邪神系女子のワンピ生活   作:菅野アスカ

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脱出と、再会と…

「そう言えば、あなた達はなぜここに?あと、なぜこの人たちはわざわざ喧嘩吹っ掛けに来たので?」

3人を血濡れ海賊団に引き渡しながら聞いてみた。

 

「あー…。おれたち、数か月前に、七武海のモリアに影を取られたんだが…つい最近、その影が戻ってきたんだ。それで、やっとあの陰気な海から出て来たら、ここの妙な海流に巻き込まれちまった。で、ここまで流されてきたら、麦わらの一味の旗が見えた。そしたらこいつら、なんでか知らねェけど麦わらの一味がこの海流を引き起こしてるって決めつけたんだ」

理解に苦しむわ、そんな謎理屈。どんな頭してるんだ。

って言うかクルーさん(仮)、しれっと船長含む主力メンバーを「こいつら」呼ばわりしてる…。どんだけ人望ないんだこの3人。

 

「…理解できない思考回路ですね…」

「だろ…?」

クルーさん、目が死んでる。苦労してるんだろうなあ…

 

それから、3人を血濡れ海賊団の方々が船内に運搬した。

 

 

 

「…さて、脱出しましょうか」

 

私は呟いて、銀の鍵を輝くトラペゾヘドロンに差し込み、3回回して言う。

 

「深きものども」

鍵が開く音がして、深きものども…1人だけだから深きもの、か。それが現れる。

 

「ちょっと下にいる海王類たちと交渉してきて。彼らが作り出してる海流のせいで、船が出られなくて困ってるの。船が出る間だけでいいから、海流を止めてほしいんだ」

深きものはうなづいて、海中に滑り込む。

 

しばらくして、海流が収まり、深きものが帰ってきた。

 

「ご苦労様。もう戻ってもいいよ」

私がそう言うと、深きものはどこかへ戻っていった。

 

「お前ほんと何でもありだな!!」

「ウソップ…私にもできないことくらいあるよ」

料理とか得意なのはおいしくできるけどそうじゃないのは謎の物体Xになるし、情報収集も苦手だし。

 

そんなこんなで、出航した。

 

 

 

 

 

 

 

しばらくして、人が住んでいそうな、大きな島を見つけた。

 

「結構近くに居住可能な島があったんですねえ」

「そろそろ食料の備蓄がなくなってきてるし、ちょっと寄りましょうか」

食料の備蓄がなくなってきてるのは、たぶんルフィが原因なんだろうなあ…

 

それからさらにしばらくして、島に近づくと、島の細部が見えた。

どうやら、島の森にはあまり人の手が入っていないらしい。とても綺麗な島だ。

 

「綺麗な島ですね。木々があんなに元気に生い茂って…」

「あんまりゆっくりもできないわよ?」

「わかってますよ」

急ぎでなければ、ゆっくりしてみたいなあ…

 

…でもこの島、なんだか見覚えがあるような?

 

 

 

 

 

 

しばらく後。私はサンジと一緒に買い出しをしていた。

何故私とサンジなのかというと、答えは簡単だ。

私もサンジも、顔が割れていない。正確に言うなら、サンジは手配書があまりにも似ていないモンタージュのせいで、見つかってもバレにくい。

というわけで、私とサンジになったのだ。ウソップもバレないんじゃないかと思ったけど、見張りの仕事があるから駄目だそうだ。

 

ちなみに、この島の名は「アスカ島」。

はい、劇場版ワンピース見たことある方ならわかりますね。

 

劇場版ワンピース「呪われた聖剣」の舞台のアスカ島だよどうしてこうなった!?

あの話、ロングリングロングランドのちょっと前くらいって言う設定だったよね!?なんでこんなとこにあるの!?

 

呪われた聖剣とこの世界の相違点は以下の通り…

・位置 だいぶ大幅にずれている。

・海軍剣術道場 この世界のアスカ島には存在しない。

・サガ この世界のサガは左足も失っている。また、七星剣に操られていない。

 

…うん。わかってたけど、これもうほぼ別物ですわ。

 

「さて、そろそろ帰りましょうか」

「ああ、食料もだいぶ買えたし…」

サンジが言った、次の瞬間。

 

「みんな、逃げてくれ!!海賊だー!!」

村の人らしき男性が、そう言って駆け込んできた。

 

「!?嘘、ばれた…!?」

「…いや、違うみたいだよ」

「へ?」

見ると、男性の後ろから、下卑た眼付きの男がやってきていた。

…そう言えば、こいつ映画でアスカ島を襲った海賊に似てるな。よもや時期までずれたか…

 

「……他所の海賊ですね。どうします?私は、ここの人たち助けたいですけど。」

呪いは勘弁な。

 

「おれも手伝うよ。レディ1人にごろつきの相手はさせられない!」

「ありがとうございます」

私はさっそく、もしもの時のために持ってきていた、変わった杖を実戦サイズにし、クトゥを安全地帯であろう位置に避難させる。

 

「はっ!!」

私が手近にいた海賊に殴りかかると、その海賊の後ろから、見覚えのある面々が走ってきた。

 

「サンジ!ラヴィニア!!無事か!?」

真っ先に来たのはウソップ。さすが一味随一の逃げ足を持つ男。見張りをしてたからこいつらにも気づいたんだな。

 

「無事!!」

言いつつ、海賊その2(男)の股間を蹴り上げる。

 

「う、うわあああ!!麦わらの一味まで!!もう駄目だ!!」

「あー、もう!!皆さんを害する気はないので、その敵対オーラと絶望オーラ仕舞ってください島民の皆様ー!!!」

 

海賊(ザコ)殲滅中~

 

案外弱かった…

あ、誤解は戦闘中に晴れたようだ。サガが騒ぎを聞きつけて出てきたときにタイミングよくゾロが参戦して感動の再会を果たし、その後サガとゾロが共闘したのも大きかったのだろう。

「麦わらの一味は海賊だが略奪行為を行わない」と認識してもらえた。

 

今、私は、チョッパーと一緒に、けがをした人たちの手当てをしている。

ルフィとゾロとサガは、どうやら一緒になって談笑しているようだ。

 

「へえ、じゃあお前とゾロは知り合いなのか!!」

「知り合いというか、幼馴染だな。それで、道場を出た後、おれは正義の剣を極めることを、ゾロは世界一の剣豪になることを誓ったんだ」

「だから、おれァてっきり海軍にでも入ってるもんだと思ってたぜ」

「入ろうと思っていたんだがな。武者修行の旅に出ている最中に、海賊と戦ったんだが…この通り、右腕を切り落とされた。そのあと左足を失って、海軍に入るのを断念したんだ。義足じゃ、いつかは追いつけなくなると思ったからな」

「そっちはそっちで苦労したんだな」

「ああ。お前はどうせ、迷子になってたから仕方なく賞金稼ぎを始めたんだろ?」

「言うな」

 

…こんなところにもずれが……

映画では、サガが右手を失ったとき、ゾロもその場にいたのに、この世界でその時ゾロは、その場にいなかったんだ。

ああでも、義足じゃ追いつけなくなるのは事実かなーと思う。剣道って、腕力も大事だけど踏み込みとか踏ん張りとかも大事らしいし。

 

「で、その足はどうしたよ」

「…一時期滞在していた冬島で、子供が川に落ちたんだ。近くに人間はおれしかいなかったから助けようとして川に飛び込んで、子供は助かったんだが、おれの方は、足が凍傷になってしまったんだ。特に左足の方はひどくて、切り落とさざるを得なかったというわけだ」

「…なんというか、お前らしい理由だな」

 

そんな調子で、3人は会話を楽しんでいた。

 

その後の会話によると、サガはこの島には数か月前やってきたらしい(海軍に入ることを断念してからも旅は続けていた模様。よくモリアにつかまらなかったな)。

この島には戦える人が少ししかいなかったため(なぜ海軍が居ないのかは謎)、島の人たちに剣術を教えることにした(この時点で『海軍に入る以外にも正義の剣を極める方法はある』という結論に達したらしい。また、この時点では、皆さんがある程度戦えるようになったら、島を離れる気だったらしい)。

サガがアスカ島に居ついて少し経ったある日、アスカ島を海賊が襲った。追い返せたものの、サガは重傷を負った。で、サガの看病をしたのがマヤさんで、マヤさんに惚れてこの島に住むようになった。

かいつまんで言えば、そんな話だった。

 

ちなみに、その後、サガの話の内容はほぼ惚気だった。

 

 

 

 

 

 

そして、その夜。

ちょっとした宴会をやったから、みんな疲れ切って眠っていたのだが…

 

「ん…?」

私は、酒を飲んでいなかった(下戸)のもあってか、なかなか寝付けず、1人だけ起きて本を読んでいたのだが、誰かが後ろから近づいてきていることに気づいた、

 

「どなたです?」

その人は、驚いて、立ち止まったようだ。

 

「……私です。マヤです」

「マヤさん?」

私は振り返ってみた。

 

「…本当にマヤさんだ。どうしたんです?」

「………その…」

 

マヤさんは、少し言いにくそうに、言った。

 

「…そのチョーカーについている宝石を、見せていただけないでしょうか?」




ただ、七星剣を出したかったんだ…
サガとゾロの共闘は2人が背中合わせで戦ってるのを書きながらイメージしてました。

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