カチューシャと愛里寿の朝鮮戦争 Ep.1 北鮮軍地吹雪の電撃的奇襲、ソウル占領「栄光の大祖国戦争の勝利、ソウル解放!」   作:Brahma

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いよいよもう一人の主人公登場です。


その4 わたしは前線に行ってみたい。

島田米利加合衆国大統領チヨ・シマダは。優雅な物腰でふりむく。

「至急、国家安全保障会議を招集して。」

「はっ。」

6月25日、日曜日午前11時ごろ、チヨ・シマダは、早い昼食をとろうとしたときだった。

「アチソンさんですか。」

「はい。国連の安保理が緊急会議を招集しました。北朝鮮軍は大規模な攻勢をかけており、侵略行為はあきらかです。停戦決議がなされるでしょう。」

「至急、陸海空三軍の参謀長と話し合ってちょうだい。わたしが勧告文を出せるように準備して。」

大統領チヨ・シマダは、エア・フォースワンを降りたところアチソンやジョンソン国防長官に迎えられ、ブレアハウスに向かう。

「わが軍事顧問団が確認した韓国軍の報告によれば、25日午前4時未明、数地点において韓国領内に侵攻、戦車を先頭にした部隊が展開、6時には甕津(オンチン)、開城、春川(チュンチョン)地区を進撃。東海岸、咸何の南方でも敵が上陸しました。午前9時には開城が占領されました。東海岸の戦況等わが軍事顧問団と韓国官憲が確認中。」

「愛里寿に伝えて。在韓島田米利加人は、金浦空港からひきあげさせる。空軍に守らせて。韓国軍には物資、弾薬を補給してあげるように。」

「第七艦隊は、キャビテ軍港から台湾海峡を警戒しつつ北上するように。」

27日夜

【推奨BGM;好敵手です!】

「お母様から訓令?」

「はい。」

「指揮下にある空海の兵力をもって、38度線以南で韓国の援助をするように。」

「元帥?」

「ヴォイテク号を用意して、わたしは飛ぶ。」

「はい。」

愛里寿はヴォイテク号で、水原(スウォン)にとんだ。

「これはこれは、島田愛里寿元帥。」

出迎えた韓国の蔡総参謀長の説明は要領を得ないように思われたので、

愛里寿は、

「前線に行ってみたい。」

と言った。愛里寿の一行は、漢江を見下ろす小高い丘に上に立った。

韓国兵が盛んに壕を掘っている。眼下に見下ろす対岸のソウルは、ところどころに炎と煙でかすんで見える。

愛里寿は、壕掘りに余念のない兵士に話しかける。

「漢江はいつまで守れる見込み?」

兵士は軍服に黒いプリーツスカートをはき、年齢の割に知的に見える愛里寿を見て驚いたが、襟の階級章をみて二度驚いた。

「閣下、私は一介の兵士にすぎませぬ。中隊長の命令に従い守れと言われれば命がけで守り、撤退しろといわれれば退きます。ですからいつまでとおたずねになられても答えられません。中隊長にお聞きください。」

「わかった。島田米利加の陸軍部隊をここへ派遣する。それまでもちこたえて。」

元帥の階級を持つ少女は兵士の泥だらけの手を笑みをうかべて握った。

 

「アズミ、ルミ、お母様のご命令は、38度線以南の敵をたたけということだけど、それより北にいる北朝鮮軍をたたかないと意味がない。」

「出動ですか。」

副官たちは色めき立つが愛里寿は首を横に振る。

「わたしたちが出たら目立つ、それに出るまでもない。B29で爆撃する。」

 

【BGM:ボラー連邦の戦い】

開城の東、24キロの高浪浦(コウワンポ)を守備していた韓国第103連隊に精強な北朝鮮の第203戦車連隊が襲いかかる。

「あ、あれは...。」

「北朝鮮の第203戦車連隊です。」

韓国軍は、37ミリ対戦車砲を構える。

「撃て!」

カアーン、カアーン...

しかし、すべてT34/85の装甲に全く効き目がなく空しく弾きかえされるだけだった。

 

そのときだった。亀マークのついた38tヘッツアーがT34/85におそいかかり砲塔の付け目を巧みに狙い撃破し、履帯を切って擱座させる。韓国軍は快哉をさけんだが、T34/85は、砲塔をヘッツアーに向け、集中砲火をあびせた。ヘッツアーは横転する。

「や~ら~れ~た~。」

「西住さん、あとはたのみます。」

T34/85は、韓国軍を蹴散らしてなおも進撃していった。

 

「高浪浦のカメさんチームから連絡だよ、みぽりん。やられたって。あーそれから東豆川(トンドウチョン)のカバさんチームからの報告がはいったよ。」

「西住殿。我、奇襲に成功セリ、とのことです。」

東豆川の韓国第7師団とカバさんチームは、寝込んでいた北朝鮮軍を撃破した。三号突撃砲の48口径75ミリ砲が火を噴き、北朝鮮軍は大混乱に陥った。しかし...

 

抱州(ポチョン)に敵影なし!」

「よし、進撃だ!」

無人になった抱川へ北朝鮮軍の李英鏑少将率いる第3師団がT34/85で突き進む。

「敵戦車隊発見。南下してきます。」

「よし、道路わきから挟み撃ちだ!対戦車砲かまえ!」

「撃て!」

韓国第5連隊は、37ミリ対戦車砲を撃つ。

しかし、カアーン....カアーン

「全く効き目がありません。」

「そんな石ころのような砲弾がこのT34/85に通用するとでも思っているのか。撃て!」

ズドーン、ズドーン、ズドーン

「よし第7連隊は、やつらを包囲しろ。」

北朝鮮第7連隊は、韓国第5連隊を包囲し始める。

「だ、だめだ、退却!」

 

「敵、抱川を突破。第5連隊は壊滅。」

韓国第7師団劉載興少将と赤いマフラーを着けた少女、ドイツ風の軍帽をかぶった少女、六文銭の鉢巻を着けた少女、いくぶんぼさついた頭をして和服を着た少女が顔を見合わせる。

「これは、退却ですな。このままだと包囲されてしまう。」

「山中にわけいるしかないぞ。」

「源平の合戦に敗れた平家?」

「いや山崎の合戦に敗れた明智軍?」

「いやチャルデイラーンの砲戦に敗れたが雌伏するサファビー朝のタフマースプ2世」

「それだ!」

韓国第7師団とカバさんチームは撤退するしかなかった。

 




しばらくEp.1は休止になるかもです。すみません。

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