コレジャナイ感が…
サンジサイド
酷い嵐の中、おれたちは必死に船を進めていた。
ただ嵐に遭遇したのならよかったのだが、そうはいかないのが
ある程度は流れに逆らえるのだが、抜け出すことができなかった。
「…いったんどこかに船をつけないと駄目そうよ!!ウソップ、何か見える!?」
「10時の方向に島がある!」
「船をつけられそう!?距離は!?」
「大丈夫そうだ!!そんなに距離はない!!」
「よし、そこに船をつけるわよ!ルフィ、舵取って!!」
「おう!!」
そう言うや否や、ルフィは舵輪を回し始めた。
だが、しばらくして。
ドガァン!!
「うひゃあ!?何!?」
「おいルフィ、お前何やった!?島に衝突したぞ!?」
「おっかし~な~…」
「………今……」
「?ロビンちゃん、どうしたんだい?」
「…人の声がしたような………?」
「……え?」
言ったのは、誰だっただろう。
《えええええええええ!?》
ロビンちゃん以外の全員が、叫んでいた。
しばらくして、嵐がやんでから、ルフィとナミさんが上陸することになった。なぜこの2人なのかというと、船が島に激突した時、勢い余って船が島に乗り上げてしまって、その原因を作ったのがルフィの操舵とナミさんの人選だったため。
おれは時間が時間だったから、昼食の準備をしていた。
「どんな奴が居るんだろうな~?」
「敵だったらどうするのよ」
2人は、そんなことを言いながら、上陸していった。
ナミサイド
上陸してみたら、船を見上げている女の子がいた。
木の下かどこかで雨宿りをしていたらしく、ちっとも濡れていない。
角度の関係で顔は見えないけれど、立ち姿はすっきりとしていて美しい。
わたしより身長が低いから、たぶん、わたしよりは年下なのだろう。
白銀に近い白の髪は肩辺りで切りそろえられていて、透明でピンクの見知らぬ花が飾られている。
大きく入ったスリットを白のリボンでつなぎとめているという、よくわからないデザインの青いドレスから伸びる手足はすらりと長く、バレリーナのようだ。…嫌につるりとした肌が無機質に白くて、どこか恐ろしいけれど。
その細い腕がしっかりと抱きかかえているぬいぐるみは…なんだろう。深緑で足が多いタコ?かわいらしいのに、どこか不安になってくるデザインだ。
革製の茶色いチョーカーと、右の腕にまかれた包帯が、妙に浮いて見えた。
「なあ、お前!!」
いきなりルフィが語りかける。
「ひゃい!?あ、えっと、その……」
女の子は、かなり驚いているようだった。まあ、そりゃそうでしょうね。
あのペースじゃあ、情報を聞き出すなんてできやしない。そう思って、わたしは2人のところまで走って行って、ルフィを引っ張った。
「あんたはちょっと黙ってなさい!!」
そう言ってから、女の子に向き直る。
それによって見えた女の子の容姿は、とても不思議なものだった。…不思議な瞳、と言った方が正しいだろうか。
作り物のように美しく整った顔。その中で、最も目立つ瞳。
オレンジの虹彩、その中にある水色の瞳孔。反対色だから違和感がするはずなのに、おかしなくらいしっくりくる。吸い込まれてしまいそうな瞳だった。
「…ごめん、驚かせちゃったわね。あなた、名前は?なんでこんなとこに居るの?」
できるだけ、柔らかい口調で言う。
「えっと…私は、ラヴィニア…ウィリアムズ・ラヴィニアです。それで、どうしてここに居るのか、ですけど…」
どう言ったものか、と思案しているように見えた。結構事情が複雑なのかもしれない。
「え~っと…こんなところで立ち話もなんだし、入る?」
わたしはそう言い、船を指さす。
「え…あ…は、はい」
ラヴィニアサイド
転生して数日で、運よく麦わらの一味に会えたばかりか、サニー号に乗せてもらい、昼食までいただくことになった。
「すいません、船に上がらせていただいたばかりか、昼食まで…」
「いいのよ」
そう言ってほほ笑むのは、私の隣に座っている、ロビン。
ブルックがいることと一味の衣装から察するに、おそらくスリラーバーク編の後…原作ではダイジェストになってたところだろう。
…せめて、スリラーバーク編は見てみたかった。畜生。
「もう少しでできるだろうから、待っていて。食べ終わったら話をしましょう」
ロビンさんマジお姉さん。
「ふふふふふ!!まだですかね、ご飯!!!」
「ブルックうるさい!!」
…原作通りだ………
「ごめんなさいね、騒がしくて」
「い、いえ、大丈夫です。いいと思いますよ、明るくて」
騒がしいのは嫌いじゃない。むしろ好きだ。
さすがに学級崩壊みたいな感じの騒がしさはNGだけど、こういった和気あいあい(?)とした騒がしさは好きだ。なんというか、大家族みたいで。
「…ラヴィニアは、ブルックを見ても怖がらないのね」
不意に、ナミさんが言ってきた。
「へ?…まあ、もっと怖いものを見た経験があるので」
数日の間に退屈しのぎに召喚したミ=ゴとかに比べりゃ余裕余裕。
「…そう……」
ナミさん、顔が青ざめてます。
待っている間に、いろいろなことを聞いた。
どうやら、麦わらの一味は嵐と海流に流されてきてしまったらしい。
しばらくして、料理が運ばれてきた。
どれもこれもおいしそうだ。料理があまり得意でない身としては、非常にうらやましい出来栄えのものばかり。さすが本職。
~食事中~
「ごちそうさまでした」
思っていた以上においしかった。
「さて…それじゃあ、話してもらうわよ」
ナミさんが切り出した。
「さっきも言ったように、私の名前は、ウィリアムズ・ラヴィニアです。ここには、数日前に流れ着きました」
「流れ着いた?」
「はい。船旅をしていて…あ、ずっと1人で旅をしていたわけじゃないですよ。親切な商船に乗せていただいたりしていたんです。今回は、この辺りを通る商船を見つけられなくて」
用意しておいた返答を言う。
「それで、1人で進んでいたら、あの海流に引っかかっちゃったんです」
「で、出られなくなってずっとここに…ってことか?」
ウソップが言う。
「いえ、船は無事だし、海流も何とかしようと思えばなんとかできるんです」
《え?》
私以外の全員が言う。
「あの海流、水中を見てみてわかったんですけど…海王類が作り出してるんです」
「はあ?なんでだよ」
そう言うのは、フランキー。
「見てて気づいたんですけど、どうもあの海王類たち、繁殖期になると近くの島に集まって、その周りを泳いで海流を作り出して雌に求愛するっていう、はた迷惑な習性がある種類だったらしくて…」
「…インコの求愛ダンスみたいだな」
チョッパー、インコ知ってるんだ。冬島にインコって居なさそうだけど、本で見たのかな?
「じゃあ、海王類をどうにかすれば出られるのか。…何で出なかったんだい?」
サンジが言う。
「…
「?」
「…海流で船が傾いたとき、海に落っこちちゃったんです。落ちた時に岩にぶつかったから、壊れちゃったし…」
これも、用意しておいた答えだ。結構説得力はあると思う。
「…それは、かなり深刻な問題だね…」
「はい。…ところで、この船、島に乗り上げちゃってるんですよね?」
「?そうだけど…?」
「良ければ、戻しましょうか?」
《は?》
また、私以外のほぼ全員が言った。ロビンさんとブルックは、驚いた顔こそしているけど、声は出していない。
「危ないかもしれないので、いったん出たほうがいいと思います」
私はそう言って、部屋を出て、船から降りる。
全員が船から降りるのを確認してから、私は銀の鍵を手に取る。
輝くトラペゾヘドロンに鍵を当てると、まるで泥にでも差し込んだかのように、ずぶりと沈み込んだ。
手紙で教えられたとおりに3回回し、つぶやく。
「ショゴス」
呟いた瞬間に、かちりという鍵が開くような音がして、ショゴスが現れた。後ろから3人分の悲鳴が聞こえるけど気にしない。
「この船を押してほしいの。島に乗り上げちゃってるから」
「テケリ・リ!!」
たぶん、『了解』みたいなことを言ったのだろう。ショゴスはすぐさま巨人のような姿(なんとなくダゴンのようにも見える)に変化して船を押し、島からおろした。
「ご苦労様。もう戻っていいよ」
「テケリ・リ!!」
ショゴスはそう言って、どこかへ戻っていった。
「…すげえええええ!!何だあれ!?」
ルフィ、よくあれ見てそれで済ませられるね。
「ショゴス。力持ちの謎の生命体だと認識しておけば間違いはないと思う」
「なるほど、『不思議生き物』か!!」
あながち間違ってもいないのが怖い。
「なあ!お前、おれと海賊やらねえか!?」
…はい?
「ちょっと、ルフィ!そんなあっさり…」
「別にいいですよ、ナミさん」
「え!?」
「…ですが、私のポジションはどうなるのでしょう?ルフィが船長、ゾロさんが戦闘員で、ナミさんは航海士、ウソップが狙撃手、サンジさんはコック、チョッパーが船医、ロビンさんが考古学者、フランキーさんが船大工で、ブルックさんは音楽家。やっぱり戦闘員その2でしょうか?」
「…戦闘員というか、魔術師とか奇術師とか、そう言うのの方が似合う気がするわ」
個人的には巫女がよかったけど、やっぱりだめか。
「では魔術師で。あ、私が入ることにご不満の方は?」
そう言うと、フランキーが言った。
「不満っつうか…嬢ちゃん、戦闘できんのか?」
「ちょっと心配ですけど、まあ、できなくもないですね」
前世で、知り合いに棒術部(で、合っていただろうか?)に所属していた子がおり、その子の見様見真似のなんちゃって棒術くらいはできる。実践に役立つかどうかはわからないけど。
「…本当か?」
「ええ。見様見真似の棒術でいいなら」
私がそう言った瞬間。
「おい!そこにいるのは『麦わらの一味』だな!?おれの名はトマス・ロロネー!!血濡れ海賊団船長、『嗜虐のロロネー』だ!!」
どっかの海賊が、私や一味と同じように流されてきた。見た感じ、クルーは20名ほど。少数の海賊団のようだ。
「…知り合いで?」
ナミさんに聞いてみる。
「いや、全然知らないわ。名前も初めて聞いた」
「ですよねー。ってか、血濡れ海賊団って…くくっ」
つい、笑ってしまった。無難にロロネー海賊団とかトマス海賊団とかにしとけよ、何だよ血濡れって中二病かよ、と。
「何を笑っている!!2人しか賞金首になっていない海賊団が、3人賞金首のいるおれたちを笑うのか!!」
………は?
周りを見てみたら、皆さんも同じような反応だった。目が点、というのかな。
「賞金首2人しかいないって……あれだけやったのに知らないとか、情報入手出来てなさすぎだろ」
これはサンジ。いや、いくら情報入手出来てなくても賞金首が1人多い(と思っている)だけであの態度はどうかと。
「言ってやるな、たぶん新聞取ってないんだ」
これはウソップ。
「モリアに影を取られて、今まで
ナミさん容赦ねえ。ウソップも気を使って言わなかったというのに。
「そうだと思うわ。ルフィに入れられていた影の中に、彼らに似た影があったもの」
これはロビンさん。よく見てましたね。
「…っ!!言わせておけば!!レイス、エイヴリー、行くぞ!!」
「「おうっ!!」」
船長のロロネーとやらとその両脇にいた剣士2人がこちらへ飛び出す。おいおい、後ろのクルーの皆様が「またやってるよあの馬鹿ども。帰りてえ。」と言わんばかりの盛大な溜息したぞ。
「…ちょうどいいや。あの人ら片付けられたら、入っていいですか?」
フランキーに語りかける。
「…どうするよ、ルフィ」
「別にいいぞ!!」
「ふふ…」
私はまず、リュックサックから変わった杖を取り出し、それとまだ持っていた銀の鍵を私の身長よりやや小さめのサイズにする。
「クトゥ、これ持ってて」
そう言い、リュックサックをあのクトゥルフのぬいぐるみ…クトゥに渡した。
クトゥは浮き上がるとリュックサックを持ち、ルフィのもとへ向かう。
数日一緒にいたら、クトゥが動くことに気づいたんだよね。意思があるのかどうかはわからないけど、とりあえず言うこと聞いてはくれる。
「さあ、始めましょうか」
「…貴様、なめてるのか!?」
「いいえ」
そう言って、まずロロネーのもとに走りこむ。
「させるか!!」
レイスだかエイヴリーだか知らないが、剣士が割り込んできて、私に切りかかる。
「こっちの方がリーチありますね」
私は銀の鍵を大きく横に振る。剣士と、横にいたもう1人の剣士の腹あたりにクリーンヒット。
「ぐあ!!」
「…あなたがた、よくこの腕で賞金首になれましたね」
3人が3人とも、動きがてんで駄目だ。素人の私でもわかるほど。前世の剣道部所属の友人の方がよっぽどいい動きができてる。
「あ、ひょっとして…『血濡れ海賊団』ってだけあって、一般人を虐殺して賞金首になったとか?」
もし本当なら、よくここまでやってこれたものだ。
「うるさい、黙れ!」
…あれ、図星?
「逆上するなんて、大人げないですねえ」
「このっ…!!」
3人はさらに猛攻(笑)を続けるけれど、全然当たってない。リーチの問題でもあるのだろうけど、こっちが変わった杖と銀の鍵で二刀流してると、3人とも寄ってくることさえできてない。
…そろそろ、いいかな。
私は、銀の鍵を虚空に差し込み、「空間」にささった銀の鍵を回す。
そして、叫んだ。
「キャッツレイド!!」
かちり、と音がして。
大量の猫たちが現れ、3人に襲い掛かった。
クロノクロスのヤマネコの固有エレメント、キャッツレイド。
数日間、暇だからとエレメントを使ってみたら、どう言うわけだかこのエレメントは、銀の鍵を使わないと使えない仕様になっていた。
そう言えば、ラヴクラフトさんは猫好きだったっけ…
「「「ぎゃああああああああ!!!」」」
うんうん。効いてるみたいだ。
あ、倒れた。
「…気絶してるみたいですね。あのー、血濡れ海賊団とやらのクルーの皆さん、これ引き取ってくれません?」
「ああ…わかった…迷惑かけてごめんよ…」
「全くだ…」
クルーからも信頼されてないですねえ。
とりあえず、一味に加入できました。
ちなみに、ロロネーの懸賞金は1億5千万、レイスは6千万、エイヴリーが6千5百万です。
一般人とか、弱い海兵とか、ぽっと出で弱い賞金稼ぎとか、そう言う「自分より弱いやつ」を大量殺戮したためにかけられた懸賞金です。
なので、自分より強いやつを相手にするとてんで駄目なのですよ。しかも彼らは腕がいいわけでもない(力はあるため、力押しの脳筋戦法ばかり取っていました)ので、自分より強いやつは山ほどいるという…w
あ、でも一般人よりは強いんですよこの人ら。モーガンと腕相撲して勝てます(まあ、腕力の問題なので、技術面ではモーガンの圧勝になってしまうわけですが)。
ラヴィニアちゃんはそこそこいい筋してます。前世ではちょっと心臓が弱かったため運動ができませんでした(ドクターストップかかってました)が、この世界では体の心配しなくていい健康体であるため、その実力がいかんなく発揮されるかと(戦闘センスは元の香苗ちゃんのままです)。
銀の鍵が空間に刺さると、その空間に波紋が生じます(水に棒を差し込んだ状態に近いです)。