Fate Grand/Order 〜それが僕らのカルデアライフ〜 作:てんつく
作るだけ作ってはみましたが投稿の踏ん切りが付かない状態でした。
作ったのが去年なので新サーヴァント網羅は難しいところですが、出来るだけ出せるように頑張ってみます!
ダ・ヴィンチ「ハイこれ♫」
某日、カルデアのミーティングルームにてレオナルド・ダ・ヴィンチに召集された英霊達とそのマスター。
ニコニコしたダ・ヴィンチに1人づつ丁寧に渡されたのは、『カルデア姫 脚本』と書かれた紙束。
立香「.......いやハイじゃなくってさ、突然呼び出したと思ったら何事?」
訝しげに真っ先に疑問の声を上げたのはカルデアのマスター、藤丸 立香。ダ・ヴィンチのことをよく知る彼からすれば、このように気まぐれを起こすこと自体は珍しくないが、それでも警戒はするものである。
立香「また特異点じゃないの?違うなら帰るよ?イスカンダル達とスマ◯ラやってる途中なんだから」
ヒラヒラと紙束を揺らしながら不満げな声を出す立香。それに続いて後ろから別の声が上がった。
ヴラド「ん....演劇かコレは?」
紙束をパラパラと流し読みしていたヴラドが眉を動かす。
その声に、ダ・ヴィンチの顔に怪しい笑みが浮かんだ。
ダ・ヴィンチ「さっすがヴラド公。正確にはとある映画の脚本さ。そしてココに集められたのは、そのキャスト達ってわけ」
ダ・ヴィンチは楽しそうに辺りを見渡し、全員にしっかり聞こえるように声を大きめにして続ける。
ダ・ヴィンチ「1枚めくったページに各自の役が書いてあるからね。開始は3日後。それまで各自でリハーサルでもしていてくれたまえ」
そこまで説明したダ・ヴィンチはパン!と手を叩く。
ダ・ヴィンチ「はいじゃあ解散!」
「「「「「........」」」」」
誰も言葉が見つからない。緊急の事態でもなく、大した説明も受けずして演劇をやれ?
まったくもって意味不明だ。ツッコミするのもバカらしく思えてきた。
立香は髪をクシャクシャ掻きながら呆れる。
立香「いやさ、ダ・ヴィンチちゃん.....ここまでの付き合いだ。君が何考えているのかなんて解る....というか、『何考えてんのかわからない』ってのは解るよ。でもさ、コレはマジで意味わからない」
レオニダス「というよりもォッ!なにゆえ我々なのかを説明いただこうかァッ!!」
バニヤン「オジさん、うるさい....」
そーだそーだ、と不満を漏らすサーヴァント達に、ダ・ヴィンチはしょうがないと言わんばかりに息をつく。
ダ・ヴィンチ「いやね?平和になってかここのトコロ、カルデアの職員の士気が落ちてきてねぇ。良い方法はないかと考えた結果、映画、ないし演劇でも見せてやろうということになったんだよ」
ところがどっこい、とダ・ヴィンチは打って変わって明るく続ける。
ダ・ヴィンチ「雪と山ばかりのカルデアの外に、そんな媒体があるはずもない。だから考えたのさ。『自分らでやろう』とね。嗚呼、なんと天才ダ・ヴィンチちゃん!」
邪ンヌ「...ッハ、天才とバカは紙一重と言いますが、どうやら貴女は後者だったようですね」
壁にもたれかかり、人一倍つまらなそうにしていたジャンヌ・オルタは、脚本をポイと投げ捨てて踵を返す。
邪ンヌ「演劇?そんなモノ貴方たちだけでやっていなさいな、バカバカしい。私は御免です」
ダ・ヴィンチ「辞めるのかい?なら仕方ないなぁ。聖女サマの方に頼むとするよ」
邪ンヌ「ハイハイどうぞ」
言いながらオルタは手をヒラヒラさせてミーティングルームの扉を開け....
ダ・ヴィンチ「『オルタには出来ないみたいだから』って付け加えて」
邪ンヌ「......」
足が、止まった。
ダ・ヴィンチ「いやぁすまなかったね」
邪ンヌ「.....待ちなさい。別に出来ないなんて言ってないわよ」
少しムッとした表情でダ・ヴィンチを睨むオルタ。ダ・ヴィンチはここぞとばかりに畳み掛けに入る。
ダ・ヴィンチ「いやいや無理しなくていいんだよ?出来ないならやらなくて」
出来ない、の部分をさりげなく強調しているあたり相変わらず腹が黒い....と立香は呆れる。
邪ンヌ「できますよ。えぇできますとも。演劇の1つや2つ。パパッとこなしてやろうじゃありませんか」
「「「「「チョロい....」」」」」
邪ンヌ「? 何か言いましたか?」
ダ・ヴィンチ「いや何も?」
その場の全員(邪ンヌは除く)が心を1つにしたのは、ソロモン神殿以来かもしれない。
〜その後〜
ダ・ヴィンチ「ハイハイ、じゃあ回していくよ!スケジュール詰まってんだからね!」
サングラスを付け、上着を肩から掛けて袖を胸元で結び、いつもの杖でポンポンと手を叩くダ・ヴィンチは、さながら映画監督になりきっているようだ。
立香「ダ・ヴィンチちゃんが監督なの?」
ダ・ヴィンチ「まーね♫」
エジソン「機器類は任せるが良い!」
獅子顔の発明王が細やかな機械を弄りながら声をかける。撮影は彼が行うのだろう。カメラやライトをいくつも配置しては調整を繰り返している。
立香「結構本格的なんだね.....」
ダ・ヴィンチ「むしろそこは発明王がそうなのさ。まさかカルデアで映画撮影が出来るなんて、彼にとっても嬉しいことなんだろうしね」
エジソン「ぬはははは、準備OKだ!それではさっそく始めようではないか!」
細かい調整が終わったのだろう。大口を開けて高笑いをするエジソンは、確かに楽しそうに見えた。
〜撮影開始〜
ダ・ヴィンチ「ハイ、よーい.....アクション!」
カン!とダ・ヴィンチの助監督を担当するマシュがカチンコを鳴らす。
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グダタカ『静まれ!静まりたまえ!山の主たるそなたが、なぜそこまで荒ぶるのか!』
タタリ魔猪『ヴァァァァ......!!!』
呪いにまみれ、自我も無いまま暴走する猪に弓を構えるグダタカ。里の娘を守るため撃退を試みるが、不覚にも右腕に呪いの一部を浴びてしまう。
サハ様『やれやれ困ったことになった。かの猪は、はるか西の方角よりやってきたのだ』
里の長であり、未来を占う巫女であるサハ様は、ルーン石を弾かせグダタカを占う。しかしそこで出たのは、必ず死に至る呪いを受けたという結果だった。
クー『サハ様!それではグダタカの腕は....』
サハ様『その地へ赴き、呪いのありかを突き止めるしか方法はあるまいて』
呪いを解くため、グダタカは相棒のヤッラムに乗って夜遅くに里を離れることにした。
グダタカ『この里とも、今日でお別れか....』
キヨ『グダ様!』
グダタカ『キヨ!?夜中の外出は禁じられているのに....』
キヨ『こちらを貴方様に....』
グダタカ『これは.....なにこれ?』
キヨ『私の角の一部を加工した小刀です!祈りを込めて私の息(炎)を吹きこめました。私の思いはいつまでも変わりません.....ウラギッタラ....ソノ小刀ガ、アナタヲ.....』
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ダ・ヴィンチ「ハイカットー!ちょっと清姫ちゃん、勝手に脚本変えないの。そこは黒曜石の小刀でしょ?あとアドリブも入れたら困るよ」
ヤッラム(ラムレイ)「ブルルッ(あ、俺次ダッシュのシーンだ)」
魔猪「ブモォウ(マジ?頑張れ)」
獣達も各々の出番に備え、水分補給は怠らない。特に魔猪は特殊なメイクをいくつもいれているので、水を飲むのにも一苦労のようだ。
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グダタカ『ッ、戦...!?』
ケルト山賊『ヒャッハー!』ゲシゲシ
ライコ『あ〜れ〜』ヨヨヨ
山賊が逃げ惑う村人を襲っている。救出するため、グダタカはヤッラムを駆けさせ、山賊に矢を向けた。
グダタカ『(マズイ!クーが殺される!)止めろォッ!』
グリュッ!グリュリュ!
グダタカ『!?....ッグ、ぐああ!!』
突然グダタカの右腕が、まるで中で何かが暴れているかのように激しく歪み始めた。
激痛に歯を食いしばりながら放たれる矢の一閃は、山賊の両腕を纏めて吹き飛ばした。
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マシュ「スゴイですね...あの腕、どうやって動かしてるんですか?」
ダ・ヴィンチ「いやなに、私のダ・ヴィンチちゃんパンチのアームを少し改良だけだよ」
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グダタカ『我が名はグダタカ!東の地よりこの地へ来た!そなた達は、森に住むという古き神か!?』
???『......』
川辺の対岸にて見かけた大狼とその傍に佇む女性に声をかける。しかし大狼は牙を剥き喉を低く唸らせ、女性は刃物の様に鋭い視線をグダタカに向けただけであった。
???『......去れ!』
ただ一言。澄んだ声で、しかし突き放すように大狼の美女はグダタカに言い放ち、森の中へ消えていった。
『うわぁぁー!』
突然の叫び声。先ほど川辺に流れ着いていた所を救助した者だろうか。グダタカは岩場を飛び降りて声の方へ走る。
甲太郎『ややや、やめろ...くるなぁ...!』
怯える青年の視線の先は、ヤッラムの背。そこには、胡座をかいて座る森の精霊がいた。
コハサ『キリキリ.....カララ!』
己の首を捻り、殻が鳴るような音を立てながら揺らすコハサ。
グダタカ&甲太郎『こっっわ!!??』
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ダ・ヴィンチ「カット〜!もう2人とも、本気ビビりしてちゃ困るよ」
ダ・ヴィンチがストップをかける。立香と甲太郎役の風魔小太郎は顔を引きつらせてダ・ヴィンチに食いついた。
立香「いやいやいやマジで怖いって!え、なにそれ!?ハサンってそんな首の動かし方できるの!?」
動揺する立香に、演じたハサンは申し訳なさそうに声をかける。
ザイード「申し訳ない魔術師どの。驚かせてしまったか」
百貌「すまないなマスター。彼は私の中のハサンの1人でな」
小太郎「ひゃ、百貌さん!?中のって.....」
百貌「言葉の通りさ。私の中のハサンを一時的に1人1人、こっち側で肉体を持たせている。後で総動員させる予定だ」
立香「100人単位であの首キリキリを見せられるとかトラウマレベルだよ....」
ダ・ヴィンチ「ふむ、ちょうどいい。ならここらでちょっと休憩を挟むとしよう.....マシュ、頼むよ」
休憩で〜す!とマシュはキャストに伝え回った後、タオルと水を持って立香の元へ駆け寄る。
マシュ「先輩、お疲れ様です」
立香「ありがとうマシュ。でもまだ先は長いみたいだね....」
現時点でも自身の体に疲れとダルさが感じられる。脚本からして、まだ3分の1にも届いていないといったところだ。主役を務める者として、これからさらに襲いくるであろう疲労の蓄積は予想もしたくない。
???「おいマスター!」
後ろから声をかけられる。振り返ると、眉間にシワを寄せてズカズカ歩いてくるクー・フーリンだった。
立香「どーしたの?」
クー・フーリン「いやいやコレだよ」
ペシペシと指の甲で脚本を叩きながら不満そうに伝える。
クー・フーリン「見た感じ、俺がやる役全部エキストラじゃねーか!しかもほとんど死ぬ役!納得いかねーぞ!」
立香「いや.....多分、死ぬキャラ像が似合うんだよ」
マシュ「毎回スカサハさんに槍で貫かれてますからね....スキルで復活しますけど」
クー・フーリン「不名誉にも程があんだろ!?チクショウ、あのキャスターに文句言ってくらぁ」
そう言ってダ・ヴィンチの元へ向かうクー・フーリン。彼なりに、この劇に向き合っているということだろうか。
立香「そういえば、マシュは出なくて良かったの?」
マシュ「わ、私はあんまりこういうのは得意ではないので....」
えへへ....と自信なさげに笑うマシュ。そんなことはないと思うが、セイレムでは語り部をしたこともあって、こういうサポート役の方が好みなのかもしれない。あまり突っ込むのは野暮だろう。
ダ・ヴィンチ「ゴチャゴチャ文句言わない!ダ・ヴィンチちゃんパーンチ!」
クー・フーリン「ぐわぁー!」
エミヤ「ランサーが死んだ!」
メドゥーサ「この人でなし!」
まずは壁にめり込んだクー・フーリンを引っこ抜くことが先だろう。立香は飲み干したペットボトルを床に置くと、よっこいせと立ち上がった。
撮影はまだ、始まったばかりである。
2部?
ロストベルト?
クリプター?
そんなものは存在しない(断言)。
皆さんはこういうのは好きですか?僕は大好きです。