ハイスクールD×D-魔法漢女に拉致された偽物が歩む道ー   作:マッシュ

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2話

我が家で大徳寺とクロに魚料理を振舞った。

普通は飼い猫にはキャットフードだと思うだろうが、我が家のお猫様はキャットフードの様な物を好まず、人間の様な料理を好む。

道端で弱っている所を保護したのだが、野良猫なのか?それとも飼い猫なのか?

人間臭い仕草やリアクションといい……とにかくクロは謎の多い猫である。

 

「所でエミヤ君。

ここ最近で、妙な噂を聞かないか?」

 

「妙な噂?」

 

大徳寺を警戒しながら調理された魚を食べているクロの観察を中断し、正面に居る大徳寺に視線を移す。

 

「何でも夜中に見た事もないおぞましい怪物が現れるらしいのだ」

 

「ほう?

初めて聞く噂だが……まさか、その正体は筋骨隆々な変態とは言わないな?」

 

返答次第では俺の携帯電話が緊急通報する事になるだろう。

クロもちゃっかり台所にある固定電話の子機の前に移動している。

本当に頭のいい子だが、ボタンは肉球で押せるのかな?

 

「いや、そんな話は聞かないが……そんな変態が居るのかね?」

 

変身(コスプレ)後のお前だよ!!

 

「まあ、変態の話は置いておこう。

問題は、その怪物だ」

 

疑いの眼差しを向けている俺に気づいて居ないのか、無視をしているのかは分からないが、大徳寺は何事もなかったかの様に話を再開する。

毎度の事ながら色々と言ってやりたいのを我慢した俺は偉いと思う。

 

「噂ではその怪物は廃墟のビルに住んでいて、夜に集まって来る非行少年を食べてしまうらしい」

 

「ほう……私にはよくある都市伝説や怪談のように聞こえるが?」

 

「君は超常の存在が跋扈(ばっこ)する、ファンタジー世界の住民なのに否定的だな!

……まあ、悲しい事に君の反応が普通なのだがね」

 

ファンタジー世界の住民から非日常な存在を否定されてガックリと肩を落とす大徳寺。

だが、彼はすぐに背筋を伸ばし、今までにないくらいの真面目な表情で口を開いた。

 

「この噂は、ただの噂ではない。

警察に所属する私の大切な友人の一人が、生き残った少年達から直接聞いた真実なのだ。

…当然、私の友人以外は誰一人として少年たちの言葉を信じなかったがね。

被害者である少年達は行方不明という事で処理されてしまった」

 

大徳寺の言葉に思わず背筋が伸びる俺。

それにしても警察にも知り合いが居るとは……相変わらず大徳寺の交流関係は幅広い。

 

この時点で、大徳寺という人間をある程度理解をしている俺は噂だと侮り、話半分で聞くのを辞めた。

目の前の男が変身(コスプレ)していない状態で、真面目に話す時は本気の時だ。

被害者も出ているらしいので、噂について真面目に対応する。

 

「なるほど、その少年達の話が真実としよう。

それで?私にその話を聞かせた理由は何かね?」

 

「話が早くて助かるよ。

我々(・・)はチームを作り、少数精鋭で怪物を倒そうと考えて居る。

そこで、怪物退治のエキスパートである君にも協力してもらいたいのだ」

 

怪物退治のエキスパート。

そう、確かに俺はゲーム世界においてはイベントやストーリーモードで数多の世界を救った英雄だ。

悪魔・英霊・宇宙の侵略者に魔物。

仮想現実と言えど、多種多様の敵をこの手で屠って来た。

 

だが、それは所詮ゲームの話……なんて思わない。

 

この身はこの世界に来た瞬間からゲームの作られた英雄ではなく、本物。

ゲームと言う仮想現実を飛び出し、スキルや魔術という奇跡と怪物の如き身体能力を持つ贋作の英雄の偽物。

 

この使い道がないと思っていた力が誰かの役に立つと言うのなら……。

 

「いいだろう。私の様な無銘でいいのであれば力を貸そう」

 

「おお!ありがとうエミヤ君!!

君が居れば百人力だ!!」

 

 

 

 

 

 

駒王学園の生徒達や世話になっている街の人たちの役に立つ為に立ち上がった俺は大徳寺の協力要請を受託し、大徳寺の仲間達と現地集合する事になった。

そして、駒王町に住んでいる俺達が廃墟のビルへと先に到着した十分後。

月明りに照らされた、黒い中型車が姿を現した。

 

「はじめまして、私は九条(くじょう) 剛三郎(ごうざぶろう)

警視総監をしている者だ」

 

運転席から現れたのは髭を生やし厳つい顔をした初老の漢だ。

肩書が警視総監と言うだけはあり、その肉体は大徳寺にも勝るとも劣らない。

腰には日本刀を(たずさ)えており、武人の風格を漂わせている。

 

「私はエミヤシロウ。

しがない用務員だ」

 

「はっはっは!安心したまえ。

君の素性は大徳寺からよく聞いている。

怪物が現れたら遠慮なく、魔術を披露してくれたまえ」

 

品定めをするようにギラリと眼光を光らせ、朗らかに喋る九条 剛三郎。

大徳寺の知り合いを疑いたくはないが、何かを企んでいる印象を受ける。

もしかして俺の戦力調査が目的なのだろうか?

 

彼とは少し距離を置いた方がいいかもしれない。

そんな事を考えて居ると後部座席の扉が開き、謎のBGMと共に二人の人物が姿を現した。

 

「月の使者……ムーン!!」

 

「太陽の使者…サンシャイン!!」

 

『惑星に代わって……お仕置きよ!!』

 

ツインテールを揺らしながら、キメポーズを決める二人の漢。

筋肉でピチピチとなったセーラー服を身に纏い、手には月と太陽を模したムチのような物が飛び出たステッキを持っている

その姿はまさにミルたんと同等の変態であり、思わず手で目の前を覆ってしまう。

 

「はっはっは、君も彼女達の雄姿に悩殺されたようだね」

 

彼女達!?悩殺ぅ!?

先ほどと変わらぬ様子の九条 剛三郎。

彼はこの光景を見て何故、平然としていられるんだ!?

正気か!アンタは警視総監だろう!?

 

手を下ろし、思わず剛三郎を凝視する。

 

「二人は満月の夜にしか活動できないんだ。

もし、君が怪物退治の日程をずらして居たら、彼女たちはここには居なかったよ。

さて、我々も変身しようか大徳寺。」

 

「了解した!私も新しいステッキを披露しようではないか!!」

 

「ほう?それは楽しみだ」

 

ムーンとサンシャインと入れ替わるように車の中へと入っていく二人の漢達。

そうだよ、あの大徳寺の知り合いなんだ……警視総監と言えども、普通な訳がないじゃないか。

 

そして、数十分後……駒王町の廃墟にて変態の見本市が完成した。

 

筋肉モリモリの魔法漢女《ミルたん》

ピチピチとなったゴスロリ衣装が今日も悲鳴を上げている。

 

そして、二人の漢女な惑星戦士。

月光《ムーン》と太陽光《サンシャイン》

筋肉でピチピチとなったセーラー服では隠し切れず、処理しきれていないすね毛と顎鬚がおぞましさを倍増させる。

 

最後にミルたんが悪堕ちした魔法漢女《ミルたん・オルタ》。

眼帯を装着し、黒いゴスロリを身に纏った現警視総監。

持っていた日本刀の柄がミルたんとお揃いのステッキへと変貌している。

 

帰りたい!!凄く帰りたい!!

もう怪物なんてどうでもいい!!家に帰ってクロを愛でたいよ!!

 

 

「さあ、突撃にょ!」

 

 

俺は心の中で号泣しながら、ミルたんの号令と共に廃墟の中へと潜入した。

 

 

 

 

 

廃墟に侵入した俺達は調査を開始した。

少年たちがたむろしていたとされる部屋に辿り着いた俺達はオルタがパクって来た調書を確認する。

 

「廃墟に集まった少年たちはここでお酒を飲みながら騒いでいたようでありんす(・・・・)

 

ありんす!?

現警視総監であり初老のオルタの語尾に戦慄する俺。

この世界の日本の警察は大丈夫か!?

 

「そ、それで、怪物は容姿については何かわかっているのかね?」

 

俺は若干声を震わせながらオルタに問いかける。

 

「エミヤきゅんは暗闇が苦手なようでありんすね?

少年たちが目撃したのは下半身は四足の獣で上半身は女の怪物と言っていたでありんす」

 

オルタの情報を元に頭の中で思い描ける数千の魔物を脳内で厳選し、該当する魔物の名前を口にする。

 

「その特徴なら、恐らく悪魔の類だろう。

実在するのならば聖水や十字架が必要だな…む?」

 

俺が謎の気配を察知して振り向くと、ミルたん達の気配が変わった。

闘気を全身に纏い、各々の武器を抜く。

 

「誰にょ?」

 

武器を持たず拳を構えたミルたんが廃墟の窓に向かって問いかける。

新品のステッキはどうした?と言いたいが空気を読んで黙る俺。

 

視線を窓に移すと、そこに着物姿の美少女が窓枠に座っている姿があった。

 

だが、その美少女は人間ではなかった。

頭部にはピクピクと動く猫耳と腰からはユラユラと揺れる黒くて長い尻尾。

もしかして彼女が噂の怪物か?

 

しかし、怪物にしては顔色が悪く、視線はミルたん達を出来る限り見ないようにと彷徨(さまよ)い腰も若干引けているようにも見える。

俺は、彼女の様子から色々と察した。

 

「わ、私の名は…」

 

「少し、外の空気を吸って来たらどうかね?」

 

「……そうするにゃ」

 

 

 

 

しばらくお待ちください。

 

 

 

 

 

「私の名は黒歌。

この辺りを縄張りとしている悪魔にゃ」

 

俺は未だに顔色の悪い美少女が外で繰り広げた大惨事を見なかったことにし、彼女を優しく見守った。

ミルたん達も武器と拳を下げて、若干警戒を緩めたようだ。

 

「では、君がここで少年たちを襲った悪魔なのかね?」

 

「違うにゃ!」

 

俺の質問に再びファイティングポーズを取るミルたん達に反応し、即答する悪魔の黒歌。

だろうね。

 

「子供を襲った悪魔なら、アンタ達が着替えている間に私が倒したにゃ。

おかげで、あんな雑魚を倒すのに手間取ったにゃ」

 

着替えてという単語を口にした瞬間、顔を青くする黒歌。

どうやら彼女はこの怪物達が車から登場する姿を見てしまったらしい。

可能なら彼女とは彼らの被害者として、色々と語り合いたいものだ。

 

「魔術師のお兄さんも、こんな変態達に構っていないで早く帰るにゃ。

…うぷ」

 

俺に声を掛けた後、気持ち悪そうに口元を手で押さえて猫のように跳び去って行く謎の美少女。

ライトノベルで有りそうな展開だったが、周りにいる筋肉達のせいで台無しだ。

 

「どうやら悪は既に去っていたようだにょ」

 

「でも、ミルたん。

彼女の言葉が本当なら悪魔さんは実在する様でありんす」

 

「今度、悪い悪魔さん達が出た時が私達の出番ね」

 

「満月の夜は私たちの活躍の時よ!!」

 

悪魔と言うファンタジーに盛り上がる四人の変態達。

色々と盛り下がってしまった俺は彼等を置いて、謎の悪魔美少女の忠告通り、早々に自宅へと帰った。

 

 

 

 

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