不良少女(仮)   作:茜崎良衣菜

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ファンミーティング当日!全力で楽しむぜ!!


不仲でもいないと落ち着かないらしい。

 

 

「おねーちゃん、朝日おねーちゃんは?」

 

「…部屋にいないの?」

 

「いなかったよ。どこ行っちゃったんだろー」

 

 

 

ノックと共に部屋に入って来た日菜はそんなことを言った。勉強の手を止め日菜に向き合う。

どうやら姉さんがいないらしい。時計の針は10の字を過ぎていて確かにおかしいと思った。姉さんは遅くても10時までには帰って来ている。

 

 

 

「連絡はした?」

 

「したよー。けど繋がらなくて…充電切れてるのかなー?」

 

 

 

なんだかんだ日菜のことを気にかけている姉さんだ。連絡せずに遅くなることなんてないはず。

しかし日菜でも連絡が取れないとなると私が連絡しても意味がない。

一体どこへ行ったのだろう。事件などに巻き込まれていないといいが…。

 

 

 

「あれ、おねーちゃん電話鳴ってるよ」

 

「ほんとだわ」

 

 

 

日菜に指摘されスマホを取ればディスプレイに映っていたのは知らない番号。不思議に思いつつ画面をスライドした。

 

 

 

「もしもし」

 

「紗夜。私、朝日」

 

「…!姉さん。今どこにいるんですか!」

 

 

 

電話の相手は姉さんだった。それに日菜も少なからず反応している。

 

 

 

「知り合いの家。泊まるって言ってなかったからな」

 

「そういうことは前もって言ってください。心配します」

 

「だから忘れてたんだっつーの。んじゃそゆことで」

 

「ちょ、姉さん!」

 

 

 

一方的に切られてしまった。仕方なくスマホを定位置に戻す。

おそらくスマホの充電が切れたからその知り合いから携帯を借りてかけたのだろう。とりあえず連絡が取れて一安心だ。

 

しかし長々と話したくないとでも言いたげなやり取り。

やはり私は姉さんに嫌われているようだ。

 

 

 

「おねーちゃんなんて?」

 

「…今日は知り合いの家に泊まるそうよ」

 

「そうなんだ。連絡取れてよかったねー!」

 

 

 

日菜も同じことを思っていたよう。姉妹というのは変なところで繋がっている。

 

 

 

「ならもう用はないでしょう。部屋に戻りなさい」

 

「あ……」

 

 

 

日菜は悲しそうに声を漏らす。

私はその声に弱いからやめてほしい。

 

 

 

「何」

 

「う、ううん!なんでもないよ!」

 

 

 

日菜は私と話す時少しだけ遠慮気味。姉さんと話す時はそんなことはないのにね。

 

 

 

「何よ。言いたいことがあるならはっきり言って」

 

「え、えーっとね……もう少しだけ、おねーちゃんと話してたいなーと思って……ダメ、だよね?」

 

 

 

そんなことを悩んでいるのは日菜らしくない。いつもなら好き勝手話しかけてくるのに。姉さんがいないからだろうか。

だけど、いくら日菜を避けているとしても、ここで断るのは少し可愛そうだ。

 

 

 

「…………いいわよ」

 

「……え!?ほ、ほんと!!?」

 

 

 

目を見開いて驚いている日菜に私は頷いた。そんなに私の行動はおかしかったのか。日菜が提案してきたことなのに。

 

 

 

「ただし、私は勉強しながら聞くから聞いていなくても怒らないでよ」

 

「う、うん!もちろん!」

 

 

 

よほど嬉しかったのか日菜は今日一ニコニコしている。

なんだかこのやり取りは私らしくもない。私も姉さんがいないことが寂しいのだろうか。いや、いてもほとんど話はしないのだ。寂しいということはない。

 

結局、話を聞き流すのは悪い気がして日菜の話に集中し勉強が終わったのは日菜が部屋に戻った後。次の日になってからだった。

 

 

 

 

 

「………ねえ日菜」

 

「なぁにー?」

 

「日菜は、姉さんのことどう思ってるの」

 

「おねーちゃんのこと?好きだよ?」

 

「…それは誰よりも?」

 

「んー。おねーちゃん2人と比べたら選べないけど、他の人と比べるんなら世界一かな!」

 

「……そう」

 

 

 

遠ざけられて、私よりマシだが酷いことを言われて、嫌になってもおかしくないのに。

どうして日菜は笑えるの。

 

 

強いことが、羨ましい。

 

 

 

「おねーちゃんも、朝日おねーちゃんのこと好きでしょ?」

 

「……否定はしないわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♢♢♢

 

 

いつもは感じない匂いで目が覚めた。薄く瞼を開けばキッチンにはいないはずの人物。身体を起こせばそれに気付いた彼女が振り返る。

 

 

 

「あ、先輩おはようございます!」

 

 

 

やば、女神がいる。

 

 

 

「もう朝ご飯できてるので顔洗って来てください」

 

 

 

なんでエプロンに手におたまなんて嫁みたいな姿が似合うの。

は、え、なに、理想にもほどがあるでしょうよ。最高かよ。満面の笑みってところがさらに。

 

 

 

「先輩?どうかしました?」

 

 

 

つい固まってしまった私に沙綾がおたまを置いて近づいてくる。近くなれば近くなるほどその威力は高くなる。

 

 

 

「……ねえ沙綾」

 

「なんですか?」

 

「結婚しよう今すぐに」

 

「えぇ!?」

 

「それで毎日朝食作って」

 

「そ、それはいいんですけど」

 

「私のこと好きなんだよな!なら今すぐゴールインしよう!」

 

「寝ぼけてますか!?とりあえず落ち着いてください!!」

 

 

 

沙綾のエプロン姿だぞ?しかも寝起きにそれなんだぞ?落ち着いてられるわけないだろ!

沙綾は苦笑気味だ。

 

 

 

「いいから顔洗って来てください。話はその後にしましょう」

 

「私本気で沙綾のエプロン姿毎日見たいと思ってる。だからいいよね?」

 

「一瞬の気持ちに惑わされないでくださいよ…キャラがおかしいです」

 

「失礼な。私は元々こんなやつだよ」

 

「そのカミングアウトはしてほしくなったなぁ……」

 

 

 

沙綾は頭を抱えていた。私にこの反応は珍しい。

 

 

 

「というか、早まらなくても大丈夫ですよ」

 

「へ?何が?」

 

「だって」

 

 

 

沙綾はベッドに片足をかけ、身体を起こしていた私の肩を押した。背をベッドに預ける私の頬に片手を添え言う。

 

 

 

「先輩をオトすのは、今の私の楽しみなので」

 

 

 

唇を舐めながら言うのはそこに神経集中するからやめてほしい。

沙綾は小さく笑って私から離れた。

 

 

 

「顔洗って来てください。朝ご飯にしましょう」

 

 

 

私は大人しくその言葉に従う。逃げるように洗面所へ移動した。

鏡越しに自分を見つめる。頬が赤く染っていた。両手で頬を触る。いつもの10倍は熱い気がする。

 

 

 

 

 

 

はぁぁぁぁぁ!!?なにあれ、なにあれ!!破壊力半端ないんだけど!?誰だ!沙綾にあんなこと吹き込んだやつ!出てこい!今すぐに出てこい!!全力で愛でるから!!なんでも奢ってやるから!!!

 

 

 

イケメンすぎるだろ……

 

 

 

 

結局顔の赤みや熱はすぐに引かず洗面所から出られたのはそれから10分後だった。

 

 

 

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