もしもロボ子さん(達)とそんな関係だったら   作:バタースコッチ

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どもです、今日は別に何の記念日でも無いぞ?と言われそうですが、本当にそうですね
誕生日とかでも無いのにロボ子さん以外の小説何で書いてるの?とでも言われそうですね
今回、Twitterの方でアンケートをとらせてもらって、書く方を決めさせていただいた次第です
ではでは、ごゆるりとm(_ _)m


気付いたのはその告白(とき)だった by夏色まつり

10年前

 

(パパ、このお兄ちゃんは誰?)

 

(このお兄ちゃんはね、今日からあなたのお兄ちゃんになる子だよ、まつり)

 

(そうなんだ、お兄ちゃん、これからよろしくね!)

 

(…)

 

(ほら、○○挨拶しなさい)

 

(……よろしく)

 

(ごめんなさい、うちの息子無愛想で)

 

(良いんですよ、これから一緒に暮らすんですからその内仲良くなれます)

 

 

 

 

 

現在

 

コンコン「兄ちゃん朝だよー」

 

「んー…」

 

 

俺は夏色○○、今ドアを叩いてきてるのは俺の妹、まつり。

2つ下の16歳だ

俺は18歳、卒業したら就職しなければいけない

まつりはチア部た入ってるらしい、よく部活で帰りが遅い

俺?俺は帰宅部だ、勉強して良い成績とっておかないといけないからな。

 

 

「あーもう…早く起きてよバカ兄い!」

 

 

まつりは俺の部屋のドアを思い切り開けてきた、鍵をかけてたはずなんだが…今ので壊れたのか…?

 

 

「ほら!兄ちゃん早く起きて!」

 

 

まつりは俺の布団を剥がしてきた、俺は抵抗出来ずにそのまま布団を持ってかれる

 

 

「さっむ…まつり止めてくれよ…まだ寝てたい」

 

「ダメ、早く起きて。パパとママが下で待ってるんだから」

 

 

まつりは俺が2度寝するのを許してくれないようだ

一応言っておく、今日は休みだ

休みなのに、俺は叩き起されている

 

 

「…ったく、仕方ねぇな」

 

「ほらほら、早く着替えてね」

 

「あいあいよー…」

 

 

俺は服を脱ぎ出した

 

 

「ちょっと!まつりが居るのに急に脱がないでよ!」

 

 

急に怒鳴られてしまった、何でだ?着替えろって言ったのはまつりなのに

 

 

「悪かったよ、じゃあ早く部屋から出てくれ」

 

「まったく…早く降りてきてよね!」

 

 

まつりはドアを強く締めていった、そろそろ部屋のドア壊れないか心配だ…

 

 

 

 

それから着替えた後、下に降りた

既に3人は席に座っていた

 

 

「おはよう、○○」

 

「おはよう母さん」

 

「○○、早く座りなさい」

 

「親父挨拶くらいしろよ…」

 

 

俺は席に着き、朝食をとった

 

 

朝食後、親父と母さんは仕事に行った

俺は用事も無いし家でくつろぐつもりだ、と思ったんだが…

 

 

「兄ちゃん、今日フブキング来るからどっか出掛けてて」

 

 

そう、くつろごうとしたらこれである

フブキングとは、まつりと同い年の女の子、白上フブキちゃんのこと。

まつりはフブキちゃんの事を溺愛してるらしく、よく「フブキングー!結婚しよー!」とか言ってるらしい

俺はそれ眺めててぇてぇ…って思ってるけどまつりに見られると凄い目つきで睨まれる。

まるで「まつりとフブキングの空間に居ないでよ!」と言わんばかりだ

 

 

「あいよ、何時来るん?」

 

「10分後」

 

「もうすぐじゃねぇか…」

 

「だから早く出掛けて」

 

 

あまりにも急だし、酷いと思わないか…?

俺にも都合というものがあってだな…(暇人)

 

 

「はぁ…何時ぐらいまでだ?」

 

「18時ぐらいかな、ちょっと話したい事もあるし」

 

「あいよ、じゃ出掛けてくる」

 

「行ってらっしゃい」

 

 

俺は家を出ると、まずは公園に向かった

高校生だし金もロクに無いから、遊びにも行けない

 

 

「ふぅ、冬場に外に出されるのは辛いな…風邪でも引いたらあいつどうしてくれるんだ、こっちは就職控えてるってのに」

 

 

 

 

その頃の自宅

 

 

「お、お邪魔しまーす」

 

「いらっしゃいフブキング」

 

「あれ?お兄さんは?」

 

「んー?出掛けたよ?」

 

「そ、そっか…居ないんだ…」

 

 

なんでフブキング落ち込んでるんだろ?

 

 

「ねぇフブキング」

 

「ん?どしたのまつりちゃん?」

 

「兄ちゃん居た方が嬉しいの?」

 

「ふぇ!?え…えーと…お兄さんと話してみたいなぁって…」

 

 

フブキング顔真っ赤にしてる…可愛いなぁ

話したいなら呼び戻そうかな

 

 

「ちょっと待ってて、連絡するから」

 

「え!?良いよ、お兄さん迷惑になっちゃうし」

 

「へーきへーき、ちょっと待っててねー」

 

 

 

 

「あー…寒ぃなぁ…帰りてぇなぁ…ベッドゴロゴロしながらゲームしてぇ…」

 

 

公園のブランコに座りながら、俺はそんな事を考えていた、そんな時

 

 

プルルル、プルルル

 

 

「ん?携帯か…まつり?」

 

 

突然まつりから電話がきた

 

 

「はい、もしもし、どしたん?」

 

「あ、兄ちゃん?一旦帰ってきて」

 

「何かあったのか?」

 

「フブキングが話したいんだってさ」

 

「フブキちゃんが?まぁ分かった、んじゃ帰るから」

 

「はーい、3分以内ね」ブツッ

 

「は?3分は無理…って切りやがった」

 

 

今居る公園から自宅までは頑張っても7分はかかる

曰く、無理だ

ゆっくり帰ろうか…だがフブキちゃんが待ってるらしいし、急ぐしか無いか…

 

 

 

「フブキングー、呼び戻したからすぐ来るよー」

 

「あ、まつりちゃん…なんかごめんね?」

 

「良いって良いって、んで?兄ちゃんに何話したいの?」

 

「え…?それは…」

 

 

フブキングはモジモジしてる、え…何でそんな顔するの…?

まつりには分からないよ…

 

 

「ただいまー…」

 

「あ、帰ってきた、ちょっと待ってて」

 

「あ、うん」

 

 

 

「兄ちゃんおかえり、って…何で汗だくなの?」

 

「お前が3分以内とか無茶言うからだろ…?」

 

「いやアレ本気にしないでよ…何処に居たの?」

 

「ん?エビフライオン公園」

 

「近いじゃん」

 

「あのなぁ…近くてもダッシュすると疲れるんだよ」

 

 

7分かかるとこを4分で到着させた俺は、汗だくになっておりとてもじゃないがフブキちゃんにすぐ会える状態では無かった

 

 

「まつり、悪いがフブキちゃんにもう少し待ってくれるように言っておいてくれ、ちょっとシャワー浴びる」

 

 

せめて汗だけでも流したい俺は、フブキちゃんに伝えてもらうようにまつりに頼んだ

 

 

「じゃあ後で何かお願い聞いてね」

 

「対価違い過ぎないか…?まぁ良いや、頼むわ」

 

「はいはーい、んじゃシャワー行ってらっしゃい」

 

 

俺は対価にしては大きいものを支払う代わりに、シャワーに向かった

 

 

「フブキングー、兄ちゃんちょっとシャワー浴びてから来るみたい、もうちょい待って?」

 

「う、うん…ありがとまつりちゃん」

 

「んじゃまつりは飲み物取ってくるから、何がいい?」

 

「あ、じゃあお茶で」

 

「分かったー」

 

 

あたしは部屋を後にした

その時のフブキングの表情をあまり確認してなかった…

 

 

 

 

シャァァァ「ふぅ、あったけぇ…」

 

 

俺は呑気にシャワーを浴びていた、物音がその時していたが、シャワーの音でかき消されていた

 

 

「あ、あの…お兄さん!」

 

「!?フブキちゃん…?」

 

 

俺は突然のフブキちゃんの声に驚き、つい後ろを振り返ってしまった

幸い、ちゃんとドアは閉めている為間違いは起きていない

 

 

「フブキちゃんごめん、まだシャワー浴びてるからもう少し待ってて」

 

「あの、このままで…恥ずかしいので」

 

 

フブキちゃんは恥ずかしがってるようだが、俺のこの状況の方が恥ずかしいんだが…

 

 

「あの、お兄さん…年下の子はどう思いますか…?」

 

「え?急にどうしたんだ?」

 

 

ドアを閉めてる為、表情は分からないが…

 

 

「お兄さんの事好きな子が居るんです」

 

「…そうなのか」

 

 

 

「フブキングーお茶持って「お兄さんの事…です」え…?」

 

 

フブキングにお茶持って来たけど、そこにフブキングは居なかった

声をかけたら風呂場の方でフブキングの声が聞こえた

断片的にしか聞こえなかったけど、フブキング…兄ちゃんに告白してる…のかな…

 

 

ズキン「っ!?」

 

 

何でだろ…急に胸が苦しくなったよ…

 

 

 

 

「フブキちゃん、悪いけど今俺は色恋沙汰にうつつを抜かす訳にはいかないんだ、その子には申し訳無いんだけどさ」

 

「その相手が私だとしてもですか?」

 

「…あぁ」

 

「そう…ですか…」

 

「ごめんな」

 

「気にしないで下さい、大丈夫ですから…」

 

 

大丈夫と言うが、その声は震えていた

申し訳なく思うが俺はその想いに応える事は出来ない

確かにフブキちゃんは可愛いけど

俺は…早く家を出たいのだから

 

 

 

3年前

 

俺とまつりはとても仲が良かった、それこそ普通の兄妹以上に

中学に入ってもまつりは俺に良く接してくれていた

まつりは本当の妹じゃない、義妹にあたる

10年前に俺とまつりは出会い、家族になった

当時の俺は、まつりとはあまり接していなかった

だが、まつりが毎回話しかけ、笑顔で接してきたおかげで俺も心を開いていったんだと思う。

 

 

「お兄ちゃん、遊ぼ!」

 

「お、良いぞ、勉強も終わったし何する?」

 

 

この頃はまだまつりは兄ちゃん、じゃなくてお兄ちゃん呼びだった

そんな大した違いでもなかったが…

 

 

「プロレス!」

 

 

まつりは身体を動かすのが好きらしく、遊ぶ時は毎回スポーツ系になる

 

 

「プロレスか、良いぞ、どういうルール」

 

「とりゃあ!」

 

「ぐぇっ!」

 

 

俺が言い切る前に、まつりはタックルを仕掛けてきた

まつりの頭が腹にめり込む

 

 

「おりゃおりゃー!」

 

「ちょっ…まっ…」

 

 

一気に空気を吐き出してしまった俺は、息が出来なくなり抵抗出来ずにいる

 

 

「さぁお兄ちゃん降参するなら今だよー!」

 

「こう…さんどころ…か…息が…」

 

 

俺は薄れゆく意識の中で、腕を伸ばした

 

 

フニュン

 

 

「っ!?」

 

 

何かに触れた、俺はその時そうとしか思わなかった

 

 

フニュフニュン

 

 

「やっ…」

 

 

急にまつりからの攻撃が止んだ、俺はようやくまともに呼吸が出来た

 

 

「ゲホッゲホッ…まつりお前息が出来なくなるまでするな…よ…?」

 

プルプル「…」

 

 

まつりは胸を隠すようにし、顔を赤くして震えていた

 

 

「ま…まつり…?」

 

「お兄ちゃんの…エッチィィィィ!」

 

 

まつりは叫びながら右ストレートを鳩尾にかましてきた

 

 

「グェッ…ま…つ…り…」

 

 

そこから1時間は意識を失ってたと思う

目を覚ますと俺はまつりに膝枕してもらってる形になっていた

まつりは冷静になっており、事情を聞くと俺が伸ばした手はまつりの胸を触ってたらしい

そりゃ怒るのも無理はない、兄妹とはいえ触られるのは嫌だろう

 

 

「ごめんなまつり、嫌いになったろ」

 

「…ううん、まつりは平気だよ、まつりこそごめんねお兄ちゃん」

 

 

まつりは怒るどころか、謝ってきた

事故とはいえ触った俺の方が悪いと思うんだが…

 

 

「大丈夫さ、俺は頑丈だからな」

 

 

この時仲直りしたが、思えばこの日を境にまつりとは遊ばなくなった気がする

俺が高校に進学したのもあっただろうが…

もしかしたら密かに恨まれてたりとかも思ってたりする

 

 

 

 

現在

 

だからこそ、俺は早く家を出たいのだ

まつりは普通に接してくれてはいるが、人間些細な事を何時までも恨んでるなんてザラだ。

俺は、義妹に、まつりに嫌われたくない

 

 

 

「お邪魔しました」

 

「フブキングもう良いの?まだ兄ちゃんシャワーから出てないけど」

 

「まつりちゃん…うん、もう大丈夫だから」

 

 

フブキングはそう言うけど、表情は暗いままだ

 

 

「じゃあねまつりちゃん、また学校で」

 

 

フブキングはそのまま帰って行った

兄ちゃん…まさか何かしたのかな

 

 

「ふぅ、さっぱりした」

 

「ねぇ兄ちゃん」

 

 

髪を乾かしているとまつりが声をかけてきた

 

 

「ん?どうした?」

 

「フブキング帰っちゃったけど」

 

「そうか」

 

 

やっぱり帰っちゃったか…ちゃんと謝っておきたかったんだが

 

 

「フブキング、悲しい顔してたよ」

 

「…そうか」

 

 

俺は表情に出さないように、タオルで顔を隠すように髪を拭くのを続ける

 

 

兄ちゃん何か知ってる、でも話そうとしないみたいだね

どうしてちゃんと話してくれないの…?

 

 

ズキン

 

 

また…胸が痛む…なんで…?

 

 

「うっ…うぅ…」

 

「まつり…?どうした?」

 

「苦…しい…」

 

 

まつりは胸を抑えながら、うずくまった

 

 

「待ってろ、今病院に」

 

「待って…兄ちゃん…」

 

 

まつりは俺の足を掴んでいた

 

 

「どうした、まつり」

 

「傍に…居て…」

 

「まつり…」

 

「お願い…」

 

 

俺はまつりの意を汲み、抱きかかえながらまつりの部屋に行った

 

 

「うぅ…あぁ…」

 

「まつり…どうしたってんだよ」

 

 

(お兄さんの事…です…)

 

 

嫌…まつりから取らないで…

あたしの…大好きなお兄ちゃんを取らないで…!

 

 

「はっ!?」

 

 

気付くとそこは自分の部屋だった

凄い汗びっしょりになっていて、右には兄ちゃんが傍に居てくれていた

 

 

「兄ちゃん」

 

「ん…まつり!大丈夫か?」

 

「うん、まつりはもう大丈夫」

 

 

胸の苦しみも不思議と今は無くなってる

 

 

「そうか、なら俺はもう出るな」

 

「ねぇ兄ちゃん」

 

「ん?どうした?」

 

「…」

 

 

まつりは話そうとしているが、言葉が出ないでいる

 

 

「何も無いなら、俺は行くぞ?」

 

「兄ちゃんはさ」

 

 

俺が出ていこうとすると、まつりはぽつりぽつりと話してきた

 

 

「兄ちゃんはさ、これからどうするの?進学…?就職…?まつりはさ、まだ高校1年だから先の事そんなに考えられないけど…」

 

「俺は…」

 

 

まつりに本当の事を伝えても良いのだろうか?

いや、わざわざ言わなくても良いか…

大事な部分だけ隠して伝えれば良いだろう

 

 

「俺は、就職かな。俺の本来の父さんが死んでから、女手一つで育ててくれた母さんに、再婚して家族になった親父にも恩返ししたいから」

 

「そうなんだ…後ちょっとしか一緒に居られないんだね」

 

「まぁ、そうだな。就職したらアパートとか借りる事になるから」

 

 

この言い方なら大丈夫だろう、ごく普通の理由だ

 

 

「まつり達の家からじゃダメなの…?」

 

「それだと親父達に負担かけるだろ、恩返しにはならないよ」

 

「でも…」

 

 

まつりは食い下がってくる

何故そうまでしてくるのか分からない

 

 

「まぁ後少しの辛抱だから、まつり」

 

「それどういう事?」

 

 

失言だった、使う言葉を間違えてしまった

まつりの目は心配から疑いに変わっている

 

 

「兄ちゃん」

 

 

まつりは俺の左腕を掴んで離さない

 

 

「ちゃんと話して、兄ちゃん」

 

 

こうなってしまった以上、話すしかなかった

俺が何でその考えに至ったか、全て洗いざらいに

 

 

 

「何それ…何でそうなっちゃうの兄ちゃん」

 

「…」

 

 

まつりの顔はどんどん険しくなっていった

 

 

「まつりはあの時の事何とも思ってないよ?むしろ…」

 

「俺が嫌なんだ」

 

「っ!」

 

「一緒に居るのが…辛いんだ、怖いんだ…俺はあの時からずっと罪悪感を持ってた。まつりだって、あれから俺と遊ばなくなっただろ?だから俺は恨まれてるとずっと思ってた」

 

「まつりはそんな」

 

「だから俺は勉学を頑張って、高校でも頑張ってたんだ。だから後少しなんだよ…」

 

「兄ちゃん…そんなにまつりと一緒に居たくないの?」

 

「逆だ、お前が俺と居たくないんだと思ってる」

 

「まつりはそんな事思ってない!」

 

 

まつりは俺の腕を更に強く掴む

 

 

「まつりは…兄ちゃんとまだ居たいよ…」

 

 

まだ居たい…か…

そう思ってくれるのは嬉しいが

 

 

「ごめんまつり、もう決めた事だから。お前が何を言おうと、何をしようと、もう止まれない…俺は就職してこの家を出る」

 

 

俺はまつりに決意を伝えた

例え誤解だとしても、気付くのが遅過ぎた

今更変える事は…出来ない

 

 

「…か」

 

「まつり…?」

 

「兄ちゃんのばか!ばかばかばかばかばかばか!大ばかだよ兄ちゃん!」

 

 

まつりは掴んでいた左腕を離し、その場で泣き崩れた

俺はまつりを泣かせたい訳じゃなかった、それなのに…

 

 

「…っ!」

 

 

俺はその場を去ってしまった、泣いてるまつりを置いて…

俺が今までやってた事は全部無駄だったのか、そう思えてしまった

 

 

 

 

その後両親が帰って来てからも、俺達は会話する事無く食事をしていた

不審がられたが、そこだけは何故か息が合って切り抜けていた

 

 

それから就職試験の日まで、一切まつりとは口をきかなかった…

 

 

 

「兄ちゃんのばか!ばかばかばかばかばかばか!大ばかだよ兄ちゃん!」

 

 

あたしはただ泣くしか出来なかった、兄ちゃんはそのまま部屋を出て行った

兄ちゃんが出て行った後、また胸が苦しくなってきた

流石にもう訳が分からなくなっちゃった…だから、パパが帰って来たら聞いてみよう

 

 

夕食後の出来事

「ねぇパパ、聞きたいことがあるんだけど」

 

「どうしたんだい?まつり」

 

「あのね、特定の人の事を考えると胸が苦しくなるの…これ病気…?」

 

「ふむ、まつりももう高校生だからね、知らないといけないね。それはねまつり、恋だよ」

 

 

パパから聞かされたのは、まつりが恋をしてるという事

でもその相手は…兄ちゃん、血は繋がっては無いけど…それでも兄妹

許される事じゃ…

 

 

「まつり、ずっと抱え込んでると辛いと思う、お兄ちゃんにも聞いてみると良いよ」

 

「う、うん…」

 

 

その兄ちゃんに恋をしてるんだよ、パパ…

聞ける訳…無いよ…

 

 

それから兄ちゃんの就職試験の日まで、兄ちゃんと話す事が出来なくなった、顔を見るだけで…胸がドキドキしちゃうから…

 

 

 

 

ピピピピ!ピピピピ!

 

 

目覚ましが鳴る、前は目覚ましなんて要らなかった、まつりが起こしてくれていたから

でもあの日から…全てを話してしまったあの日から目覚ましが必要になった

 

 

「…着替えるか」

 

 

俺は着替えて、部屋を出る

 

 

「あ…」

 

「まつり…」

 

 

ドアを開けると、そこにはまつりが居た

もしや起こしに来てくれたのだろうか、淡い期待があった

 

 

「まつり、おは」

 

「…っ!」

 

 

まつりは無言で俺の前から立ち去って行った

まぁ、こうなるのも分かり切っていた訳だ、辛くは無い

 

 

「○○おはよう、朝ご飯出来てるわよ?」

 

「おはよう母さん、いやいいよ、このまま行ってくる」

 

「そう、行ってらっしゃい」

 

「行ってきます」

 

 

母さんに挨拶をし、そのまま試験会場に向かう

 

 

「兄ちゃん」

 

 

俺が家を出てすぐ、まつりが追いかけて来た

 

 

「まつり…」

 

「…行ってらっしゃい、それだけ」

 

 

まつりは目を合わせてくれなかったが、確かに行ってらっしゃい、と言っていた

言ってすぐ家の中に入ってしまったから声はかけられなかったが…

 

 

「行ってきます、まつり」

 

 

 

試験は無事終わり、俺は内定を勝ち取る事が出来た

何故かそこはその場で合否を発表するという妙なシステムだった

倍率も高く、受かるかは半々だったが…

 

 

「もしもし、母さんか?俺受かったよ」

 

 

試験会場を後にした俺は、母さんに連絡をとった

親父は仕事が忙しいから、後で連絡する

 

 

「そう、本当に良かったわね…じゃあやっぱり?」

 

「あぁ、予定通り家を出るよ」

 

 

母さんには、ある程度の事は話してあった

就職が決まり次第、家を出る事を…

アパートも、すぐ借りられるように手筈は整っている

問題はまつりだが…

 

 

「親父、後で話がある」

 

「ん?良いよ待ってる」

 

 

俺は夕食時、親父に話を切り出した

その時まつりが僅かに反応したようにも見えたが…気にしないでおこう

 

 

 

「親父、入るぞ」

 

「どうぞ」

 

 

夕食後、少し時間を置いて親父の部屋に行った

 

 

「さて、話はなんだい?○○」

 

「内定取ってきた」

 

「おぉ、おめでとう○○」

 

「それで、俺は家を出ようと思う、もうアパートは借りれる段階になってる」

 

「そうか、もうそこまでやってるなら私からは何も言わないよ、これから頑張ってね」

 

「あぁ、ありがとう」

 

 

俺は親父の部屋を後にしようとした

 

 

「まつりにはこの事伝えてあるのかい?」

 

「いや?伝えてないけど」

 

「そうか、どこかのタイミングで伝えておくと良いよ、今伝えろとは言わないからさ」

 

「…あぁ」

 

 

そこまで話して、部屋を後にした

 

 

「さて、そろそろ出ておいで、まつり」

 

「…」

 

「○○の話は聞いたね?」

 

「うん…」

 

「まつりのこの前の話…相手は○○だね…?」

 

「………うん」

 

 

パパには全てお見通しなのかな…

兄ちゃんの話も隠れて聞かせてくれたし

 

 

「それで、まつりはどうするんだい?このままだと○○は直ぐにでも出て行くけど」

 

「まつりにはもう…止められないよ」

 

「そうかな?もっとよく考えてみて、何も止めるだけが全てじゃないんだよ?伝える事も、また必要なんだからね」

 

 

パパが何を言ってるのか、よく分からなかった

 

 

 

 

一週間後、俺が家を出る日が来た

 

 

「○○、いよいよね」

 

「あぁ、そろそろ出ようと思う」

 

「学校とはまた違った大変さがあると思うけど、頑張ってな」

 

「ありがとう親父…まつりは…?」

 

「あの娘は部屋に…」

 

「そっか」

 

 

やはりまつりは、来てくれないか…

でもこれで良いんだ、これで…

 

 

「じゃあもう行くよ、たまに帰ってくるから、多分」

 

「「行ってらっしゃい」」

 

 

俺は荷物を持って、駅に向かった

実家からアパートまでの距離は60キロ、そんな簡単には来れない距離になってる

自分自身を追い込むと同時に、まつりと離れる為にこうした

だからこそ、遠い場所を就職場所に選んだ訳だ

最後に会えなかったのは残念だったけど、会ったら逆に辛かったかもしれない

 

 

「電車が来るまで30分か」

 

 

俺は電車の時刻と時計を照らし合わせながら、呟いた

 

 

 

「まつり、入るよ?」

 

「パパ…」

 

「お兄ちゃん行っちゃったよ…?良かったのかい?」

 

「…」

 

「今伝えないと、後悔しないかい?」

 

「でも…」

 

 

まつりはもう…

 

 

「焦れったいなぁ…今行かないと次いつ会えるか分からないから言ってるんだよ、下手したら数年単位で帰って来ないかもしれないんだ」

 

「パパ…」

 

「死んだママもきっと…私と同じ事を思ってくれるはずだよ」

 

「…!」

 

「さぁ、行くんだまつり」

 

「…うん!」

 

 

パパに背中を押されて、兄ちゃんを追いかけた

 

 

 

 

 

その頃の駅

「後10分か…この景色も暫くは見れないんだよな…」

 

 

やっぱり地元を離れるのは辛いな…

まぁ、そう思っても向こうで仕事してれば忘れるだろう、そんな感情…

 

 

これより、電車が参ります

黄色い線より内側にお下がりくださいませ

 

 

「もう来るか、じゃあな…まつり」

 

「兄ちゃん!」

 

「え…まつり…?」

 

 

振り向くと、まつりが息を切らしていた

多分、走ってきたんだろう

 

 

「に、兄ちゃん…はぁ…はぁ…」

 

「まつり、何で…?」

 

「やっぱり…ちゃんと会いたかったから」

 

「そうか、わざわざ来てくれてありがとな、まつり」

 

「…」

 

「どうした?」

 

 

急にまつりが黙り込んだ

 

 

「兄ちゃん、まつりは…兄ちゃんが好き!」

 

「…お前何言ってんのか分かってるのか?」

 

「分かってる、でもこの気持ちは我慢出来なかったよ。あの時からずっと胸が苦しかったのは、兄ちゃんに恋をしてたからなんだって…フブキングが兄ちゃんの事好きって言ってた時、胸が苦しかった、兄ちゃんが傍に居ると胸が苦しくなかった。」

 

「…そうか」

 

「兄ちゃんはやっぱり、受け入れてくれない…?」

 

「…俺は」

 

「良いよ兄ちゃん、分かってるから。まつりは…ちゃんと気持ちを伝えたかっただけだから…」

 

 

まつりは涙を流しながら、それなのに笑顔で俺に話す

 

 

「本当に、大好きだよ…兄ちゃん…」

 

 

俺を抱きしめながら、好意を伝えてくる

 

 

「まつり…」

 

「えへへ、迷惑だよねこんなの…ごめんね?兄ちゃん」

 

 

ギュゥ…

 

 

「…兄ちゃん?」

 

「ありがとう、まつり…お前の想い、本当に嬉しい」

 

「…うん」

 

「でも、今はお前の想いに応えられない、高校卒業しても…まだ俺の事思ってくれてるなら…その時は…」

 

 

これが俺が言える、精一杯の言葉…

 

 

「高校卒業したら、兄ちゃんのとこに行っても良い…?」

 

「あぁ、卒業したらな…?」

 

「…うん!」

 

 

そろそろ発車致します、ご乗車の方はお急ぎくださいませ

 

 

「もう行かなきゃ」

 

「兄ちゃん」

 

「どうした?まつ…り…」

 

 

左頬に柔らかいのが当たった、それをキスと気付くのに数秒かかった

 

 

「これは予約だからね?ちゃんと会いに行くっていう予約」

 

「…あぁ、待ってるからな」

 

 

扉が閉まります、ご注意ください

プシューン

 

 

まつりが何か言ってるが、もう何も聞こえない

大きく両腕を振ってくれてる

 

 

「まつり、暫く会えないけど…待ってるからな」

 

 

プゥゥゥゥゥン

 

 

「兄ちゃん…ううん、○○…大好きだよ、待っててね…?」

 

 

 

 

3年後

まつりと別れてから、3年が経った

まつりは卒業してるとは思うが、まだこっちには来ていない

俺はこっちに来てから一度も実家に帰っていないから状況が全く分からない

でもきっと、元気にやってるんだろうなとは思ってる

来れない理由は…まぁ色々あるんだろう、他に好きな奴が出来たとかもあるだろうしな

そう言えば管理人さんから連絡あったな…凄いニヤニヤしながらだったけど…

 

 

アパートに着いた、鍵を使って開ける

 

 

「開いてる…?」

 

 

ガチャ「おかえり、○○」

 

「まつり…?お前まつりか!?」

 

 

扉を開けると、そこにはまつりが居た

3年も経ってるととても大人びていて、パッと見だとまつりとは分からなかった

 

 

「というか今名前で…」

 

「うん、ちゃんと区別しようと思ってね。まつりが好きなのは、兄ちゃんじゃなくて…○○だから」

 

「そ、そうか…鍵はどうして?」

 

「行く前に管理人さんに連絡して、着いたら鍵を預かったんだ」

 

 

だから管理人さんあんなに…

 

 

「そうか、何というか…綺麗になったな」

 

「そうかな?まぁ女の子は変わるからね、好きな人の為なら余計にさ」

 

 

ウインクしながらまつりは言う

しかし本当に綺麗になった、3年前に見たまつりは元気があって可愛気があったが、今はお淑やかな感じがある

 

 

「何か…照れるな」

 

 

あまり直視出来ない自分が居る、俺も3年で変わったとは思ったが、俺がまつりと釣り合うのかちょっと怪しい…

 

 

「照れてる○○、可愛いね」

 

「バカ、よせよ…」

 

 

その後少し話し、今後の話になった

 

 

「んで、これからどうするんだ?まつり」

 

「ん?こっちに住もうかなって思ってるよ?」

 

「そうか、何処かのアパート借りるのか?」

 

 

まつりも自立出来る年頃、一人で生活か…

 

 

「え?ここに住むんだけど」

 

「そうだよな、やっぱりここに住むよな…は?」

 

「パパもママもOK出てるし」

 

「は…?」

 

 

おいおいちょっと待ってくれ…それは同棲しろって事か…?

良いのか親父…母さん…

 

 

「まつりは先に来て荷物の整理してたんだ、ドタバタしないようにね」

 

「そ、そうか…」

 

「もしかして…ダメだったかな…」

 

「いや、ダメって訳じゃ…」

 

「そうかな…?まつり避けられてたしなぁ…」

 

 

昔の事を出さないでくれ…俺だってあの時は色々…

 

 

「大丈夫だ、ここに住んで良いから」

 

「ありがと、○○」

 

 

ひょんな事から、俺とまつりは同棲する事になった

まつりは今でも俺の事を好いてくれていた、それは嬉しいが…あまりにも容姿が変わっていてドキドキしてしまった

こんなの本人には言えないから心の中にしまわせてもらうが…

 

 

「それじゃ○○、改めて…これからよろしくね!大好きだよ」

 

「あぁ、こちらこそよろしくな、まつり」

 

 

 




読んでいただきありがとうございます
えぇ、言いたい事もある方居ると思います
今回白上フブキちゃんのファンの方々には申し訳ないことしたかなと思っております
元々、夏色まつりちゃんと白上フブキちゃんは仲が良かった為、出させてもらったのですが…役割が酷かったかもですね…
次は誕生日のお話になります
次も読んでいただけると、幸いです
では、次のお話まで失礼しますm(_ _)m
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