「お、やっと見つけたぜ。お嬢ちゃんちょっといいかい?」
後ろから男の人の声が聞こえた。
気づいていなかったので驚いた。
雪下さんのほうは見えていたからか驚く様子はなかったが・・・
誰の声か・・・
振り向くと、リーゼントが特徴的な人が立っていた。
この髪型・・・この服装・・・。
「A級の当真先輩?」
「お、なんだ、俺のことしってるのか。うれしいねぇ。当真勇だ、よろしく、お二人さん。」
「最近昇格しました、明野隊所属の浅上です。よろしくお願いします。当真先輩。」
「・・・・・・」ペコリ
隣で雪下さんが会釈をしていた。
「それで、わざわざどうされました?当真先輩?雪下さんに何か用事でしょうか?席を外したほうがいいですか?」
「浅上、お前かてぇな・・・。もっと肩の力ぬけよ、スナイパーならいつでもリラックスしとけよ・・・」
前に柿崎隊から言われたようなことを言われてしまった。
気を付けなければ・・・。
「まぁ、いいか。別に席を外す必要はねぇよ。ちょっとお嬢ちゃん・・・雪下ちゃんだったか?に話を聞きたくてな・・・」
「・・・なんのことですか?」
雪下さんが少し首をかしげている。
ここまでの様子を見る限り、雪下さんも当真さんとは初対面のようだ。
同じスナイパー同士で交流があったとかはなさそうだ。なら何なのだろう。
「この前の狙撃掩蔽訓練覚えてるか?先週やったやつだ」
「・・・・・」コクリ。 雪下さんがうなずく
狙撃掩蔽訓練・・・
確か雪下さんが9位って言っていたな。正規隊員もいる中での9位だ。まぐれで出せるようなものじゃない。
それなら、その腕を見越しての勧誘だろうか?
「雪下ちゃん、俺が見つけたと同時に俺に気づいたよな。距離は600mは離れてたとおもうぜ・・・」
「見つけたと同時に気づいた?スコープの反射で気づかれたとかではなくてですか?」
スコープのガラス(トリオンで構成しているから実際には違うと思われるが)
は太陽との位置関係次第で太陽光を反射して撃つ前に気づかれる場合がある。
もちろん、反射を防ぐためのオプションもつけられているが完全ではないからその可能性がないとは言えないだろう。
「おいおい・・・俺がそんなへましたりしねぇよ。あれは明らかにそれ以外の要因で気づいてたぜ。それに、撃つタイミングもわかってたな?
頭に当たらなかったのは奈良坂以外じゃお前が初だぜ。どうして気づいたのか教えてもらっていいかい?」
奈良坂先輩以外の人にヘッドショットばかりしているのも驚きだけれど、600m先の人をレーダーなしに見つけて、なおかつそれが誰か、こちらに気づいたかを判別できる当真先輩って本当に同じ高校生なのだろうか?
「・・・すみません。言えません・・・。」
雪下さんは小さく返事をした。
言えない?なぜだろうか?
言えない理由を聞いてもいいものだろうか考えていると・・・
「・・・すみません。失礼します。」
ペコリと頭を下げて、走って出て行ってしまった。
「あらら、怖がらせちまったか。そんなつもりはなかったんだけどな・・・」
当真先輩がつぶやく。
「すみません。彼女は人見知りをするようですから・・・」
急に立ち去ったことに対して私からフォローを入れておく。
「ん?あぁ起こってねぇよ、女の子に問い詰めるような聞き方した俺も悪いからな。
ところで、浅上、雪下ちゃんは明野隊に入るの?」
「いえ、今は勧誘しているところで返事はまだです。誘ってくれてうれしいとは言っていたのですが、ランク戦であまり力になれないからってためらっているみたいでした。」
「力になれない?」
「はい。理由はわかりませんが、自分からは言いにくい理由みたいですね。単純に実力不足とかではなさそうです。」
「っつーことは触れられたくない何かがあるってことだな。大体予想がついたぜ。さんきゅーな。」
そういって当真さんは帰っていった。
触れられたくない何かがある・・・。
ランク戦と、この前の訓練のことで・・・。
共通する理由かはたまた別の原因か
今の段階ではわからないな。
かといってあまり深入りするのもよくない。
さて・・・どうしたものだろうか・・・
当真さんのセリフもう少し当真さんらしく書きたい・・・。
どうにも違和感が残る・・・。
捕捉
当真さんはA級、B級の一部の人しか訓練で狙いませんが、今回は、その一部の人を探しているときに見つけた雪下月花に気づかれたことで興味を持って、狙いました。