これが超次元サッカーだ!
「誠太郎君~!」
「おう、なのは」
今日はなのはのお父さん(後で聞いたところ高町士郎さんというらしい)がコーチ兼オーナーをしているというサッカーチームの試合を見に来た。
俺となのはとすずかとアリサの・・・いわゆる、いつものメンバーで。
・・・あ、ユーノもだった。
(忘れないでよ!)
(悪い・・・って心を読むな!)
ユーノからの声が頭に響く。
これは念話というもので、魔力を持つ人なら誰でも出来るらしい。
ちなみに、なのははもの凄い魔力の持ち主なんだとか。
え、俺?ギリギリ念話が使える程度だってさ・・・俺も使いたかったな、魔法・・・
「おっそいわよ!もうすぐ始まっちゃうじゃない!」
「悪い悪い。寝坊しちまって。でもそれでも始まる10分前には着いたぞ」
「約束の時間に20分も遅れたじゃない!」
ぐっ・・・痛いところを、と思ったところで、すずかが止めに入ってきた。
「まあまあ、アリサちゃん。試合前には着いたんだし、いいじゃない、ね?」
「むぅ・・・」
その言葉で黙ってしまうアリサ。
「・・・なによ、これじゃ私が一時間前に来たのがバカみたいじゃない」
「ん?なんか言ったか?」
「なんにも!」
そう言ってアリサはベンチに腰掛ける。俺達もそれに続く。
それに気づいたなのはのお父さんが挨拶をしてくる。
「やあ。皆揃ったようだね」
「はい、なのはのお父さん」
「む?いちいちそう呼ぶのは大変だろうから士郎と呼んでくれていいと言った筈だけど・・・」
「友達同士ならともかく年上の人に名前で呼ぶのは失礼かな、と思いまして・・・」
見かけは20代のお兄さん。けれどもその実態は大学生を息子に持つ立派な父親。
そんな人を名前で呼ぶのは・・・
「なら、僕と友達になろう!」
「え?」
「友達の親は友達になっちゃいけないのかい?」
俺はそう言うなのはのお父さん・・・いや、士郎さんを見て、
「・・・いえ、よろしくお願いします、士郎さん」
「うん。それでよし!・・・それじゃあ、もうすぐ始まるから、もうちょっと待ってて」
そう言って士郎さんはチームの元へ走っていく。
「それでは始めます!」
試合開始のホイッスルが鳴る。
「お~、みんな凄いな」
小学生とは思えないぐらいにチームは上手だった。さすが士郎さんがコーチをしているだけはあるな。
「がんばれ~!いっけ~!」
「みんな~!がんばって~!」
アリサとすずかが応援をしている。なのはは・・・ユーノと話をしているようだ、念話で。サッカーについての説明でもしてるのか?
勝負は0対0のまま前半が終わる。すると士郎さんがこっちに向かってくる。
「誠太郎君、ちょっといいかな?」
「なんですか?」
「実は怪我で欠員が出てね。うちのチームは人数ギリギリだから困ってるんだけど・・・誠太郎君、出てみないかい?」
「え!?俺がですか!?」
サッカーは学校の授業でしかやったことがない。そんな俺が、いくら中身が高校生とはいえ少年サッカーの試合に出るなんて・・・
「いやいや!俺には無理ですよ!?」
「そうか・・・残念だな、それじゃあ棄権するしかないか・・・」
士郎さんは残念そうにそう言う。
「はぁ、チームの皆はどう思うかな・・・まだ前半なのに試合終了か・・・気合入れてきたのになぁ、僕も皆も」
「やれって言ってるんですよねそれは!?」
「無理強いはしないよ。けれど・・・はぁ・・・」
「是非ともやらせてくださいお願いします!」
ああ・・・俺、なんか最近頭下げてばっかりな気がする・・・
「うん。いいよ、いっしょにやろう!」
そんな思いに気づいているのかいないのか、笑顔で俺に向けて手を差し出してくる。
まぁ・・・やってみるとしますかね。
渡されたユニフォームを見て、そう覚悟することにした。
~~~~~~~~~~
・・・と、やる気無さ気だった俺がいました。
正直、身体を動かすのが楽しい。必死にボールを追いかけているのがとても気持ちいい!
サッカー楽しいぜ!
「おりゃああああ!!」
俺が一点を決めると、回りから歓声が挙がった。
「すげえじゃんか!」
「お前やるな!」
「こっからもよろしくな!」
チームメイトとハイタッチをかましながらフォーメーションに戻る。すると、相手チームの一人が負傷したようで、交代で誰かが出てきたんだが・・・
「・・・なんじゃありゃ」
一言で言うなら・・・白い。元々相手チームのユニフォームが白めの物ではあるんだが・・・
スパイクも、靴下も、インナーも、ユニフォーム以外の服装全ても真っ白なのだ。
そしてなにより・・・
「何で付け髭・・・まるで」
と思った瞬間、試合再開のホイッスルが鳴る。
そのとき、俺の横を何かが駆けていった。さっきの真っ白な奴だ。
ボールを蹴りながら走って行き・・・そのまま一点を決めてしまった。
「「「「な、なにぃいぃぃぃいい!!??」」」」
チームメイトが驚く。それほどまでに早かったのだ。
「そ、そういえば聞いたことあるぞ!常に付け髭を付けていて、サッカーがめちゃくちゃ強い小学生がいるって・・・」
「それってもしかして・・・その髭のせいで誰もその正体は知らないっていう・・・」
「ああ!まるで舞うようにシュートを決めるその姿から、付いたあだ名は」
「「「月光蝶!!!」」」
「なんでだよ!?」
この世界の人達はどうしてそういったネタが分かるの!?
確かこの世界にはガンダムなんてなかったよな!?
「とりあえずまだ同点だ!これから取り返しにいくぞ!」
「「「おおおおおーーー!!」」」
キーパーであるキャプテンの一言でやる気を取り戻すチームメイト達。
月光蝶なんて言われて少し俺のやる気が萎えていたが、
「え・・・ええい仕方ない!俺だってやってやる!あえて言うなら・・・」
足に力を込め、真っ白な奴―――月光蝶を見据える。
「・・・倒す、倒します!!」
~~~~~~~~~~
「お疲れ様だね、誠太郎君」
「はぁ、はぁ・・・どうも・・・」
試合終了のホイッスルが鳴り、3対3で決着がついた。要するに引き分けだ。
「なかなか動きがよかったよ。うちのチームに入ってもらいたいくらいだ」
「そ、そうですか・・・まあ、考えてはおきます」
「うん。さて、と・・・よし皆!今日はお疲れ様!各自家に帰ったらゆっくり休むこと!」
「「「「はい!」」」」
「コーチ!頑張ったのでごほうび下さい!」
「あ!僕も欲しいです!」
「俺も俺も!」
チームのメンバーが口々にそう言い出すと、士郎さんは困った顔をしながら、
「まったく・・・しょうがないね。じゃあお昼ご飯は僕がご馳走してあげよう!」
「「「「やったーー!」」」」
「誠太郎君はどうする?一緒に来るかい?」
うーん・・・どうしようか。俺としてはどちらでもいいが、せっかく誘ってもらったのを断るのも悪いし・・・
自分の分は自分で払えばいいか。
「そうですね。じゃあ・・・」
「お父さん!」
と思っていたらなのはが会話に割り込んできた。
「ん?どうしたなのは?」
「誠太郎君、私、お弁当を作ってきたの」
「そ、そうか。じゃあお父さんに渡してやれよ」
「そうじゃなくて!私と、アリサちゃんとすずかちゃん、それと誠太郎君の分なの」
「・・・ああ、なるほどな」
お弁当を作ってきたから、士郎さんにご馳走にならなくても大丈夫だってことか。
「というわけでお父さん。誠太郎君の分は大丈夫なの!」
「というわけなので、士郎さん。大丈夫みたいです」
「・・・そう、わかったよ。いっておいで」
「うん!行こう、誠太郎君」
「ああ。わかっ―――」
「・・・オベントウ、カ・・・」
(ぶるっ)な、なんだ!?士郎さんから殺気のようなものが!?
けれども、士郎さんの顔は笑ったままに見えた・・・
~~~~~~~~~~
「ご馳走様でしたっと」
「なかなか美味しかったわ、なのは」
「うん。びっくりした。なのはちゃんっていつの間にこんなに料理上手になったの?」
「お母さんに教えてもらったの!このお弁当もちょっとだけ手伝ってもらったり・・・」
いや~、本当に美味かった。なのはがこんなに料理が上手かったとは・・・
「なのははいい嫁さんになりそうだなぁ・・・」
「も、もう!誠太郎君!」
え?なんで俺怒られてるの?一応褒めたつもりなんだけど・・・
「あ、そうそう。あたしは午後から家の用事があるのよ」
「私も、家族でお買い物に行くんだ。だからもう帰らなくちゃいけないの」
アリサとすずかがそう言い出す。
「そうなんだ。残念・・・」
「まあ、それならしょうがないな・・・んじゃ、また明日学校でな」
アリサとすずかと別れ、俺となのは(とユーノ)は帰路につく。
するとその時ユーノがジュエルシードの気配を感じたらしく、その場所に向かうことにした。
「黒い三連星」と「月光蝶」のどちらを出そうか迷った結果がこれですw