ハイスクールD×D-魔法漢女に拉致された偽物が歩む道ー   作:マッシュ

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6話

自分が見守って来た生徒達が悪魔だと知り、リアス・グレモリーと仮契約を結んだ。

そして…自宅に帰った俺を待っていたのは愛猫のクロではなく、居間で失神していた謎の女悪魔《黒歌》だった。

 

俺は不法侵入者であり被害者である彼女を介抱し、手作りのおかゆを食べさせながら彼女の事情を聞く事にしたのだったが……。

 

「あー、君がクロという事でいいのかね?」

 

「にゃ」

 

我が家の愛猫が悪魔だったと知り、頭が痛くなった。

通りで人間の様な反応をするわけだ。

まあ、クロが黒歌だったのはまだいい。

それよりもだ……。

 

「で?妹の為に主を殺したが、肝心の妹は別の悪魔の眷属になっていると……?」

 

「そうにゃ」

 

肝心の妹ちゃんが他の悪魔の眷属となっている事だ。

人間社会でも犯罪者の家族と言うのは、確実と言っていい程に色々と大変な目にあう。

知らない他人からの誹謗中傷・暴力・いじめ。

それが悪魔社会ではどうな形となって、妹ちゃんに降りかかっているかを考えると恐ろしい。

短略的(たんらく)的といえばいいのか、考えなしと言えばいいのか……。

目の前の彼女に呆れていると、彼女は着物からはみ出そうな大きな胸を張った。

 

「白音は強い子にゃ。

すぐに連れ戻せば問題はないにゃん」

 

自信満々に宣言する彼女だったが、俺は正直心配でしょうがない。

家族は犯罪者となり、周りはおそらく敵だらけ……俺だったら精神が耐えられずに自殺している可能性が高い。

そもそも、彼女に妹を連れ出す為の算段があるのだろうか?

 

「色々と言いたい事はあるが……考えはあるのかね?」

 

「シロウが働いている学園に居るみたいだから、隙をみて……」

 

「君はアホか!?」

 

あまりに短絡的な作戦で思わずツッコミをいれる俺。

いつの間に学園に……っていうか、妹ちゃんは学園に居たの!?

 

「にゃははは、やっぱり駄目?」

 

色々と驚いたり、ツッコミをする俺を見て悪戯が成功した子供の様に笑うアホ猫に若干の怒りを覚えた俺は、脅しを含めた釘を刺す。

このアホ猫をほったらかしにしていたら本当に妹を誘拐しかねん。

そんな事をされたら学園は誘拐事件の発生に大迷惑を被る事になるだろう。

 

俺はケータイ電話を取り出し、登録された連絡先の表示を見せながら彼女に言った。

 

「やったら、ミルたんに通報するぞ」

 

「絶対にやりません」

 

彼女は自分の語尾を捨て去って、素早く土下座した。

釘と言うにはあまりにもデカイ杭を打ち込んでしまったが、これで大丈夫だろう。

さて、彼女の事情を聞いて遅くなったし、俺は色々と疲れてしまったので、もう眠ることにしよう。

 

余っている、使っていない部屋を彼女の部屋にして来客用の布団を敷いた俺はフラフラと自室へと向かい、布団の上で泥のように眠った。

 

 

 

 

翌日、いつもと変わらぬ朝を迎えた俺と黒歌は朝食を食べながら、家のルールについて話し合っていた。

 

「私は料理は苦手なんだよね……作れたとしてもカップ麺とレトルトになるにゃ」

 

「…いいだろう。では、私が仕事で居ない時の掃除や洗濯を頼む」

 

「了解にゃ」

 

味噌汁とご飯を食べながら順調に行われているルール決め。

ここまでは順調に進んでいたのだが、ここから先はデリケートな部分を話さなくてはならなく、自然と箸が止まる。

 

「それで……風呂についての取り決め何だが……」

 

そう、相手は俺にとって未知の存在である生身の《女の子》。

お風呂やプライベートに関する配慮など、皆目見当もつかない。

出来る限り彼女の希望に沿う形にすれば、間違いはないと思うのだが……。

不用意な発言をして、嫌われたらどうしよう……。

 

「君の希望に沿う形にしたいと思っている。

何かあるかね?」

 

俺の入った後は必ず湯舟のお湯は捨てて、新しく入れなおすくらいしか思い浮かばなかった俺は黙って彼女の希望を受け入れる事にした。

 

「にゃ?特にないよ」

 

「ん?」

 

あっけらかんとした物言いに思わず呆ける俺。

見た目は女子高生位の少女だから、色々とガチガチなルールを希望すると思っていた俺は彼女の答えが理解できなかった。

どういうこと?それともこれがリアル女子なの?

困惑していると彼女は胸の下で腕を組み、俺を誘惑するように胸を強調させた。

 

「私、好きな雄で、魔力が高いシロウの子供がほしいから問題ないにゃ。

なんなら一緒に入る?」

 

「……ぶほぉぉ!?」

 

黒歌のぶっ飛んだ発言に味噌汁を噴き出す俺。

一体どこでフラグを建てた!?

いや、これが学園の教師達の頭を悩ませる若者の性の乱れというヤツなのか!?

それとも、エロゲ主人公である《エミヤ》の外見の力!?

 

「大丈夫?結婚が無理そうなら……残念だけど妊娠するまでの関係でいいにゃ」

 

「いやいやいや、一旦落ち着き給え!

私はまだ、所帯を持つ気はない!!」

 

まだ(・・)?分かったにゃ。

シロウの為に何時でも出来る(・・・)様しておくから()たくなったら声を掛けるにゃ」

 

獲物を狙うハンターを彷彿とさせる瞳に背筋をゾクリとさせ、居心地が悪くなった俺はテーブルに噴き散らかした味噌汁を雑巾で拭く。

ああ……豆腐とワカメが勿体ない。

 

慎二……ごめんよ。

名前を付けた罪のない汚れたワカメを崩れた豆腐と共にゴミ箱へと捨てた。

 

俺、まだ二十代だけど……最近の若い子は進んでいるな――。

 

 

 

 

 

 

逃げる様にして、自宅を飛び出した俺は学園での仕事をこなしていると、昼休み先生方から職員室にて相談を持ち掛けられていた。

なんでもあの(・・)《変態》兵藤をどうやって大人しくさせたのかを知りたいらしい。

恐らく、噂の彼女が出来たからだと思うのだが……。

正直、俺はどうやって彼があのような奇跡を引き起こしたのかを知らないのだ。

 

「お願いしますエミヤさん!あの兵藤君を変えた貴方の指導方法を教えてください!!」

 

「あの…先生方。

申し訳ないのだが、私にもさっぱりで……」

 

「そんな!?兵藤君は『エミヤさんの熱い指導のおかげです!!真面目最高!!』と言っていましたよ!?」

 

先生方のクラスにも一人や二人の問題児を抱えているようで必死だ。

おかげで、誰も俺の話を聞いてくれない。

心当たりがあるとしたら拳骨による指導なんだが……。

 

それをやってしまうと先生方が保護者やPT〇に訴えられる可能性がデカい。

いったいどうしたものか……。

 

俺は迫りくる先生達の質問をのらりくらりと躱し、昼の時間を過ごす事となった。

まあ、三年にも変態三人組にも劣らない問題児が居るからな……。

今度、美味しい紅茶を出して先生方の悩みを聞いてあげよう。

 

 

 

 

先生の追撃を回避した放課後。

俺は生徒会長に呼び出され、生徒会室にお邪魔して紅茶を淹れさせられて居た。

 

「優秀な戦士だと思っていたら……まさか魔術師だったとは、眷属に迎えられないのが実に残念です」

 

「私は、君まで悪魔だとは思わなかったがね。

正直、驚いているよ」

 

生徒会長の机に置かれた、紅茶入りのカップを見つめながらため息を吐く、会長の支取。

どうやら俺が魔術師である事とリアス・グレモリーと仮契約を結んだ事に色々とショックを受けているらしい。

まあ、俺も生徒会の役員が全員悪魔だと知って衝撃を受けていたりする。

 

「そういえば、今日は珍しくリアスが授業中に居眠りをしていたらしいのですが……。

エミヤさんは何か知らないですか?」

 

「いや…特に聞いて居ないが?

私が帰った後、悪魔の仕事をしてから帰ると言っていたから忙しかったのではないかね?」

 

「そうですか……すみません。

今まで彼女が居眠りをした場面を見た事がなかったので……」

 

「いや、かまわんよ。大した情報がなくて、すまんな」

 

俺の話で情報を得られなかった事で目を伏せて落ち込んだ様子を見せる彼女。

そんな、彼女見て申し訳ない気持ちになった俺は彼女に謝った。

 

「いえ、こちらこそ申し訳ありませんでした。

今度、学園で会った時にそれとなく聞いてみる事にします」

 

謝罪した俺に、頭を下げる彼女。

それにしても、学園ではあまり話すところを見た事がないリアス・グレモリーと彼女だったが、ここまで心配する程に仲がいいのだろうか?

 

まあ、二人は上級悪魔らしいから、裏でつながっているのかもしれない。

そんな事を考えて居ると生徒会室に見覚えのある引き締まった体の青年がやって来た。

 

「会長!各部の見回りが終わりました!!」

 

「そうですか、ご苦労様です」

 

室内に入って来た青年の名前は(さじ) 元士郎(げんしろう)

生徒会役員で書記を担当している会長の信者だ。

 

「あ、シロウの旦那!!こんにちわっス!!!」

 

「ああ、君は相変わらず元気だな」

 

「ええ!俺、大徳寺の旦那とシロウの旦那のような逞しい男になる事が夢なんで!!」

 

そして、偶然にも大徳寺が駒王町の案内をしてくれている時に自動車とトラックの交通事故が起りそうになった。

その時に、俺と大徳寺が寸での所で体を張って救った夫婦の息子であり、数か月に一度の頻度で彼の一家とは交流がある。

無論、彼とその家族は大徳寺の自称、本来の姿である《ミルたん》を知らない。

俺達を両親を救ったヒーローとして信じてくれる目の前の青年と、幼い彼の妹弟の夢をぶち壊すだけに留まらず、トラウマを与える未来を見た俺が必死に頼み込んだ結果である。

 

「しかし、会長からシロウの旦那が魔術師だって聞いた時は納得しましたよ!

もしかして大徳寺の旦那も魔術師なんですか?」

 

「いや……彼は魔術師ではない。

一般人だ」

 

嘘には二種類ある。人を傷つける嘘と、やさしい嘘だ。

悪魔業界に居る以上はいずれ知ってしまうであろう彼の心を守る為、俺は今日もやさしい嘘をつく。

まあ、君も悪魔になった事を俺に隠していたんだ。

知った時はお互い様という事で許しておくれ。

 

「ああ、格闘家ってことですね!!

そうだ!今度、魔術を教えてもらっていいですか?

俺って悪魔になりたてで、魔術に関して色々と苦戦しているんですよ」

 

「サジ!世間話ばかりしていないで報告をしなさい」

 

「ごめんなさい!!じゃあ、シロウの旦那。

この話はまた今度で……」

 

「サジ!!」

 

「はいぃ!!」

 

厳しくて有名な会長から匙青年への熱い説教が始まり、居心地が悪くなった俺は隙をみて退室する事にした。

 

願わくば、彼が真実を知る日が来ない事を……。

廊下の窓から見える夕焼けを眺めて祈りを捧げた俺は、対価の支払いの為にオカルト研究部へと向かった。

 

 

 




※ここから、サブに勘違いが導入されます。
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