「何で私に聞かせたの?」
劉の話を聞いていた私は聞きたかった。
それは、私が、私のおじいちゃんと、ママの人種が違うことに関係してるの。
「そう、それが正解」
顔色を見て正確に答えられる。
途中で気づけた。
おじいちゃんは無理にでもここに連れてきた。
それが理由なんじゃないかって、それは私が。
「私はレオン・ジーの肉親なの?」
「まぁ二割ぐらいは同じ血が流れてるな」
やっぱり。私はどこか分かった事があった。
私もやっていいのなら同じ事を選べた。
戦争の為の人間を作って楽をする。
邪魔な人には簡単に死んでもらう。
その方が楽だ。
「お前の母ちゃんには念を押したよ。ガキ作るんだったら殺される覚悟ぐらい持てよな。って」
そりゃあ、そうだよね。
普通だったら殺してるよ。
ごめんなさい。産まれてきて。
名前もない子供に謝るのって変だな。
「まぁそれ以上にな」
劉が立ち上がる。
そして指を一本基地を見ろと言わんばかりに示す。
「この景色を見せねーとお前の母ちゃんとの約束破ることになるからな!」
基地の中から爆音が響く、なんだアレは。
アレは。
アレは。
「く、る、ま?」
車が空を飛んでいる。嘘みたいに。馬鹿みたいに。その背面が爆発してるかのように火を灯して空を飛んでいる。
「あー!マジでこれ外したらハズかったわ!」
劉の叫びに意味が分からなくなる。
何が、何が起きているんだろう。
「この近辺な、あえて手を加えなかったろ?」
その理由は表向きは忌まわしき横須賀の放棄、裏は―
「少佐ー!いってらっしゃいなー!」
おじいちゃんが叫ぶ。腰が弱いのにそんなに叫んで、叫んで、少佐?
「この戦後の数十年、この横須賀基地は独立状態だった。たったひとつの計画の為に」
少年を取り戻す。
その戦いを選んだのは、赤城ではなかった。
エル・ヴァーノンという女性がメンタルキューブの更なる解析に明け暮れるためのスペースとして要求したのだ。
その要求が呑まれないのなら、その全てを公開すると、脅しをかけて。
長く長く気が遠くなりそうな時間、付き合ったのはたった一人。
「エッカルトの野郎、やりやがったな―」
そう、斥力太陽所持者の総書き換えをする為に老人は生きたまま頭を開き、培養液の中で戦った。
奇しくも帝竜カンパニーという会社を務めた時間の分だけ、彼は彼女の研究に付き合った。
「カカッ!やっぱ俺の目利きは腐ってねぇな!」
料理人は勝ち誇る。
夏の空にビールを飲んで笑う。
その様を見た少女を見て料理人は誇るように微笑んだ。
「アイツが信じた世界だ。間違えたりなんかしねーって俺も信じてる」
生きていて良いということなのだろうか。
分からない。けれど、この空を、この心を、この世界を、私は好きになれたと思う。