「チェック成功 1の減少」となりました。
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ありがとうございます!
ボカロの「クローバー♣クラブ」がクトゥルフソングに聞こえるようになってきた私は末期なんでしょうか…
「ラヴィニア…?ねえ、ラヴィニア、どうしたのよ?」
「っ、あ…」
ナミさんの声で、ようやく我に返った。
チェック成功、1の減少。そんなナレーションが聞こえた気がした。
見れば、ケイミーの首輪はもう外れていた。なるほど、その状況でぼうっとしていたら目立つわ。
しかも、船長3名の姿が見えない。ということは…
「あの、ナミさん。ルフィたちは…?」
「表に出て、海軍と戦いに行ったわ。本当、単純なんだから」
やっぱりか。
「ラヴィニア。実によく似合う名だ」
凛とよく通る声。ズェピアさんだ。
「知り合い?…じゃ、なさそうね。うちのクルーに何の用?」
ナミさんが、わずかに警戒を強める。
その瞬間。
「何だ!?武器が…」
その場の金属製の物質が、一斉にカタカタと震え、どこかへ…オークション会場の外、キッドのもとへ飛んでいく。
七星剣も飛んでいきそうなので、しっかりと手で押さえる。
「悪魔の実…」
「見てないで逃げるわよ!!」
ナミさんに手を引かれ、走る。
途中、ほんの少し振り返って、ズェピアさんを見た。
まるで、面白いショーが始まるのを待ちわびる子供のように、至極楽しそうに笑っていた。
××××
「か…海賊王の船に~~~!?!?!?」
人生薔薇色ライダーズの協力のもと、どうにか逃げ出し…ぼったくりバーへたどり着いた。
なお、私の現在地は、何故かいるズェピアさんの膝の上である。何度言ってもおろしてくれないから、もう諦めた。
「ああ、副船長をやっていた。シルバーズ・レイリーという」
『副船長!?』
複数人の声がハモる。
「はっちゃん、教えなかったの?」
「ニュ~~…用事があるのはコーティングだけだったからな…」
「あら、みんな気付いてなかったの?」
「その名前めっちゃめちゃ知ってるー!!!」
「いろんな本に載ってる…!!」
「誰でも一度は聞く名前だな」
「ゴールド・ロジャー…そんなルーキーが昔、いたような…いなかったような…」
十人十色な反応。
その後、レイリーさんはいろいろと教えてくれた。
20年以上前、海で遭難した時、ハチに助けられて友人になったこと。
ハチがタイヨウの海賊団に入るまで、交流があったこと。
そして…
「ロジャーは、捕まったのではない。…自首したのだ」
世界政府は力の誇示のため、捕まえたと宣言したけれど、海賊王はそうやすやすと捕まる男ではなかったのだ。
「公開処刑の日から4年ほど前、ロジャーは不治の病にかかった。双子岬の灯台守であり、医師でもあったクロッカスだけが、それを癒すことができた。頼み込んで船医として乗船してもらい…3年後、
「クロッカス!?」
「あの人そんなすごい人だったのかよ!!」
「君らが会ったということは、元気でやっとるんだな、彼は。探したい海賊がいるとかで、乗船を承諾してくれたのだが…また会いたいもんだ」
「おいブルック!!それ完璧にお前らのことだろ!!!」
「ですね!!!クロッカスさんありがとう、そしてごめんなさい!!!」
「それで、海を制覇した後は?」
サンジのその言葉に、レイリーさんは話を続ける。
「ロジャーは、世間から海賊王と呼ばれるようになった。…だが、ずっと海賊王だったわけじゃない。死にゆく男に称号など、何の意味もない。だが、ロジャーは喜んでいたな。何事も派手にやらかすのが大好きでね、宴も、戦いも…己の未来すら、楽しんでいるように見えた。やがて、『船長命令』により、ロジャー海賊団は解散した。仲間は今や、どこで何をしているかほとんどわからない」
そして、解散から1年が過ぎた頃、ロジャーは自首。生まれ故郷である町、
その日の広場には、若かりし頃の、現在海で名を挙げている海賊達が並んでいたそうだ。
海賊王の処刑に、世界中が注目していたのだ。
「私は行かなかったよ。あいつの言った最期の言葉は、こうだ。『おれは死なねェぜ?相棒…』…世界政府も海軍も、さぞかし驚いたろう。他の海賊達への見せしめの公開処刑の場が、ロジャーの死に際の、たったの一言で…『大海賊時代』の幕開けの式典へと、一変したのだから」
『おれの財宝か?欲しけりゃくれてやるぜ…探してみろ、この世の全てをそこに置いてきた』
ワンピースを知らない人でも、この言葉は聞いたことがあるという人は多いだろう。
作中でも、リアルでも、影響力のある言葉だった。
「残り数秒の、僅かに灯った命の火を、奴は世界に燃え広がる業火に変えた。あの日ほど笑った夜も、泣いた夜も、酒を飲んだ夜もない…。我が船長ながら、見事な人生だった…!!」
そういって、レイリーさんは笑う。後悔など何一つないのだと、そう主張するような笑顔だった。
それから、また話を進めるレイリーさん。
今の時代を作れるのは、今を生きる人間だけということ。
あの日、広場でロジャーから何かを受け取った者たちは、確かにいる。ルフィが慕うシャンクスも、その1人だということ。
そして、シャンクスとバギーはかつて、ロジャーの船で見習いをしていたのだということ。
「10年程前、偶然この島で会ってな。麦わら帽子と、左腕が失くなってた」
「う"っ」
食べ物を口に詰め込んだまま、苦しそうな声を出すルフィ。事情知らない人が見たら、のどに詰まらせたと思うだろうな。
「理由を聞くと、嬉しそうに君の事を話すんだ」
なんでも、「東の海にロジャー船長と同じ事を言うガキがいた」らしい。ガキ=ルフィ、だな。
「シャンクスが君に話していない事まで、私が言うわけにはいかんのでな。あいつは、新世界で君を待ちわびているだろう」
途端にルフィの顔が明るくなり、自分も会いたいと嬉しそうに言う。
「それでは、コーティングの依頼を…」
「「待って」」
ナミさんとロビンさんが、同時に立ち上がった。
「あ…ロビンも、何かあったの?」
「ええ。でも…あなたの要件のほうを先に済ませて頂戴」
「了解。じゃあ一つ聴くわ。そこにいる、そいつについて」
そういうナミさんの視線の先には、私…と言うか、ズェピアさん。
「私について、と言われても、何を話せばいいのかわからないな」
「だったら、なんでラヴィニアを気にしてるのかだけでも言いなさいよ」
うん。それは私だって気になる。
ズェピアさんはくつくつと笑って、口を開いた。
「私は、ズェピア・エルトナム・オベローン。ズェピアが名だ。生まれは
「っ!?」
なんで、それを。
確かに今の私、ウィリアムズ・ラヴィニアは、そういう設定になっている。けれど、話したことなんて、一度も。
「さらに言うなら、アーカム国の、ダンウィッチ村。…違うかな?」
なんで。どうして。
…まさか。ううん、そんなはず。
いやだ、知りたくない。知りたくない知りたくない知りたくない!!
「一度行ったことがあるのだが、そこには『落とし子』というものについての伝承が残っていた」
やめて。言わないで。お願い、やめて、もうやめて。
私は人間だ。そのはずなんだよ。だいたい神話生物なら、こんなにきれいな形をしているわけないじゃないか。どこからどう見たって、人じゃないか。
私は、人だ。そう思っていたいのに。
どこかで、か細く単調なフルートが、鳴り響くのが聞こえた。
ああ、父よ、父よ。
どうかわたしを、みすてないで。
SANチェック 2/2D10+1
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成功
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失敗
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失敗、一時的狂気