場所を変えるべく、ラウンジをでて、5人で作戦室へ向かう。
さて、どうしたものか・・・
雪下さんの加入に関しては本人からは了承をもらっているので、あとはうちの隊の3人の許可をもらうだけだ。
けれど、その前に雪下さんが今の段階ではランク戦に出られないことを説明する必要がある。
その理由にかんして、ある程度の予想が立っているものの、具体的に、正確に理解しているわけではないし、雪下さんの秘密に関することだから本人の同意なしに話すわけにもいかない。
ある程度はぼかして伝える必要がある。
さて、どうすればみんなに納得してもらえるのだろうか・・・。
と考えていると・・・・
「おっと、浅上じゃねーの。今日は明野隊そろってんのな。それに、嬢ちゃんも。」
偶然通りかかった当真先輩に話しかけられた。
今日はよく話しかけられる日のようだ。
「当真先輩、こんにちは。お疲れ様です。」
「あいよ、嬢ちゃんが明野隊といるってことは、・・・そういうことか?」
そういうこと・・・つまりは雪下さんの加入についてか・・・
「えぇ、その予定です。雪下さんからは了承は得られました。
といってもついさっきの話ですけど・・・。
ですので、これからみんなに雪下さんの紹介をするために移動しているところです。」
「なるほどね。ま、嬢ちゃんにとってもそれがいいだろうな。
じゃ、俺からいうことは一つだけだ。
なんかあったらいつでもいいな。相談に乗るぜ。
・・・とくに、上との交渉なら俺を挟んだほうがいいと思うぜ。」
当真先輩の言葉に雪下さんがピクリと少し反応する。
やはり、いろいろ気づいている様子だ。
しかし、上との交渉?
なんのことだろうか・・・気になるけれど、雪下さんの秘密にかかわることだから聞くに聞けない。
「・・・わかりました。その時はまた頼りにさせていただきます。
それでは、失礼します。」
「おう、じゃあな。」
そういって当真先輩は立ち去って行った。
「お前っていつの間にか交友関係結構広がってるよな」
当真先輩と話していた様子を見て、雅樹が話しかけてくる。
「まぁ確かにボーダーに入って広がったな。今度那須先輩に稽古付き合ってもらえるようにもなったし・・・
だが交友関係が広がってることに関してはお互い様だろう。アタッカーのいろいろな先輩方と話してるのよくみるぞ。」
「それはあれだ、同じポジションの人とはよく戦うし、一緒に練習もする。
当然っちゃあ当然だな。」
まぁ実際その通りだろう。ボーダーは基本隊員同士での教えあいが盛んだ。必然戦闘スタイルが同じ人と仲良くなる機会に恵まれる。
「それにしても・・・那須先輩とねぇ。よかったな。」
「あぁ、そうだな、これでもっとバイパーを使いこなせるようにしていきたいところだな。」
といった話をしている間に作戦室へとついた。
―――
「さて、それじゃあ、雪下さんの話の続きだな。
ランク戦の加入に関してだったな。
昇格してすぐには残念ながら参加できない。4人で戦うのはもう少し後になる。」
そして、私の話に3人が首を傾げる。
「ちょっとまって、浅上君、ランク戦への加入は昇格してさえいればいつでもできたはずよ?」
3人を代表して、村中さんが聞いてくる。
村中さんの言う通り、家庭の事情などで、隊を抜ける場合があるから、シーズン中であっても入隊、脱隊は自由だ。
けれど、今回は事情が違う。
「そうだな。けれど、雪下さんの場合、それとは違う理由で、ランク戦に参加することができない。」
「「「別の理由?」」」
3人の疑問はもっともであるが、素直に答えるわけにはいかないし、
そもそも私も具体的な理由は知らない。
答えられないか、嘘でごまかすか考えていると・・・
「・・・えぇ、私の個人の理由でランク戦に参加できないんです。」
私が答えるより早く雪下さんが意を決したように答えた。
「いいのか?」
「・・・えぇ。これからチームメイトになる人に隠し事はしたくないもの。
それに、当真先輩が言ってた通り、ここにいることが私のためになると思うから・・・。」
・・・当真先輩の言葉が最後の一押しになったようだ。
その期待には応えないといけないな。
「ヒロ?2人の世界を作るならよそでやってくれないか?」
「2人の世界とまではいかないけど、ごめん、僕も話が見えないや。
ランク戦に参加できない雪下さん個人の理由ってなんなのさ。家庭の事情とか?」
椿の問いに雪下さんが首を横に振る。
そして・・・
「・・・違います。私の・・・・、
・・・私の持っているサイドエフェクトが関係しているんです。」
雪下さんはそういった。
―サイドエフェクト―
やはりそれが雪下さんの隠し事だったか・・・。
「・・・ちなみに浅上さんに聞きます。私の隠し事がサイドエフェクトだったっていうことは当たってた?」
「こないだ当真さんと3人で話したときに気づいた。」
「・・・そう。それじゃあ、サイドエフェクトの内容については?」
雪下さんのサイドエフェクト。
「そっちに関してはなんとなくだけどな。何度か雪下さんを見かけていた時から違和感があった。私が見つけると同時に雪下さんも私に気づいていたからな。
それに、この前の当真先輩が言っていた離れていた先輩に気づいたこと。
これらのことから私の予想だと、雪下さんのサイドエフェクトは
―視線感知―
じゃないかと思っている。私の時も、先輩の時も視線を感知して気づいた。
・・・違うか?」
ランク戦に出れないのは人前で目立つようなことをしたくないから・・・そういった理由じゃないかと考える。
そして、雪下さんの返事は・・・
「・・・違うわ。」
どうやら、違っていたようだ。
いくらかは自身があって喋っていたのでどことなく恥ずかしい。
3人の・・・特に雅樹の視線が痛い。
しかし・・・違うとなると一体なんなのだろうか・・・
「・・・正しくは、『視線過敏体質』。それが私のサイドエフェクト。」
雪下さんはそうつづけた。。
すみません、例によっていろいろ立て込んでいて更新が滞りました。
体調管理、大事。