一文字は、祭壇のような場所に寝かされた状態の真魚を発見した。すぐに真魚のいる場所へ駆けていく。
「あそこにいるのは…。真魚ちゃんだな! おい、しっかりしろっ!」
「………ううっ」
眉を動かし、ゆっくりと目を開く真魚。
「おおっ、無事みたいだな」
「…いち、もん、じさん?」
意識が朦朧としているのか、真魚の言葉はたどたどいしい。すると、遠くから聞こえていた衝撃音が徐々に近づいてくる。
「マズいな、翔一とあの野郎、この場所に来る気か!!」
その言葉の直後、近くの壁が粉々に砕け、アギトとエルが煙の中から現れた。
よく見ると、エルの左腕が引きちぎられたような状態になっている。アギトは胸に傷を負っているが、目線が定まっていない。
「…ったく。まだ翔一は熱くなったままか? 真魚ちゃん、起き上がれるようなら、そこの祭壇の裏にでも隠れていてくれ」
「一文字、さん、は…?」
苦しそうな顔をする真魚に笑顔を向ける一文字。
「俺はちょっとやることが、できた!」
そう言うと、一文字は両腕で真一文字を描く。
「変身ッ!! トォーッ!!!」
そして、2号へと変身した。
『さぁて、きかん坊を止めますか。なぁ、翔一!』
アギトは名前を呼ばれ、2号がいる場所を振り向いた。
『グゥゥウウ!!』
アギトは目の前のエルから、2号へターゲットをうつし方向を変えて、突進してくる。
『鬼さん、こちらっと!』
ひらりと避け、アギトをやり過ごす。すぐにアギトの背後を取ると、羽交い締めにして動きを止めた。
『こんのっ、馬鹿力も程々にしろ!』
2号は、アギトに喝を入れるが、聞く耳を持たないのか、すぐに動き出す。
『っとと! ぐおっ!!』
羽交い締めを解除され、アギトからパンチを食らってしまった。2号は反対側の壁まで吹き飛ばされてしまう。
『どうすりゃ止まるんだ?』
『ガァァッ!』
アギトの手から火が生まれ、強力なパンチを繰りだそうとしているのがわかった。
『いくらなんでもアレを食らったら、俺でもツラいな…』
アギトの手からバーニングパンチが放たれようとした瞬間。
「コラ!! 翔一くん、なにしてるの!!!」
真魚の一喝が室内に木霊した。
『ガッ…』
その言葉を聞いて、アギトの動きが止まる。
『よし、今だ!』
2号はアギトの身体に組み付き、きりもみを描きながら、巻き上げていく。
『きりもみシューゥゥゥット!!!』
室内の天井へとぶち当たり、アギトはそのまま落下した。
『グッ、ガッ………』
「翔一くん!?」
『大丈夫だ。見た目は派手だが、手加減してるからな』
2号は、アギトを気絶させる程度に加減はしたものの、すぐに起き上がるかもしれなかったので、警戒を弱めなかった。
『よそ見ばかりで私の事を忘れてもらっては困ります』
エルの能力が2号を捉えた。
『ク、ソッ!!』
『だから甘いのですよ、フンッ!!』
『オオオッ』
2号は地面にうつぶせになり、立ち上がることが出来なかった。
(マズい、翔一がぶっ倒れてる状況で、俺がこうなっちまったら!)
「…来るな! 来るな!!」
真魚は近くの破片をブンブンとエルへ放り投げる。でも、破片の塊はエルの手前で静止したままだ。
『この程度の石など、私の身体には当たりません。あまり手間をかけさせないでほしいものだ』
「キャッ!」
エルは真魚の手をつかみ、引っ張り上げた。
『面倒になったので、この子の脳髄だけもらっていきましょうか』
エルは真魚の頭を握りしめ始めた。ギリギリと頭が締めつけられるような音を出し始める。
「しょう、いち、く、ん…」
掴まれた手をはがそうと真魚も抵抗するが、もがく姿も力弱くなってきた。
『やめ、ろ!』
2号は今一度、力を振り絞るが見えない力が解けない。
『もがき苦しめ。そうやって這いつくばっていればいいのだ、人間よ!』
『そんなことはさせない!!』
倒れていたアギトが、立ち上がり様に真魚を助け出した。その姿はバーニングフォームからグランドフォームへと変わっている。
『アギトめぇぇぇッ!!』
エルは何度も目を光らせ、周囲を爆発させる。
真魚をしっかりと抱き、攻撃を回避していく。
『ライダァァァァパァァンチ!!』
炎の中を撃ち抜くように2号の拳がエルの顔面に直撃した。
『グオオオッッ!?』
エルは勢いよく吹き飛んだが、地面に激突した音が聞こえない。
『手応えはあったのに、いねぇな…ヤロウ、どこにいった?』
エルはまた消えてしまった。アギトは倒れていた真魚に近づくと、息をしているのを確認する。
『良かった、真魚ちゃんは無事です』
2号も安堵した。
『!!!』
急にアギトが顔を上げる。
『一文字さん! さっきの場所に!!』