双拳   作:文月りんと

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ポルトガル とあるホテル 裏路地


6.変身

「か、めんラ、イダー…?」

初めて聞く単語だ。でも、なんでだろう。なんだか懐かしい。

『ちゃっちゃと片付けるからよ、少しだけ待っててくれ』

火のエルへ視線を戻し、2号は対峙する。

『いくぞ、トォーッ!』

2号はその場を飛び上がり、パンチを繰り出す。エルは腕を十字にクロスさせて、ガードモーションをする。

『パンチと、見せかけてぇ!!』

2号は空中で体勢を変えた。

『ライダァァァァチョップッ!!』

バキィッ!とした音と共に、エルが後ずさる。それでも、エルの腕はなんともないようだった。

『ほぉ、私も甘く見られたモノだな』

『コイツは挨拶代わりだ、よっ!!』

続け様に2号はパンチやキックを繰り出していく。

「すごいあのエルがおされている…、ハッ!」

2号とエルの戦いを見ていた翔一は、それまで動けなかった身体が自由になっている事に気がついた。

「身体が動かせる! …でも、今のオレじゃ…」

翔一は変身出来ない自分の手を見つめる。

「翔一くん!!」

聞き慣れた声に振り向くと、真魚がそこにいた。

「勝手に駆け出して、ようやく見つけたよ?!」

「真魚ちゃん、ダメだ。ココに来ちゃ!」

「…え? なんで?」

状況を飲み込めていない真魚は不思議な顔をしている。

『おいおい! 真魚ちゃんもここに来たのか!!』

エルと戦闘中の2号がこちらを振り返らないまま、叫んだ。

「え? だ、誰? !!!」

真魚も2号と戦っているエルに気がついたらしい。

「説明は後でするから、とりあえずここは逃げよう」

この場にいても、一文字の足手まといになる、そう思った翔一は真魚を連れ出そうと試みる。

『そーしてくれると助かる!』

「すみません、一文字さん、ここは任せます!」

「え? い、一文字さん?!」

驚く真魚の手を取り、翔一は走り出す。

「ちょっと、翔一くん! どこに行くのー!」

二人が走り去ったのを確認し、2号は安堵した。

『…うし。ようやく本領発揮できそうだな、改めて行くぞ!』

エルは2号ではなく、走り去った二人の方角を見ていた。

『面白い。…アギトの連れは、いいニエとなってくれそうだな…』

『なに? 贄だと?』

『………』

2号の話を聞かず、エルは思い耽っているようだった。見かねた2号は必殺技の行動へ移る。

『トォォォォォーッ!!』

エルのいる方向へ飛び上がり、キックの姿勢で突撃する。

『ライダーキィィィッック!!!!』

キックが着弾する瞬間、エルの姿が残像のように消えていく。

『!?』

エルのいた場所に地面が深く抉れる程の破壊力を放ったが、全く手応えがなかった。

『貴様の相手をするのは、またの機会にな…』

言葉をつぶやいたエルは完全に消えた。

『くそっ!』

その場に立ちすくむ2号だった。

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