FAIRY TAIL/無銘   作:ドライヤー

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すみませんすみません本当にすみません。

当分ないとか言っていたのに投稿します






天狼島出発前夜

私はメイビスと出会ってから数日が経ち、私達は互いに自己紹介を済ませ、情報交換をする事にした。聞いた話をまとめるが、どうもこの世界は私がいた世界とは根本的に異なっているらしい。ここはマグノリア大陸にある魔導士ギルド『fairy tail』の聖地、天狼島という場所であるらしい。日本などといった国家はなくフィオーレ王国に服属しているそうだ。

特に驚いたのが魔法が一般的に普及しており、魔術のように『根元の渦』を目指す魔術師は存在せず、秘匿する必要もない。むしろ日常生活をおくるためには魔法が必須で、魔水晶などの魔法道具を中心として生活が成り立っているとのことだ。

私がいた世界の事をメイビスに話した時、「それって生きづらくないですか?」などと真剣に言われて苦笑したものだ。確かに神秘の漏洩を防ぐ為に隠蔽工作などを行なっていたりしていたので、的にえてるが。

その他にも情報を提供して貰ったが私がここに呼ばれた理由、それに通づる肝心なものは得られなかった。マスターとのパスが繋がっている事は確認できず聖杯戦争に駆り出された訳でもないので、抑止力による対象の抹殺の為に呼ばれた可能性が1番高いのだが…

 

 

「結局は分からずじまいか。誰かは知らんが傍迷惑なものだ」

「すみませんエミヤ。私では力不足です」

「君のせいではないメイビス。今は立場を忘れて羽を伸ばすことができる折角の機会だ。この状況を楽しむとしよう」

「ふふ、前向きですね」

「なに年の功というものだ」

「私だって見た目と違って年を取っているのですよ」

「随分と若く見えるのだが」

「ふふーん幽霊ですからね。いつまでもピチピチです。成長も止まってますが…」

「なに、君は今のままでも充分魅力的だ」

「からかってますよね」

「さあ、何のことやら」

 

 

ムーっと頰を膨らませて怒っている。メイビスとは情報交換を繰り返していくうちに軽口を言い合えるほど仲は進展した。

しかし話せば話すほど見た目や声、性格は似ていないのにイリヤの事を思い出す。いずれかは私がこの世界に来た原因を究明する為にこの島から旅立とうと考えているのだがこの少女を1人島に残す事に、今は亡きイリヤの事が脳裏によぎり決意を鈍らせてしまう。

そんな迷いを察知したのかメイビスは私に笑いかけ一言告げる。

 

 

「私は大丈夫ですよエミヤ。私を島へと置いていく事に罪悪感を抱いているのなら大きな間違いです。貴方は貴方の使命があるのでしょう?」

 

 

心の迷いを的確に突かれ一瞬身体が強張ってしてしまうが、その言葉は私の迷いを取り払っていった。

 

 

「痛い所を突いてくるな。読心術でも持ち合わせているのかね?」

「まさか、これも年の功ですよ」

「まいったな、君には敵わない。さて、君にも諭されたとこだ。早速準備に取り掛かるとしよう」

「イカダでも作るのですか?」

「それしかないだろうな。船などは一度も作ったことはない。見様見真似で造船などして沈没してしまっては面倒だからな。多少移動に手間はかかるが仕方あるまい」

「では、私は何をすればいいでしょうか?」

「君は重いものなどは持てないだろう。それにこれは私の問題だ。君が手伝うまでもない」

「見てるだけでは暇なので側で応援だけでもさせて下さい」

「ふむ。君の応援があれば百人力だ。よろしく頼む」

「ええ、任されました」

 

 

イカダを作るべく作業に取り掛かる。極力曲がっていない木を探し出し投影したノコギリで伐採していき、ばらけないように横に並べた木に杭を差し込んで固定し、遺跡などに張り付いていた蔦らしき植物を編み縄にして木をまとめていく。帆などは自然の素材から取るのは無理があったので投影で補う事にした。

素人の出来る範囲では所詮この程度、荒波がこのイカダに襲いかかれば大破してしまうだろう。不安にはなるが、隣では着々と組み上がっていく不出来なイカダでさえ褒めてくれるメイビスの姿に励まされ多少の不安は脳の片隅に追いやる事にした。

途中で雑談などを挟みながら作業を始めて半日経ち、辺りは夕焼け色に染まりあと少しで夜になる頃にイカダは完成した。

 

 

「何とか形にはなったな」

「初めてなのに凄いですね」

「なに。君の応援が支えになった」

「応援した甲斐がありました。しかし…もう少しで夜が訪れますね。出航は明日にした方がいいんじゃないですか?」

「そうだな。確かにこのイカダで暗闇を進むのは危険が付き纏う。明日の早朝に出航するとしようか」

「それがいいと思います。では今日はイカダ製作記念と送別会を兼ねてパーティーでも開きましょう!といっても山で採れた木の実しかないのですが…」

「少し味気ないな。料理の方は私が何とかしよう。君はこの木の実をもう少し採ってきてくれないか?」

「エミヤは料理も出来るのですか!とても楽しみです!急いで採って来ますね!」

 

 

ピューっと走り去って行くメイビス。その意気揚々とした後ろ姿に微笑みながら、私の料理を楽しみにしてる彼女の期待に応えようと意気込む。皿などは無いので巨大な葉を真水で丁寧に洗い流し、皿の代用品として用いたりした。そして木の実を何とか味付け出来ないかと試行錯誤を繰り返しているうちにある疑問が脳裏によぎる。

それは…

 

 

「幽霊でも食事はできるのか?」

 

 

至極当然の疑問であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




エミヤとメイビスは仲良し設定。最初はマカロフとエルザがS級試験の途中でエミヤと遭遇させる予定でしたが後々の事を考えるとメイビスの方がいいかなと思って変更しました。

次話で天狼島から旅立ちます。天狼島出発までをこの話で書き切ろうとしたんですが文字数が半端ないってみたいな事になるんでここで切らせていただきました笑

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