やっぱあれですね、私はシリアス感を出すのには向いてないなぁって思いましたね。
ネタに走ってしまいます…
俺はヒートサーベルを右手に持ち、あいつに正面から突っ込む。
「さて、行くぜ!」
あ、そうだ!今の俺の姿はドム。なら、
「オルテガ!マッシュ!ジェットストリームアタックを掛けるぞ!」
これを言わなきゃあ始まらないよな!
「・・・?誰に言っているのですか!」
「へ?・・・・・・はっ!」
不思議そうな様子で俺を見る。み、見ないでくれ!お願いだからこんな俺を見ないで!
誰もいないにも拘らず、つい声を掛けてしまった・・・こんなの傍から見たら空中に話しかける痛い人じゃねぇか!?なんて恥ずかしい真似をぉぉ!!??
「・・・何の事か分かりませんが、そうはさせませんよ!」
赤い剣を構え、俺に向かって投げつけてくる。
「壊れた幻想《ブロークン・ファンタズム》!」
目の前で赤い剣が爆発する。けれど俺にはさほど目立った外傷はない。
「そんなの、もう効かないぜ!」
「な・・・!まだまだ!」
次々と剣を作っては投げ、爆発させるがそれでも俺の勢いは止められない。
「なぜ!なぜあなたは!?」
「言ったはずだ。すずか達を、友達を助けに来ただけだってな!」
「くっ・・・!そんなのは嘘です!」
「嘘な訳あるか!友達を助けたいと思うのは当たり前だろう!」
「なら!どうして私には!」
「っ!?」
あいつの背後に大量の赤い剣が現れる。こんな数を一度に受けたらさすがに・・・
「私には・・・もうあのお方しかいないんですよ!」
「なら!!」
俺は一気にあいつに近づく。その勢いに気圧されたのか、動きを一瞬止めてしまう。
「俺が・・・」
ヒートサーベルを構え、
「お前の・・・」
スピードを上げ、
「友達に・・・なってやるよ!!!」
そのままあいつの胴目掛けて振りぬいた。
「ぐっ・・・」
「安心しろ、死にはしない。ただちょっとばかり眠ってもらうだろうけどな」
「あ、なたは・・・!」
「・・・最後にひとつだけ聞かせてもらう。お前、名前は?」
「へ・・・?」
「名前だよ。あるだろ?まさか名無しの権兵衛って訳じゃあ無いよな?」
「・・・私は・・・双月・・・」
名前を言う途中で気を失ってしまったようだ。やれやれ、仕方ないな。目覚めてから聞くか。
俺は気を失った様子のそいつ・・・双月に向けて、一言呟く。
「目が覚めたら・・・続きを聞かせてもらうぜ。友達に名前は必須だからよ」
~~~~~~~~~~
夢を見ている。それは楽しかった青春時代。
友人達と笑い合って、昼休みを過ごしていた頃。
『そういえば、俺たち3年だよな』
『え?ああ、そうですね』
『進路、考えないとなぁ・・・双月はもう決まってるのか?』
『私は、教師になりたいです』
『ははは、似合ってるな。数学とか教えてそうだ』
『数学は苦手ですけどね』
『文系だもんなお前』
笑いの絶えない会話をいつもしていた。
私はこの関係が卒業後も続くと思っていた。けれど―――
『悪い・・・もう俺と関わらないでくれ』
『え・・・?』
『お前と一緒にいると、俺まで化け物扱いをされるんだ』
『そ、そんな・・・』
『・・・じゃあな』
それきり目を合わせることも無くなった。すぐにその地を離れたから。
けれども・・・いつも思い出すのは、私が家を離れる時に見た、友人のあの冷たい目―――
『双月・・・』
―――違う。あの時、あの人はそんな目で私を見ていなかった。
『あ・・・』
『えっと、なあ』
『・・・すみません。もう時間ですので』
その目は、どこか憂いを帯びていて、後悔も入り混じっていた。
けれど私はその目をしっかりと見ることもせずに・・・
「どうして私は・・・」
~~~~~~~~~~
「・・・ん」
「お、起きたか。大丈夫か?」
双月が目を覚ます。
「私は・・・」
「お前は気を失ってたんだよ。ま、特に外傷とかは無いはずだから、安心しろ」
「どうして・・・」
「ん?」
「どうして、私を・・・?」
「・・・そんなもん、決まってるだろ」
俺は、こいつを許せなかった。アリサとすずかを誘拐し、すずかを化け物呼ばわりしたこいつを。
けれども、その目の奥には・・・悲しみが見えた。
だからこそ、俺はこいつを、双月を救ってやりたいと思った。そして、それと同時に思ったんだ。
「友達になりたいと思ったからだよ。な、双月?」
右手を差し出しながら、握手を求めた。
「・・・ふふ。あなたは、人が良すぎますよ。このままあなたに向けて剣を突き刺すつもりだったら、どうするんです?」
「そんときゃ、またぶっ飛ばすだけさ」
俺の差し出した右手を掴み、握り返してくる。
「・・・ありがとう。これで私は・・・心置きなく逝ける」
「え?」
そう言うと、少しずつ透け始める双月。
「ど、どうして!?」
「・・・この力の代償は、寿命」
「なっ・・・」
「初めにこの力を貰ったときに言われたことです。その時の私は、復讐心に駆られてそれを受け入れてしまった・・・馬鹿ですよね。ほんの少しでも勇気を出せば・・・友達が出来た。この空っぽの気持ちが満たされるはずだったのに」
そんなことって、ありかよ・・・!せっかく友達になれたのによ・・・
「お嬢さん・・・本当に申し訳ありませんでした。それと、こんなことを言えた立場ではありませんが・・・友達は、一生モノです」
「はい・・・」
「私はそれを今日、初めて知りました。あなたも、その子を大事にしてあげてください」
すずか、それに今は気絶してしまっているアリサに向けてそう言う双月。
「さて、私はもう・・・そろそろみたいですね」
「なんとか、ならねえのかよ・・・!」
「これは自業自得ですよ。それに、後悔はしていません。人生の最後で満たされていれば、それで幸せなんですよ」
「くっ・・・」
何も・・・俺は・・・!何も出来ないのかよ・・・!
「では、さよならです」
どんどん姿が透けていく双月を見ていられずについ、目を背けてしまう。
「そうそう。下の名前を言ってませんでしたね・・・私の名前は―――」
~~~~~~~~~~~
「消えちまったな・・・」
名前を聞いた途端、そいつは消えてしまった。
・・・どうすれば、よかったんだろうな・・・
「・・・大丈夫か?」
とりあえず、すずかに無事を尋ねた。
「はい・・・」
「とりあえず、警察を呼んだから、あと少しで来ると思う。後はその人たちにお任せだな」
「はい。えと、ありがとうございました」
「気にするな。さっきも言ったが、俺は友達を―――」
おっと危ない危ない。また変な事言うところだった。
「あの・・・さっきも言ってましたけど、友達って」
「あ、あ~~!誰かが俺を呼んでいるような~~!!それじゃあまたな、見知らぬ美少女さん達!!」
俺は全速力でダッシュし、その倉庫を後にした。
近くの木陰で一呼吸。ふう・・・そろそろいいか。
元の姿に戻る。
「ったく、今日はなんだか大変な一日だったな・・・」
さて、帰るとしますかね・・・
そうだ。銭湯にでも寄っていこう。今日は疲れた・・・
名前が出たということは後々また登場する…となるかどうかは作者のみぞ知る。