ヤンデレ艦娘集 限定編   作:夜仙

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すいません。宣言通りにはいけませんでした。


 ずっと見ている

「暑い!暑い!」

 

 僕は家に帰ってくると急いでエアコンをつける。エアコンはウィーンという音と共に開くと、ゴーという音をたてて冷風を吐く。

 

「気持ちい〜!!」

 

 思わず叫んでしまう。でも、それぐらい外は暑かった。外の気温は三十五度を超えていて時おり涼しい風が来るが、それはほんの一瞬。すぐ暑さが来る。

 

 

 そんな猛暑だったのでエアコンから来る風は天からの救いのように感じられる。

 

 僕はスーツ姿のままソファに寝転がる。

 

 そしてバッグにあるスマホを取って、とあるサイトを開く。

 

 それはパクシブという投稿サイトで、沢山の人達が漫画や小説を投稿している。まぁ大体は二次創作ものだが。そこには傑作もあれば駄作もあり、それを探すのもまた楽しみだ。しかし、今僕はそんなことをしない。それは仕事や生活の支障のことも考えてだが、大きな理由としてはなっていない。じゃあ何なのか?それはこのサイトで楽しみができたからだ。

 

 

 僕はサイトを開き、それを見る。それは『明秋 石雲』さんが描いている恋愛漫画だ。そう。僕の楽しみはこれだ。この人の恋愛漫画を読むことだ。

 

 ここでだが、ざっと内容を伝えよう。

 

 主人公である女子が憧れの男性と出会い、恋に落ち、男性に必死にアピールする。しかし男性は振り向きもしない。それどころか彼はいつも無表情だった。まるで、そこに女子はいないような素振りを見せる。

 

 今回もそうだった。男性は女子を無視し、家に友達を招き入れてゲームをしているのだ。それを彼女はこっそりリビングから見て悲しそうにしている。

 

「クソ〜!この男ホントクズだな!おい」

 

 僕は独り言とは思えないぐらい大きな声で言う。

 

 これを外でやっていたら僕は変人扱いされるのだろうが、あいにくここは僕の家。誰からも僕がそのようなことをしているとは気づくまい。

 

 それにしても、この女子は可愛そうだな。いつもいつも男性に無視されているんだから。

 

 しかも、この話はリアルであったことを書いているらしい。

 

 まぁ、そう考えると作者に対して少し同情してしまう。

 

 

 そんな事を思っているとプルルルとスマホから着信音が鳴る。

 

 スマホを見ると友達からだった。

 

「もしもし」

 

『おう!明石出たか!』

 

 向こうから僕のテンションの倍以上の元気な声が返ってくる。 

 

 それに僕はため息をついてから要件を訊く。

 

「で、何のよう?」

 

『ゲームでもして遊ぼーぜー!』

 

「それ昨日もやったじゃん」

 

 実は昨日あいつは僕の家で『ゲームでもして遊ぼー!』とか言って遊びに来たのだ。本当に押しかけは良くない。しかも、その挙げ句に夜の十二時まで家に居た。……まぁ楽しかったからいいけど。

 

「分かった。んで今日は何処で遊ぶんだ?」

 

「あぁ、今日は俺んちで遊ぼーぜ」

 

「あぁ、分かった」

 

 僕は電話を切ると、軽い準備をしてから家を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 僕は歩いて十分の友達である島田のいるマンションに来た。まだ起きている人がいるらしく、上を向くとところどころに灯りがついている。僕はマンションのロビーに入る。すると、自動ドアの前にいる男性に気づいた。パジャマ姿でロビーの椅子に座っている男がいる。彼こそが友達の島田だ。

 

 

 

「お〜い、島田。来たぞ〜」

 

「おう!ちょっと待ってくれ!」

 

 僕の呼びかけに彼は応じ、自動ドアを開けさせる。そして、僕が入ってくると笑顔でもてなしてくれた。

 

 島田の住んでいる部屋は1LDKで、あちらこちらに彼が買ったゲーム機やCDがびっしり棚にある。

 

 

 僕は島田の部屋に入り、部屋に薄く広がる座布団に腰掛ける。

 

 一方の島田はビール缶を二本持ってきて、机に置く。そして一本を僕の方に向ける。あいつなりのもてなしなのだろう。

 

「ありがとう」

 

「どういたしまして。では……カンパ〜イ♪」

 

 プシュと音をたてて開くビール缶。それをよそに島田と僕はカンと音を鳴らして缶と缶をぶつけ合わせる。

 

 そして、一口味わって飲む。

 

「クゥー!仕事終わりのビールは上手いぜー!」

 

「島田、お前、今仕事なにしてんの?」

 

「ん?あぁ、本屋で働いてるよ。今は」

 

 そう言って、ずり落ちそうな丸眼鏡を上に上げる。

 

「それよりゲームだ、ゲーム」

 

 島田は棚からゲーム機を二人分出す。それはテレビゲームですぐ側にはパソコンが開いたまま持ち主がいじるのを待っている。

 

 僕はそれを懐かしそうに見る。……懐かしい。昔はパソコンゲームにハマっていた時期があった。

 

 その中でも艦これが一番だったと思う。

 

 

 艦これとは軍艦を擬人化させて深海凄艦という奴等と戦うゲームで、これに僕はかなりの時間を使っていた。最盛期だと一日の内三分の一ぐらいしたと思う。それぐらいハマったのだが、だんだん飽きてきてやらなくなっていた。そういえば、島田もやっていたな……。今でもやっているのかな?

 

「なぁ、島田?」

 

「ん?」

 

「お前って、まだ艦これしているのか?」

 

「一応しているよ。やっぱあのゲーム面白いからなぁ」

 

 そう言って島田はニコッと笑って、「それよりゲームだ。ゲーム」と言って先を促した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だぁ〜!!また負けた〜!!」

 

「ふん。お前なんて俺の足下にも及ばないぜ!」

 

 僕は島田とあれからゲームをしているのだが中々勝てない。昨日は僕の全勝だったのに……。 

 

「悔しい」

 

「ふん。所詮はお前は俺の神レベルのプレイにはついていけないのさ!!」

 

「その割には昨日、意味わからないジャンプをし続けていたのは何処の紙プレイヤーさんかな〜」

 

「ぐっ!何も言い返せない」 

 

 そうして、僕とこいつは冗談を言い合って笑った。島田と出会ったのは高校生の時だが、大人になって働くようになった今でもこうして遊んだりするのはそれだけ仲良しなんだな、と思う。これが世にいう竹馬の友というやつか。

 

 そう思っていると、あいつは何かを思い出したようにして、僕の方を向く。

 

「そういえば、お前にオススメの本を紹介してもらうのを忘れていたぜ」

 

「そんな約束していたっけ?」

 

 記憶にないんだけどなー。

 

「したよ、覚えてねえのかよ」

 

「……すまん」

 

「まぁ、いいけどよ」

 

 それにしても島田に紹介する本か……。何も思い浮かばないな。そもそも僕はそんなに読書はしない。だから余計に思い浮かばない。……というか、こいつって読書するの?そんなところ見たことも聞いたこともないけど。

 

 そう思って島田を見ると、僕の視線の意味に気づいたのかハハッと笑って、

 

「確かにお前が思っている通り、あまり読書はしないほうだが、最近ゲーム以外にもなにかあるんじゃないか、と思ってな。ほら、多趣味な方が幅広く人生楽しめるじゃん」

 

 意外だな、こいつの口からそんな言葉が聞けるなんて。にしても、本か……うーん。

 

「それって本じゃなきゃ駄目か?」

 

「いや、別に」

 

「漫画はいいか?」

 

「いいよ」

 

 うーん。本じゃなくても良くて、漫画もいい……中々広いな。

 

 僕はそう思い、スマホを手にとって調べることにした。まず目を向けたのはパクシブだ。ここには多くの漫画や小説があり、もしかしたらこいつに合うものが見つかるかもしれない。そう思って、おびただしい漫画をかたっぱしから見ていく。雲を掴むようなやり方だが、これが一番手っ取り早い。

 

 だが、なかなか見つからない。というか、そもそも島田の好きそうな漫画が分からない。そう思ってパラーッと見ていく。

 

「あ、これ面白そう!」

 

 島田の大声が僕の耳もと近くで聞こえてきた。キンと耳の奥がなり、顔を一瞬しかめる。島田は自分のしたことに気づいたのか「ごめん」と言って、謝った。

 

「それよりさ、これ面白そうじゃん!」

 

 島田がそう言って、画面を指さす。指した先にあったのは、とある一つの漫画。それは、なんと僕が読んでいた漫画だった。

 

(ん〜!?!?)

 

 思わず目を剥いてしまった。なんで島田がこの漫画を選んだんだ!?そう思うと、驚かずにはいられない。僕の心境なんていざ知らず、あいつはきょとんとした顔をしている。

 

「どうした、そんな顔して?」

 

「いや、なんでそれを選んだんだよ」

 

「面白そうだから」

 

 まじかよ……こいつも恋愛漫画を面白いというようになったか……。

 

「まぁ、お前が良いと言うならいいけど……」

 

 こうして、島田もこの恋愛漫画を読むことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 数日後、僕は島田に電話をすることにした。

 

 理由としては現段階で、どのくらい読んだか気になるからだ。

 

(『面白くなかった』なんて、言われたら……)

 

 そんな想いが一瞬頭をよぎった。勧めてはいないとは言え、ファンである自分にその一言は一番聞きたくない言葉だった。

 

(しかし、もしそう言われてとしても、それはあいつとあの漫画は合わなかった、そう思えばいい。それに聞いてきたのはこっち側だ。それなのに島田を怒ったりしたら、可愛そうだ)

 

 冷静に頭がそう告げる。確かにそのとおりだ、そう思い、自分にその言葉をかける。

 

 意を決した僕はマンションのロビーへと入って行った。

 

 

 

 

 

 

「面白かったよ」

 

 島田が何も興味なさそうに淡々と告げる。

 

 その一言は意外にして、呆気ないものだった。しかし、次の瞬間島田の顔は怪訝さを帯びた顔になった。その視線は何故か僕に注がれる。

 

「どうした、僕が何かしたか?」

 

「いや、違う。お前じゃない」

 

 顔を若干下を向いて、横に降る。

 

「じゃあ、何だよ」

 

「それは……」

 

 島田はどこか言うのをためらっているように見える。それに僕は好奇心と苛立ちを覚える。そこまで、焦れったくしなくてもいいだろうに……。

 

「なんだよ、言ってみろよ!」

 

「……笑わないと約束するか?それと後悔するなよ?」

 

「別にいいよ」

 

 どうせ、何もないだろ。それにさっさと話さないと焦れったくて焦れったくて堪らないからな。

 

「これはあくまで、俺の仮説だが、この漫画変なんだ」

 

「変?」

 

「あぁ、これってさ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まるで、お前の日記みたいな感じがするんだよ」 

 

   




ちょっと長くなりそうなので分けます。
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