「・・・正しくは、『視線過敏体質』。それが私のサイドエフェクト。」
雪下さんはそう答えた。
「視線過敏体質・・・?」
雅樹などはピンと来ていないようで首をかしげている。
「それは・・・私の言っていた視線感知との違いはなんになる?
過敏・・・とあるからには何かしらデメリットがあるということか?」
「・・・そう。」
雪下さんは小さくうなずく。
そして続ける。
「・・・私は、誰かに見られていること・・・視線を感知できます。
どこから見ているのか、どこを見ているのか、どれくらい注視しているのかを・・・」
なるほど・・・
その三つがわかれば確かに捕捉&掩蔽訓練ではズルしているようなものだな。
どこからどこを狙われているのか・・・そして、どれくらい注視しているかで狙撃のタイミングもつかめる。
むしろそのうえで当てる当真さんがおかしいとしか言えない・・・。
「それはすごいね。えっと・・・それじゃあその・・・浅上くんがいってたデメリットっというのは?」
私が考えにふけっている間に村中さんが続けて尋ねる。
「・・・一度にたくさんの人から見られると、頭痛、めまい、吐き気とか・・・。気分、体調不良に・・・。」
「ふむふむ・・・って・・えぇ!!月花ちゃん、こんなに大人数でごめんね!!いまは大丈夫!?」
デメリットをきいて村中さんが慌てた様子で真っ先に心配する・・・。
「・・・今は大丈夫。10人くらいまでなら・・・平気。
・・・それに今はトリオン体だから・・・。トリオン体なら症状もある程度はましになるから・・・。」
たしかに、トリオン体は痛覚遮断などがあるから多少は良くなるだろうが・・・。
ん?まてよ?
「雪下さん、それはランク戦にでれない理由でかまわないか?」
ランク戦ではたくさんの隊員が観戦に来る。
10人どころではなく日によっては100人を超える人がいる。
一度に見られればその体調不良・・・過敏症はとても大きなものだろう。
だがそれはモニタ越しだ。直接見られるわけではない・・・。
まさか、モニタ越しでも感じるというのだろうか?
・・・いや、ランク戦中ではなくてもランク戦に参加して活躍すれば注目を浴びる。それを避けたいのだろうか・・・。
「・・・えぇ。私のサイドエフェクトはカメラ越しの視線も感じるから・・・。
といっても、少し感じ方は変わるのだけれど・・・。」
雪下さんによると・・・
カメラ越しの場合はカメラからの視線―――カメラの位置を感じるだけで対象がどこから見ているのかはわからない。
けれども何人から見られているのはわかるし、どこを見ているのか、どれくらい注視しているのかもわかるようだ。
これは困ったことになった。。
・・・と同時に解決すべき問題が見えてきた。
「ということは・・・雪下さんがランク戦に参加するには、
そこをなんとかすればいいってことだね。」
「そうだな・・・、本部に頼んで、ランク戦で雪下さんは移さないようにしてもらうとかか?」
椿、雅樹が続けて述べる。
雅樹の案は確かに実行できたらそれで解決できるが・・・。
「それは難しいんじゃないかな。いくら事情を説明しても、さすがにうちの隊に有利に働きすぎるから・・・。
本部も承認してくれないと思うよ?」
「椿の言う通りだな。確かにそれができればいいが、うちの隊をひいきしてるって批判が出かねない。」
さて・・・どうしたものか・・・。
―――
それからしばらく話し合ったものの、具体的な解決策は出ず、
雪下さん加入の件は保留として解散となった。
一応、昇格後は防衛任務で優先的にうちの隊と一緒になるようシフトの申請をしておいたので、ひとまずはそれでいいだろう。
雪下さんの問題もわかったし、解決策はそのうち出てくるはずだ。
更新がたびたび滞ってます。申し訳ありません。
リアルのほうが一段落ついたので、更新ペース戻していきたい・・・。