黒森峰女学園は、第1回戦が知波単学園ということで機動力重視の戦力にしましたが、おそらく準決勝、決勝と上にあがっていく毎に重戦車の割合が増えてくると思います。
1960年 8月初旬 知波単学園
第一回戦車道全国大会が間近に迫った8月の初旬、この日も知波単学園の学園艦の甲板では、戦車道の練習が進められていた。知波単学園に入学して初めて戦車に搭乗した少女達も、隊長の村上早紀江と副隊長の高橋節子を中心とした池田流門下生の助けもあり、なんとか戦車の操縦に慣れつつあった。もっとも、高度な機動や長距離の射撃などが出来る錬度ではなく、辛うじて隊列を整えての移動や、停止した状態で比較的短距離での射撃が命中するようになった程度ではあったが。それでも、練習を開始して約6ヶ月としてはかなりの上達であり、顧問の星野利元や師範の池田美奈子も、その上達速度には驚いていた。
「今日の練習はこれで終わります。お疲れ様でした!」
「お疲れ様でした!」
大会が近づいている事もあり、外が暗くなる時間まで練習が続けられており、全員に気合が入っていた。また、戦車道に直接参加していない学園の生徒達や町の住民達も、練習後の差し入れや練習の応援を行なうなど、学園艦全体が大会に向けてまるでお祭り状態になっていた。
「師範、村上早紀江、高橋節子 入ります。」
練習終了後、早紀江と節子は師範の美奈子に今日も呼び出されていた。いつもであれば練習後に、美奈子から問題点の指摘などがあり説教があるのだが、今日は様子が異なっており、顧問の星野も同席していた。
「二人とも、そこに座ってください。」
星野は、呼び出した二人を席に座らせると、机の上に書類を広げた。書類を納めていた封筒には、池田流の印がある。
「さて、今月の終わりに全国大会が開かれる事は、もう既に二人とも知っていると思うのじゃが、正式に相手などが決まったようでな。その通知が池田流を通じて、こうやって送られてきたということじゃ。」
「二人には、以前話したと思うけど、私達知波単学園の最初の相手は、西住流の黒森峰女学園に正式に決定しました。」
星野と美奈子が二人に説明する。以前、入学当初に話は聞いていたが、いざ本当に黒森峰女学園と戦う事が決まった事を知り、早紀江と節子の顔に緊張がはしる。
「やっぱり、黒森峰女学園が初戦になったのですね。」
早紀江が確認を取ると、美奈子は黙って頷いた。第一回大会の組み合わせは、戦車道をバックアップしてきた各国の政治的な思惑が重なり、対戦相手は抽選で決めない事を知っていた美奈子も、その組み合わせを知らされた時はため息が出たようだ。
「今更、気後れなどないと思うんじゃが、うちとしては、全力でぶつかるしかあるまいのぉ。なに、元々戦車の力も段違いなのじゃ、一つでも多くの相手戦車を撃破して、うちの意地を見せるしかあるまいのぉ」
黙っている美奈子を見て、代わりに顧問の星野が答える。星野も組み合わせを実際に見て、ため息が出た一人だが、考えてみれば、知波単学園としては元々本戦では全滅覚悟で突撃するしかなく、何処が相手でも同じだと思い、気を取り直していた。
「星野先生、ちなみに他はどんな組み合わせになっているのですか?」
早紀江が星野に質問する。自分達は黒森峰女学園に勝てるとは思えないため、初戦で消えることは間違いないが、他の学校がどのような組み合わせになっているのかは興味があった。また、先日練習試合を行ない、その後に開かれた交流会で一緒に楽しんだマジノ女学院のパトリシア達が何処と対戦するかにも興味があった。
「美奈子さんや、説明をお願いしますよ。」
「はい、閣下。まず、うちと黒森峰、そしてイギリスが後押ししている聖グロリアーナ女学院とこの間練習試合をしたマジノ女学院の対戦が一つのブロック。そしてもう一つのブロックは、ソ連が教えているプラウダ高校とアメリカのサンダース高校、そしてポーランドのマズルカ高校とイタリヤのアンツィオ高校の対戦になります。まぁ、うちと黒森峰女学園、イギリスとフランス、そしてソ連とアメリカの戦いは完全に決められていて、残りのポーランドとイタリヤが割を食った感じですね。」
美奈子の答えを聞いて、早紀江と節子は、パトリシア達も初戦から相当苦しい戦いをする事になるのだな…と感じていた。
「今回の大会ルールですが、1回戦は各10両ずつ、2回戦以降は20両ずつによる殲滅戦ルールになるとのことです。早紀江、明後日までに大会に出る車両10両の編成の案を出してください。ただし、今回は少なくとも一両は、新しく入ってきた子達を入れるようにしてください。戦いが優秀な兵士を作るという言葉もあります。今回は物凄く苦しい試合になると思いますが、彼女達には良い経験になるでしょう。」
「分かりました、師範。明後日までには、編成と出場選手の案を出します。」
戦車格納庫
顧問と師範に呼び出された後、軽い夕食を食堂で食べた早紀江と節子は、再び戦車格納庫に戻ってきた。格納庫では、この時間でも整備を担当している男達と、それに混じって20人近い少女達が戦車の整備にあたっている。その姿を横目に、早紀江と節子はため息をつく。
「分かってはいたけど、本当に西住流といきなり戦うのですね。節子、あなたはどの戦車に乗る予定なの?」
「本戦は、九七式中戦車以前の車両しか駄目だからな~。まさか八九式中戦車や九四式軽装甲車で行くわけには行かないから、私は九七式で出る予定だよ。早紀江はやっぱり、あれに乗るのか?」
節子の質問を聞いた早紀江は、整備されている戦車達の一角を見る。早紀江の視線を追った節子は、やっぱりあれに乗るつもりか…と納得する。早紀江と節子は、10歳頃から池田流本家で共に戦車道に邁進してきた仲だ。そして節子は、池田流本家に居た頃、早紀江が特定の戦車にしか搭乗していなかった事を思い出した。
「そういえば、まだ聞いていなかったな。なんでそれ程までに、九五式軽戦車に拘るんだ?」
九五式軽戦車は、先の大戦で外地に出ていた帝国陸軍戦車連隊の第一中隊が運用していた軽戦車で、その主砲は37mm砲だった。貫通力はゼロ距離でも50mm程しかないため、アメリカ軍の主力戦車M4シャーマンが相手の場合は、後方からゼロ距離で砲撃しても撃破出来るかどうか微妙な戦車だ。わざわざそんなに弱い戦車に搭乗しなくても、せめて新砲塔と追加装甲を装備した九七式中戦車チハに乗ればいいのに…と節子は思っていた。
「九五式軽戦車は、私のおじいちゃんが乗っていた戦車なの。おじいちゃんは、戦車第27連隊を率いて沖縄で戦ったんだけど、そこで戦死してね…。だから、私は本戦では九五式で戦う事に決めてるの。本当は隊長の私がこんな戦車に乗っていたら駄目なのかもしれないけど、これだけは譲れないの…ごめんね。」
早紀江の答えを聞いて、節子は『しまった…』と思ったが、正直に話してくれた早紀江に感謝した。池田流本家に居た子達は、自分も含めて身内が帝国陸軍戦車隊に所属しており、戦死している者が多かった。そのため、身内が乗っていた戦車に乗りたがる傾向が高く、五式中戦車や四式中戦車が空いていた時でも、九七式中戦車や九五式軽戦車が、毎回取り合いになっていた。早紀江もその一人だったのだな…と節子は理解できた。
「大丈夫さ、早紀江。どうせ相手は黒森峰女学園だから、隊長の早紀江と副隊長の私は、真っ先に狙われて撃破されるんだから、九七でも九五でも大きな違いなんてないと思うぞ。それよりは、私達がやられた後、誰が指揮を引き継いでいくかを決めておいたほうがいいって。」
「あ~、たしかにそうだよね。黒森峰の戦車の弾が当たったら、九七でも九五でもどっちにしろ一発で撃破判定が出るよね。そういう事なら、私が隊長と分かるように搭乗車にしっかりマークつけておこうかな。」
節子の言葉に、早紀江は笑顔を取り戻した。たしかに今回の相手を考えれば、どの戦車に乗っていても、どうせ当たったらお終まいだ。だったら、少しでも士気を上げるためにも、自分が隊長だということが外からでもよく分かるように、自分の戦車にマークでもつけてもらうか…と思い、早紀江は九五式軽戦車を整備している少女達のほうに歩き出した。
1960年 8月初旬 熊本 黒森峰女学園 仮校舎
西住流が中心となり進めている黒森峰女学園は、学園艦の建造は既に始まっているものの、学園艦が完成するのは、来年の終わりと計画されており、実際に学園艦を使用するのは1962年の4月からと決定されている。しかし、学園艦が完成したら速やかに動けるようにということで、西住流本家がある熊本に仮校舎を建築し、既にその一期生が入学していた。そしてその入学生の中には、西住流家元の西住かほの孫娘である、西住なほの姿もあった。
西住なほは、西住流がドイツから呼び寄せた教官達より直接指導を受けていた少女達の一人で、最初からドイツ機甲師団の戦い方を学んでいた。また、西住流の中で行なわれていた対抗戦などでも圧倒的な指揮能力を見せており、黒森峰女学園でも隊長に選ばれ、西住流以外から入学してきた少女達も含めて、周りから尊敬の念を集めていた。
「これより、全国大会の相手と我々黒森峰女学園の一回戦で使用する戦車を発表する。」
黒森峰女学園に所属している戦車隊の車長達を前に、なほが説明する。その姿をなほの母親であり、西住流師範の西住さほが微笑ましく見ていた。自分の娘は完全に黒森峰女学園の戦車隊を把握しており、作戦立案も含めて任せても問題ないだろう。なにせ、ドイツから来ていた教官達も自分の娘の優秀さと冷静さに驚いていたのだから。
「全国大会の初戦の相手は池田流の知波単学園だ。情報では、帝国陸軍の九七式中戦車と九五式軽戦車で出場するようだから、戦力的には我々の方がはるかに上だ。しかし油断はするな。仮にも我が国を代表する戦車道の二大流派の一つ。搭乗員の錬度はこちらにひけを取らないだろう。油断していると足元をすくわれる可能性は十分にある。こちらは相手が弱いと思わず、全力で叩き潰しに行くぞ。副隊長、使用戦車の発表を」
「はい隊長。今回の初戦ですが、10両ずつの殲滅戦ルールです。ですから、今回は隊長車と3個小隊9両の、計10両で戦います。隊長のなほさんはティーガーIで出ます。そして、副隊長の私が第1小隊の指揮を取ります。第1小隊の3両は全てパンターD型、第二小隊は玉田さん、第3小隊は吉村さん、指揮をお願いね。第二小隊と第三小隊の6両は全て4号H型戦車。知波単学園相手ですから、重戦車を用いるよりは機動力のある戦車を使用した方が良いという隊長の判断です。何か質問はありますか?」
黒森峰女学園の副隊長である島田真由子が説明する。集まっている車長達に質問はなかった。なほの作戦立案の上手さは西住流本家で訓練をしていた頃からよく知っている。そのなほが決めたのだから、作戦に問題があるなど誰も思っていなかった。
「試合当日は、私達を教えてくれた教官方もわざわざ日本に来てくれるようだ。恥ずかしくない戦いをするように。それでは解散!」
なほの号令で、集まっていた車長達は、自分達が搭乗する戦車の乗員に今回決まった事を知らせるために、各所に散っていった。それを見ていた師範のさほは、なほに声をかけた。
「なほさん、どうやら大丈夫そうですね。ところで、二ヶ月程前に行なわれた知波単学園とマジノ女学院の練習試合について、聞いていますか?」
「はい、お母様。おばあ様から、試合経過などについて粗方教えていただきました。しかし今度の本戦では、練習試合の時のような戦車は使用しないとのことですが、何故なのでしょう?私達に勝つ確率を少しでも上げるのであれば、その時に使用した戦車を用いたほうが良いと思うのですが。」
なほは、少し不思議そうな顔をして、自分の母親でもある師範のさほに質問した。その質問を聞いたさほは、そういえばなほには、まだ教えていなかった事を思い出すと、話し始めた。
「なほさんには、まだ教えていなかったかもしれませんが、池田流の創始者である故・池田末男大佐の希望で、知波単学園では本戦は九七式中戦車以前の車両で戦う事になっているのです。勝利に拘る私達西住流では、考えられないかもしれませんが、当時の帝国陸軍の機甲科で外地で戦って散っていった方達の悲哀などを考えると、その希望はとてもよく分かるのです。ですから、なほさん?これについて批判する事は、絶対に許しませんよ。それは、家元でもあるあなたのおばあ様も同じ考えです。それに…おそらく来年にはうちと知波単学園で練習試合をする事になると思いますが、その時は相手も完全編成で戦うでしょうから、あの学園を甘く見てはいけませんよ。」
なるほど、そういう理由があったのか、となほは納得した。たしかに自分達西住流では、そのような考え方はしないが、帝国陸軍の精神を色濃く引き継いでいる池田流の考えが全く理解出来ないほど、なほも鈍感ではなかった。
「分かっています、お母様。たとえ相手の戦車が弱くても、私は油断しませんし、油断している隊員が居たら、それを嗜めるのが私の役目です。それに…私にも池田大佐の気持ちは分かる気がしますし、それを忠実に守っている知波単学園、いえ池田流の事を私は尊敬します。」
なほの答えを聞いて安心したのか、さほは微笑んだ。この様子なら、相手が九七式や九五式戦車を使用していても油断して足元をすくわれるような事はないだろう。それに来年度、うちと知波単学園の練習試合が行なわれることは、お互いの家元の間で既に合意されている。来年になると向こうも家元の孫が入学してくる以上、お互いの総力を挙げての試合になるだろう。そのため今回のような状況でも、なほが油断していない事は非常に良い傾向だと、さほは思っていた。
1960年 8月中旬 知波単学園
全国大会の初戦、黒森峰女学園との試合を3日後に控えた知波単学園は、試合が行なわれる陸上自衛隊の日出生台演習場のある大分県に向けて航海をしていた。既に試合に出場する戦車や乗員は決まっており、結局出場する戦車10両のうち、3両に新人を搭乗させる事となっていた。選ばれた新人達は決定が伝えられた最初こそ不安がっていたが、折角の機会ということで、今は張り切っており、いつも以上に気合が入っていた。
「村上隊長!隊長の乗る九五式軽戦車ですが、このマークでいいのですか?」
戦車の整備を担当している少女達の一人が隊長の早紀江に声をかけた。以前早紀江から、自分が本戦で搭乗する戦車に「二七」の数字と、①の白印を砲塔に入れるように依頼されていたが、丁度これからその書き込みを行なうようだ。
「えぇ、砲塔の背面に二七、前面に①を描いてください。今回は目立つように描いてくれていいから、白字でお願いね。あと、知波単学園のマークを戦車の車体前面と砲塔の両側に描いてください。」
早紀江が答える。どうせ黒森峰女学園戦では、隊長である自分の戦車は真っ先に狙われる事になるだろう。だとしたら、これが知波単学園の隊長車だと分かるように白文字で①のマークを入れてやろうと考えたようだ。それに、自分が撃破された後の指揮の引継ぎは速やかに出来るように、既に指揮権の順番は決め、各乗員に伝えてある。自分や副隊長の節子が撃破されても指揮が混乱するような事はないだろう。そんな事を考えていると、副隊長の節子が走ってやって来た。
「早紀江、マジノ女学院のパトリシアさんから早紀江を指定して無線が入ってるぞ。急いで通信室に行けよ。」
この時代の知波単学園学園艦は、港に停泊中こそ電話が通じるが、航海中の連絡は全て無線連絡に頼っていた。しかも、これら無線連絡は基本的には学園の運営に関する連絡に限られており、学園艦に住んでいる住民はまだしも、学園の生徒の私用での無線使用はほとんど認められていない。そんな中、マジノ女学院のパトリシアから直接早紀江を指定して無線連絡が来た事を知り、早紀江は急いで艦橋の下にある無線室に向かった。
「こちら知波単学園、村上早紀江です。どうぞ」
「マジノ女学院のパトリシアよ。遅いわよ、いつまで私を待たせる気なの! どうぞ」
いきなりの挨拶だな…と早紀江は思ったが、いつものパトリシアだと思い苦笑いをするに留める。それにしてもこんな時に無線を使ってまで連絡してきたのはなんだろうか?と早紀江は、少し不思議に思っていた。
「ごめんなさいね、練習中だったから。ところで試合前だと言うのにどうしたの?そちらも準備で忙しいんじゃない? どうぞ」
「折角、私が試合前に激励して差し上げようと思って無線を飛ばしているというのに、随分な言い草ですわね。相変わらず、あなたは優雅さというのが分かっていないようね。どうぞ」
なんだ、別に用事があるというわけではなく、激励のためにわざわざ無線を飛ばしてくれたのか、それが分かると早紀江は喜んだ。なんだかんだ言いつつも、心配はしてくれているようだ。
「ありがとう、パトリシアさん。こちらは大丈夫。流石に勝つのは厳しいと思っているけど、何も出来ずに負けるつもりはないわ。ところで、貴方の方こそ大丈夫なの?そちらも初戦の相手は聖グロリアーナでしょう? どうぞ」
「フンッ!相変わらず面白くない方ね。そこは空元気でもいいですから、『圧勝で勝つ』くらい言ってみたらどうですの?こちらは大丈夫。まぁイギリス戦車の相手は、私達のフランス戦車にとってちょっと相性が悪いですけどね。 どうぞ」
いや、相性の問題ではなく戦力的に厳しいだろう、と早紀江は瞬間的にツッコミを入れそうになったが、パトリシアもそんな事は百も承知で言っている事は分かっているため、声には出さなかった。
「そうね、そちらも頑張ってね。たしか、貴方達の試合は私達の次の日でしたよね?一応、会場には数日間滞在する予定ですから、応援しますね。通信終了」
「まぁ、ありがとうと言っておきますわ。私達も前日には会場に居るでしょうから、私達もそちらの応援をしますわ。それでは、今度は現地で会いましょうね。終わり」
私用無電には時間制限などが厳しく決められているため、僅かな時間でしかなかったが、パトリシアからの激励を受ける事が出来て、早紀江はうれしかった。お互いに初戦の突破は厳しそうな感じだが、あれだけ激励された以上、あまり無様な姿は見せる事は出来ないな、と改めて思った。
翌日 知波単学園 最上甲板
翌日、知波単学園の学園艦は宮崎県の延岡沖に停泊した。学園艦の大きさがあまりにも大きく、瀬戸内海に入る事が出来ないため、瀬戸内海の入り口に近い延岡から陸路で試合会場となる日出生台に向かうことになる。そのため、知波単学園の学園艦の近くには、学園艦から戦車を延岡港に運ぶための小型輸送船や、人を運ぶための多くの船が停泊している。そして知波単学園の最上甲板では、これから試合に向かう早紀江達の壮行会が行なわれていた。
「いよいよ二日後に戦車道の全国大会が開催されます。知波単学園にとっては初めての本戦になりますが、怪我のないように頑張ってきてください。皆さんが一生懸命練習していた姿を、私は毎日のように学園長室から見ていましたから、皆さんが物凄く頑張ってきた事を私は知っています。今回の試合は、その日ごろの成果をしっかり見せてくれれば良い試合になるということを、私は信じています。それでは皆さん、頑張ってきてください。」
学園長の細見が少女達を前に激励の挨拶を行なった。細見の言葉が終わると、その場に詰め掛けていた学園の生徒は勿論、学園艦に住んでいる町の住民達も口々に『頑張ってこいよ~』と声を出している。学園長の言葉を聞いていた早紀江や節子は、流石に学園長も『勝てる』とは言わなかったか、と思っていたが、最上甲板を埋め尽くすような数の学園の生徒や町の住民からの歓声に、序々に気分が高揚してきた。
「早紀江。勝てないかもしれないけど、これだけみんなが応援してくれてるんだ。いい試合をしよう。」
「そうね、節子。こんなに期待されちゃうと、少し困るんだけど、私達もこれまで池田流本家に居た頃から頑張ってきたのだから、全力で黒森峰女学園にぶつかりましょう。さぁ、行くわよ。」
ふと日本地図を見ていて思ったのですが、ガルパンで出てきた学園艦の大きさですと、瀬戸内海入ったら大変な事になるな…と思いました(笑)。特に黒森峰女学園の学園艦は全長10km超えますから、これって沖に停泊するスタイルをとったとしても、近寄れる場所が限られるんで無い?って感じです(笑)。
次回からの本戦です。一応知波単学園VS黒森峰女学園は書きますが、おそらくアッサリ終わると思います(これは、仕方ない)。ですから、この大会については知波単学園戦以外は、黒森峰女学園視点で書いてみようかな…と思っていますが、戦闘シーンを書くことが苦手なため、ひょっとしたらサクッと書いてしまうかもしれません^^;。小規模戦闘ですと文章でも書けそうなのですが、大規模になると前回のマジノ女学園戦もそうですが、お手上げなんですよね…。そういう意味では、映像で見ることが出来るアニメっていいですね^^;
ちなみに、今回の文章で出てきた黒森峰女学園と知波単学園の練習試合ですが、やはりここは家元の孫娘同士の直接対決がないと駄目だ…と思い、池田美紗子が知波単学園に入学する来年度に行う事にしました。また、黒森峰女学園の学園艦は西住なほが3年生の時に運用を開始し、彼女が最後の1年間を学園艦で過ごす事が出来る設定にしています。最後になりますが、西住なほのイメージは、『例の姉』の強化版を考えています(こんな時代ですし、本物の軍人達に鍛えられている設定ですから、それ程無茶な設定ではないかな…と思っています。とはいえ、そのうち多少なりとも違う面が見せられたらな…と思ってはいますが)。
今回も読んでいただきありがとうございました。