魔法戦記リリカルなのはWarriorS   作:雲色の銀

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第1話 再集結

 ミッドチルダを震撼させたJS事件から約2年後。

 JS事件を見事に解決し、実験部隊として無事に運用期間を終えた古代遺物管理部機動六課。

 このまま解散されるはずだった機動六課だが、新たなる事件への対処法として準備期間1年を経て、再び設立されることとなった。

 

 今日は機動六課再発足の初日。

 機動六課の隊舎では、嘗て隊員だった者達が再会し、思い出話に花を咲かせていた。

 勿論、再始動の準備も進められており、ヘリの整備や各設備の最終確認も着々と行われている。

 そして、食堂では初期のフォワードメンバー4名が他の隊員達と同様に再会を祝していた。

 

「ティア! 本当に久しぶり~!」

「分かったからひっつかないの!」

 

 感激のあまり抱き付いてくるスバルを、やや恥ずかしそうに引き離そうとするのはオレンジの髪をツインテールにした少女、ティアナ・ランスター。

 双方とも"スターズ分隊"所属で、訓練校時代からのペアだったが、六課の一時解散時に別々の道を歩んでいた。それぞれ、スバルは救助隊、ティアナは執務官を目指していたのだ。

 なので、連絡こそ取り合っていたものの、会うのは1年ぶりであった。

 

「お2人共お変わりないですね」

「そういうエリオは背伸びたんじゃないの?」

「キャロも髪延ばしたんだ」

「はい! って、私も背、伸びたと思うんですけどー!」

 

 そんなスバルとティアナのやり取りを向かいの席で眺めているのは赤毛の少年、エリオ・モンディアルと桃色の髪の少女、キャロ・ル・ルシエ。

 "ライトニング分隊"所属の2人は解散後も一緒に、以前キャロのいた自然保護隊に身を置いていた。

 成長期のエリオはスバルに身長のことを指摘され、照れくさそうにする。それに対し、キャロは前まで同じくらいだったエリオとの身長差が、段々伸びてきているのを少し気にしているようだ。

 そのまま談笑していると、ふと思い出したティアナがある話題を切り出す。

 

「そういえば、ウチらに新しいメンバーが来るって聞いたけど」

 

 そう、再設立された六課にはJS事件より大きな事件に当たれるよう、各分隊に新たなメンバーが1人ずつ追加される。

 フォワード部隊の任務は主にチームワークで行われる。新メンバーとも絆を深めなければならない。

 

「誰が来るのかって、まだ聞いてないよね?」

「どんな人が来るんでしょう?」

 

 新メンバーについて聞かされていない4人は、どんな人物が仲間入りを果たすのかを想像し、盛り上がっていった。

 

 

◇◆◇

 

 

 その頃、部隊長室では部屋の主である八神はやて、その補佐である妖精のようなサイズの少女リインフォース(ツヴァイ)。そして機動六課フォワード部隊のスターズ分隊長、高町なのはと同じくライトニング分隊長、フェイト・(テスタロッサ)・ハラオウンが顔を揃えていた。

 

「でもあの時はビックリしたよ、はやてちゃん」

「急に再設立だなんて言い出すんだもん」

 

 なのはとフェイトは、六課再設立を聞かされた当時のことを振り返り、苦笑する。

 六課の再設。それは今から約2年前の解散時に決定したことだった。

 その詳細な理由を知っている者は、現在この場にいる4人と八神家の面々、六課後見人のカリム・グラシア、クロノ・ハラオウン等のみ。

 

「私かてビックリしたわ。カリムから新しい予言のことを知らされて、急遽決まったことやし」

 

 今回、機動六課が再設立した理由。それは、カリム・グラシアの稀少技能(レアスキル)"預言者の著書(プロフェーティン・シュリフテン)"によるものだった。

 予言者の著書は年に一度しか発動出来ないスキルであったが、新暦75年の予言はJS事件解決の数日後に出たのだ。

 その予言の一部には、恐るべき内容が書き記されていた。

 

 "狂気が生み出しし獣 幾多の地へ降り立ち災いを呼ぶ

 七つの罪が科学者の下に集まりし時

 悪魔の星より放たれし光 海と大地の守護者を砕き

 世界を破滅へ誘わん"

 

 曖昧だが、次元世界を滅ぼす何かが動いていることはカリムにも分かった。

 そして、暫くしてから次元世界の各地で獣のような怪物が目撃されるようになったのだ。

 

「でもちゃんと全員集められたし、まずは一安心や」

 

 そこで管理局上層部はJS事件で功績を挙げた奇跡の部隊、機動六課を準備期間を設けつつ、今一度再設立させて事件解決に当たるよう手配したのだ。

 加えて、事件はミッドチルダ以外でも起きている為、ある程度戦力を分散させて事件を捜査しなければならない。なので、はやては戦力人員枠を新たに4つ、1分隊分要求したのである。

 かなり急かつ無茶な話ではあったが、六課再設立に合わせメンバーほぼ全員が集まれるよう手配、新戦力のリサーチとはやては準備期間をフルに使い奔走したのだった。

 

「新メンバーも、ゲンヤさんのお墨付きやから何の心配もあらへん」

 

 はやては新メンバーを探す際に、恩師であるゲンヤ・ナカジマを当たっていた。

 "陸士108部隊"の部隊長でもあるゲンヤは人脈も自分より広いと考えたのだ。実際、はやての読みは当たっており、108部隊から1人と"陸士103部隊"から1人、引き抜きに成功した。

 新メンバーの書類を確認するなのはとフェイトも、問題なさそうに頷く。

 機動六課の隊長3名は、書類の写真に写る金髪の少年と黒髪の青年に期待を寄せるのであった。

 

 

◇◆◇

 

 

 お祝いムードの機動六課。その隊舎内を、黒髪の無愛想な青年と金髪の優しそうな印象を受ける少年が歩き回っていた。

 なのは達が見ていた書類の写真通りの姿から、この2人が機動六課の新メンバーであることが伺える。

 

「ここが六課の隊舎かぁ~。やっぱり103部隊のと似てるね」

 

 金髪の少年の方がキョロキョロと隊舎を見回しながら、黒髪の青年に話し掛ける。

 どうやら、機動六課内を見学していたようだ。

 

「見学より、アイツに会う方が先なんじゃないか?」

「勿論!」

 

 無邪気な笑みを浮かべる少年を、青年は小さく微笑んで見ていた。

 彼等には見学以外に、ある目的があって六課内を見て回っていた。それはある人物と出会う為だった。彼等の共通の知り合いが、機動六課の隊員の中にいるようだ。

 

「うーん、何処にいるんだろう?」

「連絡してみればいいだろ」

「ダメだよ! 内緒にしてるんだから」

 

 金髪の少年はその知人と暫く顔を合わせておらず、久々の対面をサプライズとしておきたかったのだ。

 幼い子供のようにワクワクしながら探して歩く少年を、青年は溜息を吐きつつ優しい眼差しで見守っていた。

 

 

◇◆◇

 

 

 各々が再会を祝し、穏やかに過ごす時を壊すかのように、緊急事態を知らせるアラートが職場内に響き渡る。隊員達の談笑は一瞬で止み、突然の出来事に騒然となった。

 

「な、なんや!?」

 

 部隊長室ではやてがアラートの原因を確認すると、モニターには信じがたい光景が映し出された。

 都市部の建物が火に包まれている。壁は崩れ、逃げ惑う人々の悲鳴が聞こえる。

 惨状の中心では、正体不明の怪人が無差別に暴れていた。顔や足からは馬の特徴が見て取れるが、実物の馬とは違い二足歩行で歩き、太い腕は人間のもののようだが人殴りで壁を軽く砕くほどの怪力を有している。

 怪人は咆哮をあげると、口から魔力の塊を放ち道路を爆破していく。無差別に破壊していく様は理性のない怪物のようだ。

 

「こ、これって……」

「そう。六課再設の最大の理由、獣人(じゅうじん)や」

 

 信じがたい状況に唖然とするフェイトへ、はやてが真剣な表情で頷く。

 "獣人"と呼ばれる怪人は、ここ最近で各次元世界に現れた正体不明の存在である。動物の特徴を持った人間のような姿をしているが使い魔とは違って化け物に近く、現状は魔獣扱いで駆逐している。

 更に、獣人の傍には"ネオガジェット"と呼ばれる機械兵も存在していた。これはJS事件でも使用された"ガジェット・ドローン"に構造がよく似ており、"(アンチ)(マギリンク)(フィールド)"という魔力結合を無効化させるフィールド系魔法を発生させているので、並の魔術師では成す術がなかった。

 機動六課は拡大する獣人達の被害を食い止めつつ、その正体と目的を調査する為再設立されたのだった。

 はやても、今まさか実物がクラナガンに現れるとは思っていなかったが。

 

〔八神二佐〕

 

 そこへ、別の通信がはやてに舞い込んできた。相手は、先程まで六課隊舎内を見学していた青年だった。

 彼等は一足先にはやての元へ挨拶を済ませ、隊舎の見学に回っていたのだ。

 

「ああ、エド君! 悪いけど、今ちょっと取り込んでて」

〔分かってます。市街地に現れた化け物について、ですね?〕

 

 エド君、と呼ばれた青年は冷静にはやての言いたいことを察する。何より、彼がこうして通信を掛けてきた理由もそこにあるのだ。

 

〔実はもう、ソラトの奴が向かっていまして〕

「えっ!?」

 

 やや呆れながら報告する青年に、獣人対策を考えていたはやては驚きの声を上げた。よく見れば、彼と一緒に隊舎を回っていたはずの少年が何処にもいなかったのだ。

 その頃、獣人が暴れる現場に一台のオフロードバイクが向かっていた。白いヘルメットの奥、蒼い瞳に正体不明の敵への怒りを燃やして。

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