学園艦誕生物語   作:ariel

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今回の話で、なんとなく大洗女子学園で戦車道が開始できるかな…と思います。第四章は大洗で戦車道を開始させるところまでの予定でしたから、あと1、2話で終わらせられるかな…と思っていますが、なにかの弾みで外伝が入る事もありそうなので、正直まだ残りの話数については、決めていないのが実情です。


第53話 恩返し

1975年4月中旬 大洗女子学園 学園長室

 

 

大洗女子学園の学園長である青山一郎は、二日前に黒森峰女学園の学園長島田豊作に電話で連絡をしてから、胃が痛む時間を過ごしていた。昨晩、島田からは『適切に処理をしておいた』と連絡をもらっていたが、学園艦を飛び出していった辻からの連絡は未だにない。そのため、青山は悪い方に悪い方にと想像が広がっていた。

 

「秘書さん、辻さんからはまだ何も連絡はありませんか?昨夜、黒森峰女学園の島田学園長からは適切に処理をしたという連絡がありましたから、もうそろそろ学園艦に戻ってくるか連絡があっても良いと思うのですが。どこかでトラブルにでも巻き込まれていないか、心配ですね…。」

 

「学園長・・・落ち着いてください。じきに戻ってくると思いますから。あっ、すいません電話が来ていますので、少々お待ちください。・・・はい、大洗女子学園ですが・・・はい。あら、丁度あなたの事を学園長と話していたところよ。学園長カンカンに怒っていますから、覚悟しておいた方がいいわ。それじゃ、かわるわね。」

 

そう言って、秘書は学園長の青山に受話器を渡した。どうやら辻からのようだが、いざ直接電話が来たとなると、青山はここで怒るべきか無事を安心すべきか戸惑った。そして青山が戸惑っていた僅かな瞬間を突いて、辻が嵐のように話し始め、青山は沈黙してしまう事になる。また辻の電話から新たな問題が発生した事で、結局青山は辻を怒るタイミングを逃してしまった。

 

 

『あっ、学園長?とりあえず朗報よ、朗報!学園長が言っていた戦車道、うちで始められるよ。池田流と西住流がうちに戦車を融通してくれるって!良かったね。それでね…』

 

辻はここぞとばかりに、自分達がいかに苦労して戦車を手に入れたかという事、池田流の家元と直接交渉したという事、そしてその場に西住流の家元も同席していてトントン拍子に話が進んだ事について話し続けた。青山はあまりの展開に、辻の言葉についていくのが精一杯で、ところどころ曖昧に『そうですか…』『なるほど…』と声を出すだけだった。しばらく辻の話を聞き続けると、ようやく辻が言葉を切った。青山はやっと自分が話せるか…さてどうしたものか…と考えたが、次の瞬間辻の更なる言葉で、沈黙してしまう。

 

『それでね、学園長。明日ヘリコプターで西住流の家元と一緒に学園艦に戻ることになったから、よろしくね。たぶん到着は午後になると思うけど、ヘリポート空けておいてね。それと、西住流の家元がその時に少し学園長と話がしたいと言っているから、学園長の時間も空けておいてね。あと池田流の家元が電話で今から学園長と話したいという事だから、かわるね。』

 

辻の言葉を聞いて、青山はあまりの事に一瞬思考停止状態に陥った。一体この子は何を言っているんだ?明日、西住流の家元と一緒に学園艦に帰ってくる?いや、それよりも肝心な事は、辻の最後の言葉だ。今から電話で池田流の家元と直接話す?一体辻は何処から電話をかけているんだ?

 

『辻さん、ちょっと待ってください。今から池田流の家元と私が話すのですか?それに、辻さんは今どこからこの電話をかけているのですか?』

 

『あっ、学園長言い忘れていたわ。今、私と中村は池田流本家に居て、そこから電話かけているのよ。近くに、池田流の家元も西住流の家元も居るから、直ぐかわるね。あと、私と中村は、今日は池田流本家で泊めてもらうことになったから、安心して。』

 

全く安心出来ない…今日は野宿して明日電車で帰ってくると言われたほうが、まだ安心出来る…そう青山は考えた。辻は自分が話し終わると、青山の返答を待たずに受話器を渡したようだ。青山の頭はまだ混乱していたが、池田流の家元と直接話さなくてはならないという事実だけは正確に理解していた。そして、辻がおそらく行ったであろう無礼を、どのように謝罪すべきか…と全力で頭を働かせようとしていた。そうすると、電話口からは柔らかい口調の老婦人の声が聞こえてきた。

 

『もしもし、池田流家元の池田美代子と申します。大洗女子学園の学園長先生ですね。はじめまして…と言うのは、何か変な気持ちになりますけれど…。』

 

『大洗女子学園で学園長をやっております青山一郎と申します。この度は、うちの生徒がとんだご無礼を働いたようで、ただただ申し訳ない気持ちです。いずれきちんとした形でお詫びに伺いますので…その…』

 

青山がやっとの思いで謝罪を口にした所、上品そうな笑い声が受話器越しに聞こえてきた。

 

『いえいえ、学園長先生。それほど恐縮する事はありませんよ。私も西住流家元も、久しぶりに楽しい時間を過ごさせてもらいましたから、謝罪の必要など全くありません。それと、辻さんから既にお聞きかと思いますが、戦車の件はうちと西住流がそちらの学園に譲渡いたします。全国大会にも出られるという事ですから、これから頑張ってくださいね。戦車道連盟の方には、私の方から会長の岸さんに連絡しておきますので、いずれ岸さんからそちらに連絡が行くと思いますわ。』

 

池田の言葉を聞いて、青山は思わず『えっ』と声をあげてしまった。自分の予定では、地区大会に出るだけの戦車を集めて戦車道を行う予定だった。しかしいつの間にか、池田流と西住流といった大流派を巻き込んだ形になっており、しかも全国大会に出ることになっている。一体、辻は何と家元達に言ったのだろうか?青山は不安になってきて、池田に尋ねた。

 

『あの…全国大会というのは、ちょっと待ってもらえませんか?ご存知のようにうちは新設校ですし、戦車道を教える人間も居ません。私としては、地区大会出場を目標にして戦車道を開始したいと考えていたのですが…。』

 

『あら、学園長。お宅の生徒の辻さんは、全国大会で黒森峰女学園と西住流を叩き潰すために戦車道を開始したいと言っておりましたよ?そして、その心意気に応えて、私と西住さんは戦車を大洗女子学園に渡す事を決めたのです。それと、新設校だから全国大会に出られないという規則はありませんから問題ありません。私が世話をしています知波単学園も開校一年目から全国大会に出ていますから前例もありますので、大丈夫ですよ。それと指導者の件ですが、それについては私がなんとかしますから、学園長先生は何も心配しなくても大丈夫ですよ。』

 

いや、心配事しか存在しない…池田の答えを聞いて、青山は目の前が真っ黒になった。知波単学園は開校一年目で全国大会に出場したから大丈夫だと言っているが、あの学園の開校に合わせて戦車道全国大会が始まっているのだから、順序が逆だ。こちらの学園も同じだと思ってもらっては困る。それに、辻はなんという事を言ってくれたんだ。よりにもよって黒森峰女学園を倒すために全国大会に出ると言うとは…、それに西住流家元も同席していた席で、西住流を倒すとまで言ったようだ。このとき青山は、もう自分がなんとか出来るレベルの話ではないという事をようやく理解できた。ここまで話が進められてしまっていては、今更レールから外れて進むことなど出来ない。そして明日、西住流家元がこの学園艦に来ると言っているが、おそらく辻の無礼な発言に対する抗議だろう…と青山は考えた。明日の事を考えて意気消沈した青山だったが、池田美代子に文句を言うわけにはいかず、『頑張らせていただきます』と答える事が精一杯だった。

 

 

 

池田流本家 居間

 

 

「辻さん、とりあえず池田流からは、三式中戦車3両、一式中戦車3両、一式砲戦車3両それと辻さんが希望していた八九式中戦車を1両の10両を大洗女子学園に渡しますね。でも、本当に八九式中戦車を使うつもりですか?知波単学園でも八九式中戦車は使用していないですし、おそらく何の役にも立たないと思うわ…」

 

「使えるかどうかは分からないですけど…あの戦車を一目見て気に入ったから、私が使ってみたくて…。ですから、私と中村で乗ろうと思います。」

 

「えっ!私も乗るの!?私は、西住流からもらうドイツ戦車に…!っはい…、私も一緒に乗らせていただきます…はい。」

 

池田流本家で電話を借りて学園長に電話をする前に、辻と中村は池田美代子に連れられて池田流の戦車格納庫に行き譲渡してもらう予定の戦車を確認してきた。西住かほは、流石に同行する事を遠慮し居間に残ったが、辻達が戦車を確認している間に、西住流から渡す戦車について考えていた。

 

戦車格納庫には、今となっては非常に貴重な戦時中に使われていたオリジナルの戦車が何両も揃っており、辻や中村を驚かせた。美代子は、10両程辻達に渡す事を考えていたようで、帝国陸軍の戦車の中ではそれなりに打撃力のある三式中戦車や一式砲戦車を中心に準備していたようだ。辻達は、9両までは美代子に勧められるままに選んだが、最後の1両を選ぶ段になって、辻が倉庫の片隅に置いてあった非常に小さな戦車をどうしても欲しいと言い出した。辻が選んだ戦車は、終戦後に松代の地下壕で細見から受け継いだ八九式中戦車の1両で、美代子としてもあまりの非力さから試合で使用出来ずに、倉庫の片隅で眠らせていたものだった。

 

そのため池田流としては、辻がこの戦車を貰ってくれれば、在庫破棄にもなり良い事ずくめなのだが、美代子としては恩人の孫にそのような自分達でも使えないような戦車を押し付けるのは…と考えたようで、辻に『この戦車は、おそらく試合では何の役にも立たない』と教えたが、それを聞いても辻は『この戦車を譲ってくれ』と言って聞かなかった。美代子もそこまで言うのであれば…と納得したようで、最終的に八九式中戦車を辻に引き渡すことにしたが、それでも少し腑に落ちない所があった。辻は、この戦車を一体どのように使うつもりなのだろうか。

 

その後、戦車格納庫から戻ってきた辻達に、居間に残っていたかほは、『どのような戦車を美代子から譲ってもらったのか?』と聞いたが、八九式中戦車も譲ってもらったという話を聞いて、美代子と同じように少し呆れていた。しかし辻本人が選んだのであれば仕方がないと考え、辻達がいない間に纏めた西住流から渡す予定の戦車を記述した紙を手渡した。その紙には、四号中戦車D型が1両、四号中戦車F2型1両、三号突撃砲F型3両、三号中戦車J型3両、38(t)軽戦車B/C型1両、ポルシェ式ティーガー1両の10両が書かれていた。辻と中村は、『西住流を倒すために戦車道を始める!』と言った以上、まともな戦車は譲ってくれないだろうな…と考えていたが、渡された紙には『P式ティーガー』と書かれている事に、戦車道を多少知っている中村は非常に驚いた。

 

かほとしては、黒森峰女学園ではP式ティーガーを使用していないため、在庫処分の意味合いも含まれていたが、それでもティーガーを渡す事は勇気が居ることだっただろう。後からその紙を見せてもらった美代子は、自分のライバルの思い切りの良さを改めて感じていた。また、ティーガー戦車が使えることで喜んでいる二人の少女は理解していないようだが、ドイツ機甲師団を最後まで支え続けた四号戦車や三号突撃砲など、運用の仕方によっては十分に強豪校にも勝てる戦車を渡す事を確認した美代子は、かほが本気で辻達をバックアップしようとしている事を理解した。

 

辻が学園長に電話をした頃には、既に日も暮れかかっており、辻と中村はかなりの疲労が貯まっていたようで、夕食をご馳走になると風呂に入り、すぐに用意されていた寝室に引っ込んでしまった。しかし美代子やかほには、もう一つ、今の内にやらなければならない事があり、美代子はある場所に電話をかけた。

 

『もしもし、岸さん。お久しぶりです。池田流の美代子です。…えぇ、おかげさまで、今は体もだいぶ楽になりまして、元気に過ごしております。実は、岸さんに折り入ってお願いがありまして…えぇ、そうです。島田さんからもう連絡が行っていたのですね。』

 

美代子は、戦車道連盟の会長である岸信介に電話をし、辻の孫娘が大洗女子学園という新設校に入学した事、そしてそこで全国大会に出場する規模で戦車道を開始しようとしている事、さらに自分や西住が辻の手助けをして戦車を渡すと決めた事を話したが、岸は既に黒森峰女学園の島田学園長から粗方の話を聞いていたようだ。どうやら、自分が辻達に戦車を見せている間に、かほが島田に連絡し、それが岸に伝わったのだろう。

 

『もう既にご存知でしたら、話が早いですわ。流石に今年の全国大会には間に合いませんが、辻さんを見ていると来年度の全国大会には無理やりでも参加してきそうな感じです…えぇ、お祖父さんにその辺りのところは良く似ていると思いますわ。それで全くゼロの状態から、うちや西住さんの所とは違う戦車道を行いたいと言っているのですが、流石にそれは難しいと思いますので、ちょっと手助けをしてあげようと西住さんと相談しまして…』

 

昨晩かほと話していた時、もし本格的に辻の孫娘が戦車道を行うのであれば、東北大に居る自分の門下生だった西佳代に、研究成果の実装試験と絡めて、大洗女子学園で戦車道を教えさせたらどうだろうか…という話になっていた。そこで、佳代に実際に研究資金を出している戦車道連盟会長の岸の許可を取ろうと考えていた。

 

「先日、うちの門下生だった東北大の西から、戦車に砲弾が当たった際の衝撃検出システムの開発が少し進んだという話がありました。そこで、そのシステムの実装試験を大洗女子学園でやってもらうという名目で、西に大洗女子学園で戦車道を教えさせようかと…。これでしたら、会長が懸念していた全国大会にレベルの低い学校が参入してくる事も避けられますし…いかがでしょうか?」

 

美代子から相談された岸は、『これは名案だ』と思ったのだろう。すぐに美代子の意見に同意した。岸としては、池田流と西住流の家元が両方とも手伝う事を決めた以上、大洗女子学園なる新設校が全国大会に参入してくる事は確実だと理解していた。そして、この新設校が全国大会のレベルを落とさないためには、なんらかの支援が必要だとは考えていたようで、美代子の提案は渡りに船だったようだ。また形の上だけとはいえ、東北大の西に研究資金を出しているのは戦車道連盟の基金であるため、連盟会長である自分が、西に『開発したシステムの実装試験を大洗女子学園で行ってくれ』と言うのは、特に問題にはならないだろう。

 

『えぇ、岸さん、問題ありません。東北大の西には、私の方から経緯を話しますので、会長は事務的にやってもらえれば大丈夫です。それと大洗女子学園の学園長には、明日かほさんが直接学園に赴いて、今回の件を説明し納得させますので、…はい、はい。分かりました。それでは、よろしくお願いしますね。』

 

そう言って、美代子は受話器を置いた。隣に居たかほは、詳しい会話までは分からなかったが、美代子の話から、どうやらこちらで考えていた通りに事が進みそうだ…と感じていた。

 

「かほさん、とりあえず、私達が昨晩思い描いたような形になりそうです。あとは、あの子達と佳代がどこまで頑張るか…という事だけですね。」

 

「…そう。これで、私達があの子達にやってあげられる事は、全部終わったという事ね。美代子さん、これで辻さんに恩が返せれたのかしらね…」

 

美代子の言葉を聞いて、かほは自問するような口調で美代子に問いかけた。美代子も同じような事を考えていたようで、かほの言葉に頷いたが口から出てきたのは別の言葉だった。

 

「そうね…受けた恩を僅かでも返す事が出来たのではないかしらね…。ですがあの世で辻さんにお会いしたら、私達は怒られそうよ?いつだったか忘れてしまいましたが、『自分の孫娘には戦車道はやらせない』と言っていましたからね。それが、辻さんの願いとは逆に戦車道をやらせる方のお手伝いをした訳ですからね。まぁ、二人揃って怒られるしかなさそうね。」

 

「それは困りましたね。これでは、二人とも怒られる事間違いなしね。でも、あの辻さんの孫娘がどんな戦車道をやるのか楽しみが出来てしまいましたから、私達があちらに行くのはもう少し先になりそうね。美代子さんも、昨日から元気になってしまったじゃない。」

 

「えぇ、こんなに面白い事が出来たら、休んでなどいられませんよ。今年は無理にしても、来年の全国大会は楽しみですわ。」

 

二人の家元は、自分達がやるべき事は全て終わったという思いで、これから辻達がどのような戦車道を行うのかという話題で盛り上がった。その夜、二人の家元が居る居間の明かりは、夜更けまで消える事はなかった。

 

 

 

翌日 大洗女子学園 学園長室

 

 

「なんと…そのような失礼な事を…重ね重ね申し訳ございません。辻には、私の方からきつく説教をしておきますので、どうかお許しください。」

 

「いえいえ、学園長先生。あそこまで面と向かって『倒す』と言われたのは初めてでしたから驚きましたけど、そこまで目標を決めてやると言っているのですから、これは素晴らしい事だと思っていますよ。ですから、美代子さんだけではなく私も、戦車をそちらにお渡しして応援しようと思ったのですから。」

 

翌日、ヘリコプターで大洗女子学園に戻ってきた辻と中村は、ヘリを降りた瞬間に生活指導の教師達に捕まり、生活指導室に直行する事になったが、学園長の青山は緊張の面持ちで、同行してきた西住流家元のかほと学園長室で会った。そして、かほの口から池田流本家で起こった出来事の全てを、胃が痛くなる思いで聞く事となった。

 

特に、かほに面と向かって『黒森峰女学園と西住流を倒す』と辻が言い放った話を聞かされた際は、青山は顔面蒼白となっていた。しかしかほは特に怒っておらず、寧ろ青山の反応を楽しみながら話しているような感じだった。そのため、青山も序々に落ち着きを取り戻したが、それでも恐縮しっぱなしの会談となっていた。

 

「学園長先生?今回、うちと池田流の両方から戦車をお譲りするわけですから、全国大会を楽しみにしていますよ。それと、これはそのうち戦車道連盟から連絡が来ると思いますが、池田流の門下生で現在東北大学で研究をしている子が一人います。その子を、研究を行うという名目でこの学園に派遣させますので、その子から戦車道を教えてもらってください。」

 

「東北大学の先生…ですか?戦車道を教えてもらうという事ですが、その方は戦車に詳しい方なのでしょうか?いえ、家元の言葉を疑うつもりはありませんが、プロリーグや自衛隊の人間ではなく、普通の大学の先生が教えるという事に少し違和感を感じましたので…。」

 

「学園長先生、その子の腕は、この西住流家元の私が保証します。私の孫娘は現在戦車道のプロリーグで最優秀選手の一人などと持ち上げられていますが、その子がもしプロに進んでいたとしたら、その名誉はその子の物だったでしょうね。それくらい優秀な子ですから、安心してください。」

 

「は…はぁ。」

 

あの西住流の家元がそこまで太鼓判を押す以上、全く問題ないのだろう。しかし、池田流や西住流といった大流派のバックアップを受けるだけでも目立つ事が間違いない上に、旧帝国大学の援助まで絡んでくるとなると、おそらく今度の県教育委員会の会議は荒れるだろう。

 

開校した初年度は様々なトラブルがある事を覚悟して学園長となった青山だったが、今回の件は青山の想像をはるかに超えるものだった。そして、今回の件が『たった一人の生徒の暴走』によって引き起こされたという事を改めて理解すると、青山は溜息以外には何も出てこなかった。そんな青山の心境が分かってか、同席していたかほの顔には、同情の表情と微妙な笑みが浮かんでいた。




大洗女子学園に渡す戦車の種類と数について少し悩みましたが、この学園艦誕生物語では、今回の話のようにしました。これに、マジノ女学園やサンダース大付属からそのうち援助してもらって、M3やB1bisが入ればアニメ版の形に出来るのではないかと…。アニメ版よりもかなり数が多いですが、この時代はこれだけあったのが、アニメ版の時代ではあれだけしか残っていないという感じで読んでください。

今回も読んでいただきありがとうございました。
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