閃光の軌跡   作:泡泡

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オリ主の名前変更。

 本名:アマデウス・ライゼ・アルノール。
 
 士官学院中:アマデウス・レンハイム。もしくはアマ・レンハイム。


入学式

 

 トールズ士官学校はかのドライケルス帝が設立したと言われている学校だ。貴族、平民関係なしに入学することができることで知られている。そこには今年から三種類の色をした制服の子らが入学するようだ。

 

 彼が来ている制服の色は赤を特徴とした制服。周りを見渡しても同じ制服を着ているのはかなり少なかった。しかしそんな事にはあまり関心なさそうにさっさと士官学校の門をくぐっていった。

 

 「入学おめでとーございます!!」

 

 「えっ・・・?」

 

 講堂で開かれるはずの入学式に出ようとしてそちらに注意を集中していたので、声をかけてきた女性に気づかず曖昧な返事を返してしまった。改めてそちらを見ると下級生に見えるぐらいの小柄な女性と、作業着のつなぎを着ている男性がこちらに歩いてきているところだった。

 

 「えっとアマ・レンハイム君?随分、変わった名前ですね?っと、ごめんなさい。こんな事を言うのは失礼ですね。改めてご入学おめでとうございます。ところであなたの荷物を預かりたいのですが・・・」

 

 その言葉に頷きアマデウスは右手に持っていたジェラルミンケースを地面に置いた。

 

 「重いから気を付けてね?って・・・!!」

 

 「って、わわっ!!」

 

 と彼が言う前に事態は急変してしまった。地面に置いたアマデウスが軽々持ち運んでいたことも一つの要因かもしれない。それに倣って持ち上げようとした小柄な女性が持ち上げることができずに、そのまま前のめりになりくるっと一回転して背中から地面に叩きつけられそうになったのだ。

 

 「っ・・・」

 

 受身を取る時間はない。それならすぐに来るであろう衝撃に備えて目を固く瞑り待つが、待てどもその衝撃は来なかった。何故なら・・・。

 

 「大丈夫ですか?先輩(?)ってそそっかしいんですね・・・」

 

 ケースの持ち主によって支えられていたからだ。それも一般的に言うお姫様抱っこによって。幸いだったのは入学式が始まる直前だったので、周囲に人影は見られず抱き抱えられている子と抱き抱えている彼と、それを唖然としたふうに眺めている男性だけだったのだ。

 

 「ふえぇぇぇ・・・。だ、大丈夫でしゅ!!おろしていただけません?」

 

 「大丈夫なら良かった。さあ、ゆっくりと足をつけて降りてください」

 

 噛み噛みになったことには触れずにゆっくりと割れ物を扱うかのように地面に立たせる。それからその女性の横に立っていた男性に告げる。

 

 「言うのが遅れましたね。このケースの中身はとても重いので運ぶ際は気をつけてください。私が持っていくのが最善なのかもしれませんが、台車に乗せるかしたほうが良さそうです」

 

 と、横で呆然として立っていた作業着を着ている太めの男性に言うことが出来なかった注意点を述べる。

 

 「あ、あぁ・・・。お気遣いありがとう。そうさせてもらうよ。なにはともあれ僕からも入学おめでとう。充実した二年間になるといいな」

 

 『はい、それでは・・・』とだけ告げると案内された方に向かって歩いて行った。

 

 入学式は普通の学校と大差なく終わりをむかえようとしていた。講堂には朗々とした声が響き渡る。

 

 

 「最後に君たちに贈る言葉がある。本学院が設立されたのは約220年前のことである。創立者はかの“ドライケルス大帝”・・・。“獅子戦役”を終結させた帝国、中興の祖である。晩年の大帝は兵学や砲術を教える学院を開いた・・・」

 

 壇上で話しているのはヴァンダイク学院長だ。ステージの下には、教官と思われる数人の男女が直立不動で並んでいた。

 

 アマデウスは何度も聞かされて覚えている話の内容にアクビを噛み殺しながら、講堂に出席している新入生と思われる人たちに意識を向けていた。

 

 「(白を基調としているのは貴族。緑色は平民。・・・ここまでは分かるが俺のような赤を基調としているのも幾人かいる・・・。俺を含めて10・・・人か。兄さんが関わっているならそれなりの理由もあるはずだが)」

 

 「若者よ――世の(いしずえ)となれ!ワシのほうからは以上である」

 

 壇上では学院長がドライケルス大帝の残した言葉を力強く発していた。

 

 「以上で第215回トールズ士官学院の入学式を終了します。以降は入学案内書に従い、指定されたクラスへ移動すること。以上、解散!」 

 

 「指定されたクラスって・・・」

 

 優しそうな男子が呟く。確かにそうだ。入学案内書にはクラスがどこになるかなど書いてはいなかったのだ。

 

 「はいは~い。赤い制服の子達は注目~!クラスが分からなくて戸惑っているみたいね。実は事情があったりします。これから君たちには特別オリエンテーリングに参加してもらいます。まっ、すぐに分かるわ。それじゃあ全員あたしについて来て」

 

 そう言うとさっさと講堂から出て行ってしまった。戸惑いつつもそれに従うのは赤い制服を着た男女の生徒たち。

 

 「(何の意図があって・・・。とりあえず行ってみるか。おやこちらを睨んでいるのは貴族か。気に入らんな・・・)」

 

 そのような視線には慣れているアマデウスだったので、そのまま講堂をあとにした。そして数分歩いた後についたのはオリエンテーリングがこれから行なわれるには予想もしなかった旧校舎だった。




 
 あと実習は当然ながら全てリィンと一緒になるか、単独行動します。彼はオリビエと同じように貴族派や革新派とは異にした第三勢力を名乗るつもりです。

 一話あたり2000~3000ぐらいは書きたいですねー。

 2013/10/28微修正

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