双拳   作:文月りんと

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ポルトガル 広場


9.追跡

『よし!』

『しゃらくせぇってんだよ!!』

すぐにドリル音が迫ってくる。ユニコーンがドリルを回し、アギトへ殴りかかってきた。

『おっと! おまえさんの相手は俺だ!』

2号はユニコーンのドリルを抱え、ユニコーンの胸目がけて、密着状態からキックをかます。

『グワァァァッ!!』

ユニコーンが吹き飛ばされる。2号はすぐにパンチやキックを繰り出し翻弄していく。

『んだよ、テメェ!!!』

『さっさと終わらせてもらうぞ! トォーーーッ!!』

2号は身体を捻りながらユニコーン目がけてジャンプをした。さながら、自身がドリルになったかのように何度も回転を重ねていく。

『かいてぇぇぇえん、ライダァァァァァー、パァァンチ!!』

ユニコーンの腕にあったドリルをも砕き、ユニコーンの身体に着弾する。

『ギャァァァァァアアア!!』

ユニコーンは、身体に走ったヒビと同時に爆発した。ユニコーンとアクィラの爆発した場所から白い服を着た男達が姿を現した。

『この人達は一体…』

警戒をしつつ、様子をうかがうアギト。2号はそんなアギトとは裏腹に白服へ近寄って、手に持っていたアイテムをそれぞれ奪った。

『コイツがあると変身出来るんだと、よッ!』

ユニコーンの「U」と描かれたアイテムを粉々に、もう一つのアクィラだった男が持っていたスイッチのボタンを押すと2号の手から消えてなくなった。

『うし、これでいい』

戦闘が落ち着いた事を確認したアギトは、真魚が横たわっていた場所を見たが、そこに真魚はいなかった。

『真魚ちゃん!?』

辺りを見回すと、背中にあの感覚が蘇る。

『…キサマ、エルか!』

そこには、火のエルが立っていた。エルの近くには真魚がふわふわと浮いている。

『いかにも。そうか、貴様もアギトの姿に戻れるようになったのだな』

『あぁ、おかげさまでな』

『まぁ、いい。このニエはもらっていくぞ』

『そうはいくかよ!』

アギトの後ろから飛んできた2号がエルに当たる。だが、またしても攻撃が空振りした。

『…遅い。貴様の攻撃は予測済だ』

『クソッ!!』

空振りした拳を見つめ、2号は夜空を見上げる。

『もう会うことはないだろうが、せいぜいこの後の世界を愉しむがいい』

そんな言葉を残し、エル達の姿は消え去った。

 

2号とアギトは変身を解除し、それぞれの元の姿へ戻る。

「真魚ちゃん…」

翔一は助けられなかった悔しいと思いながら、握り込んだ手を見つめている。

「すまないな、翔一。…だが、手がかりがないわけじゃない」

翔一の肩に手を置いて、一文字はまた笑顔を見せた。

「一文字さん…」

一文字は笑顔から真顔になり、語り始めた。

「そこで寝そべってるヤツらは、財団Xっていう組織のメンバーだ」

「財団X…」

初めて聞く組織の名前だからか、翔一も困惑した顔でこちらを見ている。

「この街で変なもん配って、おかしな実験をしていてな。俺はそれを調査していて、連中の尻尾を掴んだんだが、結果としてお前達を巻き込んじまった。本当にすまない」

「いえ…」

翔一は、すぐに自身の手に視線を戻す。

「なぁ、あんましクヨクヨしてても、始まらんぞ?」

「そうは言いますけど! !?」

怒った顔を向けると、そこには自分の拳から血を流している一文字の姿が見えた。

「俺だって、悔しくないって言ったらウソになる。だけどな、さっきも言ったろ? 手がかりがないわけじゃない」

「手がかり…」

倒された財団Xのメンバーは死んではいなかった。

「そうだ、こいつらはまだ生きている。だから情報を引き出せるし、保険もかけてる」

「時間がないかもしれないのにですか!?」

焦り顔の翔一とは裏腹に一文字は落ち着いたままだった。

「まぁまぁ、落ち着けって。ちょっとばかし助っ人を呼ぶからよ」

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