FINAL FANTASY Ⅵ~偽レニア~ 作:ひきがやもとまち
なのでオルトロスの件は次回とさせていただきます。まずは更新する方が先と言う事で。
書き方は変わるかもしれませんが、内容そのものは変化させることなく次回のオルトロスとバルガスのやり取りを描きたいと思っております。
サウスフィガロ陥落!
その凶報を聞かされたとき、最も衝撃を受けたのはエドガーであり。
また、最も早く冷静な対処を考え出すことが出来たのもエドガーであった。
「ロック! 以前話しておいた通り、サウスフィガロへ向かってくれ! 大至急だ!」
「わかってる。サウスフィガロで内部から敵を足止めするって作戦だろ?」
「そうだ。お前の特技を見込んでの作戦だ。たのんだぞ! コソ泥のロック!」
「だからコソ泥じゃねーって!?」
漫才じみたやり取りをして見せて、周囲の驚愕を少しでも和らげてからロックは急ぎサウスフィガロへ出立する。
途中、もう一芝居ありはしたのだが、そちらにまで的確に対処していられる余裕はさすがのエドガーも持ち合わせていなかった。
この場で唯一、サウスフィガロが落とされたと言う状況を正しく認識できていたのは彼一人だけだったから。
(・・・クソッ! 恐れていた自体が本当に来てしまうとはな・・・。
いつかはこうなると分かってはいたものの、流石にこれはタイミングが悪すぎる!)
――サウスフィガロは町の各所に水車が見られる風光明媚な貿易港であると同時に、難攻不落の城塞都市という側面を持たせたフィガロ王国防衛戦略の要として都市設計が成された場所だ。単に数をそろえて奇襲をかければ落とせると言うほど容易い町では決してない。
それは町の歴史がフィガロ城の落成に併せて城下町として命名された時点から、戦略基地としての機能を持たせること前提で都市計画を進めてこられた比較的歴史の浅い国フィガロ王国ならではの利点であったと言えるだろう。
だが一方で、弱点や欠点も多く存在していることを国王エドガーは他の誰より熟知していた。
歴代の王と共に増築と改築を進めてきた結果、街の中は謂わば迷路のような造りになっており、広大な地下空間には事実上の迷宮と化した秘密の抜け穴まであるくらいなのだが実のところ、それら全てを歴代のフィガロ王たちは把握し切れていないという悪弊がフィガロ王家には伝統として受け継がざるをえなくなってしまっていた。
町の住人たちとの親和性が高すぎたため、時の王座に就いた者たちが個人的に友誼を結んで信頼して重用した者たちに秘密がどれだけ伝えられてしまったのか判りようがないと言うのが、その理由だ。
当時から現在に至るまで、サウスフィガロが難攻不落で在り続けている事実から推測して、それらの秘密を部外者に漏らした者は一人も現れておらず、王から寄せられた信頼を裏切る住人が一人も出ていなかったと言う事実はフィガロ歴代の王たちが人を見る目に優れていたことを物語っているが、彼らとて人間。
信頼した者たちの子々孫々に至るまで人格を把握しきることは不可能でしかない。
あるいは内部調査で探し出すことも出来たかも知れないが、そんな事をすれば知られたくない情報がサウスフィガロ内にあることを仮想敵国にわざわざ教えてやるようなものである。
ましてフィガロはガストラ帝国と面従腹背の同盟関係にあった国なのだ。警戒して、し過ぎると言う事は決してないと断言できる。
ましてエドガーが王位に就いたのは、先代国王が死の直前に帝国との同盟を結んだ直後の事。
子を思う父親として最後の愛であったかもしれない同盟は、王になったばかりで経験に乏しいエドガーにとって助けにはなったが、帝国と敵対する道を選択した今のエドガーにとって最大のネックになってしまってもいた。
好意が結果として徒になったと言えるかも知れないし、フィガロが帝国と戦えるようになるまで守り抜いてくれた父から親離れする時が来たと言えるのかも知れない。
だが、差し当たって今必要なのは現在進行形で迫りつつある敵への対処法であり、今までは安全だったはずの山の胎内から安全に脱出する方法のみである。
過去の思い出に浸るためにも、未来を夢見るためにも、必要となるのは今を生き延びる事。
そういう風に考えられる現実感覚の持ち主だったエドガーだからこそ、他の誰より衝撃を受けながら、立ち直るのもまた他の誰より早かったのかも知れなかった。
「こちらはどうする? エドガー。君の意見を聞かせて欲しい」
「レテ川を抜けてナルシェに逃げるのがいいでしょう」
バナンに頼られたエドガーは、示し合わせていたかのようにスラスラと最適解を口にする。
フィガロ国王として国のお膝元である城下町を奪われた身でありながら、逃げる事にまったく抵抗感を感じていない。
なにしろ勝ち目などあるはずなかったから。
先にも述べたとおりサウスフィガロは、フィガロ王国国防戦略の要となっている場所だ。つまりは、町が城塞都市として難攻不落であること前提の戦略しか用意されていないのである。
サウスフィガロで敵を足止めしている隙に、フィガロ城からチョコボ騎兵隊を中軸とする迎撃隊を出撃させて内と外から挟撃させる。これがフィガロ王国防衛戦略の基本なのである。
他の案にしてもサウスフィガロが無傷のまま敵の手に落ちてしまったときのことまでは考えられていない。そんな危機的情勢下にまで万全を期するなど人の身では不可能だと諦めざるをえなかったから。
だから歴代フィガロ王たちは王位を継ぐとき、恥を恐れる必要はないと先代から強く教え込まれると言う知られざる伝統を持っている。
遺憾ながらフィガロ国が小国であり、歴史の浅い新興国家の部類に入るのは事実なのだから、それを踏まえて生き延びる事を優先せよ。誇りのためにと無駄死にはするな。
――そう言った現実感覚が帝国と同盟を結んだ先代国王と、その息子エドガーを含めたフィガロ王家の伝統だったのかも知れない。そしてマッシュが『肌に合わない』と感じた理由なのかも知れなかったが、今さらどうと言う事もない問題でもあっただろう。
「炭鉱で見つかった幻獣の事も気にかかりますし、どのみちナルシェを仲間に加えるためにはこちらからで向かなくてはならない場所でもあります。それにレテ川を超えていった方が、コルツ山を戻るより近道になる」
「うむ。では裏口にイカダを用意させよう。少々危険だが、他に手はあるまい」
バナンも了承し、ここに反帝国組織リターナーによる、リターナー本部からの脱出作戦は決定された――――。
・・・ここまでは良い。ここまでは別にどうでも良かったのだ。
我らがクズ少女、偽レニアにとってだけはだけども。
「ティナ。それに、セレニア。危険な道に付き合わせてしまったすまないと思うが、俺たちと一緒にナルシェへ来てくれ・・・。
君たちにとっても自分の力を知る、良いチャンスになると思うから・・・」
「・・・うん、わかったわ。覚悟はしてたから気にしないでエドガー」
「・・・・・・・・・え」
誠意あふれるエドガーからの言葉にティナは覚悟を秘めた気高い表情で首肯して、隣に立つ異世界から捨てられてきたTS転生者セレニアはポカンとした間抜け面を返してしまった。
「えっと、あの・・・私も同道した方がよろしいのでしょうか・・・?」
遠回しに『ついて行きたくない』旨を伝えようとしたセレニアなりの誠意はエドガーには届かず、彼は悲壮な覚悟と決意を込めた頷きで返すのみ。
「本来、巻き込まれただけでしかない子供の君たちには悪いことをしてると思ってる。でも今は他に方法がないんだ・・・。
ここは危険だし、ナルシェにはどのみち行かなきゃならない。それに君たちだけが持つ特殊な力、『魔法』と『異種族との交信能力』についてここに留まったままでは判明しようもない。真実を知るためには怖くても一歩、前に進むしか道はないんだよ・・・」
思いやりと労りと、責任感と自責の念に満ちあふれたエドガーからの沈痛な言葉だったが、残念な事にこの時ばかりは聞く者と言う者との間に認識を共有できていなかったから、あんまし意味なかった。
なにしろ彼の言葉を聞かされた時、偽レニアが思ったことは実にこれだけだったのだから。
(この力のせいか―――――――っい!?)
・・・これだけ。本当にこれだけ。他に何も思ってなかったし気にしてもいなかった。
微妙に勘違いされている気もするが、この世界に限らず普通の人間という生き物は『普通でない』ことを忌み嫌う。
周りと違う力を生まれ持っている事は怖いことなのだ。
周りが出来ない事を当たり前のように出来てしまうのは周囲からの孤立と孤独感を強く感じさせられる恐ろしい事なのだ。
人と人との繋がり合いに自分だけ仲間はずれにされてるようで恐怖するのが当たり前の感情なのである。
だからティナは自分の力を恐れているし、その力を自由に使える自分が何者なのかを知りたがっている。
エドガーやロック、バナンにしたところで決してティナの特殊性が平気なわけではない。恐れている。恐れていながら、それでも手を差し伸べられて嘘偽りなき笑顔を向ける事が出来るのが彼らの真なる偉大さなのだから当然の事だ。
――が、しかし。
偽レニアはそもそもオリジナルの時点で、そう言う感情を持ち合わせていた事がない。
他人が使えない力を生まれ持っているのが恐ろしいなら、自分を産んだ親に文句を言いに行けばいいし、「自分が欲しいとねだった覚えはありません」と、ハッキリ口にして後ろめたさを覚えないし、覚える事が出来ない性格の持ち主だったのだ。
――ぶっちゃけ、周囲と同じ共通認識を共有した事がない人間が基の少女なのである。
周りと同じに考えられないのに同じようにしてみせる事が欺瞞としか思う事の出来ない、正直すぎて逆に空気読めない社会不適合者として生きる道を受け入れてしまっていた女の子がオリジナルセレニアなのだ。
・・・そんなのから捨て去れた劣化版コピーに、オリジナルが持っていない周囲との共感能力を持って生まれてこいとでも? 不可能でしょう、どう考えたって。
だからセレニアは全く考えていなかった。
自分がこの力について悩んでいると、周囲に思われていたことなんて可能性さえ検討したことなかったし、ウーマロが付いて来てる状態を肉体的にではなく精神面で悩みを抱えているんじゃないかと心配されてたなんてこれっぽっちも考えた事なかったのである。
(やべ――――っ!? なんか知りませんけど、変な心配されちゃってるっぽいですし!? 何がいけなかったんでしょう!? 何がダメだったんでしょうか!?
やっぱりウーマロさんでしょうか!? ウーマロさんが全ての元凶なのでしょうかね!? おのれ謎の雪男ゆるすまじ!!)
完全に八つ当たりで心の底から心の中だけで、自分を守ってくれて運んでもくれる謎の雪男へと恨みの念を飛ばす偽レニア。
オリジナルだったらまずやらない行為だけど、保身を覚えた偽物だったら普通にやります。
そして保身のためにも口には出しません。無言のまま笑顔を浮かべて終わりです。
・・・オリジナルの正直すぎるところも欠点だったが、嘘付けるようになっても状況はあんまし良くならんね・・・。こういう星の下に生まれたんだと割り切った方が良い気がするのは気のせいかい?
「よし、ではグズグズしている暇はない。
すぐナルシェへ向かうぞ!」
『了解!!』
バナンの号令以下、リターナーメンバーが心を一つにして(部外者の一人と一匹は別)結成以来はじめてとなる組織の存亡を賭けた脱出作戦が今まさに始まろうとしていた!!
その時だった!!
「おっと、ちょい待ちなオッサン達」
「!? 誰じゃ! そこで盗み聞きしておるのは!」
不意に物陰から声がかかり、バナンが誰何の声を飛ばすと、相手は意外なほど素直な態度で姿を現し近くの壁により掛かって腕を組んでみせる。
如何にもな悪人面に不敵な笑顔を張り付かせ、一本にまとめて背中に流した髪を総髪にした筋骨たくましい若い男・・・・・・
「!? バルガス! お前いつの間に・・・っ」
「よう、マッシュ。久しぶり・・・と言うほどでもないかな? 元気そうで何よりだ、裏切り者の弟弟子よ」
「なにをっ!?」
父を殺して、弟弟子まで殺そうと襲いかかってきた男の盗人猛々しい言葉にマッシュは切れかかるが、それを止めたのは意外な事に弟思いの兄エドガーだった。
「やめろマッシュ! 落ち着け!」
「兄貴!? なんでだよ! だってコイツは・・・っ!」
「お前の怒りは俺が一番よくわかっている! だが今は落ち着け! コイツが今のタイミングで出てきた理由をよく考えるんだ!」
「ぐっ・・・!」
そう言われてしまうと、マッシュとて理解せざるを得ない。
元から彼はシンプルな思考を好むと言うだけで、考える事を知らないバカというわけでは決してないのだ。考えようと思えば結構深くまで思い至れることもある。
今回の場合で言えば、マッシュはバルガスをよく知っていた。彼の性格上、今このタイミングで自ら姿をさらしてきたことには必ずや裏があり、目的があるのだという事実を過去の経験と生活から思い出す事ぐらい簡単にできていたのである。
「ふっ、さすがは名君と誉れ高いフィガロの若き国王様だな。単純バカな弟とは頭の出来が違うらしい」
「なんだとテメェ! 言わせておけば!」
「やめるんだマッシュ! 殴る事は後ででも出来る! 今はひとまずコイツの話を聞いてやれ!」
そう言いながらもエドガーは、剣呑な視線をバルガスから一瞬たりとも外しはしない。
それは彼からの意思表示――大切な弟を侮辱したのだから、生半可な交渉だったら許さないぞ、と言う相手の退路を断ち切るような鋭い視線。
それを受けてバルガスは、逆に安心させられた。
彼にとって交渉相手は、こういう奴の方が信頼できていい。
単純バカでお人好しなマッシュは騙して利用する事に罪悪感を覚えずに済むから気楽に裏切れてしまうが、エドガーのように裏切った場合のデメリットを表示されると逆に裏切らない限りは信用できるし任せられるという安心感が得られるからだ。
マッシュはいい奴だが、いい奴過ぎて信用できない。他人に騙されて自覚もないままアッサリと相方を売ってしまいそうで逆に怖い。
交渉相手には対等でいられる相手の方が信頼する分には都合がいいものなのである。もちろん利用するだけして使い捨てる前提なら別なのだけど、一蓮托生にならざるを得ない状況にあってはこれぐらいの非常さは持っていてもらわないと信用も安心も出来ないのが命がけの大ピンチ。奇妙な話ではあるが、彼にとっての信頼関係とはそういうものだったようである。
「で? バルガス、俺たちになんの用があるんだ? さっさと用件を言え。正直今は忙しい。お前に割いてやる時間は一秒でも惜しいぐらいなんだからな」
「へっ・・・王様の癖してつれねぇ奴だな・・・。まぁいい、俺も似たような事情持ちなんだ。そっちに合わせてやるよ。
――用件ってのは簡単だ。俺を雇え。ナルシェまで案内してやる」
「なに?」
「レテ川は流れが急なだけでなく、いくつか流れが合流しているポイントがある。あそこを正しいルートで潜り抜けない限り、永久にレテ川の急流下りは終わらせる事が出来なくなってやがんのさ。素人さんには些か荷が克ちすぎる。だから俺様が案内してやるって言ってんだよ」
「・・・・・・」
意外すぎる提案に、エドガーは面食らって沈黙してしまった。
確かにレテ川にあるサーベル山脈の向こう側は滅多に人の手が入る事のない、自然動物とモンスターたちの楽園であり、だからこそのリターナーが本部を置くのに最適な秘密基地としての条件が整えられていた地域である。
それは逆に言えば、人が使う事を前提としてなかったから地図とか作った事ないし、リターナーも緊急時に使う脱出路として確保はしていたけれど、危険すぎるから何度かの実験で最低限近くの避難場所まで待避できる道を調べるぐらいしかやってない。
そもそも数の上で劣勢なリターナーとしては、敗れたら後がないので背水の陣を覚悟しとかなきゃならなかったし、こんな人里離れた辺境の不便すぎる土地に本部作ったのだって攻められにくい事が最重要選定条件だったのである。
本部が完全壊滅させられるかもしれないから総員大脱出なんて事態を誰が想定しうると言うのか!? てゆーか、サウスフィガロは難攻不落だったはずだろうが! そこが目の前にあるんだから安心や油断ぐらいするわい! 人間だもの! しょうがないじゃん!
「・・・求める報酬は・・・?」
「レテ川を出るまで俺をアンタらの仲間に加えてくれりゃあそれでいい。安全な場所まで到着したら俺はさっさと逃げ出させてもらうが、それまでは一蓮托生・・・全力でアンタらと一緒に戦ってやるよ。どうだ? 悪くない条件だと思わないか?」
「それは・・・まぁ、たしかに・・・」
腑に落ちない表情ながらも、一様は頷くエドガー。
悪くない条件だと思う。それどころか破格の条件と言えるだろう。
――それだけに気になってしまうのだ。コイツいったい、何を企んでいる? ・・・と。
バナンを初めとする、全てのリターナー主要メンバーが同じ疑問を抱き、考え込んでしまう中。
たった一人、彼の思惑を見抜いて指摘した人物がいた。
その名は・・・偽レニア!
・・・・・・ではなくて、白い目付きをしたジト目のマッシュだった。
「・・・要するにお前、自分一人じゃ帝国の前線もレテ川も越えられないってだけなんじゃないか・・・?」
「応! その通りだぜ! よく見抜いたなオツムの出来が悪いバカな弟弟子よ! 多少は兄弟子の偉大な頭脳からも学び取れていたようで俺様としては鼻が高いな!!」
『・・・・・・・・・・・・』
兄弟弟子のやり取りによって、一気に白ける場の雰囲気。
いや、彼としては割と真剣な悩みなんですけどね? 帝国軍の大軍を前に自分一人じゃ対抗できないし、コルツ山に逃げ込んでもサウスフィガロに帰れないんじゃ金と無縁な野生生活せざるをえなくなるし、自分の腕を売り込もうにも噂に轟く帝国軍幹部たち相手に『自分の方が強い!』と言い切れるぐらいの気概があるなら父親殺しなんかせずに正当な継承者として認めさせようと奮起してたし。
つまりは『小物だから一人で逃げるの怖いです。安全な場所まで一緒に連れてって下さい』と、そう言うことである。
彼としてもプライドなんかより、生き残る事の方が大切だった。
死んでしまったら美味い酒が飲めなくなるし、博打も打てなくなる。ごちそうも酒池肉林も生きていればこそ味わえる嗜好品の数々。
そいつらのためにも絶対に死にたくない! 生きてさえいりゃ贅沢できる機会は失われない! 死んで咲く花なんて存在しない!
・・・それが卑怯者で小物な子悪党な彼が持つ価値基準だった・・・。
――割と本気で大したことない企みしか持ってなかったなこの男!!
「おっと、川の案内については心配無用だぜ。伊達にクマ共を子分にして野生生活してきたわけじゃねぇんだ。逐一正しい道筋は把握している。
なにしろ、それ間違うと死ぬからな! 危なかった事が幾度もあるから絶対に間違えねぇ! だから心配するな! 安心して俺についてこい!」
ここまで信用できる根拠を提示しながら、信用していいのかどうか不安になる宣言も珍しい。
セレニアに至っては、『ああ、やっぱりクマさん以外に友達いなかったんですねぇ・・・』と、変なところでシンパシーを感じている始末。
なんか本当に色々とどうしようもなかった!!
「ま、まぁとりあえずじゃ。ナルシェに早く安全に付けるなら、それに越した事はない。一先ずはコヤツを信頼して皆も脱出の準備を進めてくれ」
『お、応・・・』
バナンの号令以下、勢いの大きく削がれたリターナーメンバーが脱出のために動き出して、作戦は開始された。
・・・グダグダではあったけどね・・・・・・。
つづく