雪下さんを紹介した翌日。
私たち明野隊は再び作戦室に集まっていた。
次のランク戦についてのミーティングが目的だ。
「さて、それじゃあ次のランク線の対策考えてくぞ。ヒロ、なんか考えてるか?」」
雅樹の掛け声でミーティングが始まる。
そしていつもの如く私に話が振られる。
「そうだな。策があるにはある。けれど、その前に一応状況を整理する。
次の相手は吉里隊と茶野隊だ。全体的にガンナーが多い傾向にあるから中距離線が主体になるな。
逆に言えば、接近戦に持ち込むことができれば負けはないだろう。」
「つまり、どう近づくか作戦を立てればいいってことだね。」
わかりやすくていいね。とでも言いたいかのように椿が補足する。
「そうだな。このうち、茶野隊はガンナーとはいえ、使用するのはハンドガンタイプのトリガーだ。有効射程は20mから30mといったところだな。
一発一発の威力は高いが、連射性能は突撃銃にくらべ劣る上、確実に当てるためにむこうから近づいてきてくれるはずだからあまり苦労はしないと思われる。」
「っつーと、あとは吉里隊だな。うまく弾幕かいくぐって進まねーとな。」
「うーん。バッグワームで奇襲できたらいいけど、いつもそれが出来るわけじゃないから作戦として入れるにしてはダメだよね。」
明野、村中さんも意見を述べる。
雅樹と村中さんの言うことはもっともだ。
特に村中さんの案は状況次第ではかなり有効だ。
「村中さんの奇襲も十分に有効だな。初期配置次第にはなるが作戦のひとつとして入れておきたい。」
「僕のグラスホッパーは?走るより速いからアリだよね?」
グラスホッパーも接近の手段としては有効だな。
「そうだな。それもありだな。」
「割と選択肢は多そうね。それなら今回は割と楽勝だったりするのかな。」
「この前のランク戦と比べるとそうなるな。けど・・」
「マップ選択権・・・だろ?」
私の言葉を遮って雅樹が言う。
「え~と次のマップ選択権は確か・・・吉里隊だね。」
村中さんが少し考える仕草をして答える。
「地形しだいではこちらが不利になるかもって感じだね。」
「それと補足だが・・・吉里隊は作戦に応じてトリガーを追加することが多い。だから、作戦の幅が広い。対策を立てるに越したことはないな。」
「けどよ、作戦の幅が広いっていってもそう頻繁にトリガーいじったらとっさの切り替えミスしやすくなるよな?」
「そうだね。じゃあそこも攻めの切り口の一つになるね。といっても、ミスしそうな状況に持ち込むにはやっぱり奇襲とか乱戦とかいった状況を作らないといけなくなるけど。」
初期配置という運要素が絡んでくる作戦になりそうだ。
なので、話を変える。
「運要素が大きくなりそうだな。初期配置が悪かった場合の対処を考えようか。」
「ま、そうだな。どうするよ?」
雅樹がすぐに振ってくる。
が、椿がそれに突っ込みをいれた。
「少しは自分でも考えてよ・・・」
まったく・・・とでもいいたそうな表情をしている。
私も村中さんもそれについては同意見である。
私と椿、村中さんは相手の考えを読んで作戦を考えるタイプだけれど、雅樹は自分の勘に頼って作戦を立てる。
雅樹は勘が鋭いから、相手の狙いも外しやすいし、いい案が出るときがそれなりにある。
もちろん、明らかにダメだろうという意見もそれなりにあるが・・・
とはいえ、今回の作戦では策があればあるほどいい。
いろいろ考えてもらわないとな・・・。
「乱戦に持ち込むってことはただ接近するってことじゃないよな。いかに相手を崩すかってことでいいか?
それなら、メテオラでどうだ?影浦隊のゾエさんみたいにメテオラバラまいてくれてたらさすがに崩れるぞ。」
ふむ、割とまともな案ですこし驚いた。
「となると私か。まぁそれくらいのオーダーはたやすい。いくらか条件限られるが引き受けた。」
「「「条件?」」」
三人で聞いてくる。
「私はバイパー使いでシューターだからな。ゾエさんみたいな曲射射撃でメテオラが打てるわけでもないし、真っ向からの撃ち合いじゃガンナーには勝てない。
ガンナー相手ならフレアもつかえないしな。だから地形が有利か、二人にサポートに入ってもらう必要があるな。」
「そっか、じゃあまた別の案も考えないとね・・・。どんなのがあるかな・・・」
――そして、しばらく意見を出し合った。
いくらか出たけれど特にこれといったものは出てこず、また次回考えるということになった。
幸いにして、次のランク戦は日程調整のために一週間空く。
考える時間は十分にあるはずだ。
さて、どうしようか・・・