檀黎斗神「Doki Doki Literature Club……?」   作:Just...

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※仮面ライダーエグゼイドと、海外製ヴィジュアルノベル「Doki Doki Literature Club!」のクロスオーバーです。原作は日本語化パッチも配布されている無料ゲームですが、ショッキングなシーンがあるため注意書きをよく読んでプレイすることをお勧めします。

※原作ネタバレあり。特にDDLC未プレイの方は強くプレイ推奨。
本作品は、DDLC既プレイであることを前提に、ゲーム本編の内容を大幅に端折って執筆しております。

※設定改変在り。

筆者はハーメルン初心者のため、書き方の不備やマナー違反などありましたらご指摘ください。


プロローグ & Act1

宝生永夢の記者会見から数か月後、CRの監視下に置かれている私は刺激を求めていた。

 

ドクター達はあの仮面ライダークロニクルすら攻略して見せた。

 

ならば私は、クリエイターとして更なるエキサイティングなゲームを作らなければならない。

 

そう、もっと人間の心に深く突き刺さり、感情を揺さぶるゲームを……。

 

「クーロト、またろくでもないこと考えたりしてないよね?」

 

私のクリエイティブな思考を、甲高い声が遮る。

 

ポッピーピポパポ。私が生み出したバグスターであり、CRのナビゲーターだ。

 

「私の才能を腐らせることは世界の損失だ。

 常に新たな世界を開くためにインスピレーションを求めるのは、私の使命さ。」

 

「はいはい。んーでもでも、そんなに刺激が欲しいならクロトも恋愛とかしてみたらいいんじゃないかな!

そしたらクロトも、もっと人に優しくなれるかも!」

 

「フゥハハハハァ!面白い提案だが、この世に私が恋慕するに値する人間などいると思っているのか!

神とは絶対であり、それ故に孤独なのだ。」

 

「うー、確かに自分で言っておきながら全っ然想像できない……。

 じゃあじゃあ、恋愛ゲームならどう!?ときめきクライシス、クロトもやろうよ!」

 

「ゲンムコーポレーションのゲームは全て網羅している。

 シナリオの知り尽くしたゲームを今更プレイしたところで、私の脳が刺激されるものか。」

 

「もう~文句ばっかり~!ピヨる~!わかった、じゃあまだクロトがプレイしてないゲームならいいんでしょ?

 

 これなんてちょうどいいんじゃない?ほら、最近公開されたばっかりで、結構話題になってるっぽいよ!」

 

 

そういってポッピーが見せてきたモニターには、【Doki Doki Literature Club! (ドキドキ文芸部!)】という

 

タイトルが表示されていた。

 

 

Doki Doki Literature Club! (ドキドキ文芸部!)

略称 DDLC。

 

 

このゲームの話は、私も耳にしていた。

 

 

最近発表されたフリーのヴィジュアルノベル。

 

アクションゲームが主流なアメリカで作られたノベルゲーム、ということもあり話題を呼んでいる。

 

「馬鹿馬鹿しい。この私にフリーゲームなど……」

 

「食わず嫌いしないの!たまにはこういう平和なゲームで遊ぼうよ!

 ……あ、エムからの呼び出しだ!じゃあクロト、あとで感想きかせてね!」

 

そういってポッピーは、強引に押し付けたままCRから飛び出していった。

 

「ふん、誰がこんなゲームなど……。」

 

しかし、ノベルゲームか。

 

思えば私は、圧倒的な才能を活かし常に最先端の技術を駆使したゲームを作っていた。

 

だが、こと人の感情を揺さぶるという点でにおいてノベルというジャンルは有効かもしれない。

 

決してポッピーに流されたわけではないが、こういうインディーズにも新しい発見はあるかもしれない。

 

そう思い、私はこのゲームをダウンロードすることにした。

 

【Doki Doki Literature Club!】

主人公は友達の少ない高校生。幼馴染のサヨリに誘われ、発足したばかりの文芸部に入ることになる。

詩を書くことで部員たちと交流を深め、気の合う部員と恋をしよう!

 

○キャラクター

 ・サヨリ 主人公の幼馴染であり、文芸部の副部長。明るい性格で皆の仲を取り持つことが多いが、少しうっかりやな面もある。

 

 ・ナツキ 文芸部の一年生。小柄な体格だが性格は強気。実はマンガが大好きなのだが、その趣味をバカにされることをひどく嫌っている。

 

 ・ユリ  長身・長髪の文学少女。いつも大人しいが、文学の話になると饒舌になる。

 

 

 ・モニカ 文芸部部長。眉目秀麗の人気者であり、このゲームのナビゲーター的存在。

 

 

 

ゲームのインストールを完了し、本体を起動する。

 

ポップなBGMと共に4人の少女がプレイヤーを出迎える。

 

いかにも王道の恋愛ゲームといったスタート画面は、これがアメリカ製のゲームであるということを忘れさせる。

 

制作者はよほど日本のゲームに対するリスペクトが深いと見える。

 

早速NewGameを選択し、主人公の名前を入力する。

 

私の名は檀黎斗神……と言いたいところだが、あくまでこれは私の分身であり、本体ではない。

 

ゲームの主人公にまで神の名を与えることはないだろう。

 

「無難に、”ゲンム”としておこう。」

 

 

     ゲーム、スタート。

 

 

サヨリ『おーはーよーーー!』

 

ゲームは、幼馴染のサヨリが登校中の主人公・ゲンムに声をかけるところから始まる。

 

思えば恋愛ゲームなど”ときめきクライシス”以来か。

 

神の才能を持って生まれてしまった私が共感できるような主人公には、早々巡り合えない。

 

このゲームは、果たして私の心を揺さぶることができるのか?

 

――――

 

その後ゲームを続けた私は、正直予想通りの展開に辟易していた。

 

自分がうつ病であることを打ち明けたサヨリに対し、ゲンムは翌日の文化祭を一緒に回ることを約束した。

 

ところが当日、サヨリは学校に来ていない。

 

そこでゲンムは心配して、サヨリの家へと迎えに行くことにした……という展開だが。

 

和やかな雰囲気に突然重い事実を投入するのはこの手のゲームにはよくある手法だ。

 

なるほどBGMやイラストのクオリティは高いし、シナリオもありきたりだが裏を返せば王道ともいえる。

 

確かに話題になるのも頷けるが……やはり私の心には響かない。

 

エンディングを見て早々に切り上げるか……そう考えていた時だった。

 

ゲンムがサヨリの部屋のドアを開け、首を吊ったサヨリの姿が映し出される。

 

その瞬間、突然BGMが歪み、画面にノイズが走る。

 

演出……?いや、バグか?

 

ゲームはそこで終了し、再度タイトル画面が映し出される。

 

しかし、タイトル画面にいたはずの4人のうち、サヨリの姿はノイズに侵され完全に崩壊していた。

 

ロードしようとしても、「sayori.chrが破損しています。」と表示され再開不可能。

 

やはりバグ……まあ、フリーゲームならばそういうこともあるだろう。

 

しかし、比較的構造が単純なはずのノベルゲームにしては、やや不可解な現象だ。

 

無論、私ならば破損したファイルを修復するなど造作もないことだが、

そのためにキャラクターファイルを覗いてしまってはネタバレになりかねない。

 

……いいだろう。むしろ面白くなってきた。

 

この檀黎斗神、この程度のバグに屈しはしない!

 

「コンティニューしてでも、クリアする!」

 

 

これが、私とこの奇妙なゲームとの出会いだった。




7/29
初投稿から大分間が空いてしまいました。お待たせしてしまっている方には申し訳ございません。
このようなSSを投稿するのが初めてなもので、まさかこんなに読んでいただけるとは思っていませんでした。読んで頂いた方、お気に入りして頂いた方、そして感想を書いて頂いた皆さまに、大変感謝しております。

DDLCの設定についてどこまで踏み込むのか、エグゼイドの世界においてどういう存在なのか……といったことについては次回でおおよそ明らかになると思います。
続きは今週中にはアップロード予定でございますので、どうかお待ちくださいませ。

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