今年もよろしくお願いします!
「デュエルしろよ、か。この天新海に向かって。ふ、君は面白いな」
「俺の仲間の龍可という少女が行方不明だ。そして俺たちの痣に現れた異変……。何か知っているのか?」
「俺の持つ情報は全て渡すよ。加えて、君や君の仲間たちにも今後一切危害を加えないことを約束する。君がデュエルに勝てばの話だけどね」
「お前が勝ったら?」
「君には俺が主催するデュエル大会に出場してもらうよ。その名も『ビッグバン・フォーチュン』! ついでにスターダストのカードもいただこう」
「ふっ。無茶を言ってくれるな」
ウキウキな新海と厳しい顔の遊星。対照的な様子の二人の間には、静かだが激しい火花が散っていた。
ふたりはDホイールにまたがり。
「お前も決闘者。信用してやるよ。このライディングデュエル、必ず制してみせる!」
「そう簡単にはいかないよ。この天新海のスゴさ、思い知れぇっ!」
──ブンブンブォーン──
『皆さんお待たせしました! どうやら両者、デュエルの準備が整ったようだぁ!』
「はははヤッホー。始まるようだね」
クロウくんたちをはじめ、会場の誰もが席に留まって夢中でモニターを見上げていた。当然だ。サテライトの英雄にして最強の決闘者、不動遊星のデュエル。見逃す手はない。
「斬せんせー、あの人もユニバース使うの!?」
「うん。遊黒くんのとは少し違うけどね」
「おぉー! 強いの!?」
「そうだね。ボクの知るユニバース使いの中じゃ3番目くらいに強いかな」
「すげー! で、1番強いのは誰なの!?」
「もちろんボクさ! 見てよこのウイングドエンペラーの輝」
龍亞くんはもう完全にモニターに夢中になっていた。自慢話とは大抵の場合どうでもいいものであるということを、ボクは改めて感じたのであったー。めでたしめでたしー。完!
ボクがほげーな気分になってるのをよそに、遊黒くんはどっかに行こうとしていた。ボクは彼のふざけた色の髪を掴んで引き止める。
「あれ、どこ行くの?」
「痛たたたたた! もうちょっと違う止め方プリーズ!!」
「一緒にデュエル見ようよ」
「ちょ、ちょっと急用を思い出して!」
「ふーん。ふーん。ふーん」
「め、めっちゃ怪しんでるー!」
「ま、君がどこで何しようが関係ないけどね。約束さえ守ってもらえれば」
ここで彼はすごい嫌そうな顔になったけど、すぐに普通の顔に戻り。
「……約束通り、その時が来たらお前と闘う。ま、その時は俺が勝つことになると思うがな」
「いやいや、ボクが勝つのでござるよ。ニンニン!」
「……いや。俺が勝つさ」
そう言って、遊黒くんは夜の闇に消えていったのであったー。次回へ続く!とはまだならないわけで。だって、遊星くんと新海くんのデュエルが始まるのだもの。ざんを。
さて、デュエルが始まるわけだけど、新海くんのデュエルの始まりはちょっとスペシャルなのだ。彼は絶叫し、同時に彼のカードから真紅の不死鳥が、花火みたいに舞い上がる。
「ユニバースフィールド魔法カード、『エターナル・フェニックスハート』! 発動っ!!」
あたたかな炎がネオドミノの空をはしる。新海のデュエルを祝福するように、空を真っ赤に染め上げる。これこそが天新海の闘いの始まりを告げる、ユニバースカードの発動である。新たにフィールド魔法を発動する場合、あのカードの上に重ねて置けば、両方の効果を適用することが可能である。まぁ、とどのつまり、戦術の邪魔にはあまりならないというわけだ。当然スピードワールドとの共存も可能。
「フェニックスハートの効果。このカードがフィールド魔法状態で俺の場にある限り、君が受けるダメージは全て半分になり、俺が受けるダメージは全て倍になる」
「俺が有利になる効果だと?」
「今のところはな。だがこのカードはレガシーの力によって覚醒する。楽しみにしておけ」
未知の能力。未知のカード。だけど遊星くんの闘志は全く衰えない。むしろその目の輝きは増しておく。あれ、ていうか笑ってない?
「ふっ。面白くなってきたな。行くぞ新海!」
「アハハハハ! さぁ、リバースデュエルの始まりだ!」
「デュエル!!」
真っ赤な鳥をモチーフとした新海ボーイのDホイール、『フレイム・フェニックス』が、意味不明なスタートダッシュで遊星くんの『ボルカニック遊星号』を引き離す。え、なにあれ。クロウくんもボクと同じように思ったようだ。
「おいおい、なんだよあのパワー!? 違法改造じゃねぇのか!?」
「この天新海がそんなことするかぁ!」
「なんで聞こえてるの!?」
「それには私が答えましょう!」
「あ、君は新海くんの秘書のシルバーちゃん!」
「リバースコーポレーションの最新技術が、インチキじゃない最強パワーを生み出したのです! パワーだけならあのホイール・オブ・フォーチュンすらも凌牙、もとい、凌駕するのです。もはや新海様が史上最強と言っても過言ではないですね!」
「……それはどうかな」
遊星くんはつぶやき、その目がコーナーを見据える。パワーで劣っているならば、コーナリングで勝つしかない。ちゃんと減速してからコーナーへ入った新海くんに続いて、遊星くんはなんと!ほぼ減速せずにコーナーへ突っ込んでいく!
「デュエルに入るまでもなくクラッシュでアウトか。不動遊星ともあろうものがぁっ!!」
「そう思うか?」
「なにぃ!?」
「クリア・マインドォーッ!!」
絡み付く時間振り切って、限界までぶっ飛ばして。
クロウくんと龍亞くんが歓喜の声を上げる。
「あれは遊星の必殺技、揺るがない境地! あれなら行けるぜ!」
「これで大逆転だ! いっけー遊星!!」
たしかにすごい。無駄のないコーナリングだ。ありえないようなスピードなのに、鮮やかにコーナーを抜けていく。
「ぬ、ぬぅぅ! バカな……そんなバカなぁぁぁっ!!」
絶叫する新海くん。ピンチだ。だけど。
「し、新海くん……頑張れ……頑張れぇーっ!!」
「っ!?」
遊星くんを励ます者がいるならば、新海くんを励ます者もいる。シルバーちゃんの健気な声は、遠く離れてはいるけど、きっと届いた。
「……俺は……俺はっ!!」
パワーで勝っているという利点を活かした、安全なドライブ。それが新海くんの戦略だったのだろう。だけどもうそれは捨てた。モニター越しでも、彼がアクセル全開になったのが分かった。であれば。
「うぉぉぉぉぉぉっ!!」
「はぁぁぁぁぁぁっ!!」
勝敗の行方は、神のみぞ知る。誰もが息を呑んだ、次の瞬間、MCの声が静寂に響く。
『第1コーナーを制したのは……うわぁぁぁぁっ!!』
「……ククク……アハハハハハァッ!!」
『天新海だぁーっ!!』
街中から響くブーイング。だけど新海くんにはひとりだけ味方がいた。彼の勝利を祈る白銀の天使がね。シルバーちゃんに駆け寄ると、彼女は恥ずかしげにうつむいてしまった。
「が、ガラにもなくあんな大声で……お、お恥ずかしいところを」
「恥ずかしくなんかないよ」
「えっ?」
「かっこよかった。とってもね。あー、なんかボクも新海くんを応援したくなってきちゃったなー」
「……斬さん……!」
龍亞くんとクロウくんもこっちに来た。仲間が先攻を取られたというのに、なぜかふたりとも楽しそうだ。
「あの新海って人すげーじゃん! 遊星から先攻をとっちゃうなんて!」
「パワーが互角なら遊星が勝ってたがな。けど、面白いデュエルになりそうじゃねぇか!」
「お、お二方……新海様を認めて下さるのですか!?」
シルバーちゃんの問いかけに、龍亞くんとクロウくんは「何言ってるんだホー?」顔で顔を見合わせる。そして。
「あったり前じゃん! 俺、強い決闘者はみんな好きだぜ!」
「あいつは遊星の前を走っている。俺たちライディングデュエリストにとっちゃそれが全てだぜ」
「あ、あ、ありがとうございます! 新海様、嫌われやすいから……ぐすっ」
「そ、それはなんとなく分かる」
半泣きのシルバーちゃんに対応するのは正直めんどくせー案件だったと思うのだが、クロウくんは頑張ってこなしていた。なるほど、小さい子ども達の面倒を見てきた故の習性ということか。
シルバーvsクロウも凄まじい激闘だった。だがしかし、まるで全然! ボクは遊星vs新海の方に注目したいんだよねぇ! というわけで、そちらに描写を戻すこととするのであった。
新海くんの第1ターン。スピードカウンターが互いに1溜まる。
「『閃光の騎士』を召喚。そして永続魔法『補給部隊』を発動」
『あれはモンスターが破壊された時にドローできるようになるカード! これでは遊星はうかつに攻撃できないぞぉーっ! あれ、ところであのモンスターは見たことがありませんが』
「ペンデュラムモンスター。貴様らにとっては未来の力だ。カードを2枚伏せてターン終了。さぁ、どう来る?」
「未知のカードか。ならば俺は、カードの絆で立ち向かう!」
「なに?」
「『成金ゴブリン』。お前のライフを1000回復し、1枚ドローする。そして!」
遊星号がうなりを上がる。それは燃え上がる闘志の表れ。鋭くカードを引き。
「来い、『スピード・ウォリアー』!」
現れる、小さな機械の戦士。攻撃力は900。自身の能力でこのターンのバトルフェイズ中のみ攻撃力を倍にできるが、それでも1800。閃光の騎士も1800なので互角。
「相打ち狙いか。浅ましい、浅ましいぜ!」
「装備魔法『進化する人類』! このカードは俺のライフが相手より少ない時、装備モンスターの元々の攻撃力を2400にする」
「上手いぜ遊星! スピード・ウォリアーの攻撃力を倍にする効果は元の攻撃力が高くなれば威力を増す。このコンボが決まれば遊星の勝ちだ!」
「えぇ〜!? 新海様ピンチじゃないですか! なのになんで嬉しそうなんですかクロウさん!」
「え。そ、そりゃ遊星は仲間だし」
「この裏切り者ぉぉっ!!」
「な、なんで!? うわやめろなにをぎゃぁぁぁっ!!」
スピード・ウォリアーの攻撃力はこれで4800。フェニックスハートの効果で戦闘ダメージは倍だから、この攻撃が通れば6000のダメージ。遊星くんの勝ちだが。
「行くぜ新海! スピード・ウォリアーの攻撃!」
「トラップ発動、『神の恵み』」
「ソニック・エッジ!!」
華麗なアクロバティックキックが決まり、閃光の騎士が破壊される。これでデュエルの勝敗は決した……と言いたいところだけど。
『あ、あれ、天新海……ライフ6000!? な、なんでライフが増えてるんだー!?』
「トラップカード『ガード・ブロック』を発動したからさ。ダメージを無効にし1枚ドロー。さらに補給部隊の効果でドロー。そして攻撃時に発動した神の恵みは、俺がドローする度に500のライフを回復する。2回引いたから1000回復だ」
「やはり防いだか。やるな」
「この程度は雑作もないよ。俺は全ての次元の最強決闘者たちのデータをマルッとインプットしている。君のカードも知り尽くしているということだよ。分かるか?もはや君に勝ち目はない!」
「データで勝敗が決まるならデュエルする意味はない。答えは、このデュエルの中だけにある!」
「良い意気だな。だがついてこれるか?ここからは、君にとっては完全なる未知の世界だ!ペンデュラムモンスターである閃光の騎士は、場から墓地に置かれる場合、墓地に置くかわりにエクストラデッキに表側で加えられる!」
「……なるほど。たしかにこれまでにはない能力だ」
ここで龍亞くんが疑問をぶつけてきた。
「でもさ、エクストラデッキに加えてどうするの?墓地に置いといた方が便利だと思うけど」
「あぁ、それは」
「斬さんストーップ!」
「ん、んんっ!?」
急に口を抑えられてしまった。無論シルバーちゃんにである。ボクが抗議の視線を送ると、麗しのレディーは茶目っ気に微笑んで。
「もぉ、斬さんってば、ダメなお侍さんですね。そういうのは焦らすものなんですよ?」
「そ、そうなんだホー!」
「そうなのです。龍亞様、あなたの問いの答え、それはデュエルの中にしかないのです!」
「は、はぁ。ところで侍って?」
「さて、デュエルがどう動くのか、注目ですね〜! ワクワク!」
カードを2枚伏せ、遊星くんのターンは終了した。新海くんのターン、これでスピードカウンターは互いに3。ここで、戦況が大きく動く!
「く、くく、アハハハハハハハハァッ!!」
「なぜ笑う!?」
「揃ったからさ。お前の攻撃のおかげでなぁ! 今こそ、俺のペンデュラムが揺れる時! スケール2の『マンドラゴン』を、Pゾーンに設置!!」
魔法罠ゾーンの両端に設けられたPゾーン。そこにペンデュラムカードが揃う時、生と死の理は逆転する!
「さらにスケール7、『銅鑼ドラゴン』をセット! 行くぞ、リバースデュエルの始まりだ!!」
「な、何が起こっている!?」
「ターンに1度、2枚のPカードのスケールの間のレベルのモンスターを、エクストラデッキに表側で加えられているカード及び手札から一度に何体でも特殊召喚できる。それがペンデュラム召喚だ」
『そ、そんな召喚は見たことも聞いたこともないぞぉぉっ!!』
「ならば俺が見せてやるぜ聞かせてやるぜぇぇっ! ペンデュラム召喚! さぁ来い、閃光の騎士、そして2体の『聖鳥クレイン』!!」
一瞬にして現れる3体のモンスター。クレインはレベル4で、攻撃力は1600。特殊召喚された時に1枚ドローできる効果も持っている。それが2体出たから新海くんは2枚引き、ライフは7500まで回復する。
「さらに永続罠、『連成する振動』を発動。Pゾーンのカードを破壊し、カードを1枚ドローする。マンドラゴンを破壊してドロー。神の恵みの効果で、ライフを回復!」
「ライフ……8000!?」
「やるぜあいつ。フェニックスハートのデメリットもこれで帳消しだ!」
「フィールド上で破壊されたマンドラゴンも通常ならばエクストラデッキに加えられるが、ここでエターナルフェニックスハートの効果。ターンに1度、ペンデュラムカードが場を離れる時、そのカードをこのカードの上にレガシーとして置く!」
不死鳥がその輝きを増す。オリジン世界に存在する、古よりの言い伝え。不死鳥に5つの生け贄捧げられし時、闘いは終焉する。伝説の真偽がこのデュエルで明らかになるか?
「魔法カード『マジック・プランター』発動。神の恵みを墓地に送り、2枚ドローする」
新海くんの口角がこう、グワッと上がる。恐るべきモンスターの出現の気配がたちこめる。
「閃光の騎士とクレイン2体をリリースし、アドバンス召喚」
「3体ものモンスターをリリースするアドバンス召喚だと?」
「そうすることによってこのモンスターは真の力を解き放つのさ。さぁ来い『神獣王バルバロス』!!」
ついに現れた、天新海の主力モンスターの1体。攻撃力3000を誇る最強クラスのモンスターだ。しかも3体リリースによって召喚されると、ヤバい能力が発動する!ニンニン!
「こいつが3体リリースで出た時、相手の場のカードを全部破壊する!」
「なんだと!?」
「そ、そんなことされたら遊星ヤバいじゃん!」
『ま、まままさか! あの不動遊星が、世界を救った英雄が、負けてしまうのかぁー!?』
「何が英雄だ! 過去には何の価値もない。俺は過去を踏みにじり未来へ向かう! その礎として砕け散れ! 不動遊星ぇぇっっ!! 」
巻き起こる破滅の嵐。史上最強の破壊がクールガイを襲う。しかしそのクールガイはどこまでもクールだったのである。この超絶望的な状況にあっても、なんと優しい微笑みを浮かべている。
「アハハハハ! 踊れ、死のダンスを!!」
「……ダンスは苦手だな」
「あん?」
「『エフェクト・ヴェーラー』の効果発動!」
嵐を消し去る、新たな力。あれは相手のメインフェイズ中に手札から効果を使えるモンスター。
「その効果により、バルバロスの効果を無効にする!」
「ちぃぃ! だがこの攻撃は防げるか!? バルバロスでスピード・ウォリアーに攻撃!!」
『うわぁぁ! スピード・ウォリアーは遊星の主力モンスター! 失えば遊星に勝ち目はない! 今度こそ勝負あったかー!?』
「ゆ、遊星—!!」
激しい砂煙が上がる。街中からの応援の声も虚しく、スピード・ウォリアーは破壊され、うん?あ、ちょっと待って。
「トラップ発動、『くず鉄のかかし』!!」
煙から、健在のスピード・ウォリアーと遊星が勢いよく飛び出し、街中から歓声が上がる。くず鉄は相手の攻撃を無効にした上に、発動後も場にセットされるトラップ。つまり毎ターンに使えるというわけで。これでバルバロスの攻撃は永遠に封じられた。龍亞くんは歓声を上げる。
「すごいぜ遊星! モンスター効果と攻撃を両方止めるなんて!」
「……ふん、尊敬してやるぜ。だがまだ攻撃力3000のバルバロスを攻略できてはいない。俺はカードを2枚伏せ、ターンエンド」
彼の言う通り、バルバロスを倒さない限り遊星くんに勝ち目はない。バルバロスを倒すのは容易なことじゃあないはずだ。だけど。
「あ、あの人なんか笑ってないですか斬さん!?」
「めっちゃ笑顔だね。カードを信じているんだ。さすがだね」
「で、でも、笑うだけじゃバルバロスは倒せないです! あのモンスターはリバースコーポレーションの守護神! マジで最強なんですから!」
「倒せないモンスターはない。デュエルとは1%の奇跡を信じて闘うものさ。ま、見てるでござるよ」
「わ、わかったでござる!」
そう、確かにあるんだ。デッキとの絆を感じる瞬間。それこそが決闘者の最大の喜びであり。
「俺のターン! 俺は『Sp—エンジェル・バトン』を発動。カードを2枚引いて、1枚捨てる」
その瞬間をつかみ取れる決闘者とは、どんな時でもデッキを信じることをやめない。ドローの瞬間を楽しむ。そう、今の遊星くんみたいにね。
「行くぞ新海! このドローに、俺の魂をこめる!」
「笑わせるな! 引けるわけがねぇっ!!」
「どうかな?」
「っ!?」
「ドロー!!」
熱き叫びと共に、遊星の元へ導かれし、運命のカード。それは。
「……来たか」
遊星に笑みをもたらす。あれは最高のカードをドローできた決闘者の顔。
──ギャンギャンギャーン!!──
彼のDホイール、ボルカニック遊星号が吠える。自らの愛機に共鳴するかのように、遊星くんはコースの壁を使って。
「な、なに!?」
「遊星が……」
『飛んだぁーっ!!?』
「チューナーモンスター、『ジャンク・シンクロン』を召喚!!」
天高く舞い上がる。そして彼の元に現れるレベル3のチューナー。その能力によりエンジェル・バトンで墓地に送っていた『ボルト・ヘッジホッグ』を墓地から特殊召喚! おっと、これは。
「わぁー! あのネズミのモンスター可愛いですね斬さんっ!」
「そうだね。でも、シルバーちゃんも負けてないよ」
「え、えっ? や、やだ、斬さんってば……!」
「ジャンクはレベル3。そしてボルトはレベル2! さて、ここでシルバーちゃんと龍亞くんに問題です! この2体の、レベルの合計は〜?」
「5—!!」
「正解! そしてチューナーとチューナーじゃないモンスターの組み合わせ! さぁ、この状態で行える召喚はなにかな〜?」
「シンクロ召喚—!!」
ふたりの可愛らしい絶叫、絶叫という表現が正しければだが、それが正解であると告げるように、遊星くんの元に光の輪が現れる!
「レベル3のジャンク・シンクロンを、レベル2のボルト・ヘッジホッグにチューニング!!」
「な、なんだ!?」
「集いし星が、新たな力を呼び起こす。光差す道となれ!」
──ピカーン!!──
「シンクロ召喚!!」
大いなる調和の渦より。
「出でよ、『ジャンク・ウォリアー』!!」
最強の戦士が現れる。マフラーがはためき、機械のボデーがピカリと光る。
『き、ききき、来たー!! 不動遊星の最強の切り札のひとつ!! 攻撃力2300を誇るシンクロモンスターだー! あ、でもバルバロスには勝てないぞー!!』
「心配無用だ。ジャンク・ウォリアーの効果! 俺の場のレベル2以下のモンスターの攻撃力を自らの攻撃力に加える!」
「なんだと!?」
「パワー・オブ・フェローズ!!」
スピード・ウォリアーの攻撃力は900。ジャンク・ウォリアーは2300。とどのつまり。
「バカな、攻撃力3200だとぉ!?」
「すげー! すげーぜ遊星!」
「低レベルモンスターから召喚され、低レベルモンスターから力を得る。昔から変わらねぇ、遊星らしいやり方だぜ!」
「な、なるほど。勉強になりました! ニンニン!」
なぜシルバーちゃんがボクのモノマネをしたのかは謎だが、まぁそれはさておき。
「行くぞ! ジャンク・ウォリアーの攻撃!」
「……くっ!」
巨大な鋼の拳と共に、バルバロスへと突っ込んでいく遊星くん。これこそ魂の一撃。
「スクラップ・フィストー!!」
叩き込まれる、究極のパワー。バルバロスはあえなく砕け散る。攻撃力の差は200だがエターナルフェニックスハートの効果でダメージは倍になるので、新海くんは400ダメージを受ける。しかしまだ終わらない。
「まだだ! スピード・ウォリアーでダイレクトアタック!」
「ぬ、ぬぅぅぅっ!!」
「ソニック・エッジ!!」
今度こそ決まる、高速の機械キック。新海くんは絶叫しながらスピンし、壁に激突。煙が上がり、なかなか彼は出てこない。これは……。
「勝った……遊星が勝った!」
「し、新海様〜!」
「……いや、よく見るのでござる!」
次の瞬間。
「ギャハハハハハァァァッッ!!!」
邪悪な爆笑を伴ってリターンザ天新海。目を血走らせながら笑うその様は軽くヤバい人だったが。
「新海様……元気そう。よかったぁ」
シルバーちゃんは感激の涙を浮かべながら微笑んでいた。うーん、守りたいこの笑顔。
「アハハハハ!! この俺様をここまで追いつめるとは、褒めてやるぜ遊星!!」
「……賑やかになってきたな。俺はターンエンド」
「俺のターン! 振動の効果で銅鑼を破壊しドロー。銅鑼はフェニックスのレガシーになる。さらに永続罠『最終突撃命令』発動!!」
あれは場のモンスターを全部攻撃表示にするカード。でも遊星くんの場のモンスターは元から攻撃表示、意味はない。
「さらにリバース発動、『揺れる振動』!」
「……また永続罠……まさか!?」
「勘が良いね。では褒美に見せてやるよ。このカードは自分の場の表側のトラップ3枚を墓地に送ることで、この次元へと降臨する!」
その時だった。
『……ん?え、えぇっ、なんじゃありゃああああっ!!?』
MCが絶叫するのも無理はなかった。空から逆さまの火山がズズズズと出てきたからだ。逆さまなので山の天頂、つまり火山口は新海くんたちの方に向いている。しかし新海くんはゲラゲラ笑い、遊星くんも落ち着いている。クロウくんや龍亞くんも特に慌てた様子はない。ボクがそのことを指摘すると。
「え、いや、ちょっと前に空から城?みたいなのが落ちてきたことあったし……」
「絵面的には大体同じだしなぁ」
感覚イカレすぎだろと思わざるをえなかったが、まぁそこは人それぞれだと思い直すこととし、胸にしまっておいたのである。ボクって大人だなぁ。そう思わないかい?え、別に思わない?そんなー。
──ドカーン──
火山が噴火し、マグマがボドボドと溢れ出す。そのマグマの中で爆発が起こり、蛇みたいなのが出てくる。いや、あれは蛇ではない。あれは、そう!
「『神炎皇ウリア』召喚!!」
灼熱の炎より生まれし、三幻魔の1体。その名も神炎皇ウリア!
──バババババァ!!──
けたたましい唸り声。天地は揺らぎ、全ての者の魂を戦慄の色に染める。あれはこの世界のカードではないから皆に予備知識はないはずだ。だけどあの叫び声と威厳に満ちた姿でみんな大体分かったのだろう。あのカードがデュエルの歴史に刻まれた、神に最も近き、史上最強モンスターの1体であるという事実を。
新海くんはドヤ顔で告げる。
「さっき言ったな。君の勝つ可能性は30%くらいだと。だが訂正しよう。今この瞬間をもって、お前が勝つ可能性は0になった!!」
「……たしかに幻魔の力は強大だろう。だが、俺にもそれに負けない力がある!」
「なんだそれは?」
「絆の力だ!」
「え?」
「絆の力だ!」
「はっ、笑わせんな! そんなもんは何の意味もねぇよ。神炎皇ウリアは際限なく攻撃力を上げる。見ろ、この無限の超パワーを!!」
「俺たちの絆パワーも無限大だ! 新海、お前にそれを見せてやる!!」
ウリアは三幻魔の1体。三幻魔ということはあれと似たようなのが更に2体いるわけで。そして新海くんの手札からそのオーラがムンムン滲み出す。
バチバチぶつかりあう火花。それを見守る最強の不死鳥。あ、そういえば、現状フェニックスハートって何の役にも立ってな、あ、睨まれた! ご、ごめんなさーい! そんなことを思いつつ、次回へ続くのであったー。
今回からオリジナルカードの効果を後書きに書いていこうと思います。あらかじめ書いておいた方が読者の皆さんも展開を予想できて良いんじゃないかな、と思ったからです。今回紹介するオリカはこの1枚!
『エターナル・フェニックスハート』
<ユニバースフィールド魔法カード>
①このカードはゲーム開始時に発動する。自分がフィールドゾーンにカードを置く場合、このカードの上に重ねて置く。このカードとこのカードに重ねられたカード全ては、効果を全て適用する。
②このカードはあらゆる効果を受けず場を離れない。このカードの効果の発動に対してカードの効果は発動できない。
③自分が受けるダメージは全て倍になり、相手が受けるダメージは全て半分になる。
④自分のライフが0になるダメージを受ける時に発動できる。このターンの間、自分が受けるダメージは全て無効になる。この効果は1デュエルに1度しか使用できない。
⑤1ターンに1度、Pモンスターが自分のフィールドから離れる時、そのカードをこのカードの上にレガシーとして置くことができる。
⑥レベル9以上の『皇』モンスターが自分のフィールドから離れる時、そのカードをこのカードの上にレガシーとして置くことができる。
⑦このカードの上にレガシーが5枚以上置かれている場合に発動できる。レガシーの中からPモンスターを2枚までPゾーンに置く。それらのスケールは無限になる。この効果は相手ターンでも発動できる。
⑧このカードを裏返して『ビッグバン・ペンデュラム・ドラゴンナイト』にし、ユニバースペンデュラム召喚を行うことができる。その時、このカードに置かれていたレガシーを任意の数、魔法罠ゾーンにレガシーとして置く。
『ビッグバン・ペンデュラム・ドラゴンナイト』
<ユニバースペンデュラムモンスター>
レベル8攻撃力3000守備力2500 炎属性 戦士族
Pスケール:無限
①このカードがユニバースペンデュラム召喚された時に発動できる。相手の場の表側表示カードを全てユニバースアウトする。その後、自分の場のレガシー全てに、そのカードの種類に応じた以下の効果を与える。
●Pモンスター:このカードはPゾーンに置かれている間、無限スケールを持つPスケールとして扱われる。効果対象モンスターが場を離れることによってこのカードが破壊される場合、破壊する代わりに場に残すことができる。
●効果モンスター:効果対象モンスターが場を離れる時、このカードを破壊することでそれは場に残る。このカードがレベル9以上なら、相手は効果対象モンスターをリリースできず、召喚の素材にできない。
●通常モンスター:効果対象モンスターは相手の効果を受けない。
②このカードがPゾーンに存在し、自分が『オッドアイズ』モンスターまたは『ズァーク』モンスターを召喚・特殊召喚した時に発動できる。このカードを特殊召喚する。
③1ターンに1度、このカードの攻撃宣言時、自分のレベル9以上の『皇』レガシーを1つ選択して発動できる。ターン終了時まで、そのカードの攻撃力をこのカードの攻撃力に加える。
④このカードが場を離れる時に発動できる。自分のPゾーンのカードを全て破壊し、このカードをPゾーンに置く。
……と、こんな感じ……ですかね。
「いや、なげーよ! つーかユニバースアウトってなんだよ!」
っていうのは書いてて思いました(汗)
ユニバースアウトはデュエマの封印みたいなものです。基本的に無視され、戦力にならなくなります。場にいないも同然のものとして扱うわけですね。ただ遊戯王はデュエマ場に置けるカードの数に制限があるので、多くのカードがアウトされると場が圧迫されて不利になります。
ただアウトされたカードは場にあるカードとして扱うので、『フィールドのカード全てを破壊する』というような効果を使えば場から退かすことが可能です。ここはデュエマの封印とは違います。
と、初回から長くなってしまいました。オリカって大変ですね(汗)
今回のドラゴンナイト以上に面倒くさい効果のカードは無い……と思います。
読者の皆さんはわけわからんカードが続々出てきて「?」となっているかと思います。その点については申し訳なく思います。なのでオリカが出てくる理由を説明させていただきます。まず、単純に遊戯王ワールドに自分の考えたカードを出したいというのと、本編の後の話なんだから原作キャラたちも新しい切り札を手に入れる展開をやりたいなと思ったからです。特にGX編は本編から年単位で時間が経っているという設定になっているので。あと超融合神とかゾークみたいな、公式がカード化しなさそうなのも出したかったからですね。
この通り未熟者ですが、あたたかくお見守りいただければ幸いです。
では、また次回の更新でお会いしましょう。更新……頑張ります(震え声)