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俺は今眠っている――――
しかし、ただ眠っているわけではない――――
事故にあい、生と死の間を彷徨っている――――
ある日の学校の帰り道、幼馴染と一緒に並んで帰っているときに事故にあった。
幼馴染をかばう際にちらりと見えた運転手はうつらうつらとしていたのを覚えている、居眠り運転だったのだ。
意識が遠のく中、耳に残るのは守りに抜いた幼馴染が泣きながら、俺を、俺の名前を呼び続ける声だった。
アイツが無事だったことを確認できた俺は、あとは母さんに任せておこうと意識を手放した。
母さんは有名な医者で、手術で助けられる命は必ず助ける名医と、医者たちの間では噂されている。だから、俺も母さんなら必ず助けてくれると信じて、しばらく意識を手放せる。
しかし、心残りがある。
小さい頃からずっと一緒にいて、今でも俺のそばにいてくれてる幼馴染の女の子“結城明日奈”
もし俺がこのまま死ねば、きっと彼女はあとを追ってくる。
そうじゃなくても、きっと俺の心配ばかりして衰弱していくに違いない。
確信があるわけじゃない、だが彼女がそういう人間だということは自信を持って言える。
だから、死ねない。死にたくない。
だが、俺の意思とは裏腹に彼女との思い出が走馬灯として駆けていく。
抗わなくてはいけない。彼女には死んでほしくない、死なせたくない。
そう思い続ける俺にどこからか声が聞こえてきた。
(聞こえますか?私の声が聞こえたら答えてください)
答える?何をだ?
(あなたは生きたいですよね?生きないといけないと思っていますよね?)
当たり前だ、アイツを1人にはできない。1人にしたくない。
(でしたら声に出して答えてください。あなたの命を助けると言われたら、なんでもする覚悟はありますか?)
「あるに決まってるだろ。アイツの、明日奈のところに戻れるならなんだってやってやる」
(では私からお願いがあります。もちろん報酬はさきほど言った命を助けるです)
「わかった。だがまずは依頼主のことを知らないと割に合わないだろ。お前は何者だ?」
(私は女神です。漫画などでよくある死んでしまった方などを転生者にしてあげられる存在です)
「それで俺は何をすればいいんだ?命の危機にある俺は現実世界には戻れないだろ?」
(あなたにはこの後、現実世界で起こる“ある事件”を内部から他の方々を救ってもらうことになるの)
「急に口調が変わったのが気にはなるが、事件とはなんだ?」
(あなたもやったことがあるでしょ?“ソードアート・オンライン”そして“ナーヴギア”この二つが関わる大きな事件よ)
「あれなら俺もβテストを一日だけだがやったことはある。VRMMOだろ?」
(何をすべきか、何が起きているのかは行けばわかるわ。こんな雑な説明で申し訳ないけどお願い。もちろん転生者たちに与えるチート的なものも、あなたにあげる。どう?)
「まぁ俺もあれはやりたかったからちょうどいい、その話乗った。――――で、チート的なものは何をくれるんだ?」
(何をというよりも、チートそのものね。ゲームだものバランスを崩すチート、それをそのままあげるわ。なるべく早期解決を望んでるからさ)
「そういう意味でか。まぁいい、1つお願いがある、初期装備の中にローブをくれ。知り合いに遭遇しないとも限らない。そしたら、説明が面倒だ」
(任せておいて、それじゃあ早速お願いね。今の状態のまま“あの言葉”言えばいいから、アバター作成画面から始まるからね)
「了解した。じゃあ行ってくる――――――≪リンクスタート≫――――――」
この時、俺は想像もしていなかった。
頼まれた仕事が想像以上に大きく、想像以上に命に関わる大事件になるということを