「はっはぁ!!!何これ何これ!!雷すげぇな!初めてでこんなに制御できるのは中々無いんじゃないか!」
全身を雷と化した少年は喜悦の表情を浮かべ一人の少年を追っていた。とは言っても、入試開始から10秒も経っていないのだが、既に距離はぐんぐんと縮まっている。
Bazzzzzzz!!!!Bashu!Bashun!
Boooooomm!!bomb!!bomb!!
雷鳴と爆発の轟音がさらに会場を震わせる。
その二つの音源は縮まっていき、重なり、追い越した。
僕はさっきの仕返しを含めてめっちゃ腹の立つ顔で挑発してやった。
「やぁ、さっきぶりだね
隣を飛行する鳥の巣頭は一瞬驚いた顔をしたがすぐに目をつり上げて言う。
「待てやこのクソモブがぁあああぁああ!!!!」
「さっきからモブモブって…僕からしたら、君の方がモブにしか見えないなぁ…」
傲慢そうなプライドをへし折るため、トドメとばかりに速度を全速力で上げると一気に景色が後ろに流れていった。
速すぎて彼の顔を見れなかったのが残念である。
さてさて、市街地のスクランブル交差点?らしきところに1P、2P、3Pの
「標的ホソク!!!」
「ヒーローブチコロス!」
「ウチマクレ!!」
上空にいる僕に向かって球を打ち出してくるが雷の速度で避ける僕を捉えることはできない。考えなしに撃っていたのか、全員が弾切れを起こしてリロードをしているところであった。
「景気付けに1発デカイの行っとくかね…あ、でも市街地に被害が出ないように調整してっと…『雷雲招来』!」
模擬市街地である、偽物の空に本物の雷雲がどこからともなく表れる。いつの間にか空は雷雲で覆われ、夜のように暗くなった。
「いけ!『雷神の怒り』!!」
夜のような空間に、神の裁きとしか言い様のない、極太い一条の雷が降り立った
Baaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaannnnggggggg!!!!!
鉄で出来た仮想敵は雷の高圧電流に耐えられるはずもなくショートし爆発した。
「ひゃー、電気系統の個性が勝ち組だってのが良く分かるな。攻撃のスピードが速いし使い勝手が良い…。」
レベルアップまであと80000!!かなり減ったな。100000か…一匹につき5000?美味しい美味しい。壊していいってのは本当に好都合だね。どんどんいこうか。
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爆豪side
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雷を纏う彼に追い付けないことを悟った彼は諦めて、近場にいる仮想敵を爆破していた。
何だあんのクソモブがぁあぁあああ!!!モブは俺の前を行くなよ!!俺が特別なんだ!!!一番だ!!!他は認めねぇ!!俺が1位なんだ!!!
「標的ホソク!」
「ブッコロセ!!」
後ろから迫ってくる仮想敵を見ずに爆撃する。
「俺は…負けねぇ…!!!」
直後、空が暗雲に包まれた。その暗雲には雷が迸っており、市街地の中心辺りに集まっていた。
もしかして、あいつが…!!またあいつが!!!
白い光が辺りを覆った後の鼓膜が破れそうな轟音
圧倒的な力
あれだけで自分と
だが、彼のプライドが認めようとはしなかった。今まで自分こそが1番強い、特別であると思っていた。だからこそ、自分を越える存在が同年代にいることを認められなかった。
奴と戦って勝てば…俺の方が上だ!!そのためには…雄英に受かる!!!
彼は目的のために、また一機、また一機と爆破していくのだった。
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MPの消費を抑えるため「雷魔法」の使用は休憩して、「ステータス」のみで戦った。MPが3600から2100に減っていた。多分雷神の怒りが1000で纒・雷電が5分で500かな…。結構消費多いな。これからはMP増やそう。うん。
あとさ…ロボットの鉄ってもっと固いんじゃないの?アルミ缶みたいにペキャッってなるんだけど…最後の一匹ぃぃ!
「ふぃぃー…なんかもうここら辺仮想敵いなくない?経験値ぃ…経験値を寄越せぇい!!…あと3万でレベルアップ!いくぜ29レベル!!」
地面を蹴って次の仮想敵を探そうとしたとき、地面が揺れた。
「ん?なんだ地震か?」
それは地震ではなかった。未だに人が多いであろうスタート地点も市街地の中心地の真ん中辺り、そこに遠くからでも見えるバカデカイ鉄の塊が存在していた。
そう、0ポイントの仮想敵である。
徐々に体が熱くなっていくのが分かる。
「おいしい経験値、見ぃつけた♪…『纒・雷電』!」
Bazzzzzzzzzzz!!
ビルや仮想敵がどんどん後ろに流れていく。やっぱり速い…
その証拠にほら、もう着いちゃう。
0ポイントによって建物が破壊され、受験生たちが必死に逃げ惑っているのが見える。
ッ!?瓦礫の下敷きになってる奴がいる!?他の奴は助けようとしろよ!それでもヒーロー志望か!
Bashun!!!
「おい!大丈夫か!?」
いきなり現れたように見える俺に多少驚きながら
「ケロ、大丈夫じゃないわね。足が挟まってしまって取れないわ。このままじゃ轢き殺されたカエルになっちゃうわ。」
「ハハハ、冗談でもやめてくれ。今助けるよ…っと。」
感電しないように雷魔法の行使を止めて力だけで瓦礫をどかす
「ケロ、ありがとう雷の人、私は蛙吹梅雨って言うの。梅雨ちゃんって呼んで。」
「ごめん、梅雨ちゃん自己紹介は後にしよう。今は
引き付けるというか、仕留める気満々だけどね。
最後の一撃のためにMPは使わない。馬鹿げた身体能力だけで0ポイントの体を駆け上がる。
巨大な手が俺のことを潰そうとしてくるが、日々の訓練で培った反射能力で安全範囲に逃げていた。
0ポイントは俺が離れたことを確認するとミサイルを撃ち込んでくる。
「ふっ!はっ!よっと!おわっ!危ない!」
かなりの弾数が悠真に襲いかかるが全てを紙一重で避けていく。爆破の余波もあるのだが悠真のステータスのせいで火傷一つ負わない。
土煙と爆炎で見えなくなった隙をついて0ポイントは腕で叩き潰そうとしてきた。凄まじい重量のはずだが、悠真のステータスには関係ない。
煙を割いて上から迫ってくる拳を見据え、受け止める体制に…。
「フッ!!」
止まったには止まった…が…いくら悠真は大丈夫でも床の耐久力までは予期していなかった。
足首が地面に埋まった程度で助かった。
「受験生全員の避難が完了したわ!ってあなたピンチじゃない!」
「こんくらいはどうってことない!梅雨ちゃんも離れて!デカイのかますよ!」
0ポイント敵は俺を押し潰そうとさらに力を込める…
膝まで埋まっちゃったよ…まぁ、安定して打ちやすいからいいや。
雷魔法使用…
使用MP2000!
「天を穿ち、星を喰らうは雷龍なり!『天雷龍閃』!!」
紫電が俺の体を包み、しばらくの間その雷しか見てなかった。
俺が想像したのは体から雷の龍が放出されるイメージ。0ポイントより遥かにでかく、一飲みに出来るほどだ。
俺は近すぎて視認できないが恐らく避難している皆からすればデカイ雷の龍が0ポイントを喰らっているところだろう。
やべ、MPの使いすぎのせいかな…すげぇ眠くなってきた。まだ試験あるのに…
遠退いていく意識の中で2つの声が聞こえた。
『レベルアップしました。』
レベルアップのお知らせと
『実技試験、終了~!!』
実技試験終了のお知らせだった。
ただいまのレベル、29…