剣魂    作:トライアル

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 あけましておめでとうございます! 今年もよろしくお願いいたします!!
 新年一発目は長編の続きからです! ユイに託されたアイテムの一端が、遂にその正体を現します……それではどうぞ!




前回のあらすじ
 マッドネバーの野望を食い止めるべく、世界樹へ忍び込んだ銀時、キリトら一行。本性を現したシグルドが、仮面ライダーシグルドになりダークライダーと共に彼らへ襲い掛かる。
 一方のアスナ、神楽一行には、遂に騎士団の最強格であるユウキがその姿を現す! 真実を知りながらもアスナは、この世界のユウキの気持ちを受け止めていく。
 世界樹には次々と仲間達が侵入しており、総勢三十七人と二匹が打倒マッドネバーの溜めに動いている。
 以上。ここまでのナレーターはこの俺クラインが伝えたぞ。
新八「いや、アンタのナレーションだったんかい!?」

※ウィザードのナレーションでも、クラインを演じた平田広明さんが演じられていたので。



第八十四訓 決戦の幕開け

 場面は世界樹の五階通路。ここではつい先ほどまでアスナやユウキがダークライダー達と交戦した場所であり、現在はユウキの機転によりダークライダー達は追い払われている。

 元の姿に戻ったユウキは、アスナとの気持ちを分かち合い、再び会話を交わしていく。

「どう? 落ち着いた?」

「うん。もう平気よ。ユウ……」

「もし呼びづらかったら、あだ名でも良いよ。僕は気にしないし!」

「じゃ……ユッキーで」

「おぉぉ! アッスーと同じイントネーションアル!」

 アスナの気持ちを察して、ユウキは気を利かせた一言をかけている。ユウキをユッキーと呼び名を変えて、本物のユウキと区別するために配慮していた。ちなみにユッキーと名付けたのは、単純にアッスー呼びされているからである。

「でも、なんでアッスーと呼んでいるの? 私の名前はアスナよ」

「アスナ……えぇ!? そうだったの?」

「今気づいたの?」

 気になって本人に理由を聞くも、神楽の呼び名から誤って伝わったからだという。これにはユウキだけではなく、アスナも少しばかり驚いていたが。たわいないやり取りを後に、二人は可笑しくなってクスっと笑っている。

 皆が二人のやり取りに一安心すると、ユウキは改まってアスナや仲間達に自己紹介を交わしていく。

「えっと……皆さん初めまして。僕はユウキって言います。訳あってウサギの姿に変えられていたけど、こっちが本当の僕だから。普段は姫様を護衛したり、街の平和を守ったりしているよ。みんな、よろしくね!」

「おう! よろしくアル、ユッキー!!」

 彼女の簡単な自己紹介に神楽が元気よく反応している。だが一方で仲間内では、反応が三分割化していた。新八や神楽のように初めてユウキの存在を知る者や、真選組のように噂は一通り知っていた者。そしてクラインやリーファのように、アスナと同じく元の世界のユウキと姿を照らし合わせている者。皆が違った反応を露わにしている。

「まさかこの星の騎士団の一人と出会えるとはな」

「こりゃ面白ぇ。いっちょ手合わせしてみたいですねぇ……」

「総悟。今は空気を読んどけ」

 ユウキが強者だと知るや否や、沖田は刀を構えて早速彼女に睨みを利かせていた。先走る彼に対して、土方はそっと注意を加えていく。

 一方でリーファやクラインも、優し気な気持ちでユウキと接していた。

「よろしくね、ユッキーさん!」

「うん! って君達も、別世界の僕のことを知っているの?」

「まぁ、ややこしいけどな。すまないが、俺達もこの呼び方にするぜ」

「全然構わないよ。何なら別の呼び方でも良いし。アントニオユッキーとかジミーユッキーとか、ガッツユッキーにピエー〇ユッキーでも良いよ」

「なんで名前のチョイスが、全部古臭いんだよ! ていうか、最後のだけピー音出てたぞ! まだ許されてないのか!?」

 ユウキの心遣いからか、次々と代わりのあだ名を羅列しているが、どれも懐かしさを感じる芸能人ばかりである。これにはリーファやクラインも共に苦笑いを浮かべ、すかさず新八が激しいツッコミを入れていた。銀魂世界の住人特有の片鱗を、真っ先に披露していく。

 そんな中でユウキは、散々な目に遭ったフィリアに声をかけている。

「ところで君は大丈夫だった? あの……鼻水は」

「ギリギリ大丈夫だったよ。正直に言うと奇跡だけどね、回避できたのは……」

 自身の無事を改めて奇跡的に感じていた。どうやらフィリアは近藤が落とした鼻水の束を、ギリギリで回避したという。九死に一生を得るとはまさにこのことに違いない。別に死ぬわけではないが、一生の恥を被ることは確かである。

「いやー、大変な目に遭わなくて本当に安心したよ! ハハ!」

「って、元を辿ればアンタの鼻水が原因なのよ!!」

「ブフォ!?」

 さり気なく近藤も彼女へ元気づける一言をかけるが、今はタイミングが悪かった。元も子もないツッコミに加えて、フィリアは近藤へ不意打ちが如く腹に力強い拳をぶつけていく。思わず苦しそうな表情を浮かべる近藤に対して、フィリアは満足そうな表情となっていた。彼女の気は済んだようである。

 共に話が一旦区切りを付けたところで、ユウキは今後の目的を仲間達へ伝えようとしていた。

「あっ、そうだ。みんな! これを見て」

「これは……メモリ?」

 ひとまずは注目を集めると、彼女は現在所持しているメモリを明かす。アスナらをALO星へ導いたAのアルヴヘイムメモリ、未使用のLのリードメモリ、ユウキの仲間達を一時的にサイバー空間に封じたOのオンラインメモリ、そしてユウキをウサギに変身させたRのラビットメモリの合計四種類である。

「そういえばこれって、結局どんな物体アルか?」

 神楽からの素朴な問いにユウキが返答した。

「僕もあんまり分かっていないんだけど、恐らくこの他にもメモリがたくさんあるんだと思う。アルファベット通りに行けば、二十六本とか?」

「それが全部揃うと……奴等の思惑通りになるってことかい」

「そうだと思う!」

「だから血眼になって探していたのか」

「絶対にこのメモリは奪われないようにしないと!」

 彼女はこのガイアメモリが、マッドネバーにとって重要な代物だと予測。この四本のメモリを奪われないことが、今後の戦いにて必須になると伝えていく。沖田や土方らも薄々その情報に注視している。

 はっきりと仲間達に伝える様を見て、横にいたアスナはそっと一言だけ呟いていた。

「ユッキーも強い意志を持っているのね……」

「ん? どうしたの、アッスーさん?」

「なんでもないわ。ユッキーのリーダーシップに感激していたのよ」

「別に褒められるほどじゃないよ! でもありがとう! アッスーさん!」

 アスナはユウキのリーダーとしての才を見抜き、率直に思ったことを彼女に伝える。ありのままの言葉を受けて、ユウキは思わず照れて感謝を返していた。その素直さには、アスナもそっと笑みを浮かべる。数分前の出会いを通じて、二人の距離感はグッと縮まっていた。

「アッスーも元気になっているアルナ」

「もう心配しなくても大丈夫そうですね」

 その幸せそうな光景には、神楽や新八、リーファらの仲間達も一安心している。もう気を遣わなくても良いようだ。

 こうして彼らはユウキとフィリアをチームに迎い入れ、打倒マッドネバーに向けて行動を共にしていく。

「さぁ、敵がいつ来るか分からないしこのまま進んじゃおう! ユイちゃんも取り戻して、街の人々もみんな救おう! 準備は良い? みんな」

「行こう!」

 威勢よく仲間達を引っ張っていき、敵の存在を警戒しながら彼らは、最上階を目指して上に駆けあがっていく。困難を共にしたユウキらにとっては、もう怖いものは無いのである。

 

 一方で世界樹のとある場所では、殺伐とした戦いが繰り広げられている。そう、銀時やキリトらがダークライダー達と交戦しているのだ。

「「ハァァァ!」」

「フッ!! ……前よりは歯ごたえがあるじゃねぇか。ちっとはマシになったようだな!」

「アタシ達だって前より強くなっているんですよ! 

「全てはアンタにリベンジを果たすためよ……!」

 全身全霊を懸けて攻めの姿勢に徹するのは、シリカとリズベットの二人。彼女達は以前に敗北したリュウガに屈辱を果たすべく、協力して彼と対峙していた。各々の武器であるダガーやメイスを用いて、確実な攻撃を次々に与えている。その様は以前に戦った時と見違えるほど異なっていた。それでも戦況はリュウガが上であるが。

〈adobent!〉

「ならこいつはどうか?」

 有利な状況を作り出すべく、リュウガはアドベントカードで召喚モンスターであるドラグブラッカーを呼び出す。体格差で彼女らを封じ込もうとする。

「ピナ! 頼みます!」

「ナー!!」

 そんなドラグブラッカーに対抗するべく、シリカは共に戦っていたピナで応戦していく。ただドラグブラッカーとは体の大きさが異なり、前回のように蹂躙されるだけと思いきや、

「ナァァァ!!」

「グルォォォ!!」

ピナはほぼ互角に立ち回っていた。小柄な体格を生かして、素早く攻撃を回避。周りの壁も余すことなく利用して、ドラグブラッカーの放つ火球も相殺や打ち返すなどで対処していたのだ。ピナも負けた悔しさを晴らすように、今度こそ勝利を掴むべく動いている。

 ほぼ互角に立ち回っている姿を見て、リュウガも若干困惑めいた反応を示す。

「何だと?」

「見ましたか! これがピナの底力ですよ!」

「今度はアタシ達の番よ! ハァァ!!」

 シリカ、リズベット共に追い風が来ていると予見して、この勢いのままリュウガを倒そうと駆け出していく。ようやく勝機が見えた――そんな時である。

「甘い!」

「えっ!? 消えた……!?」

「また鏡の中に逃げたのね……!」

 リュウガは奥の手として残していた鏡への侵入能力を使い、一旦場から姿を消していた。当然この能力も二人にとっては想定内で、共に不意打ちを警戒しつつ辺りを見渡している。

そんな時であった。

「フハハハ! 俺も戦わせてもらおうではないか!」

「か、桂さん!?」

「びっくりした!? 急に出てこないでよね!」

 彼女達の元に助っ人として桂小太郎が乱入している。癖の強い高笑いを上げながら、周りをまんべんなく注視していた。

「そう言うな。この俺に任せておくが良い。相手が反射を利用して奇襲しようものなら……」

 リズベットからの文句を一蹴しつつ、桂は意気揚々とある場所に狙いを定めている。そのまま懐から、隠し持っていた時限爆弾を取り出すと、

「馬鹿め! 俺はここだ!」

「見えたぞ!」

光の反射から抜け出したリュウガにぶつけていた。

「ぐはぁ!?」

 偶然とも言える攻撃にはリュウガも避けることが出来ず……

〈ドカーン!!〉

ちょうど時限爆弾の時刻がゼロになり、周囲には爆発が起きている。桂なりの返り討ち攻撃は、彼の動体視力を活かしたとっておきの作戦だったのだ。

「爆発!?」

「アンタ、そんなものまで隠し持っていたの!?」

「フッ、俺の十八番だな。さて、やったか?」

 初めて目にする桂の爆弾攻撃には、シリカ、リズベット共に戸惑う。一方の桂は爆発に巻き込まれたリュウガの行方を追っていたが、

「……や、やってくれたなぁぁ!!」

「何!?」

「やっぱりしぶとい……!」

不運にも致命的な攻撃は与えられなかった。彼は爆弾を差し向けられたことに激高して、桂をも標的に向けている。一進一退の攻防は、まだまだ続くようだ……。

 

 その傍らでは、シノンとエリザベス、定春がソーサラーを相手に立ち回っていた。

「ハァァ!」

「おやおや。自慢の遠距離戦は諦めたのかい?」

 シノンはなるべく体力を温存しつつ、ソーサラーへの積極的な攻撃は控えている。相手の発動する魔法や衝撃波を警戒しながら、じわじわと距離を近づけていた。

 得意の遠距離戦を展開しない理由には、ソーサラーの魔法が関係している。以前に対峙した際にも、コネクトの魔法で解き放った矢が全て防がれた事があるからだ。魔法を発動する指輪を壊そうとも、代用があるのならば破壊する意味を成さない。

 だとすれば、彼女が出すべき答えはただ一つである。

「違うわよ! ハァァ!」

「こんな弓矢……何!?」

 一瞬の隙を突いて渾身の矢を放つシノンだが、やはり簡単に見抜かれてしまう。容易くもソーサラーが手に取った時――矢の先端から真っ白い粉が辺り一面に飛び散り、彼女の視界を遮っていた。

 シノンが長い時間をかけて思いついた対策は、接近戦に加えて多種多様な矢を用いて確実な攻撃を与えることである。自分にとって苦手な分野だが、ソーサラーと決着を付けるために何度も努力を重ねていた。文字通り一矢を報いたことには、シノン自身も満足げな表情を浮かべている。

「この距離なら魔法で防ぎきれないわよね! 対策も用意したから、そう簡単に私は倒せないわよ!」

 勝利への道筋がようやく見えたことで、自分自身への自信にも繋がっていた。弓を相手に差し向けながら、高らかに思ったことを相手にぶつけていく。

 だがしかし、ソーサラーもただの不意打ち如きでは怯まない。

「おのれ……! たかが小娘が……生意気なこと言うんじゃないわよ!!」

〈ルパッチマジックタッチゴー! ジャイアント、ナウ!〉

 お返しと言わんばかりに彼女は早速魔法を発動。自身の体の一部を一時的に巨大化させるジャイアント魔法で、シノンへ物理的なダメージを与えようとしていた。左腕の一部を大きくさせている。

「うっ!? 間に合わない……?」

 彼女は即座に攻撃を避けようとするも、近くに仲間が別のダークライダーと戦っているためか、彼らを巻き込むことを危惧していた。行く手を阻まれながらも、最後まで最善策を考え続けていた――そんな時である。

「ワフ!」

[ここは俺に任せろ!]

「定春!? エリザベス!?」

 シノンの目の前には、定春とエリザベスが助っ人として駆けつけていた。前者はシノンを背中に乗せて、比較的安全な場所まで移動させている。

 一方のエリザベスはぶっきらぼうな表情のまま、その目線はソーサラーが巨大化させた腕に集約されている。そっとシノンと定春がエリザベスの動向を見守る中、彼はとある打開策を閃いていく。

[見えたぞ!]

「見えたって、何か対抗する術を見つけたの?」

[あぁ。グーにはパーだ!]

「……はぁ?」

「ワン!」

 一瞬だけ興味を寄せたシノンだったが、思いもよらぬ一言につい唖然としてしまう。何を言っているのか正直分からないが、プラカードにはちゃんとその言葉が書かれている。それから間もなくして……彼女は信じ難い光景を見ることとなった。

〈ウィーン! ガシャーン!!〉

「何……押し返しただと!?」

 巨大な拳が衝突する直前に、エリザベスの黄色い口からは、手を広げたパーの形をした鉄の拳が飛び出ている。もはや力業でソーサラーの拳を跳ね返したのだった。

 無論エリザベスの予想外の行動には、ソーサラーのみならずシノンも大きく驚嘆としている。例え説明があろうとも、十分な理解は出来ないと心の中で思い始めていた。ちなみに定春は、エリザベスの様子からこの行動は予見出来ていたという。

 するとエリザベスは即座に鉄の拳を、体内にさり気なく戻している。そして何事も無かったかのように、シノンの無事を確認するのだった。

[大丈夫だったか?]

「大丈夫なんだけど……今の何!? 明らかに体よりも大きい腕だったよね……?」

[無事なら何よりだ。さぁ、油断せずに行くぞ!]

「ちょっと!? ……黙ってた方が良いのかしら?」

 気になって聞くもやはり詳しくは答えてくれない。いや、あえて黙秘を貫いているのかもしれない。どちらにしてもシノンは問い詰めることを諦めて、彼や定春と共にソーサラーとの戦闘を再開していく。意外なところで、エリザベスの謎を知った彼女だった。

 

 そして銀時とキリトは、シグルドが変身した仮面ライダーシグルドと真っ向から対峙している。

「はぁ!」

「ふっ!!」

 相手の未知なる能力に警戒しつつも、攻めの姿勢を崩さない二人。隙あらば攻撃を与えており、戦況を見極め自身の優勢を作れるように奮闘していく。

 一方のシグルドは、次々と浴びせられる斬撃に怯むことなく、自身の戦いへのペースを保っている。

「今だ!」

「何!? かわせ!!」

「あぁ!」

 タイミングを見計らって、シグルドは武器であるソニックアローに溜めたエネルギーの矢を解き放つ。銀時やキリトらに狙いを付けたものの……ギリギリで攻撃をかわされてしまう。だがしかし、

「甘い! もう一つあるぞ!」

「うわぁ!?」

「銀さん!? ウッ!?」

シグルドは攻撃の手を緩めることなく、今度はソニックアローの刃付近から衝撃波を解き放っている。所謂囮だった連続攻撃を受けてしまい、銀時、キリトと共に否応なしに後退してしまう。

 攻撃が綺麗に決まったことにより、シグルドは早くも調子に乗り始めていた。

「フハハハ! これがライダーの力と言うものか。お前らとはまるで雲泥の差だな。これでは俺を倒すことも出来ないだろう!!」

 仮面の中ではにやけた笑みを浮かべながら、存分に二人を嘲笑っている。挑発のような振る舞いで、精神的にもダメージを与えようとしていた。

 ところが二人には、この挑発すらもまったく通じていない。

「フッ……たかが変身しただけでここまでイキれるとは、お山の大将気分ですか。コノヤロー!」

「何だと?」

「どんなに力を過信しようとも、アンタは自分の力は信じていないはずだ……こんなことじゃ、俺達には絶対に勝てないよ!!」

 手痛い一言を向けられてしまい、思わずシグルドは黙り込んでしまう。銀時やキリトの指摘通り、強い力に固執するシグルドは自分の事すらも信じていないのだ。

「うぅ……そんなのはただの戯言だ! 所詮は強大な力の前には、何もかもが無力なのだよ!!」

「そうやってアンタは、適当な理由を付けて逃げ続けているんだろ!」

「お前のようなヤツに俺達は絶対負けねぇよ。馬鹿共の底力、見せつけてやらぁ」

 無我夢中で反論するシグルドだが、瞬く間に二人からは正論を言われている。銀時やキリトらと決定的に違うのは、培われた精神力なのであろう。先ほどまで余裕を持っていたシグルドも、この会話を通じて態度が豹変している。一方で銀時とキリトは真剣な表情を浮かべたまま、依然として諦めることなくシグルドに何度でも挑む所存だ。

 各々がダークライダー達と激しい戦闘を展開していく……。

 

 そんな彼らの様子を、二階通路の死角からそっと覗いている者がいた。そう、隠し通路を伝って来ていたユイとシウネーである。

「あぁ……皆さんが!」

 ダークライダーを相手に互角に立ち回る仲間達だったが、次第に劣勢へと追い込まれてしまう。厳しい戦いが続き、いつ戦況が悪化しても可笑しくないところまで発展していた。苦戦するキリトらの姿を見て、シウネーもただ黙って見ているわけにはいかない。

「もう我慢が出来ません! 私も戦いに参加します!」

 と後先を考えずに戦地へ向かおうとした時――思わずユイが止めに入っていた。

「いや、待ってください! ここは……このアイテムが使えるかもしれません」

「えっ?」

 彼女はシウネーを説得しつつも、手にしていたアルヴドライバーに再び目を通している。平成仮面ライダーの力を宿したこのアイテムを使用して、彼らを救おうと考えていた。

 しかしユイには、一つだけためらっていることがある。

「はい。ですが……本当に私にも使いこなせるのでしょうか?」

「ユイさんはそのことを心配しているのですか?」

「はい……」

 シウネーからの問いにユイはこくりと頷く。彼女はライダーの力を使用することに今更ながらためらいを覚え、力や自身を信じ切れずにいる。深刻そうな表情を浮かべ、じっとアルヴドライバーの方に目を向けていた。

 そんな彼女の迷う様子を目にして、今度はシウネーが励ますように説得していく。

「大丈夫ですよ。私は断片的にしか分かりませんが、ユイさんはそのライダーさん達に認められたのですよね。でしたら、後は自分を信じるだけだと思いますよ」

「自分を信じる……」

 シウネーの言う通り、ユイに足りないのは自身の可能性を信じる姿勢だった。仲間を助けたい気持ち。それを自分自身が実現させることは、特段難しいことではない。

 次第に彼女は、自分やライダーの力を改めて信じ始めていく。

「そうですね。きっと今の私なら出来るはずです。ライダーさん達も……私の想いに答えてくれますよね」

 優し気な表情を浮かべつつも、すぐに表情をキリっとさせる。どうやら彼女なりの覚悟は決まった様子だ。

 するとユイは手にしていたアルヴドライバーを、自身の体に装着する。一つはブレスレット型として左腕に。もう一つはベルト型として腰に巻いていた。手探りで行っていたが、これにて準備は万全である。

〈ヘイセイジェネレーション!〉

「えっと……こうです!」

 そして仕上げとして、ユイはヘイセイジェネレーションメモリを起動。ちょうどメモリを入れる窪みがある、ブレスレット型に装填していく。

〈ヒューン! ブゥーン! ファイナルベント! エクシードチャージ! ライトニングソニック! ――〉

 するとドライバーからは音声が鳴り響き、ライダーの必殺技音声が次々に発せられた。

「えっと……次に何をすれば」

 アルヴドライバーの仕様に困惑するも、ユイは次なる行動を模索していく。正解の行動が見当たらない中、シウネーはある考えを閃いていた。

「あっ。このブレスレットとベルトを合わせれば良いんじゃないでしょうか」

「二つを……こういうことですか?」

 よく見るとブレスレットとベルトの液晶部分が半々に分かれており、これを一つに合わせることで動作が完了すると予見している。ユイもその考え方を信じて、二つのアイテムを合わせて一つの液晶に組み合わせていく。

 液晶には平成仮面ライダー二十人分の紋章が浮かび上がっていた。どうやらこの行動で間違いなかったようである。

「出来ました! って、キャ!?」

「ユイさん!?」

〈ヘイセイタイム! 全ての力を今! 一つに……! ヘイセイジェネレーションズ!! フィーチャリング……ユイ!!〉

 大いに喜ぶその傍らで、二人の周りには眩い光が襲い掛かっていた。共に目をくらませる最中で、威厳のある声と変身音に合わせて、ユイは金色のオーラをまといながら平成仮面ライダーの力をその身に宿していく……。

「ん……? って、ユイさん! 見てください、そのマントを!」

「マント? って、これは!?」

 気が付いた時には、ユイにのみ変化が生じていた。彼女は各ライダーの紋章が随所にあしらわれたピンク色のマントを羽織っている。マント以外は外見や服装にも変化は無いようだ。一応変身した設定で、変身前に比べると静かに力の鼓動をユイは感じ取っている。

「こ、この姿は……」

「ライダーさん達の力が伝わってきます……名付けてヘイセイジェネレーションと言うべきでしょうか」

「な、長い名前ですね……」

 思い付きで放った名称を聞き、シウネーは若干反応に困ってしまう。それでも今は、この新たな姿に希望を見出していく。ユイも自分自身をしっかりと信じ込んでいる。すると彼女の心には、ライダー達による数多の戦いの記憶が刻み込まれていた。

「ハッ!? 今のは……」

「今度はどうしたのですか?」

「戦いの記憶を感じ取ったのです。ライダーさん達の……」

「やっぱり強大な力を秘めているのですね」

「でもこれならば、きっと行けます!!」

 大いなる戦いの記憶に体を震わせながらも、次第にその覚悟を決めている。再び真剣そうな表情を浮かべると、すぐにアルヴドライバーのブレスレット型を操作していく。

「えっと……ここを押せば」

 液晶部分を動かしていくと、彼女は手始めにとあるライダーの力を解き放つ。

〈ゴースト! 闘魂ブーストパワー!!〉

「ハァ!!」

 対象のライダーを選択すると同時に、再びブレスレットとベルトの液晶を合わせていく。液晶にはゴーストの紋章(ライダーズクエスト)が映し出されており、この紋章を完成させることで、対象のライダーの力を行使出来るらしい。

 ユイが最初に使用したライダーの力は、仮面ライダーゴースト。偉人の力を宿すライダーであり、彼女はゴーストの中間フォームである闘魂ブースト魂の力を開放していた。

〈俺がブースト! 奮い立つゴースト!!〉

〈サングラスラッシャー!〉

 召喚したのは闘魂ブースト魂の武器であり、サングラスを模した炎の刀剣サングラスラッシャーを装備していく。

「あの時の炎の剣みたいです……ハァァ!」

「って待ってください、ユイさん!」

 勢いに余ってユイはシウネーの静止を振り切り、単身キリトらを手助けするべく動き出している。敵への恐れを振り切りつつ、大切な人を助けたい気持ちで体を押していた。そんな彼女をシウネーが心配して追いかけていく。

「フッ!」

「ここだ!」

「ヤァ!」

 一方で銀時とキリトは、猛攻の末にようやくシグルドとの戦いで優勢を保つ。相手の動きや攻撃方法、果ては癖まで瞬時に見抜き、途中からは器用な立ち回りで戦いを有利に進めていた。それでも油断大敵な現状なのだが。

「うぅ……押されてたまるかよ!!」

〈ロックオン!!〉

 一念発起が如くシグルドは、ここで大胆な動きに出ていた。ソニックアローにチェリーエナジーロックシードを装填しており、サクランボ状のエネルギー波を解き放つ必殺技、ソニックボレーを二人にお見舞いしようとする。

「これでもくらえ!」

 即座にエネルギーを溜めており、相手の隙を突くように必殺技を発動していた。瞬く間にエネルギー波は、銀時らの元に向けられていく。

「おい、かわすぞ!」

「いや、ここは受け止め……」

 強力な技を目の前に、二人の意見が真っ二つに分かれてしまう。僅かな時間の中で必殺技の対処を考えていた――その時である。

「私に任してください!!」

 何の前触れもなく彼らの目の前にて、聞き覚えのある仲間の声が聞こえていた。ふと目線を向けると、そこには探し続けていたユイの姿が見えている。

「おいおい、まさかこの声は……」

「ユイなのか……?」

「はい! やっと再会出来ましたね、パパ! 銀時さん!」

 予想外とも言える再会に、銀時、キリト共に驚きから体も口も固まってしまう。動きの止まってしまった彼らとは対照的に、ユイはサングラスラッシャーを用いて、シグルドの必殺技に対抗。サクランボ状のエネルギーを力づくで相殺してしまった。

「何だと!?」

 渾身の必殺技を打ち消されたことに、シグルドも素直に動揺している。だが彼とは異なり、他のダークライダーや銀時らの仲間達はユイの存在に衝撃が走ってしまう。

「はぁ!? なんであのガキがいるのよ! 檻に閉じ込めておいたはずでしょ!」

「僕だって知らないよ。さては門番がしくじったな……」

 捕らえていた人質がいつの間にか逃げ出したことには、ソーサラーも大いに取り乱してしまう。話しかけられた側のリュウガは、冷静にも門番の責任だと見抜いていたのだが。

「ユ、ユイちゃん!?」

「えっ、嘘!?」

「なんでここにいるのよ……!?」

 シリカ、リズベット、シノンら女子達も同じように困惑しており、戦いの熱気もいつの間にかユイの登場によって打ち消されてしまう。

 一方で桂とエリザベスは、ユイの羽織っているマントに注目を寄せていた。

「あのマントはなんだ? ただの布切れには見えぬのだが……」

[とんでもないオーラを感じるぞ!]

 エリザベスの一言はあながち間違いではないが。

 そしてシグルドからの必殺技を相殺したユイは、戦闘中にも関わらずキリトや銀時との再会を喜んでいる。

「どうですか、このマント! 似合っていますよね?」

「あぁ似合っている……って、それよりも! 一体どうしてここにいるんだ!? オベイロンの元から逃げてきたのか!?」

「えっと、これには深い事情があってですね……」

「いや、それよりもこの武器はなんだ! なんでお前が長谷川さんを武器にしているんだよ!?」

「長谷川さん……? いや、これはサングラスラッシャーですよ!」

「長谷川さんじゃねぇかぁ!」

 キリトはユイとはぐれていた時間に起きた出来事を気にしているが、銀時はユイの持っていた武器サングラスラッシャーに興味を寄せていた。文字通りのサングラスを模した武器なのだが、銀時からするとサングラスを常にかけている長谷川のイメージしか頭に残らない。何ならこの武器も長谷川の専用武器だと思い込むほどだ。

 緊迫感漂う戦場下で、彼らに訪れたたわいないひと時。本来ならばこの後もユイから詳しい事情を聞きたいところだが、切羽詰まった状況のためにあまりゆっくりと話せない。故にダークライダー達は、早くも標的をユイに定め直していく。

「何を呑気に話しているんだよ」

「アンタが逃げたら、こっちはあの男から大目玉を食らうのよ」

「とっととまた捕まってもらおうか!」

「グルァァ!!」

 リュウガ、ソーサラー、シグルド、そしてドラグブラッカーまでもが、先ほどまで戦っていた桂やシノンらを放棄して、ユイを再び捕まえるべく躍起となっている。

 四方八方から狙われており、ユイにとっては絶体絶命の危機――とまでは行かなかった。

「おい、ユイ! お前は下がってろ!」

「ここは俺達が引き受けるから、シリカやリズの元に向かって……」

 まだユイの事情を知らないキリトらは、彼女を安全に保護しようと誘導する。だがしかし、ユイからの反応は想定外のものだった。

「大丈夫ですよ」

「大丈夫って何が?」

「私達には……一緒に戦ってくれる仲間がいるんですから!」

 そう自信満々に言うと、ユイは恐れることなく前線に立っている。彼女の言葉をいまいち理解できず、銀時らが力づくで守ろうとした――その時だった。

「ハァ!」

 ユイはアルヴドライバーから二つのアイテムを取り出していく。闘魂ブースト眼魂とムサシ眼魂である。それらをサングラスラッシャーに装填して、必殺技の構えを始めていた。

〈メガマブシー!! メガマブシー!!〉

「うわぁ、何だよ!? びっくりした」

「眩しい……?」

 奇抜な待機音を耳にして、思わず首を傾げる仲間達。依然としてダークライダーが迫る中、ユイも渾身の一撃を披露していく。

〈闘魂大開眼!!〉

「オメガシャインです!! ハァァァ!!」

 燃え盛る刀身を一面に振り回し、こちらに這いよるダークライダー達へ一斉に炎の斬撃を浴びせていた。

「うわぁぁ!!」

「うぅ……!!」

「なんだ……この力は!!」

 無論ユイに油断していたダークライダー達は、思わぬ必殺技を受けて皆が勢いのままに吹き飛ばされている。この行動には敵側のみならず、味方側にも衝撃が走っていた。

「な、何が起きたのよ!?」

「ユイちゃんが必殺技を……?」

「ナー?」

 驚嘆とした表情のまま、言葉を詰まらせるリズベットとシリカ。ピナも首を傾げて、ユイの新たな力を不思議がっている。一方で銀時はと言うと、

「お……おぃぃぃぃ!? なんだ今の技!? お前、俺を差し置いて必殺技なんか獲得しやがったのか!? 一体どこで手に入れてたよ!?」

冷静さを失って大いに取り乱していた。かっこいい必殺技を解き放ったユイに、大人げなく文句をぶつけていく。

「ちょっと、落ち着けって銀さん! 怒るとこそこなのか!?」

「あぁ、そうだよ! だって羨ましいじゃねぇか!」

「やけに素直だな!」

 咄嗟にキリトが止めに入るも、本心をさらけ出す彼に対処が追い付かない。しばらくは落ち着きそうにも無かった。

 他の仲間達もつい呆気にとられる中、ユイは構わずに次の準備を進めている。

「まだです! 今度はこれですよ!」

 再びユイはブレスレットを操作。今度は仮面ライダーグランドジオウの力で、一時的に他のライダーを召喚するようだ。

〈ジオウ! グランドパワー!!〉

「ハァァ!!」

〈龍騎!!〉

〈ウィザード!!〉

〈鎧武!!!〉

 ためらいなくその力を解き放つと、ユイの周りを金色の扉が複数に渡って並び立つ。扉には赤字で西暦が刻まれており、2002からは仮面ライダー龍騎。2012からは仮面ライダーウィザード(インフィニティ―スタイル)。2013からは仮面ライダー鎧武(ジンバーレモンアームズ)がそれぞれ登場していた。

「しゃ!」

「さぁ、ショータイムだ」

「ここからは俺のステージだ!!」

 登場と共にそれぞれの決め台詞を発していく。

「なんだと……!?」

「アレは遺跡にいたライダー達!!」

「召喚までするとは……もはやなんでもアリじゃねぇか!」

 駆けつけたライダー達を目にしていき、再び驚愕するダークライダー達。偽者か本物かは分からないが、ただ一つ言えるのは彼女にとんでもない力が宿っていることだった。

「一緒に戦ってください!」

 一方のユイは、召喚したライダー達に協力を要請していく。三人のライダーはすんなりと賛同して、各々の武器を構えて自身と同じ能力を持つダークライダー達と対峙するのだ。

 突如現れたユイによる一方的なワンサイドゲーム。自信と力を見極めた彼女にとっては、もう敵なしなのである。

「も、もうアイツ一人で良いのではないか……」

[右に同じく]

 ライダーの力を使いこなす様を見て、桂は正直な一言を呟いていた。

 女子達や銀時、キリトも同じ気持ちである。

「おい、どうなってんだ!? お前の娘、いつの間にライダーの力を使えるようになったんだよ! とうとう石ノ〇プロをも手中に収めたのか!?」

「俺も知らないってば! まさかマッドネバーに何か変なことをされたんじゃ……」

 依然として落ち着かない銀時に対して、キリトは戸惑いつつも冷静に状況を分析していた。見違えるほどの力を使用する様子から、彼はマッドネバーが関係していると思い込んでいたが……そう考えを練るうちに、ようやくあの女性が彼らに話しかけていく。

「いいえ、違います。彼女は本物のライダー達に認められたのですよ」

「あん? アンタ誰だ?」

 優し気な口調で近づいたのは、ユイと一時的に行動を共にしていたこの世界のシウネーだ。銀時は何食わぬ顔で彼女に聞くも、キリトは思わぬ人物との再会に目を疑う。

「えっ!? シウネーさん……?」

「あら? どうして私の名前を?」

「いや、それよりも! なんでこの世界に来ているんだ……!?」

「この世界……? 私はこの星の住人ですよ。一体何を話されているのですか?」

 気になって問い詰めるも、シウネーからはとぼけた反応が返されていく。これらから、すぐにキリトは自分の知っているシウネーとは別人だと察していた。

「おいおい、お前の知り合いかよ」

「知り合いだけど……違う。この世界で生きる彼女かもしれない」

「まーた平行世界の人物かよ」

 銀時も特に驚く様子は無く、淡々と一言で片づけている。(彼らにはチサと言う前例があるので、今更別のそっくりさんが現れても驚かないのである)

 とシウネーの件はさておき、二人は彼女の言葉を深く掘り下げていく。

「ていうか、それよりもライダーに認められたって何だよ?」

「あっ、そうでした。ユイさんはここに来る前に、結晶を通じて平成仮面ライダーという英雄達に、僅かながら会ったと聞いています」

「ユイがライダーと……」

「どういう経緯かは知りませんが、彼女の勇気が認められて、結晶を二つのアイテムを変化させたのです。それらを用いてユイさんは、ヘイセイジェネレーションに変身したのです」

「ヘイセイジェネレーション……もっと如何にか出来なかったのか、その名前」

「私に言われても……」

 断片的ではあるものの、シウネーからは彼女が間近で見たものや、ユイから聞いた話を銀時らへ伝えていく。話をまとめると、ユイの積極的な頑張りによって、この逆境を覆すほどの強力なライダーの力を手に入れたという。銀時は直球的な名前のセンスに、つい苦言を呈していたが。

 いずれにせよキリトは、ユイが無事だったことにひとまず胸をなでおろしている。

(俺の知らない間に、ユイがここまで体を張っていたなんて。無事で安心したけど……って、それよりも戦いはどうなってんだ!?)

 ほっと心を落ち着かせたのも束の間、彼はユイが召喚したライダーとの戦いを気にしていく。再び戦いに目線を向けると、特に心配もいらない光景が広がっていた。

〈strike bent!〉

「ハァァァ!」

「フッ!!」

 龍騎はドラグクローを装備してリュウガに対抗。

「もういっちょ!」

「させるか!」

 鎧武もソニックアローを巧みに使用しつつ、シグルドに応戦する。

「今です!」

「任せろ」

〈インフィニティ!〉

 そしてユイはウィザードと共に、ソーサラーと戦いを繰り広げていた。瞬時に彼はインフィニティースタイルの能力である加速魔法を発動。自慢のスピードを生かして、ソーサラーを翻弄していく。

 圧倒とまでは行かないものの、召喚したライダー達はダークライダーと互角に張り合っていた。度重なる連戦が重なり、ダークライダーにも疲れから動きに鈍さが生じてしまう。

「チッ! ここは一旦撤退よ!」

「何で本物のライダーがここにいるんだよ!」

「流石に分が悪い……」

 ライダー達に加えて、再びシリカや桂が戦闘に加わると増々勝利が遠のく。そう判断した彼らは、一時撤退を決断する。

〈テレポート! ナウ!!〉

 ソーサラーの瞬間移動魔法で、魔法陣を介してオベイロンのいる部屋まで戻っていた。連戦ではあったものの、彼らとしては初めてマッドネバーを追い払うことに成功している。

「よしっ! 皆さん! ありがとうございました!」

 すんなりと勝利を確信したユイは、協力してくれたライダー達にお礼を伝えていた。彼らも相槌をしつつ、金色の扉を介してこの場から姿を消している。

 こうして場にはようやく、仲間達しか残っていなかった。殺伐とした雰囲気がようやく薄らいだのである。ユイも変身を解除していく。

「ふぅ……やっと終わりまし――」

 と再びキリトらの元へ駆け寄ろうとした時だった。

〈バタン〉

「ユイ!?」

「ユイちゃん!?」

「おい、しっかりしろ!?」

 急に彼女は前方へ緩やかに倒れこんでしまう。一瞬の出来事であり、仲間達も何が起きたのかさっぱり分かっていない。皆が神妙な表情を浮かべながら、ユイの容態をゆっくりと確認している。

「だ、大丈夫です……ちょっと力を使い過ぎただけですよ」

「やっぱり負担を抱えていたのか?」

「で、でも……敵も撤退したことですし、悪い事ばかりじゃなかったですよ」

「いや……ユイが苦しむくらいなら、やっぱり控えた方が良いよ。あの力は」

「ったく。無茶しやがってよ」

 僅かに顔色が優れないものの、ただの疲労ということで皆の推測が一致していた。やはりユイ自体が戦いに不慣れであり、そのしわ寄せが現在の状況に繋がっているかもしれない。強力なライダーの力とは言え、やはりすぐには使いこなせないのだろう。

 ユイなりの苦労は銀時、キリトのみならず、仲間達にも伝わっている。

「び、びっくりしましたよ。急に仮面ライダーさん達が現れたんですから」

「強力な力を出せる分、その反動も大きいってことね」

 シリカやシノンも思っていたことを声に出していた。ユイの様子を心配しつつも、そっと見守っている。リズベットも同じ気持ちだったが、それよりも彼女はシウネーの存在に注目していた。

「ねぇ、キリト。この人ってまさか……」

「いや、違うよ。恐らくこの世界のシウネーさんだと思う」

「えっ!? こんなに似ているのに本人じゃないの……?」

 キリトへ思わず聞いてみるも、彼も推測を踏まえつつ返答している。限りなく本人に似たそっくりさんと知り、リズベットもつい耳を疑っていた。無論シリカやシノンも「嘘!?」や「信じ難いわね……」と驚いた反応を示していく。よっぽど目の前にいる別人のシウネーが衝撃的なようだ。彼らの反応は本人の耳にも入っている。

「そんなに私と似ている人がいるのですか?」

「アイツらの反応的にそうだろ。アンタもユイと会った時、そんな反応をされなかったか?」

「確かに……驚かれましたね」

「だろ」

 ちょうど同じ時間帯に遭遇したアスナとユウキとは事情が異なり、シウネーはSAO世界での彼女の話を聞かされていないので、どうもいまいちしっくり来ていない。故にキリトらがどんなに戸惑っても、その意味を理解していないのだ。だが銀時からも補足があり、薄っすらだが理解しつつある。

 ユイの手に入れたライダーの力、銀魂世界で活躍するシウネーの登場と、新たな情報が次々に入るキリトらだったが、たった一人だけまったく異なる反応をしている者がいた。

「ワフフ!」

[おい、万事屋。桂さんの方を見てくれ]

「どうした? ヅラのヤツ、また変に勘違いを……って?」

 話しかけられた定春やエリザベスに促されていき、銀時は桂の方へ見線を向ける。するとそこには、明らかに目の色を変える桂の姿があった。

「う、美しい……なんて素敵な人なんだ。まごうことなき、人妻ではないか」

 彼はシウネーを魅力的な女性と見ており、一目惚れに似た感情に駆り出されている。表情も緩んでおり、傍から見ても分かりやすい反応だった。

「なーにやってんの、アイツ」

[さては人妻みを感じたのだな]

「言うほど人妻でもねぇだろ」

「フ……」

 彼と長らく付き合いのある銀時は、桂の好みである人妻好きが関係していると思い込む。エリザベスや定春もその意見には同調していた。

彼らのみならず、女子達も同じように桂へ呆れている。

「分かりやーすい」

「潜入中に何をやってんのよ……」

「桂さんが好きなタイプなんだ。シウネーさんって……」

 シリカ、リズベット、シノンと女子達は揃って細い目をしたまま、棒読みで事を呟く。敏感にも反応しており、別に知りたくもなかった桂の好みに衝撃を感じている。

 こうして時は順当に過ぎるのだ……。

 

 それから数分も経たないうちに、ユイは自身の調子を取り戻していく。皆がマッドネバーの気配を気にしながら、密かに死角のある場所まで移動している。辺りを警戒しつつ、まずはやり損ねていたシウネーの自己紹介を始めていく。

「申し遅れました。私の名前はシウネーと言います。この星の騎士団に所属していて、紆余曲折あって今は、ユイさんとアルヴドライバーの護衛に付いていました。一応言っておきますが、皆さんのそっくりさんとは違いますからね。よろしくお願いします」

 キリト側の事情を考慮した上で、堂々と改めて別人と言い張っていた。ところが口調や雰囲気も、彼らからするとSAO世界にいたシウネーそのものだという。

「立ち振る舞いも口調もそっくり……」

「なんたる偶然ですね」

「ナー!」

「そんなに似ているのですね……ハハ」

 リズベットやシリカの呟きに、シウネーは苦笑いを浮かべながら言葉を返していく。そこまで言われると、別世界の自分が気になってしまう。そう彼女は考えていた。

 一方の桂は周りの反応など気にせずに、シウネーへ照れつつもお礼を伝えている。

「ユ、ユイ殿を守ってくれてありがとうな」

「いえいえ、そんな大したことはしていませんよ。騎士として困っている人を助けたまでですから」

「なんと素晴らしい志だ! 実は俺も……世のため人のために活動していてな」

「そうなのですか?」

 さり気なく共通点を聞き出しながら、距離を徐々に縮めようとする桂。そんな彼の思惑など気にすることなく、シウネーはしっかりと受け答えしていた。彼女は鈍感にも気付いていないが、女子達はあからさまな態度にその真意を見抜いている。

「はいはい。交流会はまた後にしなさい」

「お、お前ら!? 急に何をするか!?」

「それはこっちのセリフですよ。一応敵の本拠地にいるんですから」

「少しは緊張感を取り戻しなさい」

「ま、待て! 俺はまだ……」

 揃って呆れた表情をしたまま、シリカ、リズベット、シノンの三人は、強制的に桂をシウネーから離していた。ユイが戻って来たとはいえ、まだ予断を許さない状況。彼へ緊張感を取り戻してもらうためにも、女子達は活を入れようとしていた。

「幾松に怒られちまえや」

 そんな様子を見て、銀時も思わず一言呟く。ここは一度、桂と親しい女性から一喝された方が良いと捉えていた。

 桂の介入によって、場の雰囲気は微妙なものとなったが、ここでキリトが立て直していく。

「変な人かもしれないけど、結構頼もしいから。それだけは覚えておいて」

「そうなのですね。分かりました」

 さり気なくシウネーへ桂のフォローを加えていたのだ。その言葉を素直に信じ込む彼女だったが、桂よりも近くにいるエリザベスがどうも気がかりのようである。

(もっと目の前に変な人がいるのですが……アレは何なのでしょうか)

 ゆるキャラっぽい出で立ちにも関わらず、強者のような雰囲気を醸し出す姿勢。プラカードで会話と謎は多くあるが、誰一人として気にしていないのでどうも聞きづらい。

[ここに喫煙所は無いのか]

「ナーイ!」

「ワフフ……」

 ペット達との会話を目にしても、増々謎が浮かんでしまう。素直に聞くべきか、それとも時間を置くべきか。増々悩みを続けるシウネーであった。

 その一方でユイは、キリトに対してある重要な事を伝えていく。

「あの、パパ。これを託しても良いでしょうか?」

「これ……って、良いのか?」

 彼女が手渡してきたのは、先ほど使用していたアルヴドライバーを一式。急に託され驚くキリトに対して、ユイはしっかりとした理由を伝えていく。

「はい。ライダーさん達の力はきっと、パパや銀時さん達が使った方が良いと思いますから。私の代わりに、ぜひお願いします!」

 彼女は自身が前線に立つよりも、キリトや銀時が使いこなした方が頼りになると判断している。元々そのつもりであり、先ほどの戦いも緊急事態だった故の対応だった。体力も異様に消耗するので、ユイ自身も戦いには向かないと括っている。

 仲間達も慎重に耳を傾ける中、シウネーはあることが気になってしまう。

(パパ……? あの方は一体何歳なのでしょうか……?)

 キリトの呼び方から、ユイとの関係に興味を寄せていた。明らかに年齢とは釣り合わないからである。だがしかし、場の雰囲気を乱さないためにも、ここは一度心の中に留めておくことにしていた。戦いが終わったらエリザベスの件も含めて、気になることを全て聞くようである。

 シウネーが心の中で気持ちを整理する中、銀時はユイから託されたアルヴドライバーに興味津々となっていた。

「おぉ、マジか。これさえ使えば、俺もとうとう必殺技持ちに……!」

「銀さん!」

「分かってる、分かってる。冗談だよ」

 自身もかっこいい必殺技を使えると思い込み、若干だが顔もにやけている。そんなやましい気持ちに浸る銀時に対して、キリトは反射的に注意を加えていた。

 そんなやり取りがありつつも、改めてユイからアルヴドライバーを託されるキリト。その未知なる力の重みに責任を感じながらも、彼にはその力を使いこなすほどの自信が無かったのだ。

「でも俺達に使いこなせるのか? 一応使用するには、ライダーから認められなきゃいけないんだろ?」

「大丈夫だと思いますよ。ライダーさん達も言ってましたから。君が認めた仲間なら、同じように使えるって!」

「それだったら、有難いが……」

 ユイの素直な言葉を信じたいところだが、事はそう易々と上手くいかない。そんな予感をキリトのみならず、銀時もひしひしと感じていた。

 仲間達もまた二人の複雑な気持ちを汲み取る中で、桂やシノンらは思ったことを声に出している。

「しかし不思議だな。敵が蔓延るこの場所で、そんな貴重な出来事を経験するとはな」

「よく無事でいられたわね」

「シウネーさん以外にも、誰か協力者がいたのですか?」

 マッドネバーに一度囚われていたとはいえ、ユイを奪還できたことに改めて驚いていたのだ。気になって護衛をしていたシウネーに聞いてみると、彼女は惜しげもなくあの人物の名を話に上げようとしている。

「はい、いましたよ。私や姫様をここまで連れて行ってくれた方が。確か名前は――」

 と高杉やフレイアの事も話題に上げようとした時だった。

「ん? キャァァァ!?」

「ユイ!?」

「ユイちゃん!?」

 なんとタイミングが悪く、ユイは突然紋章に拘束されてしまう。無論このような芸当が出来るのは、あのダークライダーしかいない。辺りを見渡すとそこには、つい先ほどユウキと交戦したはずのダークキバとポセイドンがいた。

「やれやれ。飛ばされた先に、まさかアンタがいたとはねぇ」

「いつ脱走したかは知らぬが、今度こそ大人しくしてもらうぞ」

 いとも簡単にユイをまた連れ去られてしまい、連れ戻そうにもすぐにダークライダー達の手元に捕らわれてしまう。

「離してください! 私はもう……アナタ達に協力するつもりは無いですよ!」

「いいや。無理やりにでも協力してもらうぞ」

「ウゥ!?」

 暴れ回るユイに対して、ポセイドンは即座に力づくでねじ伏せていく。ユイにためらいなく、腹部へ拳を突き付けていた。すかさず彼女もショックから気絶してしまう。

 だが何よりも不幸なのは、キリトらにアルヴドライバーを託された直後に連れ去られたことだ。これでは平成仮面ライダーの力を行使できず、マッドネバー側の思う通りになってしまう。(ちなみにだが、ポセイドンやダークキバはアルヴドライバーの存在を一切認知していない)

「ユイ!」

「そんな……」

「……こうなったら!」

 再びユイを連れ去られてしまい、ショックを受けてしまう仲間達。そこでキリトは、ユイから託されたばかりのアルヴドライバーを装着して、一か八か助け出そうとしていた。

〈ヘイセイジェネレーション!〉

「こうすれば!」

 とヘイセイジェネレーションメモリをブレスレット型に装填した時である。

〈エラー! エラー!〉

「使えない……!?」

「なんだと!?」

 アルヴドライバーはまったく反応せず、むしろエラー表記を鳴らし続ける始末であった。密かに感じていた悪い予感が見事に的中した瞬間である。これでは到底、満足に使用はできない。

 一方でダークライダー達はそんなキリトの様子に目もくれず、オベイロンから届いたメッセージに注目していた。

「全ての装置が揃ったらしい。これより最終段階に入るぞ」

「あら、そうなの。じゃ、執務室に戻るわよ」

 どうやら計画の準備が全て完了したらしく、交戦せずにそのまま指定された場所まで戻るという。

「おい、待て!」

 と反射的に銀時らも追いかけようとした時である。

「させるか! ハァァ!」

「くっ!?」

 ポセイドンは足早に撤退するため、長槍を奮って衝撃波を解き放つ。銀時らを一斉に怯ませており、彼らが気付いた時にはもう姿すら見当たらなかった。

「……逃げたか」

「なんて逃げ足が早いのよ」

 再びユイが敵の手に渡ってしまい、失意に暮れる仲間達。それでも立ち直るにはそう時間はかからず、前向きにも敵の居場所を突き止めていく。

「だが、場所は特定出来たな」

「執務室って、一体どこなのかしら?」

 ダークライダー達がボソッと言葉にした執務室について、シノンはシウネーへと聞いてみる。すると彼女はすぐに返答した。

「執務室は姫様のいた場所……この世界樹の最上階です!」

[そこまで向かえば、問題ないということか!]

 場所がより鮮明になると同時に、一筋の希望を灯す仲間達。もはやマッドネバーとの距離は目と鼻の先。俄然としてやる気が高まっていく。

 一方でキリトは、ユイに託されたアルヴドライバーを使用できなかったことに、気持ちを悔やんでいる。

「やっぱり使いこなせないのか……」

「気にするな。薄々分かっていたことだ。今はユイを取り戻すことだけに集中しとけ」

「あぁ、分かっているよ」

 やはり使用するには段階を踏むべきだと括り、慎重に様子を見ることにしていた。キリトはアルヴドライバーを一式、懐へと隠していく。彼らは再びユイを救出するために、気持ちを一つに合わせていた。

「みんな……行こう!」

「途中でくたばるんじゃねぇぞ」

「私が案内します。みなさん、ついてきてください!」

 キリトや銀時から掛け声に、仲間達は元気よく返事していく。そしてシウネーの案内の元、足早に執務室のある最上階まで駆け上がるのだった。

 やはり今後の戦いのカギを握るのはアルヴドライバーであり、それらを本当に使いこなせるかが重要となるだろう……。




 祝え! 全ライダーの力を受け継ぎ、時空を越え仲間を救う純粋な少女を! その名も、ユイ(ヘイセイジェネレーションフォーム)。まさに今生誕の瞬間である!

 と言うわけで、遂にその正体を現したヘイセイジェネレーションフォーム。その強さは全ての平成仮面ライダーの力を行使できる、まさに夢のようなアイテムです。
 実はユイが使用する展開は、当初の予定では無いものでした。しかし展開が少しずつ変わっていき、満を持してユイが本格的に平成仮面ライダーの力を行使することになりました。おかげで物語を進められず、本来予定していた展開は次回に持ち越しとなりましたが……

 それでもユイの使用するライダーの力には、こだわりを注ぎ込みました。サングラスラッシャーは1期の12話で使用した両手剣のオマージュで、ライダー召喚もグランドジオウが意識されていますが、オーディナルスケールで仲間を呼んだ時の演出のオマージュとして演出しました。(後者は分かりづらかったかもしれません……)

 それじゃもうユイが戦えば解決するじゃん。と思った方もいるでしょう。しかしユイが使用した際には、極端に体力を消耗するのでそう易々と使えるものではないのです。これはライダーの力を使うのも相性があり、ユイはどちらかと補助技の方が得意だからです。条件を付けないと、この時点で物語が終わりそうですからね……

 キリトに託されたものの、彼にはまだ使えないようです。果たして次に力が解放されるのはいつなのでしょうか。
※ビヨジェネを見た後にアルヴドライバーを見ると、ジョージ狩崎が作っても可笑しくないな。これ。

 ユイがまた捕まってしまい、今後はどうなるのでしょうか……
 では、また次回!

次回予告

ユージーン「ここからは俺達の出番だ!!」
来島「なんか微妙に違うっすよ!!」

領主と鬼兵隊参戦!

オベイロン「おやおや、虫けらが来たか」

オベイロンの最終計画が遂に動く……!」

ユウキ「止めるよ、僕達……」
銀時・キリト・新八・アスナ・神楽・ユウキ「「「「「「万事屋がな!!」」」」」」
定春「ワン!」

万事屋はユイを取り戻すために戦う!

剣魂 妖国動乱篇十一 侍、妖精の友情タッグ!
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