貴方もそう思う?
文の構成も投げやりだし。
「久しぶりだな…映透」
「もう会いたくねぇんだけどな…兄弟」
着ている白いシャツより更に白く輝く髪を、風が靡かせる。所謂、アルビノという奴だ。こっちの事情も知らないで、コイツは近づいてくる。
「どうしたよ、そんな面して。折角のイケメンが台無しだぜ?」
「……そりゃどうも」
…分かる。自分でもコントロール出来ないほどの殺気を互いに出し合っている事が。塀の上を歩いていた猫は驚くほどの速さで走り去って行った。
「あ?お前、義眼入れてないのか?生活出来んのか?」
「何も不自由なんてねぇよ。ただ1つ、お前がここにいる事以外な」
「ハハハハ、そりゃそうだ。お前は俺の事大嫌いだもんなぁ」
分かってんじゃねぇか。それを知ってて俺の前に現れたんだろうけど。何かの用か?そんな俺の思ってる事を読み取ったのか、話を続けてきた。
「話したい事があってな…どうだ、ちょっと付き合わねぇか?」
「断る。話すだけなら、ここで言えばいい」
「お、しっかり自分の意見言えるようになったんだな。嬉しいぜ」
「勝手に喜んでろ。言わねぇなら帰るぞ」
そう言って、後ろに向かって回転蹴りをかます。気配を隠せてるつもりだろうが、いまの俺には無意味だ。側頭部に入れらてた男はそのまま壁に激突して気絶した。
「ひゅー、やるねぇ。何年経っても、喧嘩の腕は変わらず、か。罪神の「それ以上言うな。言ったら…今ここでお前を殺す」
空気が切り裂かれた。人間技じゃないけど、そんな表現が正しいだろう。蹴った後、そのまま後ろを向いていた状態からいきなり前を向き殴りかかる。その拳は白髪の男の顔を捉えていた。
「っと…油断したぜ。これほどとはな…分かった、話はまた今度にしよう。だが…これだけは言っておこう」
後ろに下がりながら、白髪の男は呆れたような態度をとる。しかし、油断していたのはこっちの方だった。直後ーー
「お前、なんて世界に迷い込んだ。俺の力でもこれは流石に無理がある。……こんな酷い世界をお前が選ぶなんてな…」
ーーまるで、過去も、今も、その先の未来さえ見据えた瞳が俺を見つめる。動揺が隠せない。いや、その瞳だけじゃない。言葉もだ。
「何?どういう意味だ。…言っておくが、俺はもう“あの力”を使ってはいない。それより、世界って何だ?」
「!自覚なしか…?いや、確かに力を使ってもこんな事は不可能だ…しゃーねぇ、やるしかねぇか…」
白髪の男はそのまま去って行く。一瞬。それだけでそこから奴の姿はなくなっていた。気づけば俺も殺気を抑える事が出来ていた。たった数分間の会話だけで、多くの分からない事ができた。話したかった事。世界とは何か。奴がやりに行った事は何か。ついでに、俺を襲って来たクソ男は一体何だったのか。面倒だから、このまま放置でいっか。
「情報整理…といきたいが、まだショック残ってるな…心臓が鎖で締められてる。いつもの表現だな」
昔から精神的に参ってしまうと、心臓が鎖で雁字搦めにされてるように感じてしまう。まるで、鉄のハインリヒだ。
「とりあえず、家に帰ろう…チッ、アイツのせいで余計に疲れた」
如月 要…それが、アイツの名前だ。中学生の頃、親に嫌気がさして家出した時に出会った。境遇が似てたからかな…すぐに友達…いや、仲間になったよ。それからはずっと一緒にいた。朝と昼のうちは、親が捜索願を出したらしく、サツがウロウロしてるから“秘密基地”で待機。夜になっては自由な町を散策したり、おやっさんのラーメン食ったり。楽しくて仕方なかったよ。なのに…アイツは裏切った。俺の希望の夢を邪魔したんだ。何で?…それしか言葉が浮かばなかったさ。側から見たら、そんな事でって思われるかもしれない。けど、俺とアイツとの“兄弟”の関係が分からなくなったから。
…結局、それ以来要と会う事は無かった。こんな時に会いたくなかったけど。
なんて考えながら帰路についていた時、“音”が無くなった。俯いていたので何があったのかと思い見上げると、そこには“黒”が存在していた。いや、他のモノが一切無くなっていた。
「は?…何処だよここ。おい!誰かいないのか!?」
声が空間にこだまする。数秒待っても返事がこない。俺しかいない、という証明だ。…いや、違ったな。もう1つある、返事のない事から導ける証明が。
「ご無沙汰しております、総統。希望との遭遇は致しましたか?」
俺をこの空間に閉じ込めた奴がいるって事…
「お前は…?」
「おや、私を覚えていらっしゃらない。まぁ当然ですか、あの記憶は抹消されていますから」
目の前に現れた爺は、執事のような喋り方をしていながら、その見た目はまるで戦神。顔こそ年老いているが、ただそこに存在するだけで気圧されてしまうほどの威圧感。
「ホホホ、戸惑うのも無理はありません。しかし、あまり時間がないので端的に。今から貴方にあるイメージを送ります。それが、要殿が伝えたかった内容でございます」
「おい!勝手に進めるな!だからお前は何モン「では、参りますよ…」
爺は、俺が話しているにもかかわらず遮って喋る。そして、俺の頭に手を乗せてーー
「ーーッ!!」
気が付いたら俺は家の自分の部屋にいた。もちろん、驚くべきシーンだ。だが、そんな余裕はない。あるはずなかった。
「は…?嘘……だろ?こんな、事はーー」
あの爺に見せられたイメージ、それはーー
ーー花咲川の生徒が皆、俺の事を憎んでいたものだった。
ーーそれからの俺は、どうしちまったんだろう。ーー
ーー何だか、あの、家出の時の服に着替えて…ーー
ーー白鷺さんに会ったような…ーー
ーー体が、自分で動かせない、勝手に動いてる。ーー
ーーまぁ…いっか、どうでも。ーー
ーー助けてーー
ーー俺の世界が…壊れていくーー
何も書く事ないや。
あ、あったわ。
まだ2章続きますからね。