂の世界にある電話ボックスから抜け出した――その時である。彼らの目の前には予想外の人物が佇んでいた。
「ん? 誰か、目の前にいるアルよ?」
「誰って……ゲッ!? アイツ!?」
そうその正体は、神出鬼没でおなじみの桂小太郎だった。隣にはエリザベスもついてきている。
「か、桂さん!?」
「桂じゃない桂だ! って、アレ? 合っているか。というか、なぜお前らが電話ボックスから出てきたのだ!?」
[まさか、ドッキリか?]
「いや、ちょっと訳があってな。それよりなんで桂さんが?」
キリトらが冷静に受け答えするも、やはりツッコミどころしかない。何よりも帰還した直後に指名手配犯の人物が出待ちしていたというだけでも、可笑しいことこの上ないだろう。そして何よりも、桂との遭遇はある方々にとっては格好の餌なのである。
「何、桂か!?」
「本当だ! こんなところで出会うとはな!!」
それは桂を指名手配している真選組の面々だった。見かけると同時に、彼へ狙いを定めていく。
「真選組だと!? 奴等までいたとは。こうしちゃいられん! おい、エリザベス! ヅラかるぞ!」
[任せろ!!]
「待てぇ、桂!」
「神妙にお縄へつきやがれ!!」
一方の桂も真選組を目にして、反射的に場から走り去っていく。エリザベスの背中に乗せられながら、道路付近を駆け抜けていた。そんな二人を追いかけるように、土方ら真選組の面々も走り出す。
全員が電話ボックスから抜け出した時には、もう彼らの姿は見えなくなっていた。
「い、行っちゃった……」
「まさか桂さんとここで出会うなんて」
「ていうか、大丈夫なの? 遭遇しちゃって」
桂の行く末に不安がる女子達だったが、銀時はそんな不安すらも一蹴していく。
「まぁ、ヅラならなんとかなるだろ。悪運だけは強いし」
「確かにそうですね……」
根拠の無い一言だが、どこかみんな納得していた。もはや何が起きても大丈夫だと察してしまう。そう思った矢先である。
「おーい、桂さん! もうそろそろ、遺跡に入れるってよ!」
「ん? クラインか!?」
なんと今度はクラインが一行の前に現れていた。突然の仲間との再会に、皆は驚嘆としてしまう。もちろんクライン本人もそうなのだが。
「ありゃ? なんでお前らがここに来てるんだよ?」
「それはこっちの台詞よ! アンタもなんでこの山に来ているのよ?」
「そりゃ遺跡見学に決まってんだろ! 桂さんから頼まれて、ずっと混み具合を様子見していたんだぜ! それで桂さんがどこへ行ったか知らないか?」
どうやら話を聞いてみると、彼らは空川町にある方の遺跡へ見学に来ただけらしい。随分とシンプルな目的である。
けれでも一行が驚いたのは、クラインの偶然な強運だった。いや、悪運と言っても代わりは無いだろう。
「……お前も悪運は強いんだな」
「はい? いや、なんでみんな頷いてんの!?」
「知らぬが仏アルよ」
「いや、余計分からねぇんだけど!!」
桂が真選組に追われていることなど知らず、一行はしみじみと彼の悪運を痛感していた。クラインにとっては何が起きたのかさっぱり分かっていないが。
こうして紆余曲折はあったが、一行は何事も無く元の世界へとようやく帰還できた。
それから時は過ぎていき、約一週間が経過した頃。フィリアは真選組の伝を通して、無事に故郷であるALO星及びアルンへと帰還。特別に快速専用の宇宙船に乗せてもらい、特に問題も無く元の生活へと戻っている。
さらにフィリアは、自身の身に起きたこと(マッドネバーやオベイロンの陰謀)を王女側の妖精達に報告していた。国家転覆を目論むテロ組織の存在は、ALO星の王女ことフレイアの耳にも届き、早速信頼を寄せる専属の騎士団を自室に呼び出している。彼女らにも事の経緯を説明していく。
「今日皆さんを呼び出したのは他でもありません。実はこのアルンを狙って、暗躍しているテロ組織があると民からの情報が入りました。偵察部隊が調べた結果、町外れの洞窟に身を潜めているようです。あなた方にこの一件をお願いしてもよいでしょうか?」
「もちろんです、姫様! この僕達六人が、必ずや悪を成敗して見せます!!」
依頼を騎士団に委ねた途端、そのリーダーの女子が元気のある一言で返答している。彼女に引き続き、近くにいた仲間達も同じように頷いていた。強い正義感を垣間見せながら、皆凜々しい表情を浮かべている。この意識の高さに、フレイアも一安心していた。
「では、頼みましたよ」
「任してください! よし、みんな行こう!」
「もちろん!」
「さっさと片付けようぜ!」
「頑張りましょう!」
そうフレイアから後押しされると、六人は互いに声を掛け合い、指定された洞窟まで勢いよく駆け出す。刀剣や大盾、大剣に両手槍、ハンマーや杖と六人は各々が得意な武器を装備して、戦闘態勢を万全に整えていく。
「あの六人なら、大丈夫なはずです……」
頼りがいのある後ろ姿を目にして、フレイアも再び安心感を覚えている。彼女らの健闘を静かに微笑みながら祈っていた。フレイアの送り出した騎士団の正体とは……?
一方でちょうど同じ時刻の頃。オベイロンらマッドネバーが潜む町外れの洞窟では、とうとうクーデターに向けた決起集会が執り行われていた。
「ハハハ……! 遂にこの時が訪れたぞ!! この僕がALO星の支配者に成り代わるこの日が!! 僕を認めない愚かな妖精共と、のうのうと権力にふんぞり返る王女に、目にものを見せてやろうじゃないかぁぁぁ!!」
「グロォー!!」
「オー!!」
「エイヤー!!」
「ギギギ!!」
壇上にてオベイロンは、私怨を交えた演説を力強く語っている。その表情も迫真さを極めていた。彼の熱意に賛同するように、集結した怪人達は唸り声を高らかに発していく。
洞窟内に潜む怪人達は皆、オベイロンの手により欠片から復元されたいわば再生怪人である。強靱な戦闘力を持つグロンギ。超能力者を抹殺するアンノウン及びエルロード。鏡の世界を行き来するミラーモンスター。全身が灰色に覆われたオルフェノク。不死能力を持つ動物の始祖アンデッド。自然界に潜む魔化魍。擬態能力を持つワーム。高い実力を誇る未来の怪人イマジン。吸血鬼の如く生命体を襲うファンガイア。ガイアメモリにより変身した化け物ドーパント。人の欲望から生み出されたヤミー。星座をモデルにしたゾディアーツ。人々を絶望に陥れるファントム。独自の植物を操るインベス及びオーバーロード。重加速能力を持つロイミュード。偉人をモチーフとする眼魔。ゲームの悪役に酷似したバグスター。特殊なガスにより改造されたスマッシュ。他にもライオトルーパーやカッシーンなどの戦闘員部隊も復元されており、これまでにも歴代の平成仮面ライダーを苦しめた強敵が、マッドネバーの戦力として配属している。彼らの目的もオベイロンと同じく、ALO星とその中心街アルンの制圧である。
そんな圧巻とも言える禍々しい光景に、夜兎や辰羅が変身したダークライダー達も驚きに満ちあふれていた。ちなみに彼らは既に変身した後である。
「って、いつの間にここまで復元したんだよ」
「ざっと見て五十体は超えているな。都市の制圧に関しては、申し分ない戦力だろう」
リュウガやポセイドンはあまりの怪人の多さに感服していた。後者によれば、これだけの人数でも都市の制圧はたやすいと言う。
一方でダークキバやソーサラーは、とあることが気になっていた。
「アレ? そういえば、アイツに味方していた妖精達はどこに行ったの?」
「あぁ、あの人達か。オベイロンによると、ついさっきミラーワールドへ封じ込めたらしいよ」
「えっ? そうなの?」
「自分が頂点に立つから、もうすでに用済みらしいよ。幸いにも私達は魔力が元々無いから、対象外らしいけどね」
「うわぁー、可哀想。やっぱりアイツ、クズじゃん」
「何を今更。分かりきっていたことでしょ」
僅かにオベイロンの考えに賛同していた妖精の仲間達だが、どうやら彼らは真っ先に前線から外されたらしい。しかもソーサラーによると、鏡の世界であるミラーワールドを作り出して、そこに仲間をまとめて幽閉しているという。全ては自分がALO星の頂点に立つために。何のためらいもなく、僅かな仲間にすら簡単に裏切ってしまう。あまりの卑劣さに、そばにいた亜由伽ことダークキバもどん引きしている。
そんな陰口にも一切気付かず、いや聞き入れずにオベイロンの独裁的な考えはさらに強まっていく。そのまま彼は今後の作戦を発表していた。
「これより作戦を発表する! 僕と幹部怪人部隊aと一般怪人部隊、戦闘員部隊aはアルンの襲撃に向かえ! どんな妖精であろうと、倒さずにミラーワールドへと幽閉させろ! 奴らの魔力も奪い去り、二度と抵抗できないようにするのだ! そしてダークライダー部隊と幹部怪人部隊bと戦闘員部隊bは、あのガキの連れ去りを命じる! いるとされる地球まで向かい、何としても捕まえてこい! いいかお前ら!! 抵抗する者を全てねじ伏せて、この僕が正しいことを証明するのだ!!」
と大まかに分けると、都市の制圧とユイの連れ去りが最初の目的である。未だに平成仮面ライダーの力を諦めきれず、その関連が強く疑われているユイにも容赦のない一手を加えようとしていた。
このまま順調に集会が収まろうとした――その時である。
〈バーン!〉〈ドガーン!〉
「な、なんだ!?」
連続してアジトの入り口付近から、大きい爆発音が鳴り響いていく。突然の出来事にオベイロンも戸惑いの表情を浮かべている。皆がその入り口付近に注目していると、警備をしていた一体のカッシーンが内部へ逃げ出すように姿を見せてきた。
「オベイロン様! 何者かがこのアジトに襲撃を仕掛けて……ぐわぁ!?」
と言いかけた途端、またも大きな爆発がカッシーンに襲いかかる。同時に後ろの燃えさかる炎からは、大勢の人影が薄らと浮かんでいた。
「何が起こっている……?」
「おや、あいつらは?」
人影の正体を追うダークライダー達は、早くも彼らの正体を把握していく。そう考えを巡らせているうちに、凜とした男性の綺麗な声が場に聞こえてくる。
「久しぶりだな。しばらく見ないうちに、面白ぇおもちゃが増えているじゃねぇか。俺にも遊ばせてくれよ……!」
「た、高杉晋助!?」
その通り。この爆発を起こした正体は、高杉晋助及び鬼兵隊の面々であった。彼らは以前にオベイロンの一派から喧嘩を売られており、その貸しを返しにわざわざALO星まで向かったのである。全てはオベイロンやマッドネバーに復讐を果たすため。アジトまで侵入して、堂々と宣戦布告を果たしている。
対するオベイロン本人は、咄嗟の乱入により開いた口が塞がらず、しばらく体を固めてしまった。
「このタイミングで鬼兵隊の乱入か」
「なんだい。面白いことになってきたじゃないか」
一方のダークライダー達は、鬼兵隊の乱入に少しばかり面白みを感じている。思わぬ対峙が実現しそうで、戦闘に強く渇望していた。
対する鬼兵隊は、オベイロンの作り出した怪人軍団に驚きを示していく。
「なるほどな。この怪人軍団こそが、奴らの狙いだったのか」
「結局私らは利用されただけってことすか!?」
「そのようですね。ならば私達が後始末をしなければ。一応喧嘩も売られていますからねぇ」
万斉、また子、武市と次々に思ったことを発していく。元々は正式な契約の元で合意した取引相手。それがいつしか相手側が裏切り、仕舞いには数週間前のような抹消未遂事件に発展するほど両者の関係はこじれていた。いや、元々互いに信頼など無かったと言う方が正しいのかもしれない。いずれにしろ鬼兵隊は、黙って見ている訳にもいかず、文字通り彼らの売った喧嘩を正々堂々と受けることにした。上記の三人のみならず、ついてきていた武士達もまた同じ気持ちである。
するとオベイロンもようやく事態を把握していく。咄嗟に不気味な笑みを浮かべて、高杉らに話しかけてきた。
「……何と! こいつはたまげた! 用なしとなった君達が、今更僕に何の用だ!?」
「フッ、簡単さ。売られた喧嘩を百倍へ返しに来ただけだ。こちとら黙っている訳にもいかなくてな」
煽り気味に会話する彼に対して、高杉は一切目線をずらさずに淡々と受け答えしていく。どちらも同じ声質のように聞こえるが、それはただの勘違いであろう。
するとオベイロンから真っ先に仕掛けてきた。
「そうか。何とも義理堅い連中だ。だったらすんなりと受け入れてやろう。この僕が! 邪魔なお前らに引導を渡してやろうか!」
〈エターナル!〉
力強くアナザーエターナルウォッチを握りしめて、上部のボタンで起動していく。それを胸元に当てていき、禍々しい光と共にアナザーエターナルへと変貌を遂げたのだ。
「アハハハ! これこそが僕の最高傑作だぁ!! さぁ、この僕に勝てるかな!?」
同時に現れたガイアキャリバーを強く握りしめて、その先端を高杉に向けて差し出していく。自分が作り上げた偽りの強さに、よっぽどの自信があるようだ。
対して高杉は彼が変身しても一切動じてはいない。ただただ冷静に受け答えしていく。
「そうかい。喧嘩かと思いきや、ちと違ったらしいな。この大群でドンパチやるなんざ、戦争と言った方が性に合っているな」
そう発すると彼は目をより鋭く睨み付けて、こちらも帯刀していた刀を引き抜き、オベイロンことアナザーエターナルに向かいそれを差し向けていく。
「オベイロン。一つだけお前に言っておく。喧嘩だろうと戦争だろうと……俺達に売った時点でてめぇらはしめぇだってな!」
その言葉を合図にして、鬼兵隊は揃って武器を手に取り……このまま敵軍に向かい突進していく。
「行くぞ」
「おう」
「任せるっす!」
「「「おりゃゃ!!」
対するマッドネバー側も即座に応戦していく。
「やれぇ、野郎ども!」
「やれやれ」
「仕方ないな」
彼の指示の元、ダークライダーやライオトルーパー、カッシーンが鬼兵隊と勢いよく衝突している。互いの信念がぶつかり、クーデター直前に思わぬ戦いが勃発してしまう。
さらにはマッドネバーのアジトには、フレイア直属の騎士団も向かっていた。
「……僕達が姫様の使命を果たすんだ!」
ALO星ではさらなる戦いが始まろうとしていた……!
これにて長篇の前篇とも言える次元遺跡篇は幕を下ろします。次回の長篇に向けて、大いに事態が動き出しました。
フィリアから結晶を請け負った銀時やキリトら万事屋一行。未だに謎が残るユイと遺跡との関係。ダークライダー達にリベンジを誓うシリカやリズベットら女子達と、近藤ら真選組の三人。遂にクーデターを実行させるオベイロンらマッドネバー。そして彼らへ報復を仕掛けてきた高杉達鬼兵隊。早くも役者たちが揃いそうです……。
さらに今回は、ALO星の姫様としてフレイアが初登場しました! SAO本編ではキャリバー編にゲスト出演したキャラですね。ここで注目していただきたいのは、彼女に従える六人組の騎士達。僕と名が付くと、察しの良い方はお気づきかもしれませんね。
ちなみに今回の話の細かいポイントとして、リーファの描写にこだわりを入れています。彼女は他のキャラと比べて、命懸けの経験を初めてしたので、それも踏まえて戦う意味を改めたのです。守るべきものが出来た彼女の成長にも注目してください!
(本作品はアリシが始まる前の時系列なので、その過程を含めていないのでご了承ください)
さて次回は今後の戦いに向けた特訓回? をお送りします。
次回予告
シリカ「みんなで強くなるんですよ!」
リーファ「戦いは乗りで決まるのよ!」
銀時「急にどうした、お前ら」
キリト「特訓なら俺達も手伝うよ」
クライン「ちょっと待ったぁ! 俺達も入れさせろ!!」
桂「俺、参上! さぁ、最初から最後まで――」
銀時「言わせねぇよ! お前らをクライマックスにさせてやろうか!!」
妙「あらあら。だったら私達、超鉱石女(ダイヤモンドパフューム).netに任せなさい!」
アスナ「若干名前が違うような……?」
高杉「てめぇの好きにはさせねぇよ」
アナザーエターナル「それはどうかな!?」
???「そう、僕らは姫様直属の騎士団! そして僕がそのリーダー――!」
次元遺跡篇十 実力アップグレート
そして次回! 妖国動乱篇、最重要人物を発表!!