双拳   作:文月りんと

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ポルトガル 郊外の工場



10.咆吼

「助っ人からの情報とさっき倒したヤツらからの証言を加えて、判明した場所ってのはここだな」

「まさか、あの人が来るなんて思いませんでしたよ…」

「そんなに驚かなくてもいいだろ。お前は知ってる仲だろうし」

「まぁ、確かに知ってましたが…」

翔一は頷き、一文字を見る。二人は、その日のうちに郊外にある工場の入り口に立っていた。工場といっても、既に廃棄されているのか、周りには誰一人としていないように見える。

「うし! いっちょ暴れるか」

拳を自分の掌に打ち込み、一文字は意気込む。

「絶対助けるからね、真魚ちゃん!」

翔一も闘志を燃やしている。

「翔一、何が出てもおかしくないように、気をつけろよ!」

「はい、一文字さんも!」

「お前に心配されなくても、問題ねぇよ!」

「わかりました、じゃあ、行きましょう!」

二人は正面から乗り込んでいった。いくつもの部屋を経て、隠し部屋となる場所から地下へと続く道を発見した二人。

「こんな地下道があるなんて、やっぱり敵が潜んでる証拠なんですかね…?」

「まぁな、工場内には誰一人としていなかった」

一歩ずつ暗がりの道を進んでいくと、赤い光を帯びたライトが照らされた広間に出た。

「なんだか、昔似たような組織があったのを思い出すな…」

愚痴りながら、一文字は周囲を警戒する。

「ん? あれは…」

広間の先に一筋の光が見える。どこかのドアが開いているようだった。近づいていく翔一。

「!!? なんだ、コレ…」

ゆっくりと覗いていくと、その奥には人が入れるサイズのカプセルのようなものが立ち並んでいた。カプセルは一基だけでなく、四基が方位するように存在している。

そして、カプセルの中に入っていたのは、羊水の中にいる赤子のように丸まった状態のエルシリーズがいた。

「なんで、倒したはずのアイツまで…」

そう、過去に倒したはずの水のエルまで眠っている。

「翔一、落ち着け」

一文字は翔一の両肩に手をかけ、落ち着かせる。

「は、はい…」

まだ完全に覚醒していないからか、どのエルも身動き一つ取っていなかった。四基のうち、一つだけ空っぽのカプセルを確認した。

「もしかして、アレって…」

『そうだ、あれは私が入っていた場所だ』

脳に直接、声が響く。後ろを振り向くと、すぐ近くで火のエルが立っていた。

『ここまで辿り着いたか。どうせ役立たずどもから聞いた話なのだろう?』

「あぁ、そうさ。おまえさん方からしたら、役立たずだろうが、こちらからしたら、大いに役に立ってくれたぜ?」

『フン、どうせ今頃は死んでいるだろうがな』

「なにっ?」

「おまえに聞きたいことがある! 真魚ちゃんはどこだ!」

翔一が一文字より前に出る。

『威勢のいい男だ。先程とは大違いだな。こんな街で手間をかけ、実験を繰り返しているよりもおかげで、もっと役に立つ素材を見つけたのでな。目障りなおまえたちには消えてもらうとしよう』

エルの目がカッと、光る。

「いかん! 翔一、一旦避けろ!」

「いいえ、オレは避けません!」

「おい!」

次の瞬間、翔一が炎に包まれた。翔一は自分に燃え移るのも構わず、変身のポーズを取る。腰に出現したベルトの形状が先程と変わっていた。

「変身ッ!!!」

翔一は燃えさかる炎の中、バーニングフォームへと変身する。

『ガァァァァッ!!』

赤い獣と化したアギトはエルへ突進する。エルも一瞬で組み付かれ、隣のフロアへ吹き飛んでいった。

「…ありゃ、まともなのか?」

 心配な一文字をよそに、アギトは次々とパンチをエルに繰りだしていく。

『ええい、小賢しい!!』

右手をアギトへ掲げると、アギトの動きが止まってしまった。

『ウガァァァッ!!』

だが、すぐにアギトの身体が動き出した。またもパンチを次々と繰りだし、エルも攻撃が出来ず防戦一方だ。二人が暴れている中、一文字は真魚を探す。

「真魚ちゃん、どこにいる?」

一文字は別のフロアを発見した。

 

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