次の日俺は、学校に行くと朝のHRで衝撃の事実を知る。
「えー、皆さん。急なことですが神本君が転校することになりました」
「え・・・!?」
あいつが・・・転校?そんなバカな、だってあいつはなのはを狙ってるんじゃ・・・
「本当なんですか?先生?」
クラスメートがどよめきだす。
「ええ。先生も昨日初めて知って・・・なんでもアメリカだそうですよ?」
アメリカ・・・嘘だろうな。でも少なくとももうこの辺りにはいないのかもしれない・・・
あいつはいったい何を・・・
「神本君は今日からこの学校には来ません。仲が良かった人はお手紙でも書いてあげてくださいね・・・それにしても、アメリカか・・・新婚旅行で行きたいな・・・なるべく早く」
先生の自虐ネタはスルー。
「よかった・・・」
隣でなのはが安心したような表情でいる。すずかもこっちを見て微笑んでいた。
・・・一先ず、なのはとすずかが助かったならそれでよしとするか。
その日の放課後、俺となのはとすずかは、翠屋で『神本転校記念パーティー』を催した。
と言ってもまあ、表向きは普通のお茶会だが・・・
俺達のテンションの高さに、高町夫婦は不思議がっていた。
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さてさて、それからなんやかんやで二年後。
俺達は三年生になった。
そして俺となのはとすずかの中に、もう一人、新たな友達が増えた。
「で、アンタはなんで私より成績が上なのよ」
「いや、たまたまだって」
「くう~っ、腹立つ!」
「そんな無茶苦茶な・・・」
理不尽に腹を立てているのは、アリサ・バニングス。
金髪で声が某ガンダムスローネドライのパイロットのようなこいつ。
家が大層お金持ちらしく、当時わがままなお嬢様だった一年生のアリサはある日、すずかのカチューシャを奪いケンカをしていた。
それをたまたま見つけた俺となのはが止めに入ったのだが・・・
『ちょっと!どうしていきなりぶつのよ!痛いじゃない!』
『痛い?でも大切なものを取られた人の心は、もっともっと痛いんだよ?』
とても小学一年生のセリフとは思えない・・・はっ!イノベイターの子は、イノベ―――
『ふざけないでね、誠太郎君』
『ははは、はいっ!』
『な、なによ・・・そんなの!あんたには関係ないじゃない!』
『へー・・・そう』
その時のなのはの笑顔と言ったらもう・・・ただ怖かった。
あれに比べたら例えギレン・ザビの顔でも可愛く見えてくる・・・ことはないな、うん。
その後、実はアリサも神本に言い寄られていたことが分かり、同士ということですぐに仲良くなった。
「そういえば、将来の夢とか・・・アリサちゃんとすずかちゃんは結構決まってるよね?」
「どうして急に?」
「いや、2人とも成績良いから・・・なりたいものがあるんだよね?」
「なりたいものっていうか・・・ほら、うちはお父さんもお母さんも会社経営だし、いっぱい勉強してちゃんと跡を継がなきゃ。くらいだけど」
「私は機械系が好きだから、工学系で専門職がいいなと思ってるんだけど」
「そっか・・・誠太郎君は?」
「俺か?俺はな・・・」
・・・まじでどうしよう。蓄えは神様がくれたお金がまだまだ残ってる・・・というより、余ってると言っても良いぐらいにあるし・・・
なりたいものか・・・
「・・・社長にでもなろうかな」
「しゃ、社長!?何の!?」
「いや、まだ決まってないけど。『オッホン!そこの君、ティンときた!わが社で働いて見ないかね?』みたいなこと言ったりして」
「・・・なんだかアンタが会社作ったら、私そこに入らなきゃいけない気がしたわ」
なんだそりゃ。今のは俺が適当に言った言葉だぞ?
でも今のセリフが『黒い三連星のガイア』や『ヤザン・ゲーブル』の声で聞こえたような気が・・・
「なのはちゃんは?やっぱり翠屋の二代目?」
「うん。それは将来のヴィジョンの一つでもあるんだけど・・・やりたいことは何かあるような気もするの。まだそれが何なのかははっきりしなくて・・・」
「なに、まだまだ若いんだ。これから見つけていけば良いさ」
こいつは9歳のくせに悩みすぎだ。子供はもっと何も考えずに遊んでいいんだよ。
「同い年でしょうがアンタは・・・」
「ははは・・・誠太郎君は大人っぽい、というよりおじさんみたい・・・」
失敬な。まだぴちぴちの9歳(肉体的)だ!
・・・こういうとこがおじさんっぽいのかもな。
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さて、学校が終わり、なのは達とも別れ・・・俺は買い物に来ていた。
「今日は、から揚げにでもするかね」
鶏肉といくつかの野菜を買って、スーパーを出る。
すると、車椅子の少女とぶつかってしまう。
「あ、悪いな。大丈―――」
夫か、という前に、車椅子の少女は逃げ去ってしまう。
・・・食材が入ったレジ袋を落として。
「おいおい・・・」
これ、どうしようか・・・届けてやれれば良いが、見ず知らずの人の家なんて分かるわけないし・・・
「今の、八神はやてちゃんよね?」
「え?知ってるんですか?」
スーパーの女性店員が俺にそう言ってくる。
「ええ。うちの常連さん。なんでも、昔ストーカー被害にあったとか何とか、両親もいないらしいし・・・まだ小さいのにね」
そうか・・・大変だな。まだなのは達とかと変わらなそうなのに・・・
・・・ん?八神はやて?どっかで聞いた気が・・・
「外に出るのが怖いらしくて、月に一回ぐらいでうちに買い物に来るのよ」
「・・・ああ!」
思い出した!神本がストーカーしてて、半分引きこもりになったっていう・・・この世界の主要人物の一人!
「どうかしたの?」
「い、いえ・・・あの、その子の家、分かりますか?この荷物届けたいんですけど」
「うーん・・・それは分からないわ。第一あの子、人と接するのはあまり得意じゃないのよ。特に男には」
「そうなんですか・・・」
どうしたものか・・・と思考を巡らせていると、
「そこのキミ、ちょっちいいかな?」
「え?」
声をかけられ、振り向くとそこには見知らぬお姉さんが2人いた。
「その荷物、八神はやてちゃんのなんだよね?」
「え、はい。そうみたいです」
「私達、その子の家知っててさ。近所なんだよ、住んでるのが」
「だから届けてあげる、私達が」
「そうなんですか・・・それじゃあ」
俺は2人にレジ袋を渡す。
「ん、素直な少年だね、いい子だ。クロノは真面目過ぎてたから・・・」
「え?」
「ううん、なんでもない。こっちの話」
「そうですか・・・あ、えっとそれじゃあ一つ、伝言を頼まれてくれますか?」
「伝言?」
「友達、作りなよって・・・難しいかもしれないけど、きっと助けてくれる友達が出来るはずだからって・・・」
俺と、なのは達のように・・・
いつだって助けてくれる友達が・・・きっと。
「・・・本当にいい子だね。キミ」
「いえ・・・無責任に言ってるようなものですから」
「小学生とは思えないセリフだね・・・そんじゃ、私達は行くね」
そう言って2人は去っていった。俺も帰るか。
もし、またあの子と出会うことがあれば・・・友達に、なってやりたいな。
声優のネタが豊富だ・・・
ちなみに、社長のところのネタが全て分かった人は、作者と親友になれます笑