メタナイトさん、フユニャンさん、べっこう飴ツカサさん、峰風さん、ありがとうございます!
俺は今、キッチンに立っている。そして、朝飯を作っている。と、ここまではいい。問題なのはこれだ。
「えへへ…十矢君の匂い…♫やっぱり落ち着くなぁ…」
紅桜ちゃんに背中から抱きつかれている。オマケに今、彼女は下着を着けていない。だから直にソレの感触が伝わってくるのだ。それに高2(学校に行ってはいない)とは思えないほど、デカイ。今俺の顔は、この感触に耐えるため恐ろしいぐらいの真顔になっている事だろう。
「あのさぁ、紅桜ちゃん…今料理してるからさ、危ないんだよ。お願いだから離れてくれない?」
「えぇ〜、久しぶりに十矢君に会ったのに…こうやって、十矢君の温もりを感じたいの〜」
確かに、紅桜ちゃんの言う通りだ。この家に住んでいるとは言っても、常にいると思ってもらってはいけない。彼女には、ここから遠く離れた場所に住んでいる双子の妹がいる。妹の方はちゃんと学校に行っているので、アパートを借りて一人暮らしなのだ。寂しい思いはさせたくない、という紅桜ちゃんの気遣いから、2ヶ月のうち3/4、つまり、1ヶ月半は一緒に過ごす事になっている。そこまで思うんだったら、ずっと一緒に暮らせやと思う。
「はぁ…分かった分かった。今日はずっと家にいるんでしょ?学校終わって帰ってきたら好きなことしていいから。離れて?」
「え!?本当!?やったーー!!」
そう言うと、すぐに離れてリビングの机の周りを走り回る。
「ちょっと!あまり走り回らないで!ホコリ舞うじゃんかー。……よっと!はい、出来上がりましたよー」
フライパンからオムライスの卵を空中捻りさせ、ケチャップライスの上に覆わせる。今は余裕で出来るようになったけど、練習時代は本当にキツかった。捻りすぎて、頭に被さった事もあった。( ◠‿◠ )
「おお〜!カッコいい!ちゃんと出来るようになったんだ〜」
アニメによくある、目がキラキラしている、という表現が正しいと思うほどこちらを目を見開いて見ていた。
「さ、とっとと食っちまおう。登校準備もあるしね」
そう言って、2人分のオムライスを机の上に置く。そして洗浄機の中からコップ、冷蔵庫から麦茶を取り出す。机に置き、コップに注ぐ麦茶は、光が反射してとても綺麗だと思った。
「うん、じゃあ…
「「いただきます!」」
命有った者への感謝を口にし、スプーンで運ぶ。何やら箸で食べる人もいるらしいが、慣れないと絶対難しいと思う。ちなみに、このスプーンは紅桜ちゃんがプレゼントしてくれたものだ。箸よりスプーンやフォークを主流で使う俺にと、高校復帰祝いとして貰ったのだ。そんなに大層なことじゃないんだけどね…あと、いつスプーン置いたよって思うか?だいたいこういう事は紅桜ちゃんが用意してくれるんだよねー。気がききますよ本当に彼女は。
「んーー!!美味しい!料理する度に上手くなってるよ!」
「へへ、そりゃどうも。ま、何回も作ってりゃ上達するさ」
「またまた〜謙遜しちゃって〜あははは!」
「ハァ…」
軽いため息を漏らす。側から見たら何言ってんだコイツらって思われるけど、これが俺と紅桜ちゃんの一般会話だからしょうがないね(諦め)。そこから最近のニュースやらドラマやらの話を聞いた。昔と比べると圧倒的にテレビを見る時間がなくなったから、近頃の情勢は一切分からない。だからこうして情報を仕入れているのだ。
「ーーーでね、だから私は強ち間違いじゃなかったのかなって思うんだけど」
「なるほどね、確かにその考えもアリだよ。…さて、ご馳走さまですっと、じゃあ俺、準備してくるよ」
スプーンを置き、立ち上がって自分の部屋に行こうとする。
「あ、分かった。食器の片付けは任せておいて」
「ん、了解。じゃあお願いね」
先に食べ終わっていた紅桜ちゃんは自分とオレの分の食器をキッチンに持って行く。片付けは、任せるとしましょう。
「さーて、制服、着てみますか?学ランじゃなくて、ブレザー型なのか…ま、どうにかしたら着れるでしょ」
階段を上りながらそんな事を呟く。生憎、俺はこれまで学ランしか着たことがない。だから着こなし方が一切分からないのだ。いざとなったら、紅桜ちゃんに頼もう。うん、そうしよう。なんて事を考えながら部屋の扉を開け、クローゼットの中から制服一式を取り出す。
「むー、これ、上のシャツ結構小さくね?そういうの嫌いなんだけど…あら?思ったより余裕あるや」
寝間着の上はシャツの下に着る下着なのでそのまま着て問題なし。何という時間短縮でしょう。やはり俺は天才だ。ズボンの事を言うと、じゃあお前…履いてないのか!?って言われそうだから予め言っておくが、下はちゃんと寝間着を着てる。しっかりして寝間着を脱ぎ、ズボンを履く。
「おお、悪くないじゃんか。学ランとは違う…何か模様入ってるし、やっぱ洒落てんなぁ」
鏡の前で制服を着た自分を見てみる。そこには、真新しい制服を着た、左目のない自分が映っている。
「………やっぱ、これが不安要素だよなぁ。目ん玉が無いなんて。どう怖がられるか分かんねぇもん」
リュックサックを背負って、部屋を後にする。既にリュックの中に筆記用具やらは入れてある。要するに、準備完了という事だ。階段を下り、向かう先はリビングとは違う方向。そこにはーー
「……婆ちゃん、俺、もう一回、学校行ってみるよ。もちろん、何が起こるかなんて分からない。正直、怖いよ…でも、こんな時から燻ってちゃ何も始まらない。………こんな時、婆ちゃんだったら、何て言うんだろうね?俺の事、応援してくれるのかな?それとも、無理すんなって論されるのかな?フッ…今となっちゃ、もう、何もかも分かんないや…」
ーー優しい顔で写っている俺の婆ちゃんがいる。どんな時でも、俺の味方をしてくれた、世界で一番優しい人。ま、この話は、また今度にしようか…
「駄目だなぁ…こうやって話すだけで涙が、グスッ…止まんねぇや…いい加減…慣れなきゃヒグッ…いけねぇのに…」
流れる大粒の涙を打ち切り、出ることを告げにリビングに向かう、その前に、
「じゃ、婆ちゃん、行ってきます!」
出かける時には必ず言う言葉を言い、今度こそリビングに向かう。既に片付けは終わったのか、明日に座って新聞を読んでいた彼女はこちらに気付く。
「あ、十矢君。準備できたんだね、おぉー似合ってるよ!細身の十矢君にはピッタリのデザインだね!」
「俺は細身…なのか?176で60ってのは…?」
「いや、細身すぎるよ…なのにそこそこ筋肉ついてるし…元は女子校だったんでしょ?絶対モテラッシュだよ」
いや、それは無いんじゃないかなぁ。そう言いながら時計を確認する。7時15分…そろそろ出るか。
「じゃ、そろそろ行くよ、留守番よろしくね?」
「ん、任せて。そっちも頑張ってね、朗報を期待してるよ!」
あざとくウィンクをする彼女に呆れながら玄関まで行く。ドアに手を掛け、
「それじゃあ、行ってきます!」
「行ってらっしゃい!」
はい、反省してます。みなさんの思っていることはこうだ。
「バンドリ キャラ出てないじゃん!」と。
すいません許してください何でもしますから(何でもするとは言ってない)
家は出たんで次回は確実に出演します。お待ちください。本当に申し訳ありません。