「はぁ〜あ、やってらんねぇなぁ〜」
転入初日のあの出来事のせいで、勉強にも遊びにも、全く集中できない。学園に来て1週間が経過した。彩ちゃんとは、それから1度も会っていない。そもそもあの時見た子が彩ちゃんかどうかも分からないんだけどね…
「なーにシケた面してんだよ!もっとテンション上げてこうぜ、なぁ!」
「優大。そんな事言ってもよ、俺にも色々あんだよ」
「ふーん、どうせ、初日の急に走りだしたのに関係あるんだろ?」
何故分かったよ…読心術でも持ってんのか?とりあえず適当に誤魔化しとくか。
「んな訳ないだろ。それに、あれはただの見間違いだったよ。」
「ほー、ま、構わないさ。それより聞いたか?職員会議があるから今日午前中で終わるらしいぜ!」
「ほぉ、それゃありがたいね。どうも今日は集中力が入らない」
2時間の授業が終わった。先生に当てられはしなかったが、解説はほぼ頭に入ってこなかったほどだ。自分でも予想以上に彩ちゃんの事が気になってるらしい。…こんな言い方したら恋してるみたいだな。
「おい、お前ら!今日は職員会議があるからこれで終わりだ、とっとと帰っちまいな!」
瑞穂さんが教室に顔だけ出してそう言うと、すぐに何処かへ行ってしまった。クラスの皆はというと、全員が喜びに満ちていた。中には荷物を持って颯爽と帰って行く奴もいる。挨拶というのは無いのか。
「じゃ、俺たちも帰るか!部活もないから今日は楽だぜ〜」
「その分の皺寄せがいつか来そうだけどな…」
学園を出て、校門前で優大と別れた。今から向かうのは近場のスーパーだ。冷蔵庫の中にもう食料がないから補充しておかないと。昼前というのもあって、交差点はいつもより人が多く感じる。人混みを抜け、さっさと買い物して帰ろうと思った時ーー
「あ、あの!すいません、やめてください!」
「あ?よく見たら嬢ちゃん、結構いいカラダしてんじゃん!今から俺たちと遊ばんな〜い?」
人通りが少ないアーケードの方で、1人の女子が3人組の男たちに囲まれていた。女子の方は学生だろうか?制服を着ている。確かこの辺の学園の制服な気がするんだが…
「真昼間から何やってんだ、あいつら。オマケに学生に手ェ出すとか馬鹿なのかね」
とりあえずこのままだとあの女子がレ○プされかねん。ゑ?俺の勝手な妄想?知らんわそんなん。
「あー、ちょっとアンタ達?学生さん相手に何やってんの?」
「アァ!?何だお前!つかテメェも学生だろうが」
「まぁ確かに。それでも、側から見りゃその子を強姦しようとしてる風に見えたもんだからさ」
男たちに近づいて話しかけたらいきなりアァ!?って言われた…ちょっと悲しみ。ま、そんなのどうでもいいや。敵は3人。見たとこ、大した実力のない見た目だけの奴らか。
「ヘッヘッヘ〜、よく分かったな。性欲に時間なんて関係ねぇんだよ!邪魔すんならお前、殺すぜ?」
3人の内の長身がよく使われる常套句を口にする。あーあ、弱い奴らで決定っと。
「あんた、離れときな。ちと暴れるからよ…」
「え、あ、はい!」
眼鏡を掛けた女子をまず逃す。そうじゃないと、思う存分楽しめない。
「邪魔した事、後悔するぜ………死ねェェ!」
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喧嘩が始まって約1分。形勢はーー
「ハァハァ、お前ら、こいつに1回でも攻撃与えたか?」
「ひーひー、いや、与えれねぇ…」
「つーかこいつ…はぁ、はぁ、攻撃もしてこないぞ…」
ーー優勢。それも俺は回避行動しかしていない。こいつらが勝手にバテただけだ。3人ならではのコンビネーションを持ってるが、俺には及ばない。
「そろそろ、躱すのも飽きた。終わりにするか…」
そう言って俺は疲れて座り込んだ3人に近づく。別に攻撃をしようという訳ではない。されてないのにしたら、暴行罪だからな。あくまでも、俺がするのは、『正当防衛』の時だけだ。怯える3人を前に、俺はーー
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事が済んで、買い物に戻ろうとした時、
「あ、あの!すいません、助けていただいて!」
さっき襲われかけてた眼鏡の女子がわざわざお礼を言いに来た。別に何も礼を言われる事はしてないんだけどねぇ。
「あー構わないよ、あんたの方こそ、怪我とかしてない?」
「はい、ジブンは大丈夫です!あの…さっきの人達は…」
「ん?アイツらなら勝手にどっか行っちゃったよ?」
「そ、そうですか。よかったぁ、本当にありがとうございました」
「いんや、結構結構。んじゃ、気をつけてな〜」
その言葉を後に、俺は買い物に向かう。運動したら腹減ったなー、とりあえず、昼は適当に作られてるモンを買って帰るか。晩はポテトでも作ろっと。今日から紅桜ちゃんは妹の所にいくので、しばらくは俺1人だ。凝った飯を作ることもないから楽でいい。たこ焼きも食いてぇなぁ。
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「ただいまーっと。さて、飯にするかね」
リュックサックを部屋に置き、リビングのソファに座った俺は買い物袋からたこ焼きと枝豆、コーラを取り出す。既に作られているやつだから、すぐに食えてありがたい。そして美味い。
「いただきまーすっと。……うん、美味しい!よかったわぁ、このメニューにして。やっぱ、たこ焼き枝豆コーラ…最高やな!」
このレオリオは本当に美味い。このレオリオを考えた奴は天才だろう。食す事、15分。最後にコーラを飲みきり、ゴミを捨てる。
「はぁ、なーんもやる事ないなぁー。……街に彩ちゃんでも探しに行こうかな?なんつって」
独り言を言っていると、スマホが鳴る。誰からの着信だ?画面を見ると、そこには幼稚園時代からの親友の名前が記されていた。久しぶりな連絡に少し驚くが、すぐに電話に出る。
「もしもし、久しぶりだな。……あぁ、元気にしてるさ。そっちも特に異常は無しか?……………そか、ならOKだ。で、用件はなんだ?声が聞きたいって理由で電話をかけるお前じゃないだろ?………!?本当か?………分かった、ちと探してみる。ありがとな、わざわざ。………あぁ、そんじゃな!」
電話を切って確信する。
「やっぱり…彩ちゃんはこの街にいる!」
必要最低限の物を持って部屋に行き、ショルダーバッグの中に詰め込み、戸締まりといつものをして、家を飛び出た。そうだ、あの時見た女子…やっぱり彩ちゃんだったんだ!さっきの電話で教えてもらった情報は2つ。この街に住んでるって事と…
「まさか彩ちゃん、アイドルになってるなんて…世の中何でもありだな!」
走りながらそんなことをぼやく。所属する事務所は教えてもらった。グループ名も分かった。だから今俺はその事務所に全力疾走している。幸いなことに、家から走って20分程度の距離だったので、すぐに着く事ができるだろう。そんな事考えているとーー
「な!?っと、なんだこれ。楽譜?と歌詞カード?」
横道から2枚の紙が飛んで来たのだ。そしてちょうど顔の横側に当たったもんだからもう驚き桃の木。
「ごめんなさい、大丈夫ですか!?」
…なんか、今日はよくハプニングが起こる日だ。……タグ回収(ボソッ
女の人の声が聞こえる。多分この紙の持ち主だろう。返そうとして横を振り向いた時ーー
「えぇ、大丈夫です…よ…?………え?」
「?あの…どうか、したんですか?」
そこにいたのは、あの時のーー
「嘘…だろ?いや、覚悟してたけど…ここで?」
「え?どういう意味ですか?」
ーー昔、俺に光をくれた、ずっと会いたかったーー
「彩……ちゃん……」
「え、どうして…その呼び方を男の人が言うのは…ファンの方か、あの子しかいないのに…」
動揺してる。やっぱり…この子が、彩ちゃんなんだ…思わず涙が零れる。ここで会う事ができるなんて…今だけは、神に感謝してもいいと思った。しかし、俺の心は一気に、南極に放り出された。
「どうして…○○君が……ここに………?」
「え…?」
「だって、○○君は…ここには、いないはずなのに……ほ、本当に○○君なの!?何で、何で○○君がここにーー」
「やめろ!!」
気づけば、自分で驚くほどの大声を出していた。こんな声、何年ぶりに出したことか。でも、仕方ないんだ…その名前は…彩ちゃんはとても驚いている。当たり前だ、急に大声で論されたのだから。
「え、どうしたの、○○君?わ、私だよ。丸山 彩だよ?」
「分かってる!でも、その名前は…俺には、聞こえないんだ…聞きたくないんだ…」
そう言って俺はその場から逃げ出す。最悪だ、最低だ。ずっと探していた人に会えたのに、心から喜べない。自分が…嫌になる……
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「ま、待って!○○君!」
「どうかしましたか?」
急に逃げちゃった○○を追おうとしたら、事務所の警備員さんがさっきの大声を聞きつけて来てくれたみたい。事情を話さないと…でも、○○君…どうしたっていうの……?
タイトルの通り、最悪の再開での終了。2章の予告、もしかしたら出すかも。