ハイスクールD×D-魔法漢女に拉致された偽物が歩む道ー   作:マッシュ

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5話

オカルト研究部の部室。

三年間見守って来た生徒の一人、リアス・グレモリーに自身が悪魔である事をカミングアウトされた俺は流れるように魔術師バレと説教のコンボを食らった。

 

そして、今。

俺は彼女から自分の眷属にならないかと誘われ、今は(・・)眷属になるつもりはないとお断りをしたのだ。

 

今は(・・)とは、どういう意味かしら?」

 

彼女は俺の言葉を冷静に吟味した後、俺に質問をした。

俺は彼女の質問に答える為に口を開く。

 

「今の私は悪魔と言う存在に無知であり、メリットとデメリットがわからない。

故に、私が眷属になる必要のある事態になった時か、今後の君たちの様子を見て実際の悪魔と言う存在を理解した時に考えたい」

 

「なるほど……まあ、今はそれでいいわ。

所で……エミヤさんは魔術師として一体何が出来るのかしら?」

 

眷属の話は俺の言葉に彼女が納得してくれたおかげで一旦保留となり、次は俺の魔術についての質問となった。

正直にどう答えたらいいのかが、分からないのが俺の心境だ。

俺の扱う魔術は《英霊エミヤ》の魔術とは違い、一つのデータだ。

 

データであるという事はいくらでもプレイヤーが好きなように手を加える事の出来る手段があるという事である。

例えば、ストーリーやイベントで貰える《聖杯》《赤いベヘリット》《ドラゴンボール》《賢者の石》《ぬるはち!(R元服指定)》(など)のステータスや魔術にスキルと言ったデータを拡張する報酬アイテムに課金アイテム。

 

このゲームにおいて、自身が作り出したキャラクターは金と時間を掛ければいくらでも強化出来、思いのままというわけだ。

 

そんな、やり込み要素が膨大なゲームで一時期とはいえ、世界ランクにランクインした変態仕様の《エミヤ》の魔術が返答に困る要因なのである。

 

俺のイメージで極端な話かもしれないが、異質なものは常に周りから利用されるか、排除されるかの二択である。

もしかしたら《英霊エミヤ》のように《封印指定》を受けて、組織に追われる事になるのかもしれない。

最悪の場合は悪魔を敵に回す事となって、目の前の生徒達と敵対する事だ。

 

俺としては彼女達とは出来る限り、これまで通りの関係で居たい。

ならば俺の返答は……。

 

「黙秘させてもらおう。

私は君の眷属ではないし、魔術は秘匿する物であると師に教えられたのでね」

 

魔術師にありがちな教えと言う嘘である。

そして、俺の返答に納得した様子を見せるリアス・グレモリー。

俺の返答は正解であり、心の平穏は守られたと確信した。

 

しかし……。

 

「なら、私と仮契約しない?

私は近い将来に、上級悪魔として魔術師と契約が出来るようになるの。

将来に、本契約する悪魔になら教えてくれるでしょう?」

 

リアス・グレモリーの追撃は止まらなかった。

むしろ、良く分からない契約とやらを進められて状況が悪化していた。

うん、彼女は間違いなく立派な悪魔だ。

 

このままだと、魔術を開帳させられた挙句に、悪魔らしく魂まで取られてしまうかもしれない。

 

「流石に知っているとは思うけど、悪魔との契約は魔術師にとってステータスなのよ。

貴方には必要な《後ろ盾》にもなってあげられるし、必要はないと思うのだけど、用心棒にもなって守ってあげる事も出来るわ。

なんなら冥界の知識や技術も教えていい。

後は…貴方の魔術の研究次第では私が動かせる私財を使って投資してあげてもいいわ」

 

「あらあら、よろしいのですか部長?

契約は魔術師側だけでなく悪魔側にとっても大事な物であると伺っていますが…」

 

「問題ないわ。

私は眷属も、契約する魔術師もフィーリングで決める事にしているの」

 

今まで黙っていた副部長である姫島 朱乃の質問に、男よりも男らしい答えを返した。

それにしても、フィーリングで契約って……。

俺はリアス・グレモリーに半分呆れつつも、驚いていた。

俺と言う人間の枠を飛び出た存在をフィーリングで自分の陣営に引き込もうとしているのだ。

その直感力は侮れない。

 

そして、後ろ盾という言葉が俺を魅了した。

説教の中で彼女曰く、俺は組織に属さないフリーの魔術師…通称《はぐれ魔術師》。

後ろ盾がなければ研究成果を狙った(やから)に襲われる事は珍しくないらしい。

 

現に教会に所属していた元神父の錬金術師が天界から追われているのだとか……。

 

「そんなに悩まなくても、あくまで仮契約。

本契約と違って私が気に入らなければすぐに解除できるわ。

なんなら契約期間を決めてもいい。

どうしてもと言うのであれば魔術の開示もしなくていいわよ?」

 

顎に手を当てて悩む俺を見かねたリアス・グレモリーは助け船とも思える提案をしてくれた。

俺は彼女の言った後ろ盾と契約期間という言葉に誘われて、彼女と仮契約を結ぶことを決めた。

 

「いいだろう、君と仮契約をしよう」

 

俺の言葉に笑顔を浮かべたリアス・グレモリーは片手から紅の魔法陣を展開し、一枚の紙と一本のボールペンを取り出した。

彼女はその紙とボールペンを差し出した。

紙には日本語で《仮契約書》と掛かれており契約悪魔の氏名欄には既にリアス・グレモリーと記入されている。

実に準備がよろしい事で……。

 

俺は内容を読み込み確認し、気になった項目を思わず二度見した。

 

「この契約に書かれた魔術師側の対価なのだが……《毎日お茶をご馳走すること》とはどういうつもりかね?」

 

「あら?別にいいじゃないの。

グレモリー家の次期当主で上級悪魔である私が魔術による対価でもなく、寿命や金銭でもないのだから。

何なら寿命や金銭にしてあげましょうか?」

 

「いや、別に構わないが……」

 

正直、拍子抜けである。

仮契約とはいえ、悪魔との契約だ。

俺はてっきり、寿命等の対価を取られるかと……。

 

対価にすっかり安心した俺は、躊躇することなく魔術師の氏名欄にエミヤ シロウとボールペンで記入した。

これで、俺と彼女との間で一年の仮契約が完了した。

 

「じゃあ、これからよろしくお願いね。《シロウ》」

 

俺から書類を受け取り満足そうにソレをしまった彼女は俺に右手差し出した。

 

「こちらこそ、よろしく頼む」

 

彼女の出された白魚の様な手を握り返した俺は、悪魔《リアス・グレモリー》を召喚する術を会得し、彼女達を送ろうと提案したのだが、これから悪魔としての仕事があるからと断られてしまった。

断られた俺はクロの事を思い出して、即行で自宅へと帰る事にした。

 

それと、これは後日聞いた話なのであるが、俺の紅茶は対価として一杯4800円の価値があるらしい。

 

 

 

 

自身が務める学園の生徒達が悪魔だと知り、仮契約を結んだ俺は自宅の前まで帰って来た。

この家に住んでいる腹を空かせ、機嫌が悪くなっているであろう愛猫の事を考えると自宅の扉が重く感じる。

 

「ここで止まっていても仕方がないか……」

 

帰り際に魚屋で奮発して購入して来た高級魚の入ったビニール袋を片手に扉の鍵を開けて家の中へと入る。

 

「ん?」

 

何時もならすっ飛んでくる愛猫が来ない事が気になった俺は、家の中の様子を窺いながら家の中へと入っていく。

廊下の電気を付けて、ゆっくりと廊下を進んだ俺は今の扉を開け……。

 

「う!?」

 

勢いよく閉めた。

俺は顔を青くしながらボケットに入っていたハンカチを口元に当てて、もう一度、扉を開いた。

 

こ、これは!?

 

口元に当てたハンカチ越しに伝わってくる居間に充満した酸味の強い異臭。

部屋には見覚えのある黒い着物を着た悪魔の美少女が吐しゃ物を床にまき散らして倒れていた。

 

ここで一体何が起ったんだ!?

 

俺は驚愕に包まれながらも、とりあえずこの異臭を何とかする為に居間とつながっているキッチンの換気扇を最強に設定し、窓や扉を全開にする。

リセッ〇ュや消〇力の力を借りて、居間の異臭を排除した俺は改めて状況を観察する。

 

密室の中で倒れているのは、今も異臭の発生源になっている見覚えのある悪魔の美少女《黒歌》。

彼女が倒れているのは何故か俺が買っておいた煎餅(せんべい)の袋が置かれているテレビの前。

肝心のテレビは地上波ではなく、入力切替がされている。

どうやらDVDを見る為の画面に設定されているようで、DVDレコーダーも起動している。

 

つまり、彼女はこの家でDVDを見る為に何らかの方法で侵入し、寛いでいる所を何者かによって吐しゃ物まみれにされた?

いやいや、彼女を吐しゃ物まみれにして一体誰が得をするんだ?

女性を汚す事に興奮を覚える変態でもいるのだろうか?

我ながら現実的ではないな……。

 

では、この吐しゃ物をまき散らしたのは彼女だと仮定しよう。

彼女は我が家に何らかの方法で侵入し、DVDを見ながら寛いでいた。

そこで、何やらおぞましい物を見て吐しゃ物をまき散らして気絶した……。

 

何故だろう、出会った当初の彼女のイメージがそうさせるのだろうか?そっちの方がしっくりくる。

 

俺は、彼女をビニールシートの上に移動させ、床にまき散らかされた吐しゃ物を掃除した後、ポリ袋を片手に事件を引き起こしたと予想されるDVDを再生させた。

 

………………。

 

結果のみを言わせてもらうと、犯人は映像に映っていたミルたん達であり、凶器はDVDであった。

俺は視聴途中に自身の発動させた異常耐性スキルに感謝を捧げた。

そして、悪魔と仮とはいえ契約してしまった俺はいらない子になっていた戦闘スキルや感知スキルも常時発動させておくことを心に誓う。

 

奴らの存在をすっかり忘れていた。

 

映像に映っていた惨劇が我が身に降りかからないよう祈りを捧げた俺は不法侵入者であり、哀れな被害者である彼女をどうするかに頭を悩ませた。

とりあえず、綺麗なタオルで口周りや着物を拭いてあげよう。

 

口周りを優しく拭いて、女性である事を配慮して胸や尻などを触らずに綺麗に拭いて行く。

色々と神経を使って疲れてしまったが、最後にリセッ〇ュを着物に軽く吹きかけて任務は完了した。

 

「おかゆでも作ってやるか……」

 

目覚めたあと、我が家に侵入した事情も聞きたいしな。

魔術師らしく等価交換で話を聞かせてもらおう。

 

冷たく濡れた、新品のタオルを彼女の額に乗せてキッチンへと赴いた俺は料理スキルを十全に生かし、最高ランクのおかゆ制作へと乗り出した。

そして……。

 

「んん…?」

 

「やれやれ、ようやくお目覚めかね?」

 

うめき声を上げ、彼女が目を覚ました。

上半身を起こし、俺の顔と自身の状態を確認した彼女は部屋から飛び出そうと駆け出した。

 

「……っ!?」

 

「待ちたまえ」

 

いらない子になっていた戦闘スキルの察知能力によって彼女の動きを先読みした俺は、彼女の腕をガッチリと掴んだ。

 

「君には色々と事情を話してもらう。

そして……」

 

「うっ」

 

怒られると思ったのだろうか?一瞬辛そうな表情を見せた彼女に空いた手でとった皿の中のおかゆを見せる。

 

「これを食べてもらえないかな?

材料が無駄になってしまう」

 

暖かなおかゆの皿を見た彼女は辛い表情を俯かせ、逃げようとしていた手は力が緩まった。

 

「にゃはは……シロウはやっぱりシロウなんだね」

 

力なく笑った彼女は黙って俺から皿を受け取った。

 

 




遅れましたが評価・誤字報告・感想をありがとうございます。
読者様のお陰でこの筋肉と変態に溢れたこの作品がランキングに載りました。
本当に感謝が尽きません。

これからも応援して下さるとうれしく思います。
本当にありがとうございます。
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