原作にこんなアイテムねーだろという突っ込みは受け付けておりません。
ごめんやで。
城塞都市エ・ランテルという街について今一度触れようと思う。
王都リ・エスティーゼから南、トブの大森林南端から離れたところに位置する三重の城壁に守られた城塞都市である。近郊にカッツェ平野があり、王国と帝国の戦争の最前線となっている事から、広大な共同墓地がある事も特徴の一つ。
さらに特徴を挙げるならば、都市に冒険者組合があり、街は冒険者が闊歩している……これは珍しくも無いが。あとは、交通量が特に多く、物資、人、金、様々なものが行き交い栄えている、といった所か。
特にそういった意味で栄えて居るのは街の中心に位置する商店街ともいうべき大通りである。
様々な露天商人が今日も今日とて店を出し、食料品をはじめとし、中古の武器防具やマジックアイテム等も商品として売りに出されて居り、種類は多岐に渡る。
……まぁ、リティス・トゥールという、別世界からの来訪者から見れば、どれもこれも低品質な商品であると言わざるを得ない。しかし、たまたま目についた串焼きはなかなか美味だった。
ひとまず1日殆ど休まずに様々な商店を訪れてデータを取り、大体の値段の相場は掴めた。
もしも、リティスが売る最高品質の商品を本来の相場に当てはめてこの場で売ろうとするならば、一介の冒険者の人生が三十回あって必要額に到達するかどうか、というレベルの宝であり、それを破格で売ろうものなら一瞬で市場が崩壊するだろう。
なので、まずは以前も多く商売の相手にしていた冒険者をターゲットに、この世界で売っても問題なく、それでいて、冒険者が喜びそうな物を売り、資金を得ることにした。
◆■ 第二話【ようこそ、ここは怪しい店です】 ■◆
とりあえずの目標として、私は「商人ギルドへの加盟」を目標とする事にした。
聞けば、この都市は毎年のように行われる戦争で王国の中継拠点ともなる場所であり、冒険者の数も多いという事から、武具等の戦闘に関わる商品を取り扱う商人がかなりの権力を持っているという事。
彼らの認可が降りれば、もっともっと多くの客が入ることとなるに違いない。
なんなら、彼らという商人を相手に商談をもちかけるのも悪くないだろう。
ダメだったらダメで、行商人なので別に気にはしないが。
「なぁネエちゃん、この薬はなんだ?」
「それはモンスター用の粘着剤だよ。地面に撒くなり、瓶ごと叩きつけるなりして使うと、強力な足止めにすることができる」
「へぇ〜〜〜?粘着剤?それにしちゃあ珍しい色をしてるがなぁ」
「……効果を疑っているのかい?なんなら試してみるかい?貸してごらん」
私は商売をするにあたり、今までとは違い、こうやって商品の実演を行うことが多くなった。
それもそのはず、エ・ランテルではどうもこのレベルの商品でも「珍しい物」として扱われているらしい。
とはいえ、この粘着剤を始め、ポーションであったり、強壮剤であったりは存在する。
だがそれぞれ、色が違う、使い方が違う、効果の強さが違うという有様。
中には、一から使い方を説明しないといけないものも存在した。
よって、こうして使い方を実演し、見ている人は使い方を理解し、そしてその効果をも理解、私はそれを売り込む、一石二鳥、というわけだ。
まぁ、この粘着剤に限らず、販売しているものは以前の世界であればなにも珍しい物ではないのだが……。
「……と、ご覧の通りだ、試しに引っ張ってみてごらん」
「す、すげえ!靴がくっついて離れねえ!」
「おいおい、冗談だろ?流石に……マジだ!ビタッとくっついてとれねえぞ!」
と、まぁそんな調子で、今回は粘着剤の実演販売をしていた。
今回は、木の板に粘着剤を垂らして、使わないボロ靴をくっつけ、それを客に履かせて引っ張らせることで取れるか取れないか、というゲーム性をもたせたものである。
同時に、この粘着剤の強力さをアピールすることにもつながる。
高レベル帯の私でさえ、対策も無いと非常に取りづらい、と思うほどの粘着力だ。
この世界の住人では、そうそう剥がれたりしないだろう。
ちなみにこれの上位互換にくっついたモンスターをそのまま石化させてしまうものも存在するが、それは流石に売らなかった。
「効力が最も強く続くのは相手にもよるけど大体10分だ、それ以上を過ぎてしまうとべりっと剥がれてしまうから注意が必要だね。ちなみに顔なんかにぶつけて視覚と呼吸を奪うという使い方もアリ、今度の任務に魔物の討伐が必要な人は是非もっておきたい一品さ。ちなみに、残りは早い者勝ちだね」
「か、買った!」
「俺も買うぞ!」
「私は3本買うわ!」
「俺は5本!」
「毎度あり」
こうして私は実演販売でじわじわと冒険者の人達から商品を売り上げ、懐を肥やしていった。
今まではNPCで、自分で稼いだ金を自由に使えなかったが、今では違う。
稼いだ金は全て私が自由に使える!なんて素晴らしい!
……だが、全てが順風満帆、という訳にはいかなかった。
「うーん、魔道具が売れないな……」
私が商店で売っているのは何も怪しげな薬とか度数の強いお酒ばかりではない。
中には、ちゃんと冒険で役に立つ魔道具【
まぁ、魔道具自体、この世界では少しお高めの買い物であるということもあるのだろうが……。
聞いた話によると、魔道具は冒険者を騙して買わせる偽物である事も多く、そういった被害も多いのだそうで、そういった事と、私の商店のぱっと見のイメージが原因なんだろう。
ならば商店の色なりイメージなりを変えればいいだろうと思うかもしれないが、実は私の持つ商品は、ほぼ全てがカラーが黒、あるいは紫、あるいは毒々しい緑。如何にも怪しく、如何にも危険そうで、如何にも呪いとか呪詛とか祟りとかが付与されてそうな見た目のものばかりなのだ。
しかもタチの悪いことに、本当にそれらが付与されている、あるいは付与できるアイテムも存在する。
流石にそれらを売ることはない……売るとしても相手を選ぶけれども。
また、同じような理由として武具の売り上げも伸び悩んでいる。
さて、どうしたものか。
「あの、すみません」
「おや、いらっしゃい」
などと考えていると、お客が来たようだ。
小柄な……少年?で、装備から察するに、魔法詠唱者だろう。
「手頃な杖を探しているんですけど、何かおすすめとかありますか?出来るだけ、安いやつで」
「ふむ……」
武具を求めて来た客だったのか。魔法詠唱者は普通に素手の者もいるから分かりづらくていけない。
見た所、彼はこの世界で言う所の駆け出しの冒険者なのだろう。首から下がったシルバーのドッグタグのようなものがその証だ。
聞いたところによると冒険者はこのドッグタグのようなもので階級分けがなされているらしい。
カッパー、アイアン、シルバー、ゴールド、プラチナ、ミスリル、オリハルコン、アダマンタイトという風に分けられており、ミスリルまでいけばかなりの腕利き、アダマンタイトともなれば、それは歴史に残る英雄の領域であることを示しているという。
そして目の前のお客様は
「もしよろしければ、使用する魔法などをお教え願えませんか?それによって、お勧めできる物も変わってきますので」
故にというかなんというか、彼らに売るべき商品は意外と選ぶのに手間取る。
強すぎてもいけないし、弱すぎてもいけない。
過ぎたものを与えれば慢心するか、物を使いこなせずに終わる、あるいは、そもそもその武具を使うに値するレベルに到達していない可能性すらある。
弱すぎるのは論外だ。
「う〜ん、そこまで高くなければなんでもいいのですが」
「それでしたら、こちらの【ウッドスタッフ・オブ・ヒーラー】などいかがでしょう?回復系魔法の補助として効果が増すといった効果があり、非常に有用かと思われます。ああ、こちらの【ロッド・オブ・ビギナー】でしたら、低位の魔法を使う際に少しだけブーストがかかる効果があるんですよ、ちなみにお値段はこんな感じでして」
「……えっ、これ、なんでこんなに安いんですか?」
「ええ、これ以上は値下げもできない、赤字覚悟の大勝負といったところですねえ……実は私、まだこの国に訪れたばかりでして。商売繁盛より明日食う飯の方が心配なんですよねえ、なので、お安く買っていただいて、当面食いしのげる金が必要なんですよ」
「そうだったんですか……それでこの値段……(ごくり)」
「(ニヤリ)まぁ、条件次第でこれ以上安くすることもできるんですけどねえ」
「えっ、これ以上に安く……!?」
「ええ……ここだけの話ですよ?」
私は彼の耳元で小声でこう囁いた。
もし貴方が仲間内や他の冒険者にウチを紹介してお店まで連れてきてくれるのなら……”紹介料”として、その杖の料金をいくらか値引きしてもいいでしょう。
何か企んでいるのかって?とんでもない!ただただ、商品が売れないのが悲しいだけですよ、貴方は人助けだと思ってこのお店のことを仲間内に紹介してくれれば、私はお客が増えて嬉しい、貴方はこの杖をよりお安く買えて嬉しい、そして紹介された人は良い店を知れて嬉しい……ね?誰も損をしないっていう寸法です。
いかがですかねえ……そう悪い話って訳でも無いでしょう?
「……その話……もう少し詳しく聞かせてもらっても……?」
「クックック……いいですねえ、そう来なくっちゃ……それでは、もし貴方が一人お客様をご紹介してくださったなら、杖の代金を……こうして……こんな感じまで値引きさせて頂きましょうかね、二人なら、この倍、三人ならさらに……これだけ値引きしますよ」
「……乗った!」
「毎度あり!」
バシィッ、と彼……本当に彼でいいのかな?……と握手を交わし、彼の協力を得た私は、彼が指定した杖を「お取り置き」させてもらった。
彼は明日にでも仲間を連れてここにやってくると言い、仲間は3人の男の冒険者で、一人は剣、一人はメイス、一人は弓と短剣を使うのだそうで、それらを用意しておいてもらえるとありがたい、とのこと。
「……おっと!言い忘れていましたが、値引きの事はご内密にお願いしますよ?」
「やだなあ、分かってますよ。言いふらしたりしたら商売あがったり、という事でしょう?」
「その通りですよ、いやぁ、お客様は話が早くて助かりますねえ、クックック……」
にやり、とお互いに黒い笑みを浮かべながら別れを告げる。明日が楽しみだ。
……うん?そんなに安くして大丈夫かって?
正直言って方法としては良い手段とは言えないだろう。
だが私個人としては、今の方法を繰り返したところで何の痛手にもならない。
商品を安く売りつけるのはあまりいい方法とは言えないのは当然のことだ。
本来ならば、口八丁手八丁で、如何に相手に高く、多く買わせるかが肝になるのだから。だが、異国で商売をするなら、まずはその地の者の心を掴む方が先であるとも思う。
さらに言えば、私は商売で繁盛する必要も金を稼ぐ必要も、実は全く無い。
持っている山ほどある財宝を持って山にでも籠って静かに一生を終える事だって可能だし、金なんてなくても自分が持っている食料系のアイテムだけで一生食っていける。
だがここは前の世界のままなのか、私に「そうあれ」と設定された「怪しい商人である」「金が性癖とまで言えるほど好き」「子供が好き」という設定が、私に商人になって金を稼げと言っているのだ。
実際、手元に金がジャラジャラと貯まっていくのは心地いい。
それに対して性的興奮を覚えるかといわれるとちょっと微妙なのは、前の世界の、その更に前の世界、私であった誰かが死んでしまった世界での残滓が残っているのかもしれない。
そして子供は普通に好きだ。
遊んでいるところを見ると口角が緩むくらいには。
金を手に入れてこの服装から脱した暁には、子供が見ても怖がらない、優しそうなイメージの服装に身を包み、子供達に飴玉を配るのが私の些細な夢だったりする。
……ちなみにロリコンでもショタコンでもないぞ、普通に「可愛いな」と思っているだけであって、性的興奮は覚えない。私はノーマルだ。
ゴホン、まぁ、それはおいといて。
そもそもの話だが、ここまで読んだ者であれば「じゃあ、お前の言う商品、財宝とやらは一体どれほどの貯蔵があるんだ?」と気になっているころだと思う。
そして答えよう、「ほぼ制限などない」と。
……いやいや、これがあながち嘘でもないのだ。
もし私が、ゲーム内で商人を生業とする
その点私はどうかというと、そもそも、システム上の存在であるため、「アイテムを収集する」という行為そのものを行う必要がない。システムであるのだから、最初から商品を持っている必要がある為だ。
ようは、どこからともなく商品が補充されるのだ。
一応、設定に基づいて、補充されるアイテム以外の、例えば道端に落ちているアイテムを収集する事もできるのだが、必要がないのだから、そうそうやろうとは思わなかった。
その「どこからともなく商品が補充される」という、前の世界でのシステムがこの世界ではどう働いているかというと、「売っても何故か減っていない」という謎の現象が起きるという形で働いているという事が分かったのだ。
なんというチートなのだろうかと内心驚きを隠せない。
これがどれほどチートかというと、例えば先ほどの彼に取り置きしている「ロッド・オブ・ビギナー」という杖だが、これを売ると、いつの間にか全く同じものがトランクケースの中に入っているのだ。
無論品質にも差異はない。
間隔的には、1日経つと同じものが補充されている、と思う。
四六時中監視していたわけではないので、詳しい時間は不明だが……。
ここまでくるとチートというよりかはバグといって差し支えない。
……いや、実際のところ、私が転生したのも、私がNPCであった頃から自我を持っていたのも、この世界に来たことを含め、すべてがバグに過ぎなかったのかもしれないとすら思っている。
なんせ、やろうと思えば、この辺り一帯を今私が座っている絨毯で埋め尽くす事も出来るだろうし、この国の兵士の装備を全て魔法の武具に総入れ替えする事も出来るし、この世に二つとない魔剣をいくつも売り出して魔剣士集団を作ることも出来るだろう、この世界の基準で言うなら、莫大な金にものを言わせて一国を築き上げる事すら可能かもしれない。
……まぁ、出来る、と、やってもいい、はまた別の話になるので、そんなことはしないのだが。そもそも私は人の上に立つ才能は無い。
そうなってくると必然的に道は私が金銭を稼ぎたいという欲求を満たせる、商人という形に落ち着くのだ。
まずは当面の目標として、この国の商人ギルドからのお墨付きを貰ったら、この国から出て他の国でも行商人として商売したい所である。
ある程度有名になったら、国にそれなりの品質のアイテムを献上品として受け取ってもらって、そこから更に発展して……。
「……日も暮れてきたし、そろそろ店じまいするかな」
ここ数日は大体こんな感じで、夢を掻き立てながら客を引いて、店じまいをしたら安宿に泊まって一夜を過ごすという生活を送っている。
長い間歩いては止まり、歩いては止まりという行商人としての旅を続けていた私にとって、エ・ランテルという止まり木は居心地の悪い場所ではなかった。いくら肉体的疲労が無いとはいえ、私も人間、当てもなく歩き続けるのは精神的にくるものがある。
「お?なんだいあんた、今日も来てくれたのかい?」
「気に入っちゃってね。部屋空いてるかな?」
「空いてるよ。しかし、物好きな奴も居たもんだね、こんな安宿に」
「小綺麗で洒落た部屋より、こっちの方が落ち着く時もあるのさ」
「そんなもんかねえ。はいこれ、昨日とおんなじ部屋の鍵」
「じゃあこれ、今日の代金ね」
「はい、毎度ありがとさん」
早い話が、世界を越えてようやっと自由になった身体で、私は壁と屋根とベッドがある暮らしを享受していたのだった。
――――――――――――――――
銀級冒険者グループ「漆黒の剣」のメンバーであるニニャは、先日の依頼で破損してしまった装備の替えを買いに、市場に訪れていた。
ちゃんとした場所で買おうとすると、如何せん値段が高くなりがちだ。
無論、質が良いに越したことはないのだが、そんなに高いお金を払うより、ある程度品質が落ちてもいいから、それなりの値段で済ませてしまいたいというのがニニャの財布と相談した結果導き出した答えである。
その点この露天が集まる市場では、剣や盾といった武具を含め、杖やメイスといった魔法詠唱者の装備もある。その中には掘り出し物が見られることも決して少なくはない。
ニニャは、いつものようにその市場を歩いていると、そこには以前まで無かったはずの、怪しげな、黒と紫色で構成された露天商があることに気付いた。
そして、並んでいる品の珍しさにも自然と目が行ってしまう。
消耗品、魔道具、そして、一際輝くのは魔法の武具だ。
これは掘り出し物が見つかるかもしれない、と、ニニャは店主に杖は無いかと尋ねてみた。
すると、返答は思ったより誠実なもので、ニニャの使用する魔法によって、提供するべき杖も変わってくるというもの。
ニニャは素直に答えてしまってもよかったが、そこまでして選ばれた物を買うとなると値段が高くなるのではないかと踏んで、適当なものでいいと言うと、店主は少し考えたそぶりを見せた後、二つの杖を取り出した。
片方は、治療魔法のブーストがかかった魔法の杖。そして、もう片方は低位の魔法に対してのブーストがかかる魔法の杖。
そして、その杖に紐でつけられた値段の書かれた札を見て目を剥いた。
安い!!とにかく安い!!何かわけでもあるのかと思うほどには安かった。
怪しさ半分期待半分で店主に何故こんなに安いのかと聞いてみると、聞けばこの店主、まだこの国についたばかりで、利益を出すより明日の生活資金の方が心配らしい。
なので、まずは破格で売り付けて、とりあえず生活できる資金を得たいのだそうだ。
成程、確かに異国からここまでやってくるのには苦労もそれなりにあるだろうし、ありえない話ではない。
そして、もう殆ど買う事はニニャの中で決定づけていたのだが、息をのんでいるのを、購入を渋っていると思われたのか、あるいは、良いカモになると思ったのか、店主はニヤリと悪巧みをするような笑顔を浮かべ、このような提案を持ち出した。
もし貴方が他のお客さんにここを紹介して店に連れてきてくれたなら、もっと値引きしてもいいですよ。お客さんが次来るときまで杖はお取り置き(他の客に売らないで予約させてくれるという事らしい)しておきますから。
私はその話に乗る事にした。
乗らない手が無かった。
私にしては警戒心の足らない判断だったかもしれないが、話として筋が通っており、疑う要素が見受けられないので、深くは考えないことにする。
「ペテル!ルクルット!ダイン!ちょっと付き合ってください!」
「な、何?どうしたニニャ?」
「お前、昨日杖を買いに行ったんじゃ?」
「その件で、良い店を見つけたので付いてきてほしいんですよ!」
翌日ニニャはさっそく他のメンバー3人を連れてあの怪しい商店に連れて行った。三人は最初困惑しきりだったが、「安く武器を売ってくれる店がある」「珍しい道具も多い」「他国からやってきた行商人らしい」と情報を出していくうちに興味をひかれたのか、じゃあ行ってみよう、と歩く速度を合わせた。
だが決定打はその商人が女性であると言ったときだった。
「え?その商人って女の人なの?」
「え?ええ、黒髪で、少し怖いですけど、整った顔立ちで、スーツが似合う人で……そうですね、考えてみれば、結構美人だったかもしれません」
「おい何やってんだ早くいくぞニニャ!!」
最初から先にこれを言えばよかった、とニニャは思った。
途中から、何故かルクルットに先導されながらパーティはその商人の下へ向かっていった。
――――――――――――――――
「ああ、美しい異国の人!是非俺と素敵な夜を過ごしませんか!」
「残念ながら私は非売品だ。金持ちになって出直したまえ」
翌日、私は何故か突然金髪のチャラそうな男にナンパされた。
一瞬、何事かと思っていたのだが、彼の後に続くように駆け寄ってきた昨日のお客さんの姿を見て、成程この男が彼のいうところの仲間なのか、と理解する。
「すいません!仲間が失礼を!」
「いえいえ、気にしてないので、さ、どうぞ」
駆け寄ってきた仲間内の一人、金の短髪で、爽やかな好青年、という印象を持つ青年が頭を下げてきたのを軽く受け流しつつ、私は早速彼らにも商談をもちかけてみることにした。
エレティカよりも先に絵が描きあがってしまった。
●本編で言い切れなさそうな事
Q.武具とか売ってるの?課金ショップなのに?それってゲームバランス壊れない?
A.ゲーム内通貨で買えるアイテムも売っていた、というイメージです。課金アイテムメイン、というよりかは、商品の中に課金で買えるアイテムがある感じです。今回登場した杖なんかはゲーム内通貨で買えそうですね。
Q.ワールドアイテムとか、チートアイテムはあるの?
A.課金は(ガチャを除き)あくまでも「痒い所に手が届く」程度のものだ、と聞いているので、ワールドアイテムはありません。
Q.リティスさん自体は強いの?
A.FFでいうところの「銭投げ」に該当する、お金を消費するスキルを持っている、という設定になっています。が、うーん、彼女が戦闘する場面が今後あるかどうかは微妙です。無いことは無い、程度に考えていただければ。
Q.ガチャはどうなってるの?
A.ガチャチケ的なものを出そうかと思っています、出すとしたらモモンガさんとの邂逅する辺りでしょうかね……。
Q.更新頻度はどのくらいを予定してますか?
A.ぶっちゃけ作者がやる気を出せば今週中にも更新しますが、それはまあ、ほら、モチベ次第なのと、他にもやることがあるので……未定です!