双拳   作:文月りんと

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ポルトガル 工場 地下室


11.反撃

一文字は、祭壇のような場所に寝かされた状態の真魚を発見した。すぐに真魚のいる場所へ駆けていく。

「あそこにいるのは…。真魚ちゃんだな! おい、しっかりしろっ!」

「………ううっ」

眉を動かし、ゆっくりと目を開く真魚。

「おおっ、無事みたいだな」

「…いち、もん、じさん?」

意識が朦朧としているのか、真魚の言葉はたどたどいしい。すると、遠くから聞こえていた衝撃音が徐々に近づいてくる。

「マズいな、翔一とあの野郎、この場所に来る気か!!」

その言葉の直後、近くの壁が粉々に砕け、アギトとエルが煙の中から現れた。

よく見ると、エルの左腕が引きちぎられたような状態になっている。アギトは胸に傷を負っているが、目線が定まっていない。

「…ったく。まだ翔一は熱くなったままか? 真魚ちゃん、起き上がれるようなら、そこの祭壇の裏にでも隠れていてくれ」

「一文字、さん、は…?」

苦しそうな顔をする真魚に笑顔を向ける一文字。

「俺はちょっとやることが、できた!」

そう言うと、一文字は両腕で真一文字を描く。

「変身ッ!! トォーッ!!!」

そして、2号へと変身した。

『さぁて、きかん坊を止めますか。なぁ、翔一!』

アギトは名前を呼ばれ、2号がいる場所を振り向いた。

『グゥゥウウ!!』

アギトは目の前のエルから、2号へターゲットをうつし方向を変えて、突進してくる。

『鬼さん、こちらっと!』

ひらりと避け、アギトをやり過ごす。すぐにアギトの背後を取ると、羽交い締めにして動きを止めた。

『こんのっ、馬鹿力も程々にしろ!』

2号は、アギトに喝を入れるが、聞く耳を持たないのか、すぐに動き出す。

『っとと! ぐおっ!!』

羽交い締めを解除され、アギトからパンチを食らってしまった。2号は反対側の壁まで吹き飛ばされてしまう。

『どうすりゃ止まるんだ?』

『ガァァッ!』

アギトの手から火が生まれ、強力なパンチを繰りだそうとしているのがわかった。

『いくらなんでもアレを食らったら、俺でもツラいな…』

アギトの手からバーニングパンチが放たれようとした瞬間。

「コラ!! 翔一くん、なにしてるの!!!」

真魚の一喝が室内に木霊した。

『ガッ…』

その言葉を聞いて、アギトの動きが止まる。

『よし、今だ!』

2号はアギトの身体に組み付き、きりもみを描きながら、巻き上げていく。

『きりもみシューゥゥゥット!!!』

室内の天井へとぶち当たり、アギトはそのまま落下した。

『グッ、ガッ………』

「翔一くん!?」

『大丈夫だ。見た目は派手だが、手加減してるからな』

2号は、アギトを気絶させる程度に加減はしたものの、すぐに起き上がるかもしれなかったので、警戒を弱めなかった。

『よそ見ばかりで私の事を忘れてもらっては困ります』

エルの能力が2号を捉えた。

『ク、ソッ!!』

『だから甘いのですよ、フンッ!!』

『オオオッ』

2号は地面にうつぶせになり、立ち上がることが出来なかった。

(マズい、翔一がぶっ倒れてる状況で、俺がこうなっちまったら!)

「…来るな! 来るな!!」

真魚は近くの破片をブンブンとエルへ放り投げる。でも、破片の塊はエルの手前で静止したままだ。

『この程度の石など、私の身体には当たりません。あまり手間をかけさせないでほしいものだ』

「キャッ!」

エルは真魚の手をつかみ、引っ張り上げた。

『面倒になったので、この子の脳髄だけもらっていきましょうか』

エルは真魚の頭を握りしめ始めた。ギリギリと頭が締めつけられるような音を出し始める。

「しょう、いち、く、ん…」

掴まれた手をはがそうと真魚も抵抗するが、もがく姿も力弱くなってきた。

『やめ、ろ!』

2号は今一度、力を振り絞るが見えない力が解けない。

『もがき苦しめ。そうやって這いつくばっていればいいのだ、人間よ!』

『そんなことはさせない!!』

倒れていたアギトが、立ち上がり様に真魚を助け出した。その姿はバーニングフォームからグランドフォームへと変わっている。

『アギトめぇぇぇッ!!』

エルは何度も目を光らせ、周囲を爆発させる。

真魚をしっかりと抱き、攻撃を回避していく。

『ライダァァァァパァァンチ!!』

炎の中を撃ち抜くように2号の拳がエルの顔面に直撃した。

『グオオオッッ!?』

エルは勢いよく吹き飛んだが、地面に激突した音が聞こえない。

『手応えはあったのに、いねぇな…ヤロウ、どこにいった?』

エルはまた消えてしまった。アギトは倒れていた真魚に近づくと、息をしているのを確認する。

『良かった、真魚ちゃんは無事です』

2号も安堵した。

『!!!』

急にアギトが顔を上げる。

『一文字さん! さっきの場所に!!』

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