「さて、どうしたものか…」
聖杯戦争、それは7人のマスターと7人のサーヴァントにより行われ勝ち残った最後の1人には何でも願いを叶えることができる聖杯を獲得することができるもの。そして私は第5次聖杯戦争に召喚され凛と共に参戦した。聖杯戦争では通常では叶えることのできない願いを持ったサーヴァント達が参戦する。
私の願いとは過去の自分の抹殺。これから過ちを犯す過去の私を殺す事によってタイムパラドックスを起こし、エミヤの存在を座から消し去ろうとしたのだが…過去と未来の剣戟の果てに自分の抱いていた理想は正しいものだと、間違いではなかったのだという事を気付かされたのだ。
そして汚染された聖杯をセイバーが破壊し、聖杯戦争も終結向かう。全ての結末を見届けた後、凛と別れ、座へと戻るだけだったはずなのだが…
「凛に召喚された状況に似ているな。まあ凛の召喚より随分荒々しいものだが」
なぜか上空に放り出されている。しかし前とは比べものにならない高度、視線を下に向けると雲が広がっている。落下し続けているのにまだ地上には到達できない。初めての状況ならば多少なり狼狽えただろうが、不本意ながら2回目だ。平常心を保つことができる。経験の差といったところか…非常に不本意だが。
己の不幸を嘆いている内に雲を突き抜け地上の様子を視認する事ができた。海の真上に放り出されてしまっては少々面倒な事になっていたのだが、不幸中の幸いと言うべきなのだろうか落下した先には孤島の存在を確認することができた。その孤島は巨大な大樹が島全体を覆っている。そのまま地面に落下すればいくら英霊といえど霊基の損傷は免れないだろうが大樹の葉と枝で上手く衝撃を緩和することができれば、九死に一生を得ることが出来るかもしれない。
「大樹を無用に傷つけたくはないのだが…この際は致し方あるまい」
念のために『熾天覆う七つの円環』を展開し落下の衝撃に備える。
「む?」
『熾天覆う七つの円環』が自分が思っていたより出力が出てしまう。それほど魔力を注いでいないはずなのにだ。原因は不明だが好都合なので後で考えうとしよう。今は目先の問題に集中しなくては…
そして展開した直後に大樹の枝に突入したが、自分の思惑通りに『熾天覆う七つの円環』が目の前の葉と枝をクッションにして衝撃を緩和していく。
枝を通り抜けた頃にはすっかり落下速度は衰え、そのまま地面へと着地し辺りに砂が捲き上る。砂がはれた後、見上げてみれば上からは私が枝を通り抜けた所為か木の葉や枝がポツリポツリと落ちてくる。落ちてくる葉などを払いながら辺りを見渡すが遺跡などがあり、人が住んで居るといった印象は受けない。
「これほどの自然が育む環境、人が共存するのは難しかろう」
しかし1つ気になるのがここには私の知る植物が全くないということだ。まさか神代にでも飛ばされたんではないだろうな、と運がついてない自分に嫌気がさすが、いつまでも嘆いている訳にもいかないのでそろそろ行動しようとしたとこだった。着地したすぐ近くに文字の書かれた長方形の石を発見する。私が着地したのが原因で砂が被さっていたので、それを払いながら書かれていた文字を読む事にした。
「アルファベットか?人物の名前のようだが…」
そこにはメイビス・ヴァーミリオンと書かれている。これは墓ではないだろうか。つまり私はこの墓の近くに落下し、砂を被せたということか。
「これは悪い事をした。直ぐに綺麗にしよう」
生憎と私は墓荒らしなど趣味は持ち合わせていないので、汚したまま放置するのは忍びない。掃除道具を投影し、墓と辺り一帯を綺麗にする。これでこの墓の人物は私の無礼を許してくれただろうか。だが死人に口なし。確かめる術もなく、ただただ祈ることしかできない。
「さて、私は行くとしよう。すまないなメイビスとやら」
「いえいえ、大丈夫ですよ。綺麗にして下さったので」
突如背後から声が聞こえる。ここは見知らぬ地、警戒など怠る筈もなく私は剣を投影し声のする方向へと剣を向ける。そこに立っていたのは小さく可愛らしい少女。この少女を目の前にしても気配などは微塵も感じることができない。
「驚かせてしまってすみません。私の名前はメイビス・ヴァーミリオン。ええと…幽霊みたいな感じですかね?んー死んだ人が目の前にあると言われても信用できませんよね。どうしましょう?」
「 私に質問されても困るのだが…」
目の前で困惑する少女に対しての警戒心が次第に薄れていく。聡いのに振る舞いは少女のそれ。雰囲気はイリヤに似て居るなと思ったからだ。
それが故人筈のフェアリーテイル初代ギルドマスターであるメイビス・ヴァーミリオンとエミヤとの出会いだった。
だが3話目は当分ないと予告する
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