もしもロボ子さん(達)とそんな関係だったら 作:バタースコッチ
もし読まれる際は前編からの方が内容は分かるかと思います。
ではでは、ごゆるりとm(_ _)m
今何て言った…?
俺が…ユグドラシルの生まれ変わり?
何を馬鹿げた事言ってるんだ?俺は人間だ、ちゃんと父さんと母さんも居た。
居たはずだ…
「ロボ子さん…何言ってるんだ?」
「あれ?もしかして記憶が無いの?君は大昔に消滅したユグドラシルの生まれ変わりなんだよ」
「ふざけるな!俺は人間だ!ドラゴンとの戦いだって血は出てた、赤い血がちゃんと出ていた!」
「そのドラゴンとの戦いが引き金だったんだよ、○○くん。ドラゴンはね、戦闘力が異常に高いんだ。例え防御魔法を使ってたとしても直撃すればまず無事では済まない、あいつらは魔法を一部無効化出来るからね。それなのに君は生きてた、多分そこでユグドラシルの力が目覚めたんだろうね」
ロボ子の説明を聞いてもイマイチピンとこなかった、だが…確かにあの時は不思議だった。
攻撃魔法が使えないはずなのに使えるようになったし、身体中ボロボロで血も足らなかったはずだ。
それでも生きてた、最初は救護班が必死になってくれたと思っていた、だけど…ユグドラシルは木の最上位の精霊、その魔力があれば傷なんてすぐ塞がるだろう。
「それに、今なら多分もう血は出ないよ。試してみるかい?」
ロボ子は爪を伸ばしながらこちらへ歩みを進める、既に壁際に居る為逃げ場は無い。
「足掻きでも…やらないよりはマシだ!憎悪の闇よ、喰らい、砕き、無に帰せ…!」
俺は詠唱の速い初級魔法を詠唱する、ロボ子のスピードは速い、おそらく間に合わないだろう。
それでも、何もしないでやられるよりはマシだと思った。
「イビル「だから遅いってば」ショッ…」
俺の身体をロボ子が爪で切り裂いた、しかし不思議な事に血が出ない。
俺の身体は本当に…人間じゃ無くなってしまったらしい。
「…」
「ね?これで分かったでしょ?君はもう人間じゃない、精霊ユグドラシルなんだよ」
俺に出来た傷から血は出なく、魔力が漏れ出ていた。
「○…○…」
「…!?シオン…?」
振り返ると、シオンは呼吸が荒くも俺をしっかり見ていた。
「ごめんシオン…俺、もう人間じゃないみたいだ。精霊に…なっちまったみたいだ」
「…そっか」
「それに、木の魔力が無くなってる…お前の傷を塞ぎたくても…塞げないんだ」
「いいよ…大丈夫…あたしこそごめん、もっと…○○を見てれば良かった…悩んでる事に気付けてあげれば…」
シオンは喋るのも辛いはずなのに、涙を流しながら俺に謝る。
シオンは悪くない、悪いのは…俺だ、意志が弱い俺だ…
「お涙頂戴の展開なんてボク要らないんだけど、それにまだ息あったんだ…今度こそ息の根を止めてあげるよ」
「…うるさい」
「?」
「そろそろ黙ってくれ…俺は今、シオンと喋ってるんだ」
一際低い声で呟いた、そしてロボ子につけられた傷が塞がり始めていた。
「○○…傷が…ガハッ…」
「シオン!」
「ボク忘れられてる…?まぁ良いか、どうせもう死ぬし」
「あはは…もうダメかもね、あたし」
「諦めるな!俺が…俺が何とかしてやるから!」
シオンは自分の死期を悟ったのだろう…
「あーあ…○○ともっと一緒に居たかったなぁ…アンタがさ、あたしに言った恥ずかしい告白だって今でも覚えてるんだから…」
「…何で今そんな事言うんだよ」
「世界が平和になってさ、一緒にデートなんかしちゃってさ…それで…それでね…?」
「もういいシオン…もう喋るな、傷に響く…」
「だけどそれももう叶わないなんてね…それに、○○に負けて終わるなんてなぁ…」
シオンから次々と叶えたい事や悔しさが滲み出る言葉を聞く、○○はただただそれを聞いて涙を流す。
「そうだよシオン、俺に負けて悔しくないのか?強くなって俺を見返してみろよ…!」
「無理だよ、もう…時間が無いから…だから…最後に伝えておくね…」
シオンの息が更に上がる、しかしそれでも笑顔を○○に向ける。
「あたしは…○○が大好き、ずっと…ずっと大好きだよ」
「シオン…!」
「闇の魔力に…負けちゃダメだよ…?あんたは…木の魔法使いなんだから…!」
「…!」
「もっと…顔見せて…?」
シオンの願いを聞くように俺は、顔を近付ける。
シオンの表情は痛みに耐えながらも笑顔だった…
「シオ」
俺の言葉はそれ以上出なかった、シオンからキスをされた。
告白してから付き合うようになったが、1度もキスをした事が無かった。
そのキスを今された、初めてのキスは…血の味がした。
「…えへへ、あたしのファーストキス…大事にしてよね?」
シオンはその言葉を最後に、目を閉じた。
身体は、冷たくなっていった…
「シオン…?おい、目を開けてくれよ…シオン!」
「…もう良い?ここまで待ってあげるボク偉いよね?」
○○の叫びはシオンに届かない…
シオンの身体を抱きながら、○○は涙を流し続けた。
「シオン…お前の分まで、俺頑張るから…!だから…見ていてくれ」
○○はロボ子を真っ直ぐ見る、その目は決意に満ちていた。
「やっとこっち向いてくれたねって…ボクと戦る気なんだね。ボク、好きな人でも容赦しないよ」
「…上等だ」
俺の中に流れている魔力は闇の魔力、木の魔力は消滅してしまっている。
だが…仮に闇の魔力を使い果たしたらどうなるだろうか?
俺は精霊ユグドラシル、木の精霊だ。
闇の魔力が無くなれば…少しずつとはいえ木の魔力が戻るのでは無いだろうか?と、俺は考えた。
一歩間違えれば…そのまま俺はロボ子に殺されるだろう、だけど…少しでも可能性があるなら…俺はそれに賭けたい。
「一撃で終わらせる…!殺意と破壊に満ちた大いなる闇よ…全てを憎み、全てを拒絶し、怨敵を絶望の彼方へ…!」
俺は闇の魔法の上級魔法を詠唱する、この魔法で全ての魔力を込める。
ロボ子も何かを詠唱しているようだが、小声過ぎて聞こえない。
「これで…終わりだ!ディザスター!」
「ふふっ♪ディスペル♪」
俺の手から上級魔法が発動する…はずが、何も出なかった。
ロボ子が唱えた魔法が関係しているのだろうか。
「…!?魔法が出ない…?」
「驚くのも無理は無いね、ボクが唱えたのは魔法を無効化させる魔法ディスペル、ちょっと多く魔力を使うんだけど対象の魔法をボクの実力以下のを無効化出来るんだよね」
魔法を無効化する魔法なんて初めて聞いた、そしてディザスターを無効化させたという事は…俺の上級魔法でもロボ子には届かない事を意味した。
「ぐっ…」
身体がよろけ、片膝をつく、しかしこれで魔力を全て使い果たした。
思惑通り、ほんの少しずつだが木の魔力が回復してきた。
普通の人間だったらまず有り得ない事だが、それが実現出来るのは俺が精霊だからだろうか…?
「…○○くん、わざと魔力を使い切ったね?せっかくの闇の魔力から木の魔力に変わってる」
「…だからどうした、俺は…もうそんな力には頼らない。ここからは…俺の力でお前を倒す」
「ははっ♪言ってくれるねぇ…闇を捨てた君なんてもう興味は無いよ、ここで死んじゃえ」
ロボ子の目つきがシオンを見ている時のような冷酷な目に変わる。
完全に敵と認識したようだ。
「君は魔法で苦しめるんじゃなくて、この手で直接傷付けてあげるよ。」
「お前を倒す…!」
ロボ子の爪が俺に襲いかかる、スピードが速過ぎる為少しずつ傷が増えていく。
そして傷が出来る度に傷口から魔力が漏れ、思うように魔力の回復が出来ない。
「ぐっ…うぅ…」
「威勢は最初だけかい?ほらほら!」
ロボ子のスピードは更に上がる、そしてとうとう○○の胸をその爪が貫く。
「ぁ…」
「これで終わりだよ」
しかし○○は諦めなかった、胸を貫いている腕を掴み、小声で詠唱を始める。
「大いなる…恵みを司る地母神よ…我が身を糧に…癒しと…赦しを…与えたまえ…!ぐぅぅ…」
俺は新しい魔法を詠唱する、この魔法は禁忌とされている魔法…膨大な魔力を引き換えに発動する。
故に…俺は自らの命を、魔力に変換している。
「○○くん…君はどんな魔法を詠唱してるか分かってるの?その魔法は…!」
「あぁ…分かってるさ…これを唱えれば…もう俺は助からない、お前を道連れに出来るなら…本望さ」
俺の身体が徐々に光り輝いていく、ロボ子の顔には焦りが見える。
「シオン…今、呼び戻してやるからな…」
「や、止めろ…それを唱えるな…!その魔法はディスペルも効かないんだぞ!?」
「シオン、俺の分まで生きてくれな…ジェネシス…」
ここは何処だろう…?
あたしは…確かイフリートとの合体魔法をして…あの女に負けたんだ。
そしてあたしは…○○の腕の中で…
「思えば○○と付き合うようになったのに、恋人らしい事しなかったなぁ…ずっと魔法の練習に明け暮れてたし。だからこそ○○の気持ちに気付けなかったのかもね」
少しでも○○との時間を作ってれば、○○は闇の魔力に手を染めなかったかもと思うと、あたしの胸は苦しくなるばかりだった。
「○○が精霊だったのもまた驚いたけどね…って、あたし精霊とキスしちゃったって事…?」
(シオン…)
「誰…?」
不意にあたしを呼ぶ声が聞こえる
ここはあたししか見当たらないのに
(シオン…俺だ…○○だ…)
「○○!?どこ?どこに居るの?」
声の正体が○○と分かり周りを見渡すも、やはり誰も居ない。
(すまん、時間が無いから簡潔に言う。俺がロボ子さんを弱体化させるから、お前がトドメを刺してくれ。)
「弱体化?何言ってるの…?あたしはもう…」
(大丈夫だ、俺が何とかしてやるって言ったろ…?ただ、ロボ子さんを倒す事は叶わなかったからそれをお前に頼みたい。今ならお前の魔法もちゃんと効くから…頼んだぞ)
「待ってよ!もっとちゃんと説明してよ!」
(最後に…お前にある魔法を授ける。魔力の事は心配しなくていい、この魔法で…ロボ子さんを倒してくれ)
「○○…」
(………この魔法できっと倒せる、どんな事があっても動揺せず、その魔法をぶつけるんだ、良いな…?俺は近くで見守ってるからな)
「それどういう意味…?ねぇ!?」
(愛してるぞ、シオン)
「○○!○○ーーー!」
「やめろ…やめろ…!こんな近くでそんな命に溢れる魔法を使うな!」
「もう…遅い…!この魔法でお前は…酷く弱体化するはずだ…俺の役目は…ここまでだな…」
「くっそぉぉぉぉぉぉ!」
ロボ子は強引に腕を引き抜く、○○は魔法を使った後で力が入らない。
「ぐっ…うぅ…」
「許さない…許さないよ○○…でもまぁ、もうボクが手を下さなくても勝手に消えるか」
引き抜かれた傷痕からは魔力が溢れ出る
「あぁ、俺は消えるさ…俺はお前を倒せない、そう…俺は、な…」
「?何を言って」
「後は頼んだぞ…シオン…」
○○はそう言い残し、消滅した。
そして消滅した先に見えるのは、傷が塞がり立っているシオンだった。
「なっ…どうして!?確かにお前はあの時」
「確かにあたしは死んだよ、でもね…○○が助けてくれた、文字通り命を懸けて、あたしを救ってくれた」
シオンの目には涙が溜まっていた、今にも溢れ出るくらいに。
それでも流さないのは、○○が作ってくれたチャンスを無駄にしたくなかったからだ。
「だったらもう一度殺してあげるよ!」
ロボ子は爪を伸ばしシオンに襲う、しかし…
「プロミネンスノヴァ!」
「ぎゃぁぁぁぁ!」
シオンは詠唱破棄で上級魔法を放った、本来詠唱破棄した魔法は威力が格段に落ちるのだが、シオンが放った魔法は落ちるどころか数段上がっている。
「本当に効いてるんだ、○○…ありがとう…」
「ちくしょう…ちくしょう…!」
「…もう終わらせよう、こんな戦い」
「ボクの方が強いんだ…!こんなクソガキに負けるはず無いんだぁぁぁぁぁ!」
ロボ子は狂ったように叫び、魔力を全解放して襲いかかる。
「哀れだよ…アンタ。万物を統べし万能の神の力よ…創り、壊し、幾度と繰り返す輪廻より解き放て…!」
「うあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
「さよなら…ビッグバン!」
シオンが魔法を放った瞬間、辺り一面が消し飛んだ。
建物も、木々も、全て…上空にある雲もまた…消滅した。
これによりアシッドレイン計画は消える、世界は…一時の平穏を送ることになる。
「あ…あぁ…ボクは…つよ…い…」
辛うじて肉体を保っていたロボ子も、最後まで言葉を紡げずに消滅した。
「これで…終わったのかな…○○…」
シオンは静かに、涙を流していた。
その涙が意味するのは、何なのか…誰にも分からない…
「紫咲シオン、そなたは魔族を討ち倒し、街を守った事をここに評する。よくやった」
価値の無い紙切れを渡されると、周りから拍手や賞賛の声が聞こえてきた。
そんな事されてもあたしの心は晴れないというのに。
あの日の事はきっと忘れられない、目の前で○○が消滅した。
ロボ子を倒してから、あちこち探し回った。
しかしどこにも○○は居なかった、本当にこの世から消えてしまったのだ。
その事実だけで、シオンの心が砕けるには十分だった。
他の魔法使いから声をかけられるも、言葉は耳に入らない。
まるで抜け殻になってしまったかのようだった。
「…!」
「ノーム…ごめん、○○…助けられなかった。目の前で…消えちゃったよ…!」
ノームを抱き締めながら、自分を責めるように泣いていた。
連れ戻すと言ったのに、連れ戻せなかった…
部屋に戻ると、何時もみたいに○○が迎えてくれる気がしてた。
でも現実は…そうはいかない、○○は消えたのだから。
○○は…死んだのだから。
「○○…○○…!」
シオンは○○のベッドで、○○の布団にしがみつきながら寝落ちた。
(シオン…)
あの時と同じ声が聞こえる
(シオン…よくやってくれた、ロボ子さんは魔族の中でも高位の存在だったらしい、暫くはまた平和が続くだろう)
「○○…でもアンタは…」
(大丈夫だ、俺はシオンの傍に居る。ずっと一緒に居るから)
「○○…」
(さぁ、そろそろお別れだ。またな、シオン)
「うん…またね…」
目を覚ますとノームが心配そうに覗き込んでいた、かなりの時間寝ていたのか、辺りは暗くなっていた。
「…ノーム、ちょっとついてきて」
あたしはノームを連れて、あの場所へ向かった。
あたしとロボ子が激突し、○○が消えたあの場所へ…
「…ここだよノーム、ここで…あたし達は戦ったんだ」
「…!」
「ここでね?○○は…消えちゃったんだ…あたしの目の前で…消えちゃったんだよ…」
ノームに説明をしていく度に、涙が止まらなくなる。
あの戦いから数日経った今でも、記憶が鮮明に残っている。
「○○…会いたいよ…!」
「…!…!」
横でノームが飛び跳ねている、何をそんなにはしゃいでいるのか。
「ノーム…どうした…の…」
あたしは言葉を失った、そこに居たのは…○○だった。
あの時消滅した、○○が目の前に居た。
「な…んで…?」
「おいおい…俺が居ちゃダメなのか?シオン、せっかく戻ってこれたのに」
「…!」
ノームは○○に飛びついた、○○はしっかりとノームを受け止め、そこに実在する事を証明した。
「ノーム、悪かったな…寂しかったろ?」
「…!…!」
ノームは震えながら○○を抱き締めていた
「よしよし、ノームは素直だなぁ…」
○○はノームを宥めながらシオンを見る。
「…別に寂しくなんかなかったもん」
「○○…会いたいよ…!って言ってたのにか?」
○○は黒い笑いをしながらシオンに詰め寄る。
「〜!ファイアボール!」
「どわっ!?ノームに当たったらどうするんだよ!?」
「うるさい!エクスプロード!」
「おま…止めろって!?命ある大地よ、湧き上がる力で脅威からの守りを!エナジーウォール!」
シオンの連続詠唱破棄をくぐり抜け、中級魔法を中級防御魔法で防いだ。
「お前なぁ「バカ!どれだけ心配させれば気が済むの!」!?」
魔法を防ぐと、シオンは俺の胸に顔を埋めた。
その力は弱々しく、身体は震えていた。
「…ごめんな、肉体を再構築するのに時間かかっちまってな。本当は直ぐにでもお前の前に出たかったけど」
「うっ…うぅ…」
「もう離れないから、ずっと一緒に居る。言ったろ?傍に居るって」
シオンを抱き締め、後ろ髪を撫でる。
シオンはずっと、ずっと…泣いていた。
「…」
「落ち着いたか?」
俺の問いにシオンは頷いた、涙も止まっている。
ノームは俺の隣で正座している。
「まず、俺が復活出来た理由だが…俺は精霊ユグドラシルの生まれ変わりらしい、そのおかげなのか死んでもこうやって時間をかけて復活出来るようになったんだ。まぁ…俺は実感無いんだけどな」
「…」
「そして俺があの時教えた魔法…アレは…木の魔力と、俺の命を込めた唯一無二の魔法、爆裂魔法だ。あの時詠唱口上を伝えた時に、俺の魔力を一部分け与えた結果アレが使えたって訳だ」
俺が説明している最中、シオンはずっと下を向いていた。
無理も無いか、俺は人間じゃないし、目の前で1回死んでるし。
その後、シオンと俺はお互いの情報交換のような事をした。
俺が闇の魔力に染まった後の事、俺が消滅した後の事、色々と。
ホロワーツでの俺の扱いは戦死扱いになっているらしい。
その方が俺的にも都合は良い、このまま消えていた方が俺は行動しやすい。
「…さて、情報も集まったしそろそろ行くかな」
「行くって…どこに?」
「ん?俺は木の精霊だからなぁ…即ち大地に関連してる訳だ。まずは色んなとこに行って魔物や魔族が今どんな事になってるか知らなくちゃいけない」
「ならあたしも」
「お前はダメだ」
シオンは俺に同行しようとしたが、俺はそれを拒絶する。
「…何で?」
「俺の調査はどのくらいの時間がかかるか分からない、1年で済むかもだし、数十年かかるかもしれない。その間だって魔物や魔族は襲ってくる、そんな状況でお前を連れては行けない。お荷物だからって訳じゃない、お前を…愛してるからだ。愛してるからこそ…一緒に来て欲しく無いんだよ」
「だったら…あたしを試してよ、○○の旅に邪魔になるのかどうか」
「シオン…」
シオンの目は絶対退かないと言わんばかりだった。
俺は…そんなシオンの気持ちを汲むしか無かった。
「分かったよ…幸いここなら被害も出ないだろう…ノーム、ちょっと離れててくれ。危ないからな…」
「…!」
ノームを避難させ、2人は距離をとる。
シオンは本気で一緒に来る気だ、そんな事だけは…避けなくてはならない。
「それじゃいくぞ…?これを超えなきゃ…お前は絶対連れて行けない。大自然よ…その怒りの息吹をもって悪しき者を無に還せ…!」
「上等だよ!燃え盛れ…灼熱の炎…!今ここにその強さを顕現せよ!イフリート!」
「…!」
シオンはイフリートを召喚した、本気で…一緒に…
「爆炎よ、その身を焦がす炎と共に悪しき者を討ち滅ぼせ…!イフリート!エンチャント!」
「上級魔法をエンチャント…!?お前…!?」
「ここまでしないと…アンタを倒せないからね!」
シオンの本気、しかと見た…!
だが勝つのは…
「俺自身の魔法…負けられないよなぁ!ユグドラシル!」
「アンタに勝って…一緒に行くんだ!クリムゾン・ノヴァ!」
ユグドラシルと、イフリートと上級魔法の合体魔法、クリムゾン・ノヴァがぶつかる。
名前の通りまるで太陽のような熱量を持っていた。
ユグドラシルの大樹が、どんどん焼かれていく。
「…っ!やっぱり属性相性最悪じゃねぇか…!」
「はぁぁぁぁぁぁ!」
シオンは全力でぶつかってくれている、なら俺もそれに応えなくてはならない。
「俺も全力でいかないとな…!ユグドラシル!モードイージス!」
ユグドラシルの形態が変わり、○○の身に纏う。
モードイージスは、その名の通り防御形態。
身に纏う事で絶大な防御力を誇る。
「このモードイージスを突破出来れば、シオン…お前を連れて行ってやるよ!」
「言ったな?だったら…イフリート!あたしの魔力全部持っていけ!この一撃に全てを込める!」
「…!!」
シオンの呼びかけにイフリートは応え、合体魔法は更に威力を強める。
そのパワーにユグドラシル・モードイージスにヒビが入る。
「…!?モードイージスが…」
「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
俺は負けた、絶対の防御を誇るモードイージスを破られた。
シオンは立っているだけでやっとのようだ、本当に全ての魔力を込めたらしい。
「はぁ…はぁ…」
「シオン…お前…無茶するなぁ…」
「はぁ…これで…一緒…に…」
シオンはそこで倒れ込む、俺はフラフラな中シオンを抱き寄せる。
シオンは気を失ったようだ。
「バカ野郎…ここまで無茶するかよ普通…なぁ?ノーム…」
「…?」
「ん…」
「気が付いたか?」
「○○…あたし…」
「勝負はお前の勝ちだよ、シオン…約束通り連れて行くよ」
俺も手を抜いていた訳では無いが、まさか負けるとは微塵も思わなかった為軽くショックを受けている。
「えへへ…じゃあ今すぐ準備して」
「いいや、先にまずは休め。俺がホロワーツまで送ってやるから」
シオンは無理に起きようとするも、俺がそれを止める。
無理を重ねさせるのも悪いと思ったからだ。
「ありがと…」
「いいよ別に、1つ聞かせてくれよ。俺のユグドラシル・モードイージスは絶大な防御を誇ってる、それを何で突破出来たんだ…?」
俺は純粋な疑問をぶつけてみた、しかし返ってきた答えはシンプルだった。
「そんな事も分からないの…?アンタを想う気持ちがあったから、だよ。人はね、想いがあればどんなに強い敵にだって立ち向かえるんだよ。そして、試練を乗り越える事だって…ね?」
翌日早朝
「準備は出来たか?シオン」
「うん、もう平気」
俺達は人目につかないようにする為、早朝に出発する事にした。
俺は所謂幽霊的な扱いになる為、ここの人間に見られるのは非常に不味い。
「書き置きとかしたのか?」
「あたしが他の人間と絡んでた事ある?」
「…無いな」
「じゃあ、とっとと行くよ、○○」
シオンは先に歩く、行き先を知ってるのは俺なのに。
「おい待てよシオン、あんまり離れるなよ」
ドラゴンと戦ったり、闇の魔力に取り憑かれたり、魔族と戦ったりと、現実味が無い事ばかり起きてるが…全て現実だ。
シオンは俺との勝負に勝ち、同行する。
実力はあるんだ、だから心配はしてないが…
シオンはここ最近で大人になってきてる気がする、それでも…まだ俺がお守りする事が多いだろうな。
ずっと、ずっと…俺はもう二度とシオンの傍を離れない、この身が滅びようとも…
「あー…○○、眠いからおんぶ」
「…」
やっぱりすやシオンだよなぁ…
読んでいただきありがとうございます。
いかがだったでしょうか…?
今回初めて主人公を悪役に最初起用してみました。
もちろん賛否両論あると思うのでアレなのですが…
もしかしたらまた、別のお話で主人公が悪役のパターンを書くかも…しれません。
あくまでかもなので、断言出来ませんが…
ではでは、また次のお話まで失礼しますm(_ _)m