もしもロボ子さん(達)とそんな関係だったら 作:バタースコッチ
今回の話は、ロボ子さん…そして、誕生日でございます!
ロボ子さんお誕生日おめでとうございます!
という訳で、小説書きました。
今回の文字数は12000文字オーバーです、そして前回の話と違い分けてはおりません。
1話で投稿させていただきました。
ではでは、もし宜しければ一緒にロボ子さんをお祝いしていただければ幸いです、ごゆるりと…m(_ _)m
一家に一体ロボットがあるこの時代、俺は一人暮らしを始める。
ロボットと言っても色々なロボットがいる、基本はお手伝いロボットが多いが、中にはゲーム専門や勉強専門のロボットも居るらしい。
だがそういう機能もお手伝いロボットには搭載されている、専門ロボットの方が機能は多いが…
一人暮らしを始めるに伴い政府からお達しがあり、ロボットを購入しろという内容だった。
だが俺はあまりお金が無い、家賃とかを考えると高いロボットは買えない。
必ず購入しないといけないのがまた面倒くさい、法律にまでされているのだから厄介だ。
一応、安めのロボットもあるにはある。
俺みたいに貧乏な人間にもロボットを持てるように…
ロボットショップに着く、ここには高いロボットだと億を越える値段のもあるらしい。
それが買えるのはかなりの富豪ぐらいだろうか?
一般人は高くても500万とかが妥当だろう、俺はそれすらも出せないが…
安いロボットでも70万程する、このご時世の1人に対する給料は110万、節約すれば全然いけるだろう…と思うが、物価も高い。
昔は800円ぐらいあればそれなりの食事が出来、腹も満たされていたが今は最低でも3000円無いと満たされないレベルだ。
この物価上昇の原因は…やはり環境変化だろう。
ミカドウィルスと呼ばれる病原菌が出現した事により、牛や豚、作物類へ甚大な被害が出てるのが原因となっている。
ミカドウィルスに感染すると、動物は暴れまわり共食いを始める。
作物に関しては味の品質が極端に落ち、酷いものは3日経たない内に腐ってしまう。
電化製品にもミカドウィルスは害をもたらす…一度感染すれば最後、電化製品から個人情報がばら撒かれる。
一応それぞれ作物や電化製品には、ワクチンを入れてあるのがあるが、ワクチン入りの作物や電化製品は割高になっている。
ワクチンが入ってない物は安いが。
「いらっしゃい、どんなロボットをお探しで?」
店に入ると店主が聞いてくる、俺は安めのロボットを探してる事を伝えると店主は苦い顔をした。
「申し訳無いが、今ここにあるロボットで安いのは無いんだ。あるとしたら…こいつぐらいか、しかしこいつはポンコツだぞ?役立たずも良いとこだ。こいつで良いなら10万で売るが…こっちも処分に困ってるからな、買ってくれるならこれぐらい安くするさ」
役立たずだろうとロボットを10万で買えると聞いた俺は即決でそのロボットを購入した。
購入したロボットは人型で、分類的にはお手伝いロボットらしい。
そして、女の子のロボット…俺の好みではあるがロボットなのでそういう気持ちは湧かない。
「ふぅ…そんな重くは無いけどアパートまで運ぶのはやはり骨が折れるな…」
てっきりアパートまで運んでくれるのかと思ったが、店主は
「そこまで面倒は見れんよ、安く売るだけで勘弁してくれ」
だそうだ…
その為、俺が1人でロボットを背負って帰ってきたという訳だ。
「さて、起動させるか…えっと…?まず人型のロボットは首の後ろにボタンがあります、それを押しながら真正面から抱きしめれば起動します…?何で抱きしめなきゃいけないんだ…?」
別に後ろのボタンだけ押せば起動するようなシステムにしておけば良かったのでは無いかとかこの時の俺は思ってしまった。
「はぁ、じゃあ仕方ないからこれの通りにするか…ボタンを押しながら…抱き締めると…」
手順を踏んで起動させてみる、すると何故かロボットは抱き締め返してきた。
これがロボットの反応なのか少し困ってしまったのは内緒だ。
「え、えぇと…」
「初めまして!ボクの名前はロボ子!元々ロボ子さんって名前だったんだけど、皆さん付けしなくなったんだ…あぁでも、さん付けしてくれると嬉しいなぁ…?」
ロボットは起動するとペラペラと喋っていた、とりあえず名前がロボ子って事だけは把握出来た。
「それで、君の事は何て呼べば良いのかな?」
「普通に○○で良いよ」
一瞬顔が少し幼く見えたせいでお兄ちゃんやにぃに呼びを思いついたが、何となく危ない気配を感じたので控えた。
しかし、メガネをかけてて?ネコ耳生えてて?ボク呼びで?属性多過ぎないか…?
「それじゃ○○くん!ボクの最初のお仕事は?」
ロボ子はやる気満々で俺に仕事を聞いてきた、まずはロボ子の仕事の出来栄えが知りたい俺は
「んじゃ飯がまだだったから、飯作ってくれ」
生活に大事な料理を頼んでみた、この結果によって俺の今後の生活が変わると言っても過言では無い。
「分かった!ちょっと待ってて?何かリクエストある?」
「んー、んじゃ卵焼きで」
無難に卵焼きをチョイスした、形が悪かろうとも大抵は上手く作れる。そう、大抵は…
10分後
「お待たせー!卵焼き出来たよ!」
「お、出来たか、どれどれ…!?」
ロボ子が持ってきたのは、黒焦げになった何かだった。
何をどうしたらこんな可哀想な物になってしまうのか…
「なぁロボ子」
「んー?」
「これ、何?」
「卵焼きだよ?」
「焦げてるどころか、判別出来ないんだけど…」
俺は堪らず指摘した、どこからどう見ても卵焼きには見えず、言い方悪いがダークマターに近いのでは無いか…?と思うぐらいの物だった。
「料理は見た目じゃなくて味だよ?○○くん!ほら、食べて食べて?」
ロボ子は純粋なのだろうか、卵焼き(らしい)を食べるよう勧めてくる、しかし俺はその見た目をどうしても意識してしまい、食べる事が出来ない。
するとロボ子はある行動をとった。
「分かった!○○くん1人で食べれないんだね、じゃあボクが食べさせてあげる♪」
突拍子も無い事を言い、卵焼き(ダークマター)を箸で掴み俺の口に運んできた。
あーん状態だ…
「待てロボ子、違うそうじゃない…」
俺の抵抗は虚しく、ダークマター(卵焼き)は俺の口へと押し込まれた。
結果から言おう、クッソ苦い…というか何故か辛味がある。
卵焼きに辛味はあっただろうか…?否、無い…
このロボット、どこかおかしい…
店主が超格安で売るのも何となく分かるかもしれない…
食事で酷い目に遭った俺は、ロボ子に部屋の片付けを頼み、1人牛丼屋に行った。
リーズナブルな価格で定評のある牛丼屋でさえ、やはり2000円程してしまう。
昔は500円や700円で食べれたというのに…
アパートに戻り、ドアを開ける。
すると部屋の中には何も無かった、そう…何も無かった…
「あ、おかえり○○くん!お片付けしておいたよ♪」
ロボ子は笑顔で言うが、俺の顔は引きつっていた。
当たり前だろう、部屋の片付けを頼んだはずなのに、本当の片付けになってしまったのだから。
普通ならゴミ掃除とかが関の山…家具家電まで片付ける事があるだろうか?
「ロボ子…冷蔵庫とかどうしたんだ?」
「え?業者さんに頼んで持って行ってもらったよ?」
「…」
絶句した、もうこいつに頼むのは止めた方が良いのかもしれない。
あまりにもポンコツ過ぎて辛い、これじゃ居ない方がマシだ…
「次は何する?○○くん」
「…いい」
「んー?」
「もういいって言ったんだよ!」
「っ!」
俺はつい声を荒げてしまった、ロボ子は自分に課せられた命令を実行しただけなのに。
それでも、今の俺は…
「出て行け」
「え…?」
「この部屋から…出て行け!」
頭に血が上っていた、俺は…ロボ子を追い出した。
ドンッドンッ「○○くん!開けてよ!ボク謝るから!ねぇ!」
暫くドアを叩く音と共にロボ子の叫びも聞こえていたが、程なくして音が止んだ、気配も消えている。
本当に大失敗だった、いくら安くてもあそこまでポンコツだと流石に扱えない。
俺は翌日改めてロボットを買いに行くことにした。
翌日
「いらっしゃ…って、あんたかい…どうした?」
俺は昨日買いに行ったロボットショップに来た、もう多少高くてもちゃんとしたロボットを買う為だ。
「あのロボットはダメだったわ、だから新しいの欲しいんだが」
「おいおい…1日で手放すか?まぁ良いが、ちゃんと停止させたんだろうな?」
「いや、してないけど…」
店主が言うには、ロボ子のタイプは主が居なくなると暴走するらしい、それが欠陥の1つでもあるとか…
止める方法は起動する時より恥ずかしく、首の後ろのボタンを押しながらキスするのだそうだ。
これ異性型のロボットじゃなく、同性型だった場合地獄なのではなかろうか…?異性型でもキツいものはあるが…
尚、止めないまま放っておくとミカドウィルスより厄介な事になるらしい…
「ったく…あの店主とんでもな奴を売りつけやがって…」
俺はロボ子を探し走り回っていた、ミカドウィルスより厄介となると…政府に捕まった時俺の立場が危うくなる。
中には暴走したロボットを取り締まる組織があるらしく、暴走させた主は罰されるらしい。
そんな人生は真っ平御免だ、だから早く見つけなければいけない。
「そういえば俺ロボ子が居るような場所知らないわ…どうするかな…」
昨日買ったばかりだったし、ロボ子とまともに喋った事は無かった。
その為どういう行動をとるのかさっぱり分からなかった。
「ダメだ、見つからない…一旦帰るか…」
俺は諦めて一度アパートに戻る事にした、このまま探し続けても手がかりが無い為だ。
辺りが暗くなり、アパートに戻ると人影が見えた。
「あ…」
「ロボ子…」
ロボ子がドアの前で座り込んでいた、身体中泥に塗れていて汚れていた。
「○○くん…」
「どこ行ってたんだよ、心配したぞ」
「だって…ボク…」
「良いから、入れよ」
落ち込むロボ子を部屋に入れる、ロボ子はずっと下を向いていた。
「○○くん、あのね…?」
「ほら」
ロボ子が何か言おうとしたが、俺はそれを遮るようにお風呂セットを渡した。
「あの…これ…」
「入ってこいよ、まずはそれから」
「う、うん」
まずは汚れた状態のを何とかしなければいけない、だから風呂に入るよう勧めた。
ロボットが風呂?と思うのも無理は無い、だが説明書に書いてある。
このロボットは風呂に入れます、身に付けているパーツも洗えます。
乾燥機は使わないでください、水洗い、天日干しでのみ可能です。
人間の洋服を着せる事も可能です、そこはご本人でご購入ください。
だそうだ、水洗いと天日干しのみって…繊細なんだな…
「…ただいま」
30分後、ロボ子が風呂から上がってきた。
とりあえず俺のお古のジャージを着てもらっている、だが俺のが大きいせいか、ダボダボになっている。
不覚にもドキッとしてしまった、相手はロボットなのに…
「ん、とりあえずはそれで我慢してくれ。後で何か買ってくるから」
「ありがとう、○○くん。でも何でボクを見ないで話してるの?」
そう、俺はロボ子をまともに見れないでいた。
直視したらマズい気がした。
「ねぇ、どうして?」
ロボ子は這うように俺の元へ歩み寄る、俺はそれを後退りするが、直ぐに壁にぶつかった。
「ちょ、ロボ子それ以上は…」
「何で?」
「な、何でもだよ!」
俺はヤケ気味に叫んだ、ロボ子はキョトンとしたままだった。
その後、ロボ子は俺に謝ってきた。
料理の件、そして掃除の件…
ロボ子も自分がポンコツな事は薄々気付いていたらしい、それでも俺からの命令が嬉しくて頑張ったそうだ。
俺も冷静になって話し合いが出来た、ロボ子は自分を停止させるように求めてきたが、ロボットとはいえ女の子に簡単にキスするのは抵抗があった為、却下した。
1人でやって失敗するなら…2人でやれば良い。
料理も、掃除も、その他も…1人じゃなく、2人で。
ロボ子はそれでも1人でこなしていきたかったらしいが、黒焦げダークマターや家具全掃除の件がある為、渋々了承した。
翌日から、俺とロボ子で1つの作業をこなす生活が始まった。
俺が手本を先に見せて料理をし、それをロボ子にやってもらう。
そうする事で、少しずつロボ子に知識を与える事にした。
今回作ってるのはこの前ダークマターにしてしまった卵焼き、材料や調味料の分量も全部俺が指示しながら作っている。
機材もリサイクルショップで安く売ってる物を買ってきた、ロボ子は全部片付けてしまったから…
「よし、そろそろひっくり返してみな」
「う、うん」
ロボ子がそれをひっくり返すと、多少の焦げはあるものの綺麗な色付きの卵焼きが出来上がっていた。
「○○くん…出来た、出来たよ!卵焼き!」
ロボ子は自分の手で料理を完成させた事に喜びを感じているのか、はしゃいでいた。
「あぁ、出来たな、偉いぞロボ子」
料理を成功させたロボ子を俺は撫でた、撫でてる時のロボ子の顔はふにゃふにゃしてて可愛かった。
なんと言うか、本当にロボットなのか疑問に思えるくらいだった。
「えへへ、さぁ食べて食べて!」
「あぁ、いただきます」
味付けはシンプルに塩のみ、醤油をかけても良かったが、しょっぱくなりそうだったから今回はパスだ。
「んむ……うん、美味しい。ちゃんと出来てるぞロボ子」
「良かったぁ…美味しく出来て…」
ロボ子は食事を必要としない、ロボットだから。
俺が食事をしてる間、ずっとこちらを見ている。
あまり見られていると食べにくいが、まぁそこは後で言えば良いだろう。
テレビも無い為、携帯のワンセグでニュースを見ている。
流石にリサイクルショップにテレビは売っていなかった、アレは昔と違って更に価値が上がっている。昔の価値で15万程度の物が今じゃ800万はくだらない。
本当に物価がおかしくなってしまった…
「あ、ねぇねぇ○○くん、これ何?」
ロボ子が指さしたのは、所謂テーマパークだ。
だが俺は人混みが苦手だ、だから俺は
「ん?あぁ、それは危ないとこだ」
あえて嘘を言った、興味を持たれて行きたいとか言われたら大変だから。
だがロボ子は興味津々だったみたいだ、俺の言葉を信じずに行きたいと駄々をコネ始めた。
相手はロボット、人間では無い。
だから電源を切れば済む話だが、前も話した通り俺はその手段を行使する事が出来ない。
その結果…
「行きたい行きたい行きたい行きたい!テーマパークにいーきーたーいー!テーマパークに行けないならもうボク何もしないもん!」
「………」
「絶対やらないからね!」
「分かったよ…行けばいいんだろ、行けば」
結局俺は根負けし、テーマパークに行く事になった。
しかしロボットは普通主に従うものらしいんだが…ロボ子はむしろ反発してるような気がする。
自我がはっきりしてるというか…なんというか…
ロボ子はちょっと他のロボットとはかなり異なるようだ。
「うわ〜!○○くん見てよ!ミ○キー可愛いよ!写真撮ってもらおうよ!」
「…」
はい、という訳で俺とロボ子は何故かテーマパークに来ちゃいました。
ワンセグで見たのが3日前、その間ロボ子はずっと楽しみにしていた。
浮かれて手を止める時もあれば、楽しみ過ぎて俺に何故か抱き着いてくる時もあった。
ロボ子はロボットの癖に柔らかいんだよな…どこがとは言わないが。
抱き着かれる度にドキドキしてしまう…
「○○くん!メリーゴーランド乗ろうよ!」
「…あいよ」
さっきも言ったが俺は人混みが嫌いだ、だがロボ子にちゃんと働いて貰わないとこちらも困るから、仕方なく来た。
別にテーマパークが嫌いって訳では無い、むしろ好きだ。
まぁ、適当に付き合えばロボ子も満足するだろう。
〜♪〜♪〜♪
「わぁ…ぐるぐる回って楽しいよ!○○くん!」
「あーそうだな、楽しいな」
「次はジェットコースター乗ろうよ!」
「あいよ」
ジェットコースター
「うぉぉぉぉぉぉ!はやーーーーい!」
「ぐぉぉぉ…」
ロボ子はジェットコースターを楽しんでる反面、俺は苦い顔をしながら乗っている。
メリーゴーランドや、コーヒーカップ、お化け屋敷も平気なのだが…絶叫マシンだけは苦手だ。
だがロボ子は楽しんでる、あまり苦い顔も出来ない…
「次はお化け屋敷行こ!」
ロボ子はとうとう俺の返事も聞かずに腕を引っ張ってお化け屋敷に向かった。
ロボットに怖いもの耐性はあるのだろうか…?いや、普通ならまず感情すら無いだろうから平気なのだが…ロボ子は喜怒哀楽はっきりしてるから…
「ウァァァァァァァァァァ!」
「ぎゃぁぁぁぁぁ!」
「おー、良く出来てるなぁ…」
ロボ子が叫び俺に抱き着いてる中、俺はゾンビのクオリティに感心していた。
「○○くん、怖い…怖いよ!早く出ようよ!」
「いやこんなの怖くないだろ?むしろ出来が良くて凄くないか?」
「凄くないよ!早く!早くぅ!」
ロボ子は俺の言葉になど耳を貸さず、今にも泣きそうな顔で頼んできた。
泣き顔が可愛いとか思ったのは内緒だぞ?
お化け屋敷を抜けると、ロボ子はその場で座り込んでしまった。
そんなに怖かったのだろうか?俺は平気だったが。
「うぅ…」
「怖いというか面白かったんだけどなぁ」
「むー!ボクは怖かったの!」
今度は怒り顔で俺に詰め寄ってきた、こうもはっきり感情を出せるって本当に凄いよな。
「そういえば○○くん、お腹空いてない?大丈夫?」
「ん?あーそうだな、何か食べるか」
朝早くロボ子に叩き起され、すぐにテーマパークに向かったので昼食の準備はしてなかった。
ロボ子は食事をしないし、一応充電の為特殊な電池を口に含む。
5分も口に含んでいればある程度は充電出来るらしい。
人間で言うおやつに分類されるのだろうか?
「ケーキ屋さんがあるね、あそこで食べる?」
「いや俺ちゃんとした昼飯を…」
「…ダメ?」
ロボ子が上目遣いで俺に頼んでくる、素直に可愛い。
何故か断れなくなってしまう…
「…分かったよ、ケーキ屋に行くか」
結局俺はロボ子の頼みを聞き、ケーキ屋に向かった。
中は混雑しており、空いてるのは窓際の隅だけだった。
「混んでるねぇ」
「そうだな、別に違うとこでも」
「ダーメ、ここにするの!」
結局押し切られ、ケーキ屋で昼食をとる事になった。
ケーキ屋は本来おやつだと思うのだが…
とりあえず頼んだのがデラックスパフェ、直径30cmのパフェにミニケーキが付いてる。
想像するだけで胸焼けするだと?こっちは腹が減ってまともな食事摂れないんだ、仕方ないだろ…
「さて、食べるか」
俺はパフェを、ロボ子は特殊な電池を口に入れる。
うん、甘い…甘ったるい…が、もう腹の中に入ればこの際何でも良いと思えている。
ロボ子は電池を口の中でコロコロしながら充電していた、感覚的には飴みたいな物なのだろうか…?
「じー」
「ん?どうした?」
「それ美味しい?」
ロボ子はパフェに興味を持ったようだ、俺は食べてみるか勧めるが、ロボ子はロボットで食事を摂らない為断った。
が、ロボ子は俺に
「ねぇ○○くん、あーんしてあげようか?」
と、また俺を困らせるような事を言ってきた。
「ロボ子…この前はアパートの中だったからまだ良い、だけど今は外だぞ?周りの人間が見てるんだし」
「はい!あーん♪」
俺が全部言い切る前にロボ子は俺からスプーンを奪い、パフェを掬って俺の口元へ差し出してきた。
「なぁロボ子」
「あーん♪」
「だからロボ子」
「あーん♪」
「ロボ」
「あーん♪」
…有無を言わさずのあーん連呼、逃げる事は出来なそうだ。
俺は諦めてロボ子からのあーんを受け入れた。
「んぐ…んぐ…」
「どう?美味しい?」
「あ、あぁ…」
「えへへ…良かったぁ」
ロボ子は満面の笑みでまたパフェを掬い俺の口元へ差し出してきた。
俺はもう諦めてロボ子からのあーんを受け入れる、甘ったるいのが更に甘ったるくなった気がする。
「ねぇねぇまつりちゃん、あの2人カップルなのかな?」
「カップルじゃないの?男女が一緒でここに来るのなんてデートだし、あーんしてるし、フブキングーまつり達も食べさせあいっこしよ♪」
は…?俺とロボ子が…カップル…?デート…?
いやいや、ロボ子はロボットだぞ…?そんな…
「あらメル様?お口にクリームが付いてますわ?」
「あ、ちょこ先生ありがと!あのカップル見てたら間違って付けちゃったみたい」
「あら…熱々ですわね」
「メルもデートしたいなぁ…」
「あらメル様?私とのこれはデートでなくって?」
おいおい、俺とロボ子は別にそんな…
「○○くん、どうしたの?大丈夫?」
「だ、大丈夫だ…」
俺はロボ子にそう答えるが、内心冷や汗が出ていた。
急に動悸が早くなるのが分かる、俺はおかしくなっていた。
「ちょっとごめんね?」
ロボ子は立ち上がると、自分のおでこを俺のおでこに付けてきた。
「んー、熱は無さそうだけど…」
「バッ…何してんだよ!」
ロボ子の行動で、俺の顔は熱くなる。
ロボ子はきょとんとした顔でこちらをずっと見つめていた。
「…もう出るぞ」
「え?でも」
「良いから!行くぞ!」
俺はロボ子の腕を掴んで店を後にした、俺は…自分が分からなくなっていった。
その後、どのアトラクションに行ったのか、俺は何も覚えてなかった。
頭の中に残ってるのは、俺とロボ子がカップルに見えていた…という事だけだった。
時間は既に夕方17時、そろそろ閉まる時間帯。
ケーキ屋から後のアトラクションは何も覚えてなかったが、ロボ子は楽しそうにしていたようだ。
「ねぇ○○くん、最後にあれ乗りたい」
ロボ子が指さしたのは、観覧車だった。
締めのアトラクションには好都合と俺も思った。
「んじゃあれ乗って帰るか」
「うん」
観覧車の列はさほど混んでなく、そんな時間を待たずに乗る事が出来た。
観覧車に乗るとロボ子は景色をずっと眺めていた。
「ねぇ○○くん」
ロボ子は景色を眺めながら俺に聞いてきた。
「ボク達さ…カップル…に見えたのかな、ほら…ボクロボットじゃん?普通の女の子みたいに見えたのかなぁって」
ロボ子はゆっくりと俺の方へ向いて話していく、向かい合って座っていたが、少しずつ…俺の方へ近付いてきた。
「ボク…○○くんの彼女に見えたのかな…?」
それを言い終わる頃には、俺の隣に座っていた。
正直なところ、ロボ子は確かに可愛いけどそういう目では見てなかった。
理由は単純、ロボ子がロボットだから。
俺は人間だし、人間の女の子を好きになるのが普通だろう。
それなのに、ケーキ屋の1件から俺の心は掻き乱されてく一方だった。
記憶が無いはずなのに、ドキドキしていたという結果だけが俺の中に残っていた。
ロボ子は、何か期待するような眼差しで俺を見ていた。
だけど俺は
「俺は…
お前をそういう目では見ていない、お前はロボットだから…人間の女の子じゃないから」
きっと俺は、ロボ子にとても残酷な事を言ったのだと思う。
俺の返事を聞いたロボ子は顔を曇らせていき、俯いてしまった。
「そう…だよね、ボク…ロボットだもんね。ごめんね○○くん…変な事言って」
ロボ子の目から何かが零れ落ちる…涙だ。
ロボットから何故涙が出るのか、その時の俺には分からなかった。
俺はその後何も声をかけれずに、観覧車を降りた。
観覧車を降りる時、ロボ子は乗る前と変わらない様子になっていた。
アパートに帰るまで、俺達は無言だった。
俺は罪悪感で、ロボ子は…いや、止めておこう。
アパートに着くと、外はすっかり暗くなっていた。
中に入ると、俺は夕飯も食べずに寝た。
ロボ子に何も言わずに…
ボクは基本スリープモードに入る、けど今日は入れなかった。
眠りたくなかった…
今日は○○くんと、その…デート…したんだ。
本人は最初気付いてなかったけど、後から気付いたみたい。
多分、ケーキ屋さんで○○くんは気付いたんだ。
あの時の○○くんの反応は普通じゃなかったから。
○○くんとのデートは楽しかった…途中までは。
ケーキ屋さんに行く前の、メリーゴーランドやジェットコースターは楽しかったなぁ…!
お、お化け屋敷は…楽しいというより怖かった。
それなのに○○くんは早く行ってくれないし…気のせいか歩くスピード遅くなった気もしたよ。
意地悪だなぁって思った…
ケーキ屋さんで他の人達にカップルとか、デートとか言われて…ボクはちょっと嬉しかった。
何で嬉しくなったのかは分からないけどこう…人間でいう心臓の辺りがキュってなった。ボクロボットなのにね。
あの後、○○くんは心ここに在らずな感じだったけど、マスコットキャラクターと一緒に写真を撮ったり、う…腕組みもしたりしたんだよね。
また…○○くんと一緒に出かけたいなぁって…思えた。
ボクは観覧車で○○くんに、何かを期待してた。
でも…○○くんの中ではボクは…ロボットなんだ…
もう傍に居るだけで辛い…
「さよなら、○○くん。好きだったよ…」
翌日
目が覚める、辺りを見渡すとロボ子が居ない。
もう起きたのだろうか?
そう思いキッチンを覗くも、居なかった。
俺は嫌な予感がした、頭をよぎるのはロボ子が暴走した場合のリスク。
政府に捕まるのも嫌だが、ロボ子が居なくなるのはもっと嫌だ。
昨日あいつの事ロボット扱いした癖に…
「おい店主!居るか!」
俺はロボ子を探しに行く前に、ロボ子を買ったロボットショップに立ち寄った。
「あー?なんだこの前のあんちゃんかい…今度は何の用だ?」
「ロボ子は…どんなロボットなんだ?俺はあいつの事をちゃんと理解出来て無い、頼む…教えてくれ」
「お前さん…また追い出したのか?」
「違う、だけど教えてくれ」
「はぁ…ったく…これは俺の専門外なんだがなぁ…」
店主は嫌々ながらもロボ子について教えてくれた。
ロボ子は元々欠陥品って事は聞かされていた、ポンコツだと。
だけどそれだけじゃないらしい、ロボ子は…あのシリーズで唯一感情を持ってるロボットだという。
普通のロボットならかしこまりました、や…ありがとうございます、といった反応だが、ロボ子は分かった!や、えへへ…ありがとう!といった反応だ。
確かにロボットらしくない、俺も薄々は気付いてたが…
だが、俺が次聞いた事が余計に焦りを覚えた。
ロボ子は、ロボ子のシリーズは主から離れると…
最も深い思い出の地で自爆すると…
「あのバカが!どんだけ人を心配させれば気が済むんだよ!」
店主から聞かされてから、俺はテーマパークに向けて走っていた。
思い出深い場所といったらここしか思い当たる節が無かったから。
メリーゴーランド…いや、これは違う。
ジェットコースター…確かに楽しんでたがこれも違う。
お化け屋敷は絶対無い、怖がってたし…となるとケーキ屋か?
「…いえ、このような方は見ていません」
ケーキ屋の店員に聞いたが、ロボ子はここに来ていなかった。
記憶を思い出していっても、この後の記憶は抜けている為もう分からなくなっていた。
「どこだよ…ロボ子、ここに居るのは間違いないのに…」
結局俺は色んなアトラクションの係員にロボ子が来たかどうか聞いて回る事にした。
結果、どこのアトラクションにもロボ子は来ていなかった。
誰も見かけてもなかった、そして…夕方になった。
夕方になってから思い出したが、俺はまだ一つだけ探しに行ってない場所がある、観覧車だ。
アレをアトラクションと言っていいのかは分からないが、そこだけは行ってなかった。
無意識に行くのを躊躇ったのだろうか?
いや、怖かったのかもしれない。
あの場所は、俺がロボ子を傷付けた場所…
それでも、もしかしたら観覧車にロボ子は居るかもしれない。
そう思い俺は観覧車へ向かった。
観覧車乗り場に着くと、人影が見えた。
いや、ロボ影が見えたと言うのが正しいのだろうか?
そのロボットは1人で、観覧車に乗ろうとした。
俺はそのロボットの腕を掴んだ。
「…っ!」
「すいません、こいつ俺の連れなんで一緒に」
「お客様?」
「…(コクリ)」
俺とロボットは、観覧車に乗り込んだ。
「…」
「…」
観覧車に乗って、どれだけの時間が過ぎたのだろうか?
俺もロボット…ロボ子はずっと無言だった。
「…んで」
「?」
「なんで…来たの…?」
先に口を開いたのはロボ子だった、その言葉は冷たく…棘を感じた。
「何でって…それはこっちのセリフだぞ。何でまた出て行ったんだ」
「君には分からないよ、ボクの気持ちなんて」
ロボ子は俺を見ずに冷たい言葉を投げかけてくる。
「分からないよ、俺はお前じゃないし、ましてやロボットでも…」
「そうだよ!ボクはロボットだ!人間じゃないよ…」
ロボ子は立ち上がり俺に叫ぶ、最後の一言が弱々しく聞こえた。
「知ってるんでしょ…?ボクがどんなロボットなのか、君から離れたらどうなるか」
「…あぁ、知ってる。と言うより…教えてもらった」
「じゃあ何で?もうボクの事なんかほっといてよ…」
「ほっとける訳…無いだろ…」
「ボクの事ロボットとしか見てない癖に!」
「…」
ロボ子の叫びで俺は黙り込んでしまった、実際俺はロボ子の事をロボットとしか見てなかった。
それをロボ子は根に持ってるのだろう…
「ボクは…ボクは…!」
ロボ子が何かを言いかけた時突然観覧車が揺れた、俺は咄嗟にロボ子を抱き寄せていた。
「お客様にご連絡致します、当観覧車はトラブルにより暫く稼働出来ません、暫くお待ち下さいませ」
いきなり観覧車が止まってしまった…
「おいロボ子、怪我は…」
「あ…あぁ…」
「ロボ子…?」
俺とロボ子の距離は、顔を数センチ動かすだけでキス出来るくらいまで近くなっていた。
「…(プルプル)」
「ロボ子、落ち着け…な…?今暴れたら…その…」
「今更そんな大切に扱わないでよ!」
ロボ子の叫びと同時に、俺の左頬は熱を帯びた。
ヒリヒリと、ジンジンする…
「…ごめん」
「分かったら離してよ」
ロボ子は俺の腕をどかして離れようとする、だけど俺は腕の力を強め離さなかった。
「…離してよ」
「嫌だ」
「離してよ!」
ロボ子は俺の腕の中でもがく、それでも俺は離さない。
強く掴まれようとも、叩かれようとも…
「離してよ…お願いだよ…」
「ごめんな、ロボ子。お前をずっとロボット扱いしてたのは、俺がお前を好きになっちゃいそうだったからだ。お前は可愛いし、ぶっちゃけ好みだったから…でもな、人間とロボットが恋人関係とか世間は許さないと思うんだ、白い目で見られる、分かり切ってるんだ…」
俺は内に秘めた想いをロボ子に話していった、ロボ子は大人しく俺の話を聞いてくれた。
そして全部の話を聞いてくれた後ロボ子は
「周りがダメって言ったら…ダメなの…?ボク達の意思は…?ボクは君の事が好きだよ…?ケーキ屋さんで、ボク達がカップルとか、デートとか言われてボクは嬉しかったよ…?少なくともあの人達は…ボク達を認めてくれてるよ…?」
ロボ子は涙を流し震えながらも、俺にはっきりと告げた。
「ボク達で、変えようよ…人間とロボットがお互い好きでいられる世界に」
「ロボ子…」
その後はどちらが先に近付いたかは分からない、だけど俺とロボ子の唇が合わさったのだけは覚えている。
キスの味は…ちょっと鉄っぽかった。
「なぁロボ子」
「なに?」
2人でアパートに帰ってる途中、俺はロボ子に聞いた。
「出来るかな…?俺達で…人間とロボットが愛し合うのを認めさせるって」
「それは…やっぱり難しいとは思うよ?でも…」
「でも?」
「周りがどう思っても、ボクは○○くんの事好きだよ」
ロボ子の笑顔は、夕焼けに照らされてとても輝いていた…
人間とロボットが愛し合う、世間はやはり認めないだろう。
それでも、俺はロボ子を…ロボ子は俺を好きになった。
好きになったものは仕方ないし、もう気持ちを抑えたくもない。
俺達が世間を変える事が本当に出来るのか、それも分からない。
でも…どんな事があってももうロボ子を…手放したりはしない、絶対に。
読んでいただき、本当にありがとうございます。
今回書かせていただいたネタはロボット、原点回帰させていただきました。
と言うのも、自分が最初書いた話がロボットネタ、書き方なんて分からない状態で書きました。
今もこんなに書いてるのに書き方が分からなくなる時があったりしますが…
ロボ子さんの誕生日の話を書きましたが、これからもまだまだ書いていくつもりですので、温かい目で見守って下さると幸いです。
ではでは、また次のお話まで失礼しますm(_ _)m