羽沢珈琲店の長男は廃ゲーマー   作:やまたむ

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今回はちょっと少なめです。


蘭とホラーゲームは水と油

 次の週やってきたのは蘭だった。

 

「ねぇ、蘭姉。蘭姉やる気ないって聞いてたけど、何できたの?」

「あ、うん。だから、新曲の歌詞考えさせて貰う」

「うん。で、なんで、家にきたの?」

「同じところにいるより考えやすいから?」

「なんで、そこで疑問形になるのさ……」

 

 いつきは今週の当番は蘭姉なのか……と思いながら、自分のベッドの上でノートを広げ、ゴロゴロと揺れている蘭をちらちらと見ながら話しかけていた。

 

「いつき、なんか面白い話して」

「なんで、蘭姉はきて早々そんな無茶振りするの?」

「なんとなく?」

「んな、アホな……」

 

 いつきは蘭の回答にそう呟いた。

 蘭のなんとなく、思いついたから、面白い話でもして歌詞のネタ提供してよ、という無茶ぶりに振り回されるいつき。

 このときいつきは思いついた。

 

(今春だけど、怖い話したら蘭姉怖がるんじゃね?)

 

 と。

 確かに今の季節は春だ。どう考えてもホラーには早い。早すぎると言っても過言ではないくらいに早い。

 だが、それくらいのしかいつきに持ちネタはない。

 それと、同時に先週に引き続き唐突にやってきた者への仕返しがしたかったのである。

 そして、イツキは知っている。蘭がお化けとか怖い話とかそういったオカルトが苦手であることを。

 因みにモカ以外のAfterglowのメンバーは大体オカルト系が苦手である。

 

「蘭姉。(蘭姉にとって)面白くない内容だと思うけど、それでいい?」

「別に、なんでもいい」

「そう?それなら、ネトゲにまつわる怖い話なんだけど?」

「やめて」

「こわい」

「やめて。ほんと、マジでやめて」

 

 知らない人が居るわけじゃないので、ここで見栄を張る必要はない。まぁ、それは、いつきだからこそ、見栄を張らない。というか、張る意味がない。

 というのも。

 

「ごめんごめん、冗談だよ。冗談。まさか、NFOのハロウィンイベであんなに泣くとは思わなかったからさ」

「泣いてない!!」

「はいはい。蘭姉は泣いてないよね。目に涙がたまっちゃっただけだよね」

「うっさい!」

 

 蘭をいじるいつきは珍しく生き生きしている。

 わかりやすく言うなら、レイドをソロ攻略しているときに感じるワクワク感である。

 本来、いつきはSっ気たっぷりの少年なのだ。そのことを覆い隠すほど、いつきの弟スキルが高いだけで。

 

「そういえば蘭姉。来たとき店の状況どうだった?忙しそうなら手伝いに行こうと思うんだけど」

「大丈夫じゃない?お店にいたのあたしたちだけだったし」

「それは、店として大丈夫なのだろうか……?」

 

 大丈夫な訳ないだろう。

 人がいないことは自営業の飲食店において、最悪といえる。

 人生山あり谷ありとも言うのだし、こういう日が一日くらいあっても問題ないが、やはりお小遣いを貰う中学生の身としては、もっと収益があがってほしいと言うもの。

 もっと、お客さんこないかなぁと思うも、なにもしようとしない、ただの廃ゲーマーがここにいた。

 

「あ、そうだ。ねぇ、蘭姉、ちょっと手伝ってくれない?」

「え?なに?あたし、今忙しいんだけど」

「歌詞考えてるだけでしょ?それなら、刺激とかあれば良いんじゃないかなぁと思ってさ」

「まあ、確かにそうだけどさ」

 

 そう言っていつきは立ち上がると、蘭に先ほどまで座っていたパソコンの前に座るように促す。

 蘭は訝しげな視線をいつきに浴びせるが、いつきが気にした様子はない。

 

「蘭姉操作は覚えてる?」

「忘れた」

「よし、それじゃあ、まずそこから……」

 

 そして、いつきは蘭の後ろに回り、操作の仕方を教えていく。その際、マウスに添えてある蘭の手に自身の手を重ねたり、その結果、蘭との距離がほぼなく密着状態だったりと、もし、見る人が見れば、いつきが蘭を抱きしめているように見えるだろう。うん、爆発しろ。

 ちなみにいつきは何とも思っていない。ひまりの膝枕や、モカに抱きしめられたことと比べると、自分からやってる分、心に余裕があるからだ。

 

 それから何時間経っただろうか。

 日も傾きはじめ、夕方にさしかかろうとした時に事件が起きた。

 

「ね、ねぇ。いつき。ほんとに、ここじゃないとだめなの?なんか、BGMも雰囲気にあわせられてて、あんまりやりたくないんだけど」

「だいじょぶだいじょぶ。このあと電気消すから」

「なんで、こっちでも雰囲気だそうとするの!もうやだ。帰りたい」

「ホラゲは暗くしてやる方が面白いからね。仕方ないね」

「やだ、なんで、あたしなの。つぐみとかモカとやってよ」

「いやぁ、蘭姉が一番言い反応してくれると思ったから、この赤鬼は」

 

 赤鬼。このゲームはフリーゲームで、主人公のあらしが友人たちととある洋館に入り、追ってくる赤鬼と呼ばれるミュータントから逃げ、その洋館から脱出するゲームである。決してあ○鬼じゃない。

 

「いつき、もう時間も時間だし、帰っていいよね?あたし、もう限界」

 

 涙目になって上目遣いの蘭にすこし、ドキッとするいつきだが、鋼の豆腐メンタルで必死にいつきのいつきが起きあがるのを防ぐ。

 いつきは、時間を確認すると、時間が時間だし泊まっていくかと提案する。

 それに蘭は「……お願い」と泣きそうな顔で言った。

 

 

 

 ※※※

 

 

「蘭といっくんなにやってると思う?」

 

 時間は遡り、昼頃。

 蘭を除いたAfterglowのメンバーは羽沢コーヒー店に集まっていた。つまるところ、いつきはこのメンバーの真上で蘭に赤鬼やNeo Fantasy Onlineをやらせていたことになる。

 

「うーん。歌詞とか考えてるんじゃないかな?ガルジャムに向けて」

「あ、そっか。歌詞とか練習とかの時間考えるとそんなに時間があるわけじゃないもんね」

 

 そこから、買い物に行ったり、雑談したりと時間が経過して夕方にさしかかった頃だろうか、つぐみのスマホにメッセージが送られてきた。

 いっくんと書かれているところに入っていることから、いつきから送られてきたことがわかる。それがメッセージ写真の順だったため、開かないとなにが書いてあるのかわからなかった。

 

「あ、蘭ちゃん泣いちゃったんだ……」

「なんだその状況!?」

「いっくんが、ホラーゲームやろうって言い出して、蘭ちゃんと一緒にやったんだって。それで……」

「なるほど~。去年の再来ミニバージョンになったんだね~」

 

 因みに一年前は、モカ以外が涙目でいつきに抱きついたり、全員(いつき除く)で風呂に入ったりした。

 その光景はまさしく百合の花が咲きほこり、皆の目を和らげてくれたかもしれないが、一年前の話であること、詳しい描写をすると、必須タグがめんどくさいので、語れない。その光景はあなたの中にある(イメージしろ)

 

「で、それで、どうなったんだ?」

「蘭ちゃん、家に泊まるみたいだよ」

「あ、それじゃあ、私も泊まる!!怖がって蘭が一人でお手洗いにいけないかもしれないしね!」

「それじゃ、あたしもそうするか。モカは?」

「それじゃあ、あたしも~」

 

 なし崩し的に羽沢家に泊まることが確定した。

 というのも、既にいつきが親に話を通しており、それなら、モカ達も泊めても良いんじゃないかな?と言う風にどんどん話が進み、結局のところ羽沢宅でAfterglowメンバーが泊まるかの確認をいつきがしてきたと言う感じだ。

 

 これは、全力をとして、美少女五人組の寝静まった姿を描写すべきところなのだろうが、そんな野暮ったいことはしない。Afterglowのメンバーが寝静まったところをイメージして誰かが描いてくれているはずだ。語るまでもなく尊いのは皆承知しているだろう。

 

 

 そんなこんなで、翌日、いつきはさんざん蘭をいじめ抜いたお詫びとして、買い物に付き合うことになり、荷物持ちをすることになった。

 

「ほら、男でしょ?もっとシャキッとして」

「絶対これ、思いついたまま買ってるでしょ。そもそも、蘭姉ってここまで買うような人種じゃなかったはずだし……」

 

 さて、この光景を見た第三者どう思うだろうか。

 仲睦まじい姉弟が買い物をしている光景か?否、恋人同士がデートをしているように見えるだろう。

 なんとも仲睦まじい、爆発させたいと思うほど、楽しそうだ。心なしか、いつきの表情も楽しそうに見える。

 誰かダイナマイトを持っていないだろうか?私が爆発させてくる、と言う会話があった気がしたが気のせいだろうといつきは決めつける。

 

「ねぇ、いつき」

「気のせいだよ、蘭姉。俺はなにも聞いていないよ。和服の人がダイナマイトを周囲の人に持っていないか尋ねて警察にしょっぴかれていたのなんて見てないから」

 

 蘭はその心当たりのある人物を頭の奥底に追いやり、いつきの語った風貌は気のせいだ。そうじゃなきゃ華道の家元が警察に捕まるわけがないと思い込む。

 そうしないと精神を安定させることなんて無理なのだろう。




最後に出てきた和装の男性は誰なんだろうか?私にはわからないなー。(棒)

※あくまでネタです。ちゃんと釈放されています。はい、そこ!ブラックジョークすぎるとか、ついていけないとか言わない。わかってるから……。コミュ障ボッチにうまいギャグセンがあると思わないでください……。
学校で何回も空気を凍らせた経験の方が多いんです。

それと文字数が少なくなったことについては申し訳ない。最近オリジナルの方の執筆が忙しくて……。

また次回お会いしましょう。できればオリジナルの方も読んでくださるとうれしいです。
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