もしもロボ子さん(達)とそんな関係だったら   作:バタースコッチ

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はいどうもこんばんは、前回投稿してから1週間経ってないという速さでまた書きました。
このお話は続編となっております。
内容を少しでも理解しておきたい方は、過去に自分が投稿しました「想いは人を強くする」を読んでいただけると分かりやすくなるかもしれません。
そしてこのお話は…前後編になってます。
文字数がですね…とんでもな事になってしまったので…
そして今回は初の試みをしました、ちょっと新鮮な気持ちで読めるのかなぁ…って思ってます。
いや変わらねぇよ!ってなる方もきっと居ますけども…それはそれ、これはこれで…汗
ではでは、ごゆるりと…m(_ _)m


それでも俺は(あたしは)1 by紫咲シオン

ドラゴンとの戦いから1年が経った、俺とシオンは互いに切磋琢磨し魔力を高め、新たな魔法を会得していた。

しかし、俺の方は元々攻撃魔法より防御魔法が得意である為、あまり多くの魔法を覚えられない。

シオンとの力の差はどんどん開いていった、俺は内心焦っていた。

何故焦りを感じているか、その原因は…精霊だ。

俺達はホロワーツに入って1年経つと、各々に精霊と契約出来るようになる。

 

 

俺は木の精霊であるノームと契約した、本来なら俺はノーム、シオンは炎魔法だからサラマンダーと契約するはずなんだが…

あいつはサラマンダーと契約出来なかった、これだけ聞けば俺の方がマシじゃね?となるだろう。

だが違う、あいつは…上位精霊のイフリートと契約した。

サラマンダーだとシオンとの契約で流れてくる魔力に耐えられなかったらしい。

 

 

それを見かねた施設の人間が閲覧禁止のエリアからイフリートの契約書を持ってきた、そしてダメ元でやったら契約成功したらしい。

俺はその場に居なかったから、らしいとしか言えない。

部屋に戻ってきた時、あいつは困惑していたが数日もすれば何時ものドヤってるシオンになっていた。

 

契約が完了してから、1ヶ月経った頃…

 

 

 

 

 

(ごめん○○、もう一緒に居られない)

 

(な、何でだよ…?)

 

(だって、あたしと○○じゃもう差がつき過ぎて話にならないんだもん)

 

(だから、さよなら…)

 

(おい、待ってくれよ…俺もっと頑張るから、だから…!)

 

 

「…はっ!」

 

 

酷い夢を見た、しかも割と現実になりそうなレベルの夢だ。

俺とシオンの実力差は既にかなり開いている、シオンはそんな事言うとは思えないけど、絶対とは言いきれない。

 

 

「すー…すー…」

 

 

当の本人はグッスリ寝ている、それもそのはず、今は午前3時を過ぎたぐらい、普通に寝ている時間だ。

 

 

「シオン…」

 

 

俺はシオンのベッドに座り、髪を撫でた

サラサラしていて気持ちいい。

 

 

「ん…んー…」

 

 

シオンは嫌がってるのか寝返りで回避した。

あまりちょっかい出さずに寝た方が良いようだ。

 

 

「ごめんなシオン、寝てるとこ邪魔しちゃったな、おやすみ」

 

 

俺は自分のベッドに戻り、布団を被った。

 

 

「…」

 

 

 

 

 

翌日

「○○おっはー」

 

「おはようシオン」

 

「訓練終わったらまた魔法の練習付き合ってくれない?」

 

「あぁ、良いぞ」

 

 

現在の時刻は8時、訓練が終わるのが11時半だ。

希望を出せば訓練の時間を延ばす事も可能だが、今回はシオンとの事があるからそのまま終わらせる事にする。

普段は1時間ぐらい多めに訓練している、少しでもシオンに追い付きたいし、魔法を強化したいから1人ひっそりとやっている。

シオンには勿論内緒だ、バレてるかもしれないが…

 

 

 

 

 

 

訓練後

 

「それじゃ○○、準備は良い?」

 

「あぁ、良いぞ」

 

「それじゃいくよ…炎よ、我が行く手を阻む障害を打ち砕け!」

「ふぅ…大地よ、我が身を守る盾となれ!」

 

 

互いに初級魔法を詠唱する、初級魔法は詠唱スピードが早く、込める魔力も少なく済むから良いウォーミングアップにもなる。

 

 

「ファイアボール!」

「プロテクト!」

 

 

互いの魔法が発動し、俺の魔法は目の前に盾を、シオンの魔法はその名の通り火球が飛んでくる。

ただし、1年前と比べて火球の大きさは段違いになっており、俺の盾も前より厚みがある、属性相性は悪くとも、防げると思っていた。

そう、思っていたんだ…

 

 

バリン…「なっ…!」

 

「え…○○…!?」

 

 

俺のプロテクトは簡単に砕け散り、ファイアボールは威力変わらず俺に直撃した。

全然軽減する事無く、砕けた…

 

 

「ゴホッゴホッ…嘘だろ…?精霊と契約して魔力も上がったんだぞ…?それなのに…」

 

「大丈夫…?○○」

 

「あ、あぁ…」

 

 

俺の焦りは更に加速していった、やっと少しずつ追い付いてきたのに、精霊との契約でまた差が開いていたのだから。

 

 

「すまん、ちょっと今日はこれで終わりにさせてくれ」

 

「う、うん…」

 

 

俺は逃げるようにその場を後にした。

泣きたくなった、あんなに頑張ってたのにそれでも追い付けない…

自分が無力にも思えてしまう。

 

 

「父さん…母さん…俺…どうすりゃ良いんだよ…あいつを…シオンを守りたいのにこんなんじゃ守れねぇよ…」

 

 

俺は過去に、上級魔法を使った事がある。

ドラゴンとの戦いの時だ、あの時初めて攻撃魔法が使えた、シオンを守りたい、その一心で…

だがあれ以来詠唱すら出来ない、詠唱口上を忘れてしまっていた。

覚えていたとしても、あの魔法を唱える程の魔力があるかと言われたら…精霊と契約した今でもかなり難しいだろう。

あの時使えたのも、全魔力を使い果たし、おそらく命も少し削っていたかもしれない。

あのレベルの魔法がまた使えれば…シオンを守れるのに…

 

 

 

 

 

チカラガホシイカ…

 

 

 

 

 

「…?」

 

 

何処からか声が聞こえた気がしたが、気のせいだろうか…?

 

 

チカラガホシイナラ…ソレヲヨメ…

 

 

「…!?」

 

 

いや、気のせいじゃない…確かに声が聞こえた。

だけど姿はどこにも無い。

 

 

「誰だ…?」

 

 

辺りを見回していると、突然上から書物が降ってきた

手に取ってみるとそれは、前に俺がノームと契約したのと同じ契約書だった。

だがその契約書はノームのではない、どの精霊の契約書か文字が掠れて読めなかった。

 

 

「な…何だこれ…?何で契約書が…?」

 

 

俺はその契約書を開いた、内容はやはり契約の詠唱が書かれているだけだった。

 

 

「…やっぱり普通の契約書だよな、何でこれが…?」

 

 

 

 

 

ドクン

 

 

 

 

 

 

「!?」

 

 

俺は咄嗟に契約書を手放した、契約書から突然魔力が溢れたのだ。

そしてその魔力は、黒く禍々しかった。

 

 

「ど、どういう事だ…?この魔力…普通じゃない…」

 

 

 

 

サァ…チカラヲテニシロ…

 

 

 

 

また声が聞こえた、だがやはり姿は見えない。

 

 

「何処にいるんだよ!姿を見せろ!」

 

 

しかし俺の問いには反応しなかった、そして契約書の魔力が更に溢れ、俺を包み込んだ。

 

 

「ぐっ…何だ…これ…あぁぁぁぁぁぁ!」

 

「…!」

 

 

契約者に危険が迫ったのか、ノームが現れた。

しかしノームはあくまで精霊、何も出来ない。

 

 

「ノーム…逃げ…!ぐぁぁぁぁぁ!」

 

 

俺の命令でノームはその場から逃げた、この契約書が何なのか分からないが、今は被害が出ないようにするしか無い。

 

 

「ぐっ…ぐぅぅぅ…」

 

 

 

 

 

 

ウケイレロ…ワガチカラヲ…

 

 

 

 

 

「何で…訳分からないものを受け入れられるんだよ…!無理に決まってるだろ…!」

 

 

俺は必死に抵抗した、しかし禍々しい魔力に徐々に侵食されていく…

 

 

 

 

 

 

「ジカンガカカッタガ、ヨウヤクモノニシタゾ…「ユグドラシル」ヲ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おかしい、あれから○○が何処にも居ない。

○○の酷く驚いた顔なんて、見たこと無かった、だから尚更心配になった。

 

 

「…!」

 

「ノーム…?どうしたの?」

 

 

○○のノームが凄い勢いで移動してきた、そしてあたしの腕を引っ張ってきた。

 

 

「え?何?ついてこいって事…?」

 

 

ノームの行動に違和感を持ちつつ、ノームの後をついて行った。

 

 

 

 

 

 

 

「何だこの力…みるみる溢れてくる…」

 

 

俺は軽くジャンプした、すると照明灯を軽々と越すぐらい飛ぶ事が出来た。

 

 

「はは…何だよこれ、こんなに強くなるのか…」

 

 

俺は愉悦に浸っていた、最初は戸惑ったがその後にくる溢れ出る魔力でそんな事はどうでも良くなっていた。

 

 

 

 

「…!」

 

「○○!」

 

「…シオン」

 

 

シオンがノームに連れられて来た、そう言えば何でノームに逃げろなんて言ったのだろうか…?

 

 

「ねぇ○○、どうしちゃったの…?その魔力」

 

「あー…これか?この契約書からさ、とてつもない魔力が俺に流れ込んできたんだよ、おかげでこんなに強くなれた。そうだシオン、もう1回魔法の練習しようぜ?今度は負けないからさ」

 

 

俺は今ならシオンに勝てる、そう思い魔法勝負の提案をした。

 

 

「…分かった、またあたしが負かしてあげる」

 

 

○○に何があったか分からないけど、あたしはこの提案を受け入れた。

○○から○○自身の魔力の他に、変な魔力が混じってるのが分かった、その魔力はとても気持ち悪かった。

 

 

「あぁシオン、本気できて良いぜ?今なら全然平気な気がするからさ」

 

「…へぇ、そんなに自信あるんだ、分かった…本気でいくから」

 

 

やっぱりおかしい、○○は普段あんな強気にはならない。

警戒をしながらするしかない。

 

 

「んじゃいくから…業炎よ、果てしなく燃えるその炎で全てを燃やし尽くせ…!」

 

 

あたしは中級魔法を詠唱し始めた、この魔法はあたしの得意な魔法の1つ、火力調整もちゃんと出来る。

○○が危険な事になる前に威力を弱められるように。

 

 

「…シオン、中級ぐらいで勝てると思わないでくれよ…憎悪の闇よ、喰らい、砕き、無に帰せ…!」

 

 

…!?

○○の詠唱がおかしい、普段使う詠唱は大地〜のはず…でももう魔法は止められない。

 

 

「エクスプロード!」

 

 

魔法が放たれ、○○へ向かう。

エクスプロードはファイアボールが複数集まった集合体のような威力を持つ、あたしのならファイアボール10個分はあってもおかしくない。

 

 

「甘い…甘いんだよ…シオン…イビルショット!」

 

 

俺は頭に浮かんだ詠唱をそのまま唱え放った。

詠唱口上的にも初級魔法だろうか?それでも威力は桁違いだった。

イビルショットはエクスプロードを飲み込み、消滅した。

本来魔法はレベルにもよるが初級は初級、中級は中級で相殺出来る。

だが俺は中級魔法のエクスプロードを、初級魔法であろうイビルショットで相殺出来たのだ。

 

 

「嘘…エクスプロードが…」

 

「ははっ…マジか、あのシオンの魔法と互角の威力とはなぁ…」

 

「どうして…?あたしの方が実力はあったのに…」

 

 

シオンは中級魔法を初級魔法で消された事に酷く動揺してるようだ、だが俺は高揚感が高まっていっていた。

 

 

「なぁシオン、俺…強くなったぜ?これでお前を守れるよな…?俺さ、ずっと辛かったんだよ。俺はノーム、お前は上位精霊のイフリート…精霊でさえ差がついた、魔力もどんどん跳ね上がるし俺は置いてけぼり…だけどそれも今日で終わりだ。俺は今、シオンを上回る力を手に入れた、もうお前は戦わなくても良いんだ…ずっと俺が守ってやるからな」

 

 

俺はシオンに近付いて行った、しかしシオンは怯えている。

 

 

「来ないで…!○○、アンタ変だよ…?何で魔法が変わってるのさ!あんたの属性は木じゃないの!?」

 

「?何言ってるんだ?俺の属性は…うっ…」

 

 

急に頭が痛くなる、そして頭に声が響いてくる…

 

 

ワガモトニ…ツドエ…

 

 

「○○…?」

 

「呼んでる…」

 

「呼んでるって…誰が?」

 

 

突然○○は頭を抱えうずくまった、○○の身に一体何が起きてるのだろう…?

 

 

「行かなきゃ…」

 

 

○○はフラフラしながら歩きだす

 

 

「待って○○!」

 

 

必死に○○を止めるも、動きを止めず歩き続ける。

 

 

「呼んでる…あの人が…」

 

 

○○は空に浮き、飛び立った…その背中には、黒い羽根の様な物が見えた。

 

 

「○○…○○ーー!」

 

 

シオンの叫びは○○には届かなかった…

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、ホロワーツに居る人間全員が招集された。

 

 

「今日集まってもらったのは他でもない、昨日闇の魔力を感知した」

 

「闇の魔力とは?」

「魔法は4属性じゃないんですか?」

 

「ふむ、まずそこから説明しなければなるまい」

 

 

ホロワーツの責任者が全員に魔法の説明をした

元々魔法は火、水、風、木の4属性、そして光と闇の合計6属性があった。

だけど光と闇は少量の魔力でもあまりにも強過ぎる為、ホロワーツでは封印していたらしい。

その封印が少し前に破られたらしく、闇の契約書が紛失してしまった。

その事実を隠してはいたが、闇の魔力を確認してしまった手前隠し通す訳にもいかなくなったという。

 

 

 

 

「…そして、闇の魔力を纏った者を確認した、名は○○、これより○○を討伐対象にする」

 

「待って!何で○○を倒そうとするの?」

 

「あいつは闇の力を手にしたからだ、あの力はこの世に出してはならないのだ」

 

 

ホロワーツの上の人間は○○を頑なに倒そうとする、いくらあたしが言っても聞く耳を持たない。

 

 

「良いか、闇の魔力は4属性より強力になっている。生半可な魔法では太刀打ち出来ないと知れ!」

 

「なんで…○○…」

 

 

 

 

 

結局○○を討伐する事になってしまった、あたしは…どうすれば良いんだろう…?

 

 

「…!」

 

「ノーム…あんたも困るよね、契約主の○○が居なくなっちゃってさ…」

 

「…」

 

「大丈夫、○○はあたしが連れ戻すからさ、待ってて?」

 

「…!!」

 

 

 

 

 

○○…絶対連れ戻すからね…

 

 

 

 

 

 

「あんたが俺を呼んだのか」

 

「…」

 

「まぁ良いさ、あんたには感謝してる、この力さえあればシオンを守れるんだからな」

 

「…」

 

「あぁ、その代わりあんたの目的にも協力してやるよ、ただし…シオンだけは手出しさせないからな」

 

「…」

 

 

 

シオン…待ってろよ、俺が…守ってやるからな…

 

 

 

 

翌日、○○を討伐する為にホロワーツに居るほぼ全員が捜索に出た。

あたしはまだ捜索に出ていない、ノームと一緒に居る。

 

 

「…」

 

「ノーム…大丈夫だからね、絶対連れて帰るから」

 

「…!」

 

「うん、じゃああたしも行ってくるね」

 

 

 

ノームに別れを告げ、あたしも○○を探しに出た。

今回の捜索で全員に魔力探知機という代物が配られた、これは魔力の属性で識別する事が出来、黒い反応があるとそれが闇の魔力だという。

1時間程捜索したぐらいから魔力探知機に反応があった。

黒い反応だ、曰く○○が近くに居るという事になる。

あたしは不安だった、1人で○○を止めて連れ戻す事が出来るのかと。

中級魔法を唱えたのに○○は初級魔法で相殺する程の魔力にまで上がっている、いくらイフリートと契約して魔力が上がっても太刀打ち出来なかった。

上級魔法…使えなくはないけどきっと使わないとダメな状況になってしまうだろう。

 

 

 

 

「反応が近い…ここら辺かな」

 

 

付近を探すと、○○の後ろ姿を発見した。

しかしやはり禍々しい魔力を纏っており、後ろ姿だけでも昔の面影が消えつつあるのを悟ってしまった。

不意打ちでも魔法を放った方がいいのだろうか…

 

 

「…居るんだろシオン、隠れてないで出て来いよ」

 

「…何時から気付いてたの?」

 

「お前がノームと離れてから…かな」

 

 

○○の魔力感知能力も闇の魔力のせいなのか、かなり高まっているようだ。

ホロワーツからこの場所までは距離がある、その中で探れるという事は、つまりそういう事になる。

 

 

「そっか、じゃああたしがここに来た理由も分かるよね?」

 

「あぁ…」

 

 

○○は悲しげな表情であたしに手をかざす、あたしも…○○に手をかざしている。

 

 

「ねぇ○○、今ならまだ間に合うよ…そんな力捨てて帰ろう?この世界を平和にする為に頑張ろうよ…」

 

「シオン、この力があればさ…どんな奴にだって勝てるんだよ、この力さえあれば…父さんと母さんを殺した奴にだって勝てるんだよ…!」

 

 

○○は悲痛な表情であたしに訴えかけてきた。

 

 

「シオン、お前こそ俺の元に来いよ。これからは俺がずっと守ってやる、ようやく大事な人を守れる力が手に入ったんだ、俺はもう…お前を危険な目に遭わせたくないんだよ」

 

 

○○は少しずつ、こちらへ歩いてくる。

その表情はまるで何かに縋るようにも見える。

 

 

「…ファイアボール」

 

「…!」

 

 

あたしは○○の足元に詠唱破棄のファイアボールを撃った。

今の○○は、○○であって○○じゃない。

 

 

「ふざけないで…○○、アンタはあたしと一緒に世界を平和にしたかったんじゃないの!?あたしは…あんたに守られるだけの存在なの?ちょっと強くなったからって大口叩かないで!」

 

 

溜め込んでいたものが爆発したかのように○○を責めたてた、○○は静かに目を閉じた。

 

 

「…そうか、じゃあ仕方ないな。だったらこの力でもう一度お前より強くなったって事を証明するしか無いよな」

 

 

お互いにもう話し合いでは解決しない事を悟り、構えた。

 

 

「シオン、次こそ本気でこい。もう手加減はしない」

 

「…」

 

「いくぞ…深き闇よ、奪い、憎み、全てを喰らえ!」

 

「…爆炎よ、その身を焦がす炎と共に悪しき者を討ち滅ぼせ!」

 

 

○○はおそらく中級魔法、あたしはドラゴン戦でも使った上級魔法を詠唱する。

○○の魔力はどんどん黒くなっていく、もう木の魔力を感じられない程に。

 

 

「上級魔法か…それぐらいのやつなら…」

 

「…」

 

「せめて耐えてくれよ…?ネメシスジャベリン!」

 

「バカっ…プロミネンスノヴァァァ!」

 

 

○○の手から黒く染った無数の槍が、シオンの手から巨大な炎が龍の形になり○○へ向かう。

槍が炎の龍に当たる度に蒸発し、意味を為さない。

そのまま炎の龍は○○へ直撃する。

 

 

「ぐぅぅぅ…あぁぁぁぁぁぁ!」

 

「はぁぁぁぁぁぁ!」

 

 

魔法の放出が終わり、視界が開くと…○○は無傷だった。

シオンの上級魔法、プロミネンスノヴァでも○○には傷一つ付けることは叶わなかった。

 

 

「シオン、本気…だったんだよな?あの時よりも強化されてた上級魔法だ、疑いはしないよ。でもよ、こんなもんなのか?お前の力は」

 

「闇の魔力は…そんなに強力なんだね…そうだよ、これがあたしの本気。だから何…?嘲笑うつもり?」

 

「そんなつもりは無い、ただ…これではっきりしただろ?お前は俺に守られてれば良いんだ、俺が…世界を平和にしてやるから」

 

 

2度の敗北で圧倒的な力の差を見せつけられ、シオンはもう反論する気力さえも失っていた。

どうやっても○○に勝つ事が出来なくなっていたからだ。

しかし、手段が無い訳ではない。

あるにはあるのだ、だがそれを使う場合、シオンは間違いなく倒れる。

精霊との合体魔法、これが対抗策である。

本来はサラマンダーやノームといった精霊と、初級魔法や中級魔法の合体が一般的である。

例えば、サラマンダーとファイアボールでブレイズボールに、エクスプロードだとインフェルノになる。

ただし、原則上級魔法との合体は禁止されている。

精霊にも多大なる負荷がかかり、術者本人も危険にさらされるからだ。

だが、上位精霊のイフリートなら話は別である。

イフリートとの合体魔法なら上級魔法ですら耐えられる、術者本人の負担は変わらずくる為、上位精霊ですら制限をかける程になっている。

 

 

シオンは1つの考えを持っている、制限をかけられているイフリートと上級魔法の合体魔法を詠唱しようと…

先程既に上級魔法を詠唱してる状態で、上級魔法の合体魔法を詠唱するのはとても危険、倒れるどころか命の危険すらもある。

だがそこまでしなければ、○○を取り戻すのは不可能と考えていた。

 

 

 

 

 

「さぁ、行こうぜシオン…お前もあの人に会わせてやる、あの人はお前の事も気にかけてくれてるんだ」

 

「…」

 

「シオン?」

 

「……」

 

「…何だその魔力は、火の魔力が…どんどん上昇している?」

 

「…燃え盛れ、灼熱の炎…今ここに、その強さを顕現せよ!」

 

「!?」

 

「イフリート!」

 

 

 

シオンは諦めていなかった、最後の賭けでイフリートを召喚した。

という事はアレをするつもりなのだろうか…?

俺はもういい加減諦めて欲しかった、これ以上シオンに魔法を放つのも心が痛くなる。

 

 

「シオン…もう諦めろよ…」

 

「嫌、諦めない」

 

 

シオンの目はまだ諦めていない、だが俺もここでずっと油を売る訳にもいかない。

 

 

「アンタを助ける、それしか今は考えないから」

 

「はぁ…もういい加減」

 

 

そこまで言いかけた時、突然地響きがした。

 

 

「何!?」

 

「あー…始めちったか…アシッドレイン計画」

 

 

アシッドレイン計画、それは超広範囲に雨雲のようなものを出現させ、ネメシスジャベリンを降らせるというもの。

基本的に魔物しか狙わないから、人間には当たらない予定だ。

 

 

「○○、アンタ達何考えてるの…?」

 

「何って…魔物殲滅計画だよ、俺は早く平和な世界にして、お前と一緒に暮らしたい、それだけだよ」

 

「それならホロワーツでも」

 

「あそこじゃダメだ、それに…俺はこの力を手にした時あの人の計画にも手を貸すって約束したんだ」

 

「あの人って…誰…?」

 

「それは「それはこのボクの事だよ」!?」

 

 

○○の背後から突然人影が現れた、○○よりも禍々しい魔力を身に纏っており、姿はまるで…

 

 

「魔族…?」

 

「なんで来ちまったんだよ、ロボ子さん」

 

「あはは♪○○くんがあまりにも遅いからさぁ、迎えに来てあげたんじゃないか」

 

「○○…なんで魔族がここに…?」

 

 

魔族はドラゴンよりも戦闘力、魔力が共に高く、人間を毛嫌いしている種族だ。

 

 

「それは「それはボクがこの計画の首謀者だからさ」俺が喋る時に被せないでくれるか?」

 

「ずっと待ってても戻ってこないんだもん、ほら…早く行こうよ」

 

 

ロボ子と呼ばれる魔族は○○の腕に絡みつきながら話す、それをシオンに見せつけるように。

 

 

「アンタ!○○にくっつかないでよ!」

 

「何?この女…舐めた口きいてるとコロスヨ?」

 

 

ロボ子の言葉は重みがあり、殺意が込められていた。

 

 

「…っ!」

 

「ロボ子さんやめてくれ、あいつはシオンだ。前に話しただろ…?俺の彼女だ」

 

「このちんちくりんが?子供だよ?胸も無いし」

 

「あ?」

 

 

ロボ子に自分の容姿を馬鹿にされたシオンは即沸点を突破した、本人も少し自覚しているのだろうか、指摘されるのは好きではないようだ。

 

 

「シオン落ち着け、ロボ子さんも止めてくれ」

 

「ボクの方がカワイイし胸もあるし楽しめると思うんだけどなぁ…?それに○○くんタイプだし」

 

「…イフリート、あいつ倒すよ」

 

「…!」

 

「おいシオ「○○は黙ってて」ン…」

 

「いいねぇ♪○○くんの目の前でボクの強さを見せればあんな女の事なんて忘れてくれるに違いない!かかっておいでよ、チビ!」

 

 

俺は蚊帳の外になってしまった、だがどうやってもシオンに勝ち目は無い。

ロボ子さんは…俺より強い、この闇の魔力で強化されてても尚、勝てない。

 

 

「業炎よ、果てしなく燃えるその炎で全てを燃やし尽くせ…!そして…イフリート!エンチャント!」

 

「…!!」

 

 

シオンはエクスプロードの詠唱をし、イフリートの魔力をエクスプロードに込めた。

エクスプロードの炎はみるみる大きくなり、上級魔法に匹敵するであろう程までになっていた。

 

 

「へぇ…合体魔法か…でもそんなのボクには通用しないんだけどね♪」

 

「それはこれを食らってから言いなよ!インフェルノォォ!」

 

 

シオンは中級魔法とイフリートの合体魔法、インフェルノを詠唱しロボ子に向かって放った。

だがロボ子は涼しい顔をしながら、虫を払い除ける程度の力で払うとインフェルノは消えてしまっていた。

 

 

「う…そ…」

 

「お前つまんない、やっぱり○○くんはボクと居た方が幸せだなぁ♪」

 

「くっ…だったら上級魔法を…って…魔力が…!」

 

「シオン、流石のお前ももう魔力は無くなってるだろ。上級魔法に中級魔法とはいえ合体魔法を使ったんだ、無くならない方がおかしいんだよ」

 

「あはは♪じゃあここからは…ボクが痛めつける番だね」

 

 

ロボ子はそう言うとシオンの首を掴みあげた。

 

 

「がっ…はっ…」

 

「おいロボ子さん、シオンに手をあげるのは流石に許さないぞ」

 

「でもさぁ…ボクだって攻撃された訳だし、仕返しくらいはしたいんだよねぇ…」

 

 

ロボ子はシオンを掴んでる手の力を強める、シオンの顔はみるみる苦痛の表情に変わっていく。

 

 

「イビルショット!」

 

 

俺はたまらず詠唱破棄で魔法をロボ子に放った、ロボ子は躱すこと無くそのまま食らったが、勿論ダメージは無いだろう。

 

 

「…何のマネかな?○○くん」

 

「シオンは俺の大事な恋人だ、それ以上するなら容赦はしない」

 

「なんで…?ボクの方がコイツなんかよりずっと良いのに…コイツを消せばボクだけを見てくれるのかな…」

 

「かはっ…」

 

 

ロボ子の目が虚ろ目になりシオンを投げた、シオンは壁に激突し気を失った。

 

 

「シオン!」

 

「…消えちゃえ」

 

 

ロボ子の手から爪が伸び、シオンの腹を貫いた…

 

 

「シ…オン…?」

 

 

フラフラとシオンに近付く、ロボ子の腕からは血が、シオンの腹から血が溢れていた。

 

 

「シオン…目を開けてくれよ…」

 

「○○くん無駄だよ、もうそいつは助からないよ」

 

「ふざけんな…何でこんな事した!シオンは…関係無かったはずだ!俺はシオンには何もしないって言うから…」

 

「だってこいつが喧嘩売ってきたからさ…仕方ないよね」

 

「こいつ…!いや、先にシオンだ…今回復を…」

 

 

俺はロボ子に怒りを覚えたが、先にシオンの治療を優先させる。

 

 

「大地よ、その大いなる恵みで彼の者を癒せ!ヒール!」

 

 

回復魔法を唱えるが、魔法が出る気配が無い。

○○は知らなかった、自分の中に木の魔力が無くなってる事に。

既に闇の魔力しか身体に残って無い事に…

 

 

 

「何でだ…?どうしてヒールが使えない!?ヒール!ヒール!ヒール!」

 

「分からないの?木の魔法が使えないって事は、木の魔力が無いって事さ。○○くん、もう君は闇の魔法しか使えないんだよ…例え君がユグドラシルの生まれ変わりだとしてもね」

 

 

 

 

 




はい、まずは前編を読んでいただきありがとうございます。
一応ですね、区切りとしてはそこら辺なのかなぁ…?って思いながらでした。
1話完結にしてる手前、あんまり前後編に分けたくなかったのですが…読む時疲れちゃうだろうなぁ…って思ったので…
ではでは、後編ももしよろしければなのですm(_ _)m
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