なんてことはない世界の偶像して妄想、人の可能性を制限し食い潰す虫以下の存在。元から存在する命ではないのだから。だがその存在もまた人間の安心するための依代だったのだ。
【人間】
生命の一つ、可能性の申し子。その弱さと執念は時間をかけてあらゆる可能性を実現する、侮れない生物。起源は誰にもわからないが、神の創造物ではないことでは確かだ。
パンドラの匣、なるモノをご存知だろうか?
簡単に話してしまうと、パンドラの匣にはあらゆる《厄災》を詰め込まれていたまさに禁忌の表し。だがある時、パンドラなる女性が何かの間違いかその匣を開けてしまった。
世界には匣から湧き出した《厄災》が満ち溢れるようになった。
命を運ぶそよ風は病魔を運ぶ死の風になり、母なる海は大いに荒れ近づく者全てを飲み込み二度と大地を踏めぬようになった、生命が育まれる大地は割れ、火山は噴火し灰の世界と化した。
人は、生物は、何も出来ずに絶望していた。星は生命が住める世界では無くなってしまった、絶望がただ着実にけど見えずに世界を蝕んでいった。
しかし、匣の奥底でまだ《希望》がありました。
《希望》は匣から飛び出し、世界全体を愛おしく包み込みました。すると、どうでしょう《厄災》は《希望》によって打ち消され逆に《希望》が世界に溢れるようになりました。
世界は今も続いています。
といった神話の一節に綴られた一人の女の自業自得の物語、それが『パンドラの匣』。
だが果たしてパンドラは愚かなのだろうか?《厄災》とは何だったのだろうか?《希望》とは世界に満ちたのだろうか?
そして、どうして彼女は匣を開けることを望んだのか?
………………今では分からないことだ、どれだけ推測したところで人間の感情を図ることは神だろうが理解できやしない。
現在が、我々が継ぐ物語でしかないのだ。
あらゆる過去の業を全て、敬意を示さなければならないのだ。それが人間の可能性に対する慰めでしかないのだから。
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現時刻は深夜三時前、夜の帳が開かれようとする数時間前。
少年は埼京線の電車に揺られていた。行き先は『埼玉スーパーアリーナ』、その他の乗客も運転手の影も見かけない車内にポツンと流れていく夜景を眺めていただけだった。
事の始まりは一通の手紙だった。魔界を溶かしきった後次のターゲットを求めてサハラ砂漠を放浪をしている時だった、空から白封筒の手紙が風に運ばれて少年の足元に落ちた。
躊躇いなく手紙をこじ開けると読みにくいほどの達筆な文字で何かが書かれていた、ただ最後の行に『平常の青へ』と書かれていた以上、自分宛なのは理解した。
数時間灼熱の砂漠で頭を捏ね繰り回して、手紙の解読に没頭した結果どうやら他の勢力全員と自分とで平和的解決を図りたいため埼玉スーパーアリーナにて会合を開きたい、どうかそれに参加してほしいという内容だった。
ーーーー罠だな。
それはバカでも分かる罠だった。でも少年は敢えて引っ掛かる事にした、正直世界中あるき渡って人外共を駆逐していくのはイタチごっことそう変わらない状況で自分自身手を焼いていた所だった。ここでその会合(笑)に参加することで人外共を一網打尽出来ると考えた。
そして、現在に至る。
終電が過ぎたにも関わらずこの電車があった時点でここは奴らの領域と化した、しかし少年は警戒も何もせずに思い思いに寛いでいた。
これは一種の慢心というやつだった、少年の存在上あらゆる異端異常の力を無に還す力が働いている。その効果は神々にも適応されているもちろん天使にも、堕天使にも、龍にも。
だが、だからこそそれに人外共は気づき行動を起こした。
次の瞬間、少年の居た車両が吹き飛んだ。
ただの爆発、魔力も神器も何も介していないただの自然的な爆発。火は線路を溶かし、車両の一部は住宅街までに吹き飛んだ。
その様子を空から眺める数万の黒と白の翼を持った人型が居た。
「奴さんは、あらとあらゆる異能を無に還す。ならアイツにはどんなことをしても死なないのか?いやそんな筈はない、あいつは言った『人間の理不尽』だと『可能性』だと、だとしたら人間の引き起こすあらとあらゆる『現象』を受けなければならない。アイツは『普通の攻撃』しか効かないんだよ」
堕天使の総督アザゼルは燃え盛る車両を淡々と眺めながら独白を作り上げた。その横には天使長の姿もあった。
人外共は手を組んだ。少年の存在は自身らの存在の危機だと理解した上で勢力間のいざこざを洗い流した、表面上は。
しかし、同一の敵を持った彼らは強い。どうやって奴をこの世界から排するか、そこで世界からの修正が掛かった。アザゼルの頭にこの妙案が閃いたのだ、まさに天啓と呼べる策だった。ただの推測で成り立っているこの作戦は勢力達にも危険な賭けだった、そして奴らはその賭けに勝った。
「まだ生きています!!」
他の天使からの報告を受けアザゼルは双眼鏡を取り出し、覗く。そこには炎から這い出てくる少年の姿があった、しかし腕に鉄片が突き刺さり望んでいた少年の無表情の表情に苦悶の表情が浮かんでいた。
ニヤリとしたり顔のアザゼルは次の支指示を繰り出した。天使と堕天使の複合隊は頷き
指示のとおりに少年を囲んだ。
そして懐から、黒い凶器を取り出した。
少年はそれが何なのか嫌でも理解した。俗に言うマシンガン、人間が作り出した文明の日陰の代名詞『兵器』の一つ。
瞬時に少年は落ちていた鉄の板を蹴り上げ、それを振り飛ばした。少年の火事場力の乗った鉄板は囲んでいた数匹の天使と悪魔の胴体を切断し、夜の闇に消えていった。
ーーー今だ!
少年は線路の上を走り出した。がむしゃらに後ろから迫り来る天使と堕天使から撒くために、奴らは銃を乱射しながらギリギリ少年に当たる寸前に撃ちながら、逃げ惑う少年で遊んでいた。もちろんこれも作戦の一つでもある為、その上で人外共は弄んでいた。
ギリッと歯を喰い縛る。少年の心には悔しさが込み上げていた、自分が人外共に弄ばれ良いように誘導されているこの状況に憤慨していた。腕に深々と突き刺さったままの鉄片を抜く痛みは想像絶するモノだった。
「(奴らは俺を埼玉スーパーアリーナに誘導する気だな)」
頭に血が登る、だがそれ以上に彼の心は冷静だった。人外共は広い羽を羽ばたかせ銃を乱射している、その気になれば急接近して鉛玉を直接打ち込めるはずにも関わらず少年に当たりかけるギリギリの距離を保ちながら飛行している。
体力切れを待つ?それはない、五分も走れば着く距離で襲撃する面倒なんてしない。
では目的地に追いやることで俺をどうするつもりなのか?知らん考えたところで分かりはしない。
ーーーだが、それと同時に分かることがある。
『埼玉スーパーアリーナについた瞬間、《情熱の赤》を発動させてアリーナごと焼き尽くしてやる!!』
目的地は近い。
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底知れない闇の中、それを世界と呼ぶ。
人は何かから生まれたのか、聖書の神による創造か?
それともただの猿からの進化か?
それ以前に《神》とか言う存在は何が根源か、一説では自然現象の擬人化とかなんとか。人の想像絶する現象全てを昔の人々は《神》と呼んだそうな。
それに比べ私達人間は何なのかさえ分かりはしない。だが生命の誕生は《奇跡》と名付ける事が出来た、それはいくつのも因果を超えて生まれた《可能性の末》。
私達は望まれて生まれたのか、それを決めるのは『私達』だ。
たかが妄想の型を超えぬ存在と《可能性》溢れる生命、どちらかが素晴らしいか問うまでも無い。
ただ『可能性』が齎す生命の神秘は影を創り光を喰い尽くす、そういう選択肢も私達人間に委ねられている。
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少年はアリーナの扉を蹴り飛ばし突入した。
「…………………あれ?」
覚悟を決め突入した死地はガランとしていた。人の影も見かけない、それどころか先まで追いかけていた天使と堕天使の姿もいつの間にか消えていた。
拍子抜けに思えたその瞬間、ヒュンッと空を切る音。
少年はふと天を見上げると同時に、一投の槍が少年の右肩から下までを割いた。
欠伸をする様な合間もなく、多種多様の武器が少年の身体を豆腐のように切り刻んできた。
光の速度を超える鮮やかな色とりどりの閃光は物理の干渉がやっとこさ追い付き、その威力を発揮した。
音も光も何もかもが間に合った瞬間、宇宙の創造を少年は見た。
そして、爆発した。
エネルギーは光、熱と化しあたり一面を更地にした。
その地平線の向こう側に光の化身たちが無数に立っていその筆頭に隻眼の老人が顎髭を弄っていた。
「……………まさか、生きとるとは。全く想定外もいいところじゃ」
神々の武具その全ての山の中心に、少年の首があった。少年の血が人の許容量をとうに超えており、血の海を創り上げていたが。それでも少年は神々を睨みつけていた。
「惜しい、実に!惜しい………………、それほどの執念と殺意!!わしのところに来れば良い英雄として向かい入れたのに、実にもったいない。」
「だが、ワシも神話の長。人間の域を超え我々の危険因子となり得る存在は全力で排除しなければならないのだ」
老人の言葉区切りとともに神々が再び武具を少年に突き刺さった物を引き寄せ構える。少年は糸なき人形の如く地面にへばり付いた。
身体がまだ残っているのは奇跡にも近いが少年の体は今にも崩れ落ちる寸前、神経の全てが断ち切られ立つこともできやしない。
彼を助ける者はない、人外側の勝利は確実だった。過去最大の虐殺事件が幕を閉じようとしている緊張の中、今にも解き放たれようとする神々の力。そんな中だからこそ……………
「…………………………………クヒィ…………………」
「…………………………………………、お主何故笑った。」
命の末にも関わらず少年は心の中で大笑いしていた。それが思わず口に出たそれだけ、だがオーディン達にすれば意味の分からないことだ。
ーーー人間の域を超えた、だって?
ーーー俺が?
少年は知っていた。あらとあらゆる苦難、理不尽、絶望、虚無、運命、宇宙、それらと戦ってきた『親戚達』のことを。
『親戚達』の中で少年は格下の力の持ち主である少年が人間の域を超えた存在だと神々が言った、それは侮辱だ。
湧き上がる怒りと嘲笑、親戚たちの一人が行った言葉を思い出す。
『化物じみた人間に成る、それが俺たちの《可能性》だ。それは俺たち人間の最後の尊厳、けっして踏みにじられるな』
意味の分からない言葉は今でも理解できないが、それでも心が理解していた。
決して踏みにじられてはいけないライン、それを守る《人間の可能性》の守護者。
もう一つの名前、少年の本当の真名。
ーーーー違う。ここで倒れ伏せる事が、『人間の域』だとかいうものを創り上げる付け上がった人外共を赦していけない!!
「…………………………、お、………、…おまえだちの、ゴブッ………………ろ、ろ…、考えの低さに呆れて、な。つい嘲笑っちまった。」
「なんだと?」
少年の不遜な態度が最後の悪あがきと嘲笑う神々とオーディン、分かりはしなぁい何かが立ちはだかっていた。それは少年の言葉に耳を傾けてしまう効力を発揮した。
「お前らは……………、《人間の域》だとなんとか言ったな?」
「その通り、ワシらは貴様のような人外を許してはいけないのじゃ「ハンッ、俺が?人外?許されない?だから程度が低いんだよお前らは。」
有無も許さない。
「お前らは、お山の大将気取って人間の力に、ビビっている小物でしかないんだよ!!わかるか?お前らは創造上の空っぽの存在なんだよ、そんなお前らが俺たちの可能性を決めんじゃねぇ!!!」
終わらない。
「所詮、その程度としか思っていないお前らはこの世界を。いやもう世界なんてどうでも良い、人間の未来だ。人間の未来を創らせる訳には行かないんだよ、そんな老害であるお前らはさっさと過去に沈んで消えてくれよ!」
この世界は、いや、未来は人間の物だ。
それら宇宙の果まで変わらない、命には、人間には、《無限の可能性》がある。それは時にして過ち、誤解、悲惨、絶望を齎すが、最後には《希望》が溢れる。
禁忌は時にして災厄を齎すが人を更に《可能性》を高めてくれる。
人は永遠にパンドラの匣を開け続ける。
「それでもお前らが虫けらの如く、人間の可能性を食い潰そうって言うなら。俺は!」
「俺は!お前らを駆逐して、子どもたちの未来を継いでいく!!」
継いでいくのだ、繋いでいくのだ。
《心義》の名のもとに。
「だが、それで世界は廻っている。ワシらのお陰でこの世界の平穏を、豊かさを保っている。それは永遠に変わらないこれまでもこれからも、そのために貴様は死ぬべきじゃ」
「上ォォッ等ゥゥゥッじゃねぇかぁっ!!老害共ォォッ!!」
正真正銘最後の力を振り絞り、流れ落ちる血液と共に立ち上がる心義の少年。対するは世界に長々と巣食った神々、何万柱。
数と状況は絶望的、それでも諦めない。
少年に宿った名前とその誇り高き役割の為に。
「あぁ、そうだ。消えてくれよ老害共。」
ーーーバシュッ。
軽い音、それはオーディンの額から発せられた貫通音。
「はへぇ?」
呆けた遺言を最後に北欧の主神オーディンは暗殺された。少年の仕業ではない、神々は突然の事態に混乱していた。
ふと日の光が世界に差し込んだ。
それによりその正体が現れた、地平線の向こう側からポツポツと黒い影と一つの大きな人型の影が現れた。それは少年たちを取り囲む様に360度全方位に。
「『我々は知っていた、貴様らを。その上で我々は貴様らに適わないことを過去の祖先たちは理解した。』」
遠方はるばるから聞こえる拡声器から聞こえる男性の声。
「『そして我々の祖先たちは今の今まで貴様らの影に怯えながら、その対抗策を模索していた』」
「『本当に長い長い、道のり。二千年、それがお前らに対抗するまで我慢し続けた苦渋の歴史だ。』」
そして聞こえてくる地を揺らすような足音。
「『貴様ら、人外共に怯える時代は終わりだ。後は我々だけの世界だ、いや、未来だ!!』」
世界を変えるのも導くのも平和を齎すのも全ては『普通の人間たち』が行ってきた。英雄じゃない、神でもない、異能を持つ者ではない。
全ては力なき人の業、決して歴史に残らない凡人達の偉業の証。
それが、『未来』
「『全軍、未来のために。死ぬのだ!!!』」
「『『『《《《うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおとおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!》》》』』』」」」
未来守る者たちの咆哮、世界に響き渡り、太陽はその勇姿を照りてらし、戦士たちはその腕を振りかざし神々を蹂躙せんと意気込む。
もう、誰にも止められない。
もう、逃げ場はどこにもない。
人類の、普通の人々の怒りが燃え上がり闘いへと挑む。
その姿を天使長ミカエルは知っていた。遠い昔、神話の時代にパンドラという少女を殺したとき。
彼女は笑っていたんだ。獣のようになにかに喰らいつかんと、嬉々とした光を絶やさない瞳を輝かせ、散っていく姿を。
「これが、人間か。創造主では作れない訳ですね」
それを一言を最後に穏やかに笑うミカエルは、超重力砲に巻き込まれ塵もなく消えていった。
あとは、『世界』だけ。
【パンドラの匣】
人が永遠と開け続ける匣、その中には可能性の闇が詰め込まれてい未来を悪い方向へと差し向けるが、最後の希望によってその逆境からさらに発展させてくれるモノ。最後の希望とは人間誰しもが持つ、【愛】なのかも知れない。だから尊敬しょう最初にパンドラの匣を開けたパンドラを。
どうでしたでしょうか?
すいません遅れてしまって、一気に書いたせいで色々と変なところあるかもしれませんがご了承を。
あと一話でこの物語も終わり、弱いだけの人間は時にして愛するものを護るために可能性を武器に立ち上がりこの世界を守ってきました。それはなんてこともない普通の人々、決して歴史に名前が乗らないような平凡な人々。だから私はそんな人たちをきっと英雄と、言うのではないかと思います。
それではそろそろ、筆を降ろさせてもらいます。
感想くださいな。
追伸
真ゲッターロボ〜地球最後の日〜を見てて遅れたわけでは無いので悪しからず。
俺は悪かねぇ!!!