ソードアート・オンライン 昏睡の万能剣士   作:六道聖

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だいぶ期間が空いてしまった・・・(反省はしていない


次の投稿も遅くなってしまうと思います。
そんな予感がするんです(ドヤッ


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キャラ崩壊

追加しました。まぁ念のためです。なくてもいいんですよ
(性格改変があるんで)


第5話 二人のビーター

俺たちはいよいよ第一層攻略の日を迎えた。

アスナやコハル、シリカが緊張するのは無理もないが、今のSAOはただのゲームではなくデスゲーム。

そのことはリュウやキリトにも緊張感を与えていた。

 

俺たちの現在位置は迷宮区の中腹あたりだろう。

各隊に分かれて進んでいたのはいいが――――――

 

「アイツらやる気あんのかよ・・・」

「それについては同意だな、まさかポップした敵をほぼ無視して行くなんてな」

 

そう、俺たち以外全員先に進んでいるのだ。

会議で後続が取りこぼしを処理しながらって話だったのに、後続に入っているはずの他の隊の奴らまで先に進んでいった。

経験値すらいらないとか強くなる気はあるのかないのか。

 

「でもその敵をちゃんと倒していく私たちも凄いですよね。少し前からは考えられないかもです」

「私は少し嬉しいかな。皆に付いていくのがやっとだし、経験積むためにはいいかも」

「そんなことないよ、コハルは強くなったよ!ね、リュウくん?」

「ああ、十分戦力になるから心配いらない。むしろコハルが槍を使ってるから戦いやすい場面だってある」

 

槍を使うコハルが一緒に行動するようになってからは作戦にもバリエーションが増えた。

槍特有の間合いを利用しての攻撃は敵に隙を作るのに最適だった。

だがそのためにコハルが攻撃する回数は少なかった。それが不安にさせる要因だったらしい。

 

そうこう話しながらモンスターを倒していき、今自分たちがいる辺りのモンスターを殲滅し終えた。

 

「うわああああああああああ!」

 

先に進んでいる本隊に合流するべく進んでいると悲鳴がボス部屋があると思われる方向から響いてきた。

いや、危機の狼煙はとっくに上がっていたのかもしれない。

 

「まさかアイツらもうボス部屋に入りやがったのか!?」

「だとしても今の悲鳴は明らかにおかしいぞ、リュウ!」

 

鼓舞のための叫びならまだしも今聞こえてきたのは明らかに絶望の悲鳴だった。

走りだそうとするリュウたちを邪魔するかのようにモンスターが出現しだした。

 

「キリト、アスナと一緒に先に行け!」

「ここは私たちが処理していきます!」

「わかった、ここは任せる!行くぞ、アスナ」

「うん!リュウくんたちも気を付けてね!」

「ああ、俺たちもあらかた片づけたらすぐに追いかける!」

 

キリトとアスナが走りだし、それを邪魔するかのように立ちはだかるモンスターたちを倒していく。

その後ろを守るために俺たちはモンスターたちに攻撃を加えていく。

 

そしてあらかた片づけた後、急いで追いかけてボス部屋に着くと絶望の真っ只中だった。

見たところ死者は今はいなかった。だが、第一層の主、イルファング・ザ・コボルドロードの手には確かに刀が握られていた。

 

「ディアベエエエエエル!刀だ!逃げろおおおおお!」

 

キリトの声に顔を上げ、刀を見たディアベルは隊を下げると同時に、あろうことか単身コボルドロードに向かって行った。

コボルドロードのHPバーはラスト1本のイエローゾーンまで削れていたが刀と分かっているのに向かった理由は明白だった。

 

「エギル!シリカとコハルを頼む!二人は負傷者にポーションを!」

 

ディアベルの単身特攻を見た俺は、シリカとコハルをエギルに預け走りだす。

すでに頭の中では何故こんな状態になってしまったかの予想が付いていた、それは――――

 

ディアベルはβテスターだった―――っていうことだ。

 

LAが欲しいための単身特攻、だがそれが分かっていたかのようにコボルドロードはほくそ笑み、ディアベルに攻撃を叩き込み吹き飛ばした。

 

すぐさまキリトが駆け寄り、ポーションを飲ませようとしていると、それをさせまいとコボルドロードは追撃に打って出た。

 

「しまった・・・間に合わな――「させるかあああああ!」――リュウ!!」

「さっさとディアベルを後ろに下げろ!いつまでもつか――「いや、これで終わらせるぞ!」――よせ!追撃が来るぞ、ディアベル!スキルモーションを起こすな!」

 

俺が弾き飛ばしていたコボルドロードの刀はすでに追撃のためにこちら、ディアベルに向かって振り下ろされようとしていた。

 

その直後、キンッという音がコボルドロードの刀から聞こえた後、僅かに遅くなった刀をキリトが防いだ。

 

「リュウさん、キリトさん、アスナさん!」

「ここから援護します!行ってください!」

 

先ほどのキリトが防ぐ前に聞こえた音は、投擲スキルを取得上昇させていたシリカとコハルによる短剣の援護だった。

その声を合図に俺たち三人は一気に行動を起こした。

 

「リュウ、スイッチ!」

「うらああああああああああ!アスナ、スイッチ!」

「はあああああああああ!キリトくん、スイッチ!」

 

 

「行くぞ、リュウ!」

「ああ、これでとどめだあああああああああああああ!!」

 

俺とキリトは渾身の力を込めてボスを頭から真っ二つにし、ボスはポリゴン片のエフェクトとなって、CONGRATULATIONの文字と共に消えていった。

 

 

 

ボスを倒し少しの静寂の後、全員の歓喜が響き渡り一時的なお祭り状態になっていた。

まとめ役だったディアベルも今は知り合い同士で集まり腰を下ろしていた。

 

俺もキリトたちと端の方へ移動し腰を下ろし、今回の戦いを振り返っていた。

 

「ようやく最初の一歩を踏み出せた感じだな」

「ああ、でもまだ一層が終わっただけだ」

「それでも誰一人欠けてないから大きな一歩だよね」

「でもキリトさんが攻撃されそうになった時は焦っちゃいました」

「なんとか間に合ったって感じだったよね」

 

あの時を思い出すとよく間に合ったもんだと思いつつ、話はシリカとコハルの行動に移った。

 

「でもさっきのシリカたちの援護はMVP物だと思うけどな」

「うんうん!あれがなかったら結構厳しかったよね!」

「そ、そんな大袈裟ですよ。何か役に立ちたかっただけですし・・・」

「一か八かで運よく当たっただけだと思うよ?」

「運がよかっただけでも二人のおかげでもあるんだから素直に喜んどけ」

 

二人を称えていると、全員の感動をぶち壊す発言がキバオウから飛び出した。

 

「なんでや!なんでディアベルはんが死にかけなあかんかったんや!」

 

その矛先は当然だと言わんばかりに、LAを取った俺たちに、いやキリトに向けられていた。

キリトに向けられた視線は明らかにおかしなものだった。

キリトはディアベルを助けただけで、死にかけたのは誰のせいでもないディアベル自身のせいだ。

そんな理不尽なキバオウの発言に対して、俺は考えるよりも先に口が動いていた。

 

「ディアベルが死にかけた?そんなのディアベル自身のせいだろうが。それを自分たちは何もできず、行動できた奴らに矛先を向けるなんて虫が良すぎんだろ」

「なんやと!?アンタらはボスの攻撃のことを知ってたから対処できただけやろ!それをワイらの『お前らが役立たずなだけだ』せい・・・なんやと、役立たずやと!?」

「ああ、役立たずだ。何もできずにただ人に当たり散らす奴を役立たずといって何が悪い。どうせお前のことだ、βテスターが情報を寄こさないからこんなことになったとか思ってんだろ?こっちは攻略に関する情報はすべて情報屋に流してるんだ。その情報をちゃんと読まないお前らが全部悪いに決まってんだろ」

 

「おい、リュ―――」

 

俺を止めるために声を掛けようとしたキリトからの声が消えた。

おそらくアスナだろう、変なところにまで気が付いてそれを止めるなんて普通は止める方が逆だろうが。

 

「やっぱりアンタβテスターやったんやな!」

「ああ、そうだよ。今頃気が付くなんて本当に口先だけだな。だが一つ訂正させてもらう。俺をあんな素人連中と一緒にすんな。アイツらはレベリングも知らない素人だ。だが俺は違う。どこで狩りをすれば、どれだけ効率よくレベリングできるか知ってる。それにこの先のボスの情報だって既に持ってる、まぁそれをリークする気はないがな、役立たずが足を引っ張りに来られても困るんだよ」

「そんなんチートやないか!ビーターや!」

「ビーターか・・・俺にぴったりじゃねぇか」

 

俺はメニューを操作し、LAボーナスアイテムである【コートオブミッドデイ】を着て、さらに操作し、キリトに目配せをしてある物を送った。

 

「これがボスからドロップした装備だ。善人のふりをして皆を騙す奴にはぴったりの恰好だろ?こいつら、特に素人の中でもキリトは役に立つから利用させてもらった。俺に利用されるのが嫌だったら街に帰って宿で大人しくしてるんだな。転送門は俺がアクティベートしといてやるよ、死にたい奴だけ付いてくるんだな」

 

そう言って俺は1人で第二層へ続く階段を上って行った。

視界の端に今にも悲しみで泣きそうな三人と拳を握りしめて俯いているキリトを残して――――。

 

 

 

 

 

俺は今、自分が情けなくて仕方ない。

キバオウから向けられた非難の目をリュウが肩代わりした。

あれは俺に対してだけ向けられた視線だったのに、俺自身は何も出来なかった。

 

いや止めようとはしたんだ。でもアスナに止められてしまった。

あの時のアスナの顔はリュウの行動を止められない悲しさが見て取れた。

気分が沈んでいる中なんとか持ち直そうとしている時に、またしてもキバオウから非難の声が上がった。

もちろん矛先は俺だ。

 

「キリトはん、どうせアンタもβテスターなんやろ。だったら詫び入れてもらわないかんな、情報を隠してたこと謝れや!」

「別に情報は隠してない!持ってた情報はちゃんと流してたんだ!誰にもさっきのことなんか予想できない!」

「んなの関係ないわ!さっさと詫び『いい加減にして!!』入れんか・・・」

 

俺とキバオウが言い合いを始めようとしたその時、すぐ近く――アスナから止めが入った。

 

「リュウくんが・・・リュウくんがどれだけ辛い思いをしながらあんなこと言ったと思ってるの!?相手のことを考えもしないで勝手なこと言わないで!!」

「アスナ・・・」

「アンタ、アイツの肩持つんか!アンタだってアイツのこと何も――「分かるよ」――――」

「私はリュウくんの考えてること、今どんな気持ちなのか分かる。リアルのことは言っちゃだめって言われたけど私とリュウくんはリアルで幼馴染、小さい頃からずっと一緒だったから分かる。きっと今重圧に押しつぶされそうになってる。ただβテスターの人たちを、キリトくんを守ろうとしただけなのにこれからずっと皆から向けられる視線に怯えながら生きていかないといけないっていう重圧に押しつぶされそうになってる」

「キバオウ、アンタの言う通りβテスターの中には情報を隠し持っている奴はいる。ちゃんとカタナスキルのことを説明しなかった俺にも非はある。だけどリュウはそれすらも自分のせいにして、自分だけを悪にして皆をまとめようとした。それ以上にリュウにはもっと辛い重みがあったんだよ。お前らはβテスターって一括りにしてるが、リュウはβテスト時一度たりとも圏外に出たことなんてなかったんだよ。ずっと圏内の散策に時間を費やして、階層が進めば次の街の中の情報収集に時間を使っていたんだ」

 

そんな奴に向けられる非難の目の重みなんて俺には想像つかない。

 

シリカとコハルが泣き崩れるアスナに寄り添うのを見た後、一息ついてから周りを見渡し、皆が聞いていることを確認して話を続けることにした。

 

「配布されていた攻略本を今持っている奴はいるか?いたら持ってない近くの奴らにも見えるようにしてやってくれ」

 

その言葉を聞いて、持っている奴はストレージから取り出して周りに見えるように置いていた。

 

「じゃあまずボス情報を見てくれ。カタナを持っていると書いてある部分があるだろ?そこからそのまま読み進めれくれれば分かるが迷宮区内に隠し部屋があってそこに壁画として記されていたってあるだろ?それはリュウ自身が自分の目で確かに見てきた情報だ。まだ嘘だと思うなら一階に続く階段の壁、戻るときに見るから左の壁だな、そこにあるから見て来い」

 

それを聞いて幾つかのグループが見に行ってみようと話をしていた。

 

「それと今攻略本を持っている奴らに聞きたい。ここにいる全員そうだと思うが一層で宿を取ってるはずだ。その宿の情報はどこから手に入れた情報だ?」

 

その言葉に全員が同じ答えをした。“この攻略本に詳しく載っていた”

 

「その情報はリュウがβテスト時にかき集めた情報だ。もちろん変わっているかもしれないから情報屋に確認してからリークするように言っていたらしい」

 

その言葉を皮切りに俺たち4人とディアベル、キバオウを除くほぼ全員が立ち上がり、リュウの後を追うように走ってボス部屋から出ていった。

そんな中、1つのグループがキバオウに止められた時に言っていた。

 

『あの人に謝りに行くんだ、退いてくれ』

 

それを聞いたキバオウはさっきまで一緒に非難していたはずの奴らが走っていくのをただ茫然と見ていただけだった。

 

俺はメニューを操作し、リュウから受け取ったアイテム【コートオブミッドナイト】を装備した。

それを見て、アスナ、シリカ、コハルも立ち上がった。三人の表情からはリュウに文句を言ってやるというのが伝わってきた。

 

(リュウ、説教を覚悟していた方がいいぞ・・・)

 

そう思いながら先に行く三人の後を俺は追った。

大切な仲間を失わないために――――――――。

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